日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

「 騒音対策 」の関連記事一覧

重量床衝撃音レベルの大きさはスラブ厚さに関連するそうですが,何mm 以上の厚さにすると苦情が減少するなどといった経験値などはありますか?(Vol.37 No.5)

((株)熊谷組 大脇雅直)

重量床衝撃音レベルの大きさは,スラブの厚さ(基本インピーダンスレベル),面積,スラブスパン,スラブ周辺の梁などによる拘束条件の違い(1 辺拘束,2 辺拘束,梁の大きさ等),床仕上げ材(乾式二重床(床先行工法,壁先行工法),直貼り床),二重天井の有無によって変わります。

スラブの基本インピーダンスレベルは,無限大板のインピーダンスレベルに相当するもので,衝撃力(入力)と,それによってスラブに生じる振動(出力)との関係を示しています。感覚的な意味としては,インピーダンスレベルが大きいほどスラブが振動しにくくなります。スラブ厚さと基本インピーダンスレベルを計算すると,スラブ厚さ 200 mm で基本インピーダンスレベルは 117 dB,230 mm で 119dB,250 mm で 121 dB,280 mm で 123 dB,300 mmで 124 dB となります。つまりスラブの基本インピーダンスレベルは,スラブを 200 mm から 250mm に 50 mm 厚くすると 4 dB,200 mm から 300mm に 100 mm 厚くすると 7 dB 大きくなります。これは,スラブを加振したときに発生する床衝撃音レベルが,スラブを 200 mm から 50 mm 厚くすると 4 dB,200 mm から 100 mm 厚くすると 7 dB 小さくなることを示しています。

しかし,スラブ厚さを大きくしても,スラブ厚さ以外の条件によって重量床衝撃音レベルが向上しない場合があります。設計時にはスラブ厚さ以外の条件をも考慮したスラブ素面における重量床衝撃音レベル予測結果をもとにスラブの厚さを決めています。

現在,首都圏で共同住宅として供給されている居室のスラブ厚さは 200mm から 300mm が一般的であり,竣工時の重量床衝撃音遮断性能は Li,Fmax,r,H(1)-50∼60 の性能のものが多いです。竣工時の重量床衝撃音遮断性能がタイヤ衝撃でLi,Fmax,r,H(1)- 50∼55,ボール衝撃で Li,Fmax,r,H(2)-45∼50 の乾式二重床仕上げの居室において子供及び大人の歩行などによって発生する音の大きさを測定した事例を紹介します。3∼8 歳の子供 9 名の場合では,歩行(普通∼強歩行)によって直下居室で発生する最大 A 特性音圧レベルは,LD の普通歩行で 22∼36 dB,洋室で 25∼33 dB でした。走り回りによって発生する音は LD で 24∼44 dB,洋室で26∼42 dB でした。飛び跳ねによって発生する音は,LD で 30∼52 dB,洋室で 27∼49 dB でした。A特性音圧レベルの大きい子供は踵から踏み込む傾向がみられました。測定時の暗騒音レベルは 23∼24dB と静かな音環境であったため,聴感上いずれの行動も「小さく聞こえる」から「聞こえる」程度でした。重量床衝撃音レベルと比較すると,子供の走り回りはボールと同程度のレベル,子供の飛び跳ねはタイヤと同程度のレベルになる場合があることがわかります。

次に,30∼60 歳代の大人 16 名(男性 12 名,女性4 名)の場合では,歩行音の最大 A 特性音圧レベルは LD で 24∼30 dB,洋室で 24∼28 dB の大きさでした。小走り時は LD で 27∼34 dB,洋室で 26∼29dB でした。大人の場合,性別,体重にばらつきがあるにも関わらず音圧レベルに大きな差はみられませんでした。これは,今回の被験者はつま先から踏み込む傾向を示したことが原因と考えられます。聴感上は,測定時の暗騒音レベルが 23∼28 dB と静かな音環境であったため,「小さく聞こえる」程度でした。

