日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

「 計測・評価 」の関連記事一覧

最近の騒音計は低周波音も計測でき,また周波数分析も行えるなど便利になっていると伺っています。関連する規格等の変遷も含め騒音計の歴史について教えていただけますでしょうか。(Vol.43No.2)
Vol.43 No.2

(株式会社エーアール,瀋陽薬科大学 福原博篤)

騒音計の始まりは自分の耳で周囲の音の強さと電話器のようなスピーカーからの発生音を聞き, その出力を調整, 周囲の音とほぼ同じ強さになった時の値をデシベルで示すものであった。 この方式の騒音計は聴取式騒音計といい, 1930年以前にドイツ,シーメンス社のバルクハウゼンが発明したものである。 同時期に米国のウエスタン社はベル電話研究所で開発されたオージオメータを使用したバルクハウゼンと同等のものを開発した。 また, 英国物理研究所のデーヴィスは音叉式騒音計を米国音響学会誌に紹介している。その後,音の測定にマイクロホンを使用し指示計で音量を表示する騒音計がベル電話研究所で開発された。 これが現在の騒音計の出発点といえる。
1923年の米国音響学会誌にはNoise Meterと呼ばれる電気式の騒音計がウェスチングハウス社で開発されたことが紹介されていることから, 当時は聴取式と電気式の2通りの騒音計が使用されていたことが推察される。この当時,音量の表示はデシベル,あるいはフォン,いずれかの単位を用いており,基準値もそれぞれ異なるものであった。

1934年には日本においてシーメンスの電気式騒音計が発売されており, それ以降沖電気や東芝(当時マツダ) など国産の騒音計が開発された。 しかしこれらの騒音計は非常に大きく,重く,機種によってはバッテリー箱と別の筐体になっているものもあった。

1940年前に米国のGeneral Radio社は電気式手持型騒音計を発売しており, その数年後にはデンマークのBruel&Kjaer社がそれに続き発売したことが当時の出版物でわかる。

1949年当時東大大学院の学生であった石井聖光先生(元東大生研教授)の発案で小型騒音計を製作するため日本電子測器(JEIC)が発足し,幅300 mm奥行200mm高さ150mm重量約4kgの騒音計を2万4千円(当時)で発売した。マイクロホンには小林理研製作所(後のリオン)のクリスタル型を用いていた。

1952年には柴田化学が指示騒音計を発売した。1954年には小林理研製作所が米国GR社の騒音計を参考に簡易騒音計を完成させた。 同時期に複数の会社が騒音計を開発したものの現在まで継続しているのはリオンと日本電子測器(現ソーテック),それに日本電子工業 (ベガ→ノード→ナガノ計装) である。

1970年代B&Kと同じようにリオン, 日本電子測器, ノード, オンソクが手持型騒音計を開発し, その後騒音計後部に接続できる周波数分析ユニットを開発し,続いて,等価騒音レベルや時間率騒音レベル演算ユニットを発売した。

1989年小野測器が騒音計市場に進出し,積分型の精密騒音計と普通騒音計の販売を始めた。

2000年代初頭にはリオンを始め各社が積分型騒音計にソフトカードを挿入することで, より簡便に周波数分析や各種演算波形記録な どの多機能化を果たし,現在では騒音計とそのオプションソフトにより, ほとんど必要な情報を精度良く集めることが出来るようになっている。

2011年にはコンデンサマイクロホンを使用して低周波音から測定可能な騒音計がアコーから発売され, 翌年にはリオンが低周波音測定機能付精密騒音計が型式番号を取得している。

日本において騒音計の規格 (指示騒音計) が JIS として定められたのは1952年で, 当時騒音計の表示は「ホン」とされていた。1956年の改正で指示騒音計と簡易騒音計に分かれ, 測った値を 「騒音レベル」とし,取引証明の目的には指示騒音計を使用しなければならなくなった。また,騒音計の聴感補正特性(現在の周波数重み付け特性)A,B,Cを定め,60ホン未満はA,60ホン以上∼85ホン未満をB,85ホン以上をCで測定するとしていた。1977年に普通騒音計と精密騒音計の規定が定められ, 計量単位は「ホン」その記号は「dB」を用いることが明記されている。