居室内の音環境が非常に静謐な場合(例えば暗騒音が 25 dB 以下)には上階からの歩行音が聞こえることになります。特に子供は体重が軽いですが歩行音は大人よりも大きくなる傾向があります。「リブランひと住文化研究所」が東京都と埼玉の分譲マンションの居住者を対象に行った音トラブルに関する意識調査の結果が朝日新聞(2007 年 2 月 27 日)に紹介されていました。「生活の音(子供が走り回る音,大人が歩く音等)にいらだちを感じる」という回答が 52% あり,音のトラブルについて「入居者間のコミュニケーションで減ると思うか」との問いに「はい」との回答が 71% でした。しかし,「問題解消へお付き合い」する努力をしている人は 13% と非常に少ない結果となっていました。これらのことからもわかりますようにスラブの厚さを厚くするだけでは問題の解決になりません。共同住宅においては住まい方の工夫も重要と考えます。

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最近アクティブノイズコントロール(ANC)という言葉をよく聞きますが、どのような仕組みで音が小さくなっているのでしょうか? また、これを使って道路や鉄道などの騒音は制御できないのでしょうか。(Vol.36 No.1)
                                     (会社員)

(東海大学 森下達哉)

騒音の能動制御あるいは Active Noise Control(ANC)については,1930 年代にアメリカ合衆国で特許申請された記録が残っています。特許申請時の図には,元々存在している騒音に対して,同振幅・逆位相の波形をもつ音波を重ね合わせることによって,騒音を消去するという基本的考え方が示されています。その後,1980 年代以降のディジタル信号処理技術の発展に伴って,数多くの ANC システムが考案されてきました。最近では,ノイズキャンセリングヘッドホンや自動車キャビンの静穏化などで,ANC の実用システムに接することができます。

ANC は,騒音源(Primary Noise Source)が作る音場と同一の音場を騒音源周囲に配置した二次的な音源(Secondary Noise Source)で作ることができるという原理に基づいています。したがって,空間全体を静かにしなければならいような場合には,静かにしようとしている音の周波数にもよりますが,比較的多くの音源が必要になるとされています。

一方,細長い管状の空間を伝わる音波については,管の断面寸法よりも波長が十分に長ければ,管の長さ方向への波の伝わり方だけを考えれば良いので,制御方法も簡単になります。そのため,ANCの研究が盛んになり始めた 1980 年代には,ダクト内を伝わる騒音を対象とした研究が盛んに行われていました。詳しくは文献 1)をご参照下さい。

ANC の制御方法としては,フィードフォワード(FF)制御とフィードバック(FB)制御に大別できます。説明を簡単にするため,ダクト内 ANC を例にとります。図−1(a)に示す FF 制御では,まず参照用センサで事前に騒音の情報を検出します。その騒音が音の重ね合わせ点に到達するまでに制御器で処理を行い二次音源から制御用音波を生成させ重ね合わせ点に到達させます。図−1(b)はブロック図と呼ばれますが,制御器を通る信号が信号 x と同様前向きに送られているため,FF 制御と呼ばれます。

一方図−2(a)に示す FB 制御では,参照用信号を使わずに,制御結果(誤差信号)を制御器で処理し,二次音源によって制御用音波を生成させます。図−2(b)のブロック図において,制御器を通る信号が信号 x と反対の後ろ向きに送られているため,FB 制御と呼ばれます。前述のノイズキャンセリングヘッドホンでは,基本的に FB 制御が用いられますが,FF と FB の両者を組み合わせた制御システムも存在します。

ANC の道路騒音や鉄道騒音への適用については,受動的デバイスとの協調動作という意味では,遮音壁と ANC の組み合わせがあります。このシステムは,遮音壁エッジ部の音場を適切に制御することで遮音壁の騒音抑制効果を向上させることを目的としたシステムです。国道 43 号線での試験運用の報告があります2)。

移動する音源に対する ANC の検討としては,広い空間における制御システムの構成法の検討3)や適応アルゴリズムの動作特性の検討4)などが行われています。当然海外でも研究例があります。原理から考えると,移動する音源に対して広い空間に渡って減音領域を生成することは大変難しい問題であることは間違いないでしょう。しかし,騒音制御のために大きな構造物を付加できない場合には,上記のような ANC システムが唯一の騒音対策手段になると考えられるため,移動音源に対する ANC のさらなる検討が望まれます。

  • 1 )西村他,アクティブノイズコントロール(コロナ社,東京都,2006).
  • 2 )ASE 試験導入に関わる騒音調査結果,兵庫県国道事務所,http://www.kkr.mlit.go.jp/hyogo/oshirase/2006/2006-10-30-01.html
  • 3 )大西他,日本音響学会誌,vol. 64, no. 3, pp. 131-141(2008).
  • 4 )A. Omoto et al, Acoust. Sci.&Tech., vol. 23, no. 2, pp.84-89 (2002).

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室間音圧レベル差の測定に63Hzが含まれていないのは、どのような理由なのでしょうか。(Vol.36 No.4)
                                (音響測定会社 社員)

(日本騒音制御工学会認定技士 安岡博人)

日本工業規格 JIS A 1417 における周波数範囲について,“63 Hz が入ってないのはなぜか?”という質問は良く聞きます。“床衝撃音の方には含まれているのに”ということだと思われます。私の聞き伝えの回答でよろしければ,以下のように考えられます。

集合住宅,ホテルなどは一般に居室が小さく,相対的に波長の長い周波数に関しては定在波が大きく寄与して,音圧レベルの偏差が各測定点間で大きくなり,平均音圧レベルで扱うのには問題が多いということだと思います。つまり,室のどの点が受音点になるか分からない状況で平均値を当てはめると,受音点の取り方によっては平均音圧レベル差の測定結果に 1 ランク以上の違いが生じる場合もあるということではないでしょうか。

このため,特定場所間音圧レベル差が規定されていますので,それで 63 Hz を測定して,当てはめるのは,その点の固有の値ですので,一つの考え方としては妥当と思われます。また,参考として 63 Hzの室間音圧レベル差を測定する場合もありますが,当然データの妥当性はその旨明記して自己責任で行うことになります。

そして,床衝撃音の重量衝撃音の場合は,低音を測定するために行いますから偏差を承知で決めてあり,打点も多くなっていますし,測定値の空間的ばらつきは今まで多く検証されながら運用されています。

関連 JIS

  • ・JIS A 1416 実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法.
  • ・JIS A 1417 建築物の空気音遮断性能の測定方法.
  • ・JIS A 1418-1 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法─第一部 : 標準軽量衝撃源による方法.
  • ・JIS A 1418-2 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法─第二部 : 標準重量衝撃源による方法.
  • ・JIS A 1419-1 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法─第一部 : 空気音遮断性能.
  • ・JIS A 1419-2 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法─第二部 : 床衝撃音遮断性能.

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1/1,1/3オクターブ分析(フィルタ分析)とFFT 分析とはどのような違いがあるのでしょうか。使用上の留意点を教えてください。また,昔から使われてきたアナログ方式と最新のディジタル方式によって同じ分析結果が得られるのでしょうか。(Vol.36 No.5)
                               (計量証明事業所 社員)

(ブリュエル・ケアー・ジャパン 佐藤利和)

オクターブ分析と FFT 分析は,定常信号であればほぼ同じ結果が得られます。非定常信号では,分析原理に起因する(時間と周波数の)分解能に注意しなければなりませんので,以下に原理と注意点を解説します。

オクターブ分析(一定比率帯域幅または CPB(Constant Persentage Bandwidth)分析)はフィルタ分析に基づく方法です。そのバンドパスフィルタの設計,例えば中心周波数 1 kHz のオクターブ分析では,帯域幅 707 Hz,一定比率(70.7%)帯域幅,通過帯域形状に依存して,時間応答(インパルス応答)が決まります。これに対応するディジタル処理は,同一の設計方法で得た時間応答と重畳積分を行う方法であれば,アナログ処理と同じ結果が得られます。

一方,FFT 分析は,有限離散フーリエ変換を高速計算に行うアルゴリズム(Fast Fourie Transform)による方法です。まず,対象信号を窓関数(時間窓)にて 2 のべき乗数(…256,512,1024…)の有限長データに制限します。次にこのデータに単位振幅の正弦波成分の掛け算と足し算(積和演算)を行うことで,信号に含まれる周波数成分を抽出します。窓関数の有限長に対応した一定数(…100,200,400…)の一定帯域幅分析結果となります。

原理的な相違をまとめると,時間応答の重畳積分か有限データの積和演算かということです。オクターブ分析の注意点は,時間応答が分析帯域幅に逆比例することです。衝撃波の分析では低周波数の分析帯域の応答がより遅れて出力すること(因果性)です。

一方,FFT 分析の計算時間は周波数と無関係にどの周波数帯域についても一定ですが,信号の時間分解能は,衝撃発生時を中心とした,時間窓の記録長 T となります。FFT 分析の欠点は,定常信号では時間窓を無作為(フリーラン)に適用できますが,過渡信号では時間窓の正確な制御(オーバーラップやトリガの利用)が必要になることです。