その後何度か規格は改訂され,2005年に騒音計は「サウンドレベルメータ」と規定され,2014年に取引又は証明用の騒音計が JISに追加された。 2017 年には2005年の規定の見直しがなされ, 現在騒音計の規格は2種類あるものの不確かさについて製品の不確かさと検査等の不確かさに分けられた。 騒音計を使用する立場からは性能, 精度の面ではいずれの規格のものも相違はない。
2019年2月経産省は計量法施工規則別表の環境計量証明事業所において使用する計量器と しての周波数分析器, レベルレコーダ, データレコーダは騒音計内に挿入可能なソフトカードを該当可能とした。
以上のよ う に騒音計やその周辺機器の歴史は大雑把に説明しても長い歴史がある。 より詳細について興味のある読者は拙著 「騒音計と騒音測定・評価の変遷」(環境新聞社)を参照されたい。

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騒音の評価値として等価騒音レベルが一般的になってきていますが,振動についてもこの
先,等価振動レベルに変わっていくのでしょうか。また,騒音計の国際規格との整合は良く話題になりますが,振動計に係る国際整合の状況について教えてください。(Vol.43No.4)
Vol.43 No.4

(リオン株式会社 蓮見敏之)

【評価量について】
公害振動を対象とする振動規制法は昭和51 年(1976 年)施行されました。その目的は,工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる振動について必要な規制を行うとともに,道路交通振動に係る要請限度を定めること等により,生活環境を保全し,国民の健康の保護に資することです。評価量・手法は計量法に基づく振動レベル計で測定された鉛直方向の振動レベルを用い,振動レベルの時間的な変動具合から評価量が定まります。例えば,道路交通振動のような「不規則かつ大幅に変動する場合」にはL10(80% レンジの上端値),「周期的または間欠的に変動する場合」には変動毎の指示値の最大値の平均値が評価量になります。
さて,騒音評価の法体系においては,環境基準,騒音規制法,環境影響評価法があり,騒音に係る環境基準では平成5 年(1993 年)に等価騒音レベル(Leq)が採用されました。等価騒音レベルは,ある時間内で変動する騒音レベルに対し騒音レベルのエネルギーを時間平均する算出方法です。一方,振動レベルにおいては,2014 年に制定されたJIS C 1517「振動レベル計─取引又は証明用」,第3 項用語及び定義に,時間平均振動レベルLveqが規定されました。これは騒音計のJIS に規定される時間平均サウンドレベルに伴い振動レベル計において規定されましたが,振動規制法における評価量の議論は進んでいないようです。
【国際整合について】
全身振動においては,国際規格ISO 2631-1 : 1997にて健康影響や快適性,振動知覚,動揺(乗り物酔い)に関して人体暴露の評価が定められています。
人体に座標系を当てはめ,様々な姿勢や部位を対象としてそれぞれの感覚補正により,並進振動や回転振動の評価が3 方向X/Y/Z で評価されます。また,ISO 2631-2 : 2003 では建物内の振動評価について規格化されました。測定器の規格ISO 8041 : 2005も続いて定められ,一昨年の2017 年に改訂されております。国内では,これら国際規格に整合されたJIS B 7760-1(全身振動の測定装置),JIS B 7760-2(全身振動の評価方法)が2004年に発行されています。規格に準じた測定器も市販されておりますが,このJIS B 7760シリーズと,公害振動を対象とする振動レベル計JIS C 1510は,目的や計量値が異なっていますので注意が必要です。
また振動加速度の基準値は,国際的にはISO 1683により基準値10−6(m/s2)が推奨され,国内での振動レベルの基準値は10−5(m/s2)であり,20 dBの差が生じています。国際整合化には基準値についても議論が必要です。

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洋上風力発電所の環境影響評価項目における水中音の国内外実施状況等(発生源データ,伝搬予測手法,影響評価方法等)について教えてください。(Vol.42No.6)
Vol.42 No.6

(SCCRI 静穏創造研究所 塩田正純)

ISO1683-1983によれば,空気中の音圧基準値:20 μPa に対して,水中の音圧基準値: 1 μPa であり,音圧レベルで水中の方が26 dB 大きくなる。更に,空気中の音速は,約15℃/340 m/sに対し,水中は約4.4 倍速い。陸上と洋上では,基本的な要因が異なっている。洋上風力関係には,海中音,水中音,水中音響,水中騒音等の用語が,使用されている。が,ここでは,水中音を用いることとする。