一般に,定常信号では,帯域幅 B(FFT : 周波数分解能 Δf )と平均時間 T(FFT : 記録長 Tr×n)で決定される BT 積が同一であれば,同じ結果が得られます。過渡信号の特徴と捕らえるために平均時間を短くすれば,再現性の確保はより困難になります。というわけで,信号の性質(定常/非定常)と,周波数分析の不確定性原理(BT 積一定)の検討は重要です。

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室間音圧レベル差及び重量・軽量床衝撃音レベルで問題となる周波数は実際のところ,主に何Hzですか。(Vol.36 No.6)
                          (ゴム・樹脂部品の製造業 社員)

(三井住友建設(株)技術開発センター 赤尾伸一)

問題となる,という意味は,居住者などからのクレームになる,あるいは竣工時確認測定において設計時点に設定した所定の性能が出ないということでしょうか。クレームは様々な原因で発生するものだと思いますので,ここでは後者の観点から問題となる周波数について述べたいと思います。

室間音圧レベル差の測定では,125 Hz から 2 kHzまでを測定し,室間音圧レベル差等級(Dr 値)で表します。問題になる周波数は,建物の主体構造や内装材料などの違いにより一概に言うことは出来ません。たとえば GL 工法では 250 Hz,4 kHz で性能が低下してしまいます。また,プラスターボードなどの軽量中空二重壁では 125 Hz で性能が決定される製品が多いようです。さらに乾式の間仕切壁では柱・梁・床スラブとの取り合い部の隙間により 1kHz や 2 kHz で遮音低下が起きることがあります。特に鉄骨構造の建物では,柱,梁に耐火被覆が施されることにより間仕切壁との取り合いが複雑になり,落ち込む周波数もケースバイケースとなります。

重量床衝撃音レベルの測定では,63 Hz から 500Hz までを,軽量床衝撃音レベルの測定では,125 Hzから 2 kHz までを測定し,床衝撃音レベル等級(Lr値)で表します。重量床衝撃音遮断性能は建物の主体構造で決まることが多く,ほとんどの場合 63 Hzが決定周波数となります。ただし,二重床や天井の影響で 125 Hz で決まることもあります。軽量床衝撃音遮断性能は仕上げ材で決まり,性能が良いものは 125 Hz,250 Hz で決まることが多く,性能が悪いものでは 250 Hz,500 Hz となるようです。

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最近,市内にバッティングセンターがオープンし,近隣の8 階建てマンションの住民から騒音苦情が寄せられましたが,開放型の事業場のためその対応に苦慮しております。このような開放型事業場の防音対策についてどのような方法があるかご教示願いたい。(Vol.36 No.7)
                                (地方公共団体職員)

(当工学会環境騒音振動行政分科会委員 沖山文敏)

ここでは,法令等による規制及び平成 6 年度に環境省が作成し,全国地方公共団体に示した「開放型事業場騒音防止マニュアル」の内容を紹介します。

1.法令等による規制

開放型事業場において騒音規制法に基づく特定施設を有していれば,同法の対象になるが多くの事業場では対象になっていないと思われます。これに対し地方公共団体の条例では一般家庭以外は事業場として敷地境界上での規制基準を定めており,苦情が発生した場合この規制基準の適用を受けますが,一般の工場のように建物で囲うことが出来ないため,どこの地方公共団体でもその対応に苦慮していることから環境省ではマニュアルを作成しました。

また,神奈川県や川崎市のように一部の地方公共団体では,住居系地域における板金,製缶,鉄骨又は橋りょうの組立て,自動車の解体の屋外での作業を禁じております(建設工事の現場は対象外)。

2.開放型事業場騒音防止マニュアルの内容

2.1 開放型事業場の定義

定義としては「主に都市内の空き地に上屋などの建物を設置せずに,資材置場や残土置場,廃品回収置場,ダンプ・重機置場等に使用(営業)する事業場」をいうとしています。

2.2 開放型事業場の種類

開放型事業場の種類として次の 19 事業場を示しています。

イ.資材置場 ロ.残土置場 ハ.廃棄物(廃品回収)置場 ニ.荷物集配所 ホ.コイン洗車場 へ.ダンプ・重機等の置場 ト.板金作業所 チ.木材加工所 リ.石材加工所 ヌ.鉄骨(鉄筋)加工所,ル.コンクリート製品製造所 ヲ.テニス・ゴルフ・バッティング練習所 ワ.自動車修理場 カ.学校・幼稚園 ヨ.保育所 タ.ガソリンスタンド レ.駐車場 ソ.自動車教習所 チ.その他

2.3 開放型事業場騒音防止対策の基本的な考え方

  • (1)
    ハード面からの対策主として,排出騒音の防止(敷地境界)と進入騒音の防止(苦情者住居)に分けられます。そのうち発生源対策として,低騒音型機種の導入,消音装置の装備等による機械・施設の改善,事業場の移転などであります。また,騒音伝搬対策として建物等施設の改善,苦情者側敷地境界に防音塀の設置,車両の出入りの多い事業所周辺道路のアスファルト舗装の整備,路上駐車のアイドリング騒音防止対策としての駐車場の整備などであります。次に受音側対策として住宅の防音対策,住宅の移転などがあります。
  • (2)
    ソフト面からの対策主として発生源を具体的に低減する方法とその他の方法に分けられます。そのうち操業方法の改善として,作業者による発生騒音の防止,作業方法の改善,使用方法の改善,作業位置の移動,搬出入車両の対応,物流関連の業者への呼びかけなどであります。また,操業時間の改善として,休日操業の自粛,作業時間の短縮,作業時間帯の自粛(深夜,夜間,早朝,夕方)等であります。次にその他の方法として,適用できる騒音低減方法がないケースでは事業場の事情について説明し苦情者に理解してもらうための話し合いが有効であります。さらに,地域共存対策として周辺住民の生活環境を配慮して事業者による騒音防止自主管理,周辺の植樹,緑地化,清掃なども有効であるとしています。

2.4 音源別具体例

本マニュアルでは音源別に具体例を示しており,ここでは「バッティングセンター,ゴルフ練習場[打撃音,拡声機,(利用客の)車両,話し声]」について示します。

  • ・拡声機は条例で対応できれば,それに基づく指導を行い,音源を必要最小限に絞り,使用時間帯についても付近への影響を考慮します。
  • ・利用客のカーステレオ,騒ぎ声等問題となるケースが多いので利用者の注意を促す必要があります。
  • ・特に看板を設けるなど,利用者に対する騒音防止の注意の啓発を図る必要があります。
  • ・夜間の照明も苦情発生に影響していることを留意・ボール洗浄機などの騒音を,営業時間終了後に発生させないようにします。

以上がマニュアルの内容ですが,この外にケージに遮音,吸音対策することやマシンの低騒音化,マシン周辺の遮音,吸音処理も有効だと考えます。

なお,回答者の長年の苦情処理の経験では,開放型事業場の抜本的な騒音対策は,事業場の移転以外は難しいと考えています。

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エコキュートを設置しようと思っていますが、騒音は大丈夫でしょうか?性能や設置に関する基準等はないのでしょうか?周りは閑静な住宅街です。(Vol.35 No.5)
                                      (主婦)

((株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング技術本部 井上保雄)

近年,さまざまな生活騒音の苦情が増えてきています。その中には,隣家に設置されたエコキュート(家庭用ヒートポンプ給湯機,以下,エコキュート)等の騒音もあります。

エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯ユニットから構成されます(図−1)。騒音は主にヒートポンプユニット(外気との熱交換を行う送風機,CO2冷媒を圧縮加熱する圧縮機)から発生します(図−2)。騒音の大きさはメーカ,型式により異なりますが,ヒートポンプユニット近傍で概ね 40 dB程度です。

エコキュートは深夜から明け方にかけて深夜電力を使ってお湯をつくります。周りの音が静かな深夜に運転するため,運転音自体が小さくても,相対的に知覚され易くなります。また,敷地の関係で,隣接民家との間隔が狭く,その間に設置せざるを得ない場合もあり,苦情要因の一つになる可能性があります。

このような状況を踏まえ,(社)日本冷凍空調工業会では据付業者さん向けに【騒音防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック】を作成,Web に公開しています。

据付時の配慮事項としてはヒートポンプユニットの据付場所を隣家の寝室から離す,壁面の反射による音圧上昇を小さくするため,片側開放空間の場所を選ぶなどです。

低減策としては防音壁等で騒音を遮蔽するのが一般的です。この場合,空熱環境が給湯器の性能に影響を及ぼす可能性もあり,専門化に相談されると良いでしょう。ベランダ等に設置する場合は,防振ゴム等を用いるなど振動絶縁にも気を配ると良いでしょう。