(1)国内の実施状況: 環境省1) では,「洋上風力発電所に係る環境影響評価の基本的な考え方に関する検討会」において,本発電所(着床式/浮体式)を「沖合と沿岸」に区分し,工事の実施(建設機械の稼働)及び土地又は工作物の存在及び供用(施設の稼働)では,水中音の影響を勘案して選定することになっている。

1)発生源データは,陸上風車の音響パワーレベルとほとんど同様であるが,洋上風車の出力は,年々大きくかつ大型化してきている。

2)伝搬予測手法は,国際的には数多く発表されているが,国内では,陸上風車で利用している「NEDO の式」や「ISO2631-2 : 1996」が代表的であり,超過減衰の要因に差異がある。また,ソフトウエアとして「サウンドプラン」が活用されている。が,水中音の伝搬予測モデル2)が利用されているかどうかは定かでない。

3)水中音の環境影響評価は,海域に生息する動物,海域に生息する植物が対象となっている。その環境要因は,建設機械の稼働,地形改変および施設の稼働などがあげられる。特に,基礎における杭工事から発生する水中音が海洋哺乳類,魚類3),等々に影響があるとされている。水中音が,魚類に対してどの程度の音圧レベルであれば,影響反応を示すかを反応段階で評価している4)。

(2)海外の実施状況: ウインドヨーロッパ2017によれば,洋上風力の総出力は15.8GW に達し,この1 年間で25% 増加したと報告されている。特に,英国,ドイツ,デンマーク,オランダ,ベルギーが貢献している。オランダでは,2015年に新法として「洋上風力エネルギー法」が施行され,環境影響評価,住民参加と必要であればEIA の補正が行われるとされている。

1)1基当たりの音響パワーレベルは,大型化・大出力になってきているが,110 dB前後の風車が一般的である。例として,総出力108MW(3MW×36 基から9MW×12基)のウインドファームが離岸距離10∼18 km,水深15∼18mに設置されている1)。

2)伝搬予測手法には,「ISO2631-2 : 1996」,スウェーデン方式,オランダ方式,CONCAWE方式,NORD2000 方式,ハーモノイズP2P 方式,偏微分方程式による基本方式(CNPE,GFPE,FFP)が提案されている。水中音の要因が含まれているのは,オランダ方式である。その他は含まれていないので,独立的に資料5),6)を利用しているようである。また,これらの予測式を包含したソフトウエアとして,キャドナA,サウンドプラン,ウインドプロ,エックスサウンド2000,SPL2000等6),7)が紹介されている。

3)建設段階の杭工事や建設用船舶の往来による水中音が,海洋哺乳類(イルカ,アザラシ等),魚類の逃避や繁殖サイトへの影響があるとされているが限定的といわれている8)。また,ブレードの回転による空力音の水面入射の屈折や反射による水中音は風車の最高高さ2倍程度で,ほとんど伝搬減衰し,その影響範囲外であれば,海洋生物等には影響が及ばないとしている8)。

参考資料

1)環境省: 洋上風力発電所等に係る環境影響評価の基本的な考え方に関する検討会報告書(平成27 年3 月,
平成28 年3月).
2 )X. Lurton : An introduction to underwater acoustics─Principles and application/2. underwater acoustic
wave propagation (Spriger, 2010).
3 )赤坂友成: 小特集─音響に関する国際規格審議の動向─ TC43/ SC3(水中音響)の規格審議の進展につい
て,日本音響学会誌,vol. 74,no. 1,pp. 44-49(2018).
4 )畠山良己他: 水中音の魚類に及ぼす影響,水産研究叢書47((社)日本水産資源保護協会,1997).
5 )L. Mylonas, B. Uzunoglu : Assessment of noise prediction models for long-range sound propagation of wind
turbines over water, Uppsala University (2014).
6 )J. Doran, et al. : Sound propagation modelling for offshore wind farms, Ministry of the Environment and
Climate Change (2016).
7 )塩田正純:(公社)日本騒音制御工学会低周波音分科会 第100回記念「洋上風力発電所から発生する騒音の伝
搬予測に関する国際比較」(平成30 年7月23日).
8 )片山洋一: ヨーロッパの洋上風力ファームにおける海
生生物への環境影響評価事例の紹介(1),(2),海生研ニュース,no. 120,pp. 5-6(2013.10),no. 121,pp.
6-7(2014.1).