また,普段からの,ご近所様とのコミュニケーションも大切です。

なお,エコキュートの性能,試験,検査,表示などについては,(社)日本冷凍空調工業会の標準規格があります(下記)。

  • ・家庭用ヒートポンプ給湯機 JRA4050 : 2007R
  • ・家庭用ヒートポンプ給湯機(追補 1)JRA4050 :2009
  • ・家庭用ヒートポンプ給湯機の給湯性能 JRA4060 :2009

(社)日本冷凍空調工業会

URL : http://www.jraia.or.jp

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工場の設備機器への外気導入のために壁に開口部を設けています。開口部の騒音対策について、考え方と方法を教えて下さい。(Vol.29 No.4)
                                 (公害防止管理者)

((株)荏原製作所 松田 道昭)

対策の詳細は専門書に譲るとして、ここでは考え方の基本を述べますので参考にして下さい。

1) 開口部の位置と面積の最適化

開口部から放射する騒音のパワーレベルに対して、開口面積Sは10log10 S [dB]として影響します。例えば、Sが1/2になれば、騒音は3dB低減します。面積は必要最小限にして下さい。

開口部が矩形(長辺a×短辺b)の場合、開口部からの距離rをr1からr2にしたときの減衰は、r≧a/πの領域では点音源と同様に20log10(r2/r1) [dB]です。そのため、境界線が近ければ、少し遠ざけるだけでも減衰効果が上がります。例えば、3mから4mに離したときの減衰量は、20Log(4/3)=2.5dB です。但し開口部寸法と距離の関係が、b/π≦r<a/πの領域になると、減衰量は線音源と同様に10log10(r2/r1) [dB]に半減し、r<b/πの領域では減衰しないので注意が必要です。ただ余程大きな開口部でない限り減衰が見込める場合が多いので、開口部は敷地境界線からできるだけ遠ざけて下さい。

建物角部の開口部は、敷地境界線に面していない側の壁面に設置すれば、建物による回折減衰や開口部の指向性(大体の場合正面方向の音が大きい)によって低減が期待できます。簡易的にフードを取り付けて、下や横に向きを変える方法もあります。開口部と敷地境界線は向き合わせないで下さい。

2) 開口部での消音

開口部での消音対策には様々な種類がありますので、減音効果、設置スペース、圧力損失等を考慮して選択して下さい。

  • ・消音エルボ(直角やラウンドエルボに吸音材内貼)
  • ・吸音材内貼ダクト
  • ・消音器(セル型やスプリッタ型から選定)
  • ・吸音ルーバ(吸音材付きのルーバ)
  • ・遮蔽板(開口部屋内側で機械の直接音を遮る)

3) 室内騒音の低減

屋内の機器配置を変更できるなら、騒音の大きい機器は開口部から遠ざけ、ファンの吸込口などは開口部と反対に向けて直接音が到達しないように工夫します。室内の反響が大きい場合、グラスウール等の吸音材を壁や天井に内貼りすれば、対策効果が上がりますし、室内作業環境もあわせて改善できます。また機器の改修時期であれば、低騒音型への変更なども検討しては如何でしょうか。

開口部の対策を十分に行っても騒音が低減しない場合、固体伝搬音の影響も疑われますので、壁面に振動が伝わっていないか確認してみて下さい。

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機械等から発生する騒音の対策についての留意点はどのような事でしょう。(Vol.28 No.1)
                                 (コンサルタント)

(東芝 岡崎洋二)

家電製品など小型の機械関連

機械の騒音対策は、問題解決へかける時間とコストで変わる場合がありますが、今は早く、低コストで実現できることが求められています。これを実現するには騒音振動の原因にさかのぼって対策を考える必要があります。

騒音は騒音振動源を入力とし機械システムを伝達系としたときの出力とみることができます。騒音振動源は様々ですが家電ではモータ、ギヤ、ファン、コンプレッサが主なものです。騒音振動の原因である強制力のメカニズムが解明されそのスペクトルの大きさが予測できたとき、騒音発生の原理が理解され対策を考えることができます。騒音の原因となっている力は直接測ることができない場合が多く、出力である騒音振動を計測し解析技術を使って音源振動源を推定する必要があります。その現象は機械力学的なもの、電磁気学的なもの、流体力学的なものなど様々でそれぞれ学術的な現象解明のアプローチがされているので文献から音源振動源対策のヒントを得ることができます。音源振動源対策例としてモータのスロットコンビネーション最適化、はすば歯車の使用などがあります。