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騒音規制法の特定工場で,特定施設を増設する場合に,届出において騒音の予測計算を行い,規制基準の遵守状況を確認します。そのときに,予測評価するのは新たに増設する施設だけか,それとも全ての施設について行うのでしょうか。(Vol.31 No.1)
                               (騒音担当 行政職員)

(千葉市 松島 貢)

騒音規制法の工場事業場の仕組み

騒音規制法の工場・事業場に対する規制は,指定地域内において,工場・事業場が騒音規制法に定められた騒音発生施設(以下,特定施設)を設置すると都道府県知事が定めた規制基準の遵守義務が生じます。その工場・事業場を特定工場等といいます。

特定工場等は敷地境界において,規制基準を遵守しなければなりません。この際に,規制基準は特定施設から発生する騒音だけでなく,特定工場等から発生する全ての騒音が対象となります。

さて,ご質問の主旨を,特定工場等が新たに特定施設を増設する場合,新たに増設する施設だけを対象にして評価するのか,それとも増設施設を含めた特定工場等から発生する全ての騒音を対象にして評価するのか,と理解しまして回答いたします。

騒音規制法による特定工場等の規制の仕組みを踏まえますと,特定工場等に新たに特定施設を増設する場合には,工場から発生している現状の騒音に,増設する施設の騒音を加えて評価しなければなりません。

ちなみに,現状の騒音とは,実測値,若しくは直近の届出以降騒音の発生状況に変化がなければ,その届出時の評価値のどちらを用いてもかまいません。

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工場騒音を評価する時の評価時間を教えてください。ある特定工場の操業時間は8:00~17:00なのですが,騒音レベルが大きく苦情が生じるのは,この時間内のある30分間だけです。この場合,工場騒音を評価するための測定時間は,問題となる騒音が発生している時間だけを対象とすればよいのか,それとも操業時間全体を対象とすればよいのか教えてください。(Vol.31 No.2)
                               (騒音担当 行政職員)

(千葉市 松島 貢)

騒音規制法において,工場・事業場に関する規制は「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」(以下,特定工場等の基準)に定められています。

この中の備考に,時間帯区分等とあわせて,騒音の測定方法が示されています。しかし,騒音の大きさの決定方法については詳しく示されていますが,その他の事項については日本工業規格Z 8731によるものと示されています。

しかし,この日本工業規格にも明確な測定時間は示されていません。ということは,騒音規制法における特定工場等の評価手法において,明確に実測時間がさだめられておりません。

そこで,一般的に行なわれている実測時間と測定対象の考え方を説明させていただきます。今回のご質問は,苦情対応のための測定と判断して回答いたします。

工場騒音はご質問の内容のとおり,うるさい時とそうでない時があります。苦情対応による工場騒音の測定は,生活環境の保全が目的ですから,問題となっている騒音に着目して測定・評価を行い,その状態の改善を目的にしなければなりません。仮に,問題となっている以外の騒音も評価に含めた場合には,問題となる騒音の適切な評価ができず,問題解決に至らない可能性があります。そのような訳ですから,工場騒音の測定対象は問題となる騒音に絞り,実測時間はその騒音の状況を的確に把握できる時間となります。

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道路交通騒音対策効果を計算する際、高架裏面の吸音率等はどのように決めればよいのでしょうか。(Vol.27 No.3)
                               (建設コンサルタント)

(ゼット音響 北川 保)

特にこうしなければならない、というものはありません。ただ、参考にする吸音率の値としては平成7年の旧建設省告示第1860号における開発目標があります。これは「種々の道路箇所等において、新技術を応用した吸音板を設置することにより、反射音が沿道騒音に与える影響を大きく低減できる効果を有する」ことを開発目標に平均斜入射吸音率を評価項目として設定されています。

以下、道路箇所と平均斜入射吸音率の評価基準を列挙します。

高架道路の裏面 0.90以上
掘割壁面 0.85以上
トンネル内壁面 0.70以上
沿道建物の外壁面 0.75以上
橋脚 0.70以上
植栽枡の外壁面 0.70以上

技術目標の評価項目には平均斜入射吸音率の他、強度、安全性、重量、景観性、設置作業の容易性、維持管理の容易性があります。

なお、騒音対策等に具体的な製品があればその製品の吸音率データを用いる方が精度が高くなることはいうまでもありません。

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動特性の説明で、過去に対する平均化とはどういうことでしょうか。
                             (環境測定会社 技術者)

(リオン㈱ 若林友晴、音環境計測 多田雅昭)

騒音計や振動レベル計では変動する信号の実効値を表すために信号の二乗波形に対し指数的な重み付けをした平均(指数平均)値が得られるようになっています。この重み付けは動特性として規定され、その時定数によって応答が異なります。

指数平均値の時間応答を図1に示します。

信号が変動して大きくなった時、指数平均値は初期の値からその信号が連続して発生した場合の値へと上昇しながら近づいていきます(立ち上がり区間)。またこの動作は信号が小さくなった場合も同様で、指数平均値はそこまでの値を基点として徐々に減衰していきます(立ち下がり区間)。実効値の平均化動作ではこのようにして常に少し前の信号の影響を受けながら現在の信号の大きさに近づいて行きます。なおこの平均は指数平均であるため過去の重みは古いほど指数的に小さくなります。

ここで平均化の応答速度は時定数によって決定され、時定数が小さいほど実効値は俊敏な応答になります。例えば騒音計の早い動特性(F)の時定数は0.125秒であり、遅い動特性(S)の時定数は1秒ですが、実際の立ち上がりでは信号が発生してから実効値が定常信号レベルの1dB下に到達する時間はFで0.2秒であり、Sでは1.6秒になります。また立ち下がりでは10dB減衰する時間がFでは0.28秒、Sでは2.3秒になります。

なお、動特性の時定数をτとした時の時刻tにおける騒音レベルLA(t)は次式で表されます。

ここで、

τ 動特性の時定数(s)
ξ -∞の時刻から観測時刻tまでの積分変数
pA( ξ ) 時刻ξにおける瞬時A特性音圧
p0 基準音圧

これを利用して、プログラムを作る場合には、図2のアルゴリズムを利用されるとよいでしょう。

Mの初期値は0でなくてもかまいません。初期値に任意の値を与えればその値から真値に近づきます。

また、レベル値時系列データはそれほど細かく取る必要はないので、iを何回かインクリメントする

ごとにjを1つインクリメントすればよいと思います。

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周波数分析の結果,ある中心周波数で1/3オクターブとオクターブの結果の差異がバンド幅の違いによるのは理解できますが,それらとFFT分析結果で得たその周波数での音圧とはどのように比較すれば良いのですか。
                                   (自治体職員)

((株)小野測器 今泉八郎)

騒音振動関係の周波数分析の一般的手法は1/1,1/3などのオクターブ分析とFFT分析があります。主な違いは、分析バンド幅にて前者が定比型であるのに対して、後者が定幅型であることです。すなわち中心周波数列が、前者が等比級数で、後者が等差級数です。

オクターブフィルタの中心周波数とバンド幅などのフィルタ特性は、IEC規格(IEC61260)やJIS規格(JIS C 1513)で規定されますので、規格を参照して下さい。それに対して、FFTアナライザのバンド幅は、定幅分析なので、解析周波数レンジをFmax、分解能ライン数をLとすると、バンド幅=Fmax/Lとなります。例えば10kHzレンジで800ライン分解能だとすると、12.5Hzとなります。(厳密にはウィンドウ関数の影響でこれより大きめになります。)

ここで、注意するべきは、このようにFFT分析のバンド幅は一般的にオクターブ分析のそれと比較して非常に小さい(狭帯域分析とも呼ばれるゆえんです)ので、中心周波数のラインだけの分析と勘違いされそうですが、FFT分析といえどもある有限幅で分析していることです。

誤解を恐れずに言えば、FFT分析も、バンド幅が比較して小さい、中心周波数によらず幅が一定という違いを除けば、オクターブ分析とそれほど違いはありません。例えば、1kHzの顕著な離散音(1kHzのラインスペクトルの周りにランダムな信号成分のパワーが小さい場合)を分析すると、1/3オクターブ分析もFFT分析もほぼ同じような結果になります。実際の騒音はランダム成分が多いので、バンド幅に比例して音圧レベルは変わります。

ファンの羽根の枚数に依存した離散的な音の分析などには、FFTアナライザがよく利用され、全体の騒音レベルの評価にはオクターブ分析が利用されます。

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LAeqの取り扱いについて、今まで蓄積されたL50のデータを利用できないのでしょうか。
                                      (匿名)