伝達系としてはフレームへ振動伝達など固体振動系伝達とカバー内の空間の音響伝達、隙間の透過などの音響系伝達とがあります。伝達系を調べるとはその周波数応答と空間的な特性を調べることです。音源振動源が制御可能なら回転数を変えたりすることで周波数応答を調べることができます。伝達系の周波数応答の大きいところに騒音振動源の周波数があると共振状態となるので周波数が一致しないようにずらす必要があります。このようにして騒音振動の真因、騒音振動を大きくしている真因がわかれば真因を取り除くことで低コストな騒音振動低減が実現できます。真因がわかった上で的確に吸音材や制振材を使えば、使う量も最小量で済みます。

今後はdB値を下げるだけでなく、音質改善が求められることも多くなってくるものと思われます。dB値を下げることが技術的に限界となって求められる場合もありますが、コスト的にdB値を下げることが困難な場合にも音質改善は必要なことです。

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既存道路の騒音対策を遮音壁、吸音処理によって行おうとする場合、費用はどのくらいかかりますか。また費用以外に注意すべき点はどのようなことでしょうか。(Vol.27 No.4)
                               (建設コンサルタント)

(日東紡績 三神 貴)

このようなご質問に「マイナス1dBあたり単価」のようなものが簡単に提示できれば便利だろうなあといつも思います。しかし、伝播経路対策である遮音壁では、そのように表現することには無理があります。

また、一口に道路といっても、土工部・高架部・掘割部など様々な道路構造が存在する事や、遮音壁であれば高さや形状(柱のサイズ、「忍び返し」、R付きなど)でも費用は左右されます。更に近年では、遮音壁や吸音板も音響的な機能以外に、意匠性、耐久性、リサイクル性などに付加価値を求めるなど、製品も多様化してきており、費用の面でも様々です。

前置きが(言い訳が)長くなりましたが、これでは回答になりませんので、具体的に条件を絞ってお話ししてみます。

  • ・遮音壁「JH統一板*1)を用いて、遮音壁を高さ3mで土工部に施工した場合」を例にとると、大凡で¥30,000/㎡(材工共、以下全て)程度です。これよりも単価が上昇する要素としては、「塗装を施す」、「支柱を隠すなど意匠に工夫する」、「勾配がある」、「透光性にする」、「防汚仕上げを施す」、「工事が夜間に限られるなど作業効率が悪い」などが挙げられるでしょう。因みに透光性(反射性)にした場合、同様の施工条件で、¥60,000~70,000/㎡程度(枠つきポリカーボネート透光板)、¥65,000~75,000/㎡(枠なしアクリル透光板)程度です。また、近年遮音壁頂部に「新型遮音壁」を施工する例も増加してきております。凡そ¥59,000~62,000/m程度と考えられますが、こちらも様々な製品がありますので、各メーカーに問い合わせたほうがよいでしょう。
  • ・吸音処理トンネルの内壁や掘割などの反射面に、後から吸音処理を施す場合、吸音材としてグラスウールを用いた一般的なタイプでは、¥35,000~40,000/㎡程度と思われます。耐候性に優れたセラミック吸音板を用いた場合は、¥50,000~55,000/㎡程度です。また、比較的特殊な施工箇所ですが、近年対策事例の多い高架道路の裏面に対する吸音板は大凡¥45,000~55,000/㎡程度です。

これら全ては、誠に大雑把な概算です。計画に際しては、必ず各々見積もりをとる事をお勧め致します。

また、費用以外に注意すべき点との事ですが、

様々多くの点があると思います。材料メーカーの立場から申し上げられる事は限られていますが、既存構造ならではの点であれば、現状耐力の照査、供用中道路の工事規制の問題等が具体的に挙げられると思います。何事においても新品を作るより修理の方が難しいという事があると思いますが、手を加えるための、現状の調査・把握・診断の重要性に集約されるのではないでしょうか。

  • *1)竹本恒行,”日本道路公団における金属製統一型吸音壁,”音響技術vol.6 no.3 53-60(1977)など

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