(静岡県環境衛生科学研究所 竹下昭二)

L50は統計量としては中央値と呼ばれるもので、騒音を連続的に測定した時ある値を超える時間の割合とその値以下となる時間の割合がちょうど同じ(それぞれ50%)となる値のことをいいます。

一方、LAeqは等価騒音レベルと呼ばれていますが、その意味は騒音のエネルギー平均値をデシベルで表したものです。具体的には、騒音を連続的に測定した時、測定を行った時間について騒音となっている音のエネルギーの総和を求め、その総和を測定時間で割った平均エネルギーをデシベル表示で書き直したものをいいます。

このように、両者は全く異なる評価方法であるためL50のデータをLAeqに換算することは一般にはできません。したがって、今までに蓄積されたL50のデータを使って新しい環境基準に対する適合状況を判断するなどといった、基準値に関係するデリケートなことはできないと言えます。

しかしあまりデリケートでない場合については、今までに蓄積されたL50のデータの利用は可能と思われます。この場合はL50のデータのを近似的な換算によってLAeqのデータに置き換えます。換算の方法は、①L50に一定の値を加算(減算)する、②統計的方法により処理する、③単純な仮定に基づく近似計算を行う、などが考えられます。ここでは③についてのひとつの例を紹介します。

騒音レベルが正規分布(標準偏差:σ)している場合、

LAeq=L50+σ2/20log(e)、と書けますが1)、ここから次のバリエーションが得られます。

LAeq=L50+(L5-L95)2/94.0

LAeq=L50+(L5-L50)2/23.5

LAeq=(L5+L95)/2+(L5-L95)2/94.0

これらは正規分布から多少ずれている場合でも比較的良く成り立つことが知られています。しかしあくまで近似計算ですので誤差の大きい場合もあり注意が必要です。これらについては文献を参照して下さい。

参考文献

  • 1)曽根、仁村:音学講論集(1977)
  • 2)高木:環境技術、8(1979)
  • 3)中野:騒音と振動
  • 4)竹下他:騒制講論集(1987)、同(1999)

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騒音や振動レベルのフィールド測定中に,定格の温湿度測定可能条件から少し外れてしまった場合,どのような対策をとればよいのか,また,補正などが可能なのでしょうか。
                                      (匿名)

(リオン(株) 若林 友晴)

JISで規定されている騒音計および振動レベル計の使用温湿度範囲は-10℃~50℃、90%以下となっており、温度による器差の変化が0.5dB以上ある場合には補正値を取扱説明書に記載することになっています。しかし補正が必要な性能では測定者の利便性に問題が生じるため、現実にこの範囲で補正の必要な騒音計・振動レベル計は実在していないと思います。

騒音計・振動レベル計の製品仕様に記載される温湿度範囲は前記したJISの規定と同一になっている製品が一般的ですが、その範囲よりも広く規定されている製品もありえます。問題は御質問にあるように製品仕様で規定される温湿度範囲外でのことですが、残念ながらメーカーでは性能保証することが出来ませんし補正値も用意されていません。その理由は次によります。

一般には温湿度試験を出荷される製品の全数について実施することはその必然性が低く、コストアップにも繋がるため行われていません。温湿度試験は製品の開発段階や、計量法の型式承認試験で実施されています。そしてその後は製品の量産時に抜き取り試験で実施されます。メーカー側ではそれらの試験データや設計上の理論的な判断によって製造された全数についての性能保証ができる範囲を決めています。そこで個々の製品で捉えた場合にはある程度の余裕度が含まれる場合もあるため、規定した温湿度範囲を大きく外れない範囲では正常に動作することもありえます。しかし、その環境での試験を行っての判断がないためメーカーとしてはあくまで性能保証ができないのです。

製品仕様より広い使用環境での性能保証を必要とする場合にはメーカーに依頼することにより、ある範囲内であればその環境での性能試験を実施することで対応出来る場合もありますが、別途に費用が発生してしまいます。メーカーではなく使用者の自己責任において性能を確認する場合には、その環境で音響校正器や振動レベル校正器を利用することなどにより動作確認するのも一つの方法ですが、その場合には動作確認が測定器の持つさまざまな機能の一部に限定されている点に注意することが必要です。

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