日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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航空機騒音のうち,エンジンテストなど地上から発生する騒音の低減方法,測定評価上の課題について教えてください。(Vol.42No.4)
Vol.42 No.4

(アイ・エヌ・シー・エンジニアリング 井上保雄)

航空機騒音に係る環境基準の改正(平成2541日 施行)により,航空機騒音の評価量がWECPNLからエネルギー積分を行うLdenに変わりました。また,これまで対象にしていた飛行騒音に地上音も含めた航空機関連騒音について総合的に評価することになりました。飛行騒音については空港毎に離発着時間の制限や騒音軽減の運行方式(飛行ルートや高度など)などについて検討,実施され,一定の効果を上げてきました。また,旅客機はその型式証明においてICAO1)の騒音基準に基づく騒音レベル以下であることが求められ,2017年以降(小型機は2020年)の新しい機体に要求される新基準Chapter143点の合計値がChapter3よりも,それぞれ10dB減,17dB減)に対応し着実に低騒音化が進んでいます。

 一方,地上騒音についても,CO2削減などとも相まって取組が進められています。

主な航空機関連の地上騒音は下記の通りです。

・着陸直後のリバース騒音(旧環境基準でも考慮)

・地上走行(タクシーイング)騒音

・補助動力装置(APU2)の稼働騒音

・エンジン試運転時(エンジンテスト)の騒音

・その他の騒音(車輌等の騒音は含みません)

以下に主な地上騒音である航空機あるいはエンジン試運転時の騒音低減施設について説明します。

1. 施設に要求される性能

性質上,音響性能は基より,施設内でエンジンが正常に運転できる空力性能など細かい設計上の配慮が必要になります。

1.1 音響性能

・試運転時に発生する騒音が所定の位置で所定の騒音レベルを満たす。

1.2 空力性能

・エンジン前方で所定の気流条件を満たす。

1.3 その他の配慮事項

・機体あるいはエンジンに音響疲労等の影響を及ぼ

さない。

・空力的Recirculation(エンジン排気ガスを再び

吸込むこと)がない。

・グランドボルテックス等の渦がエンジンに吸い込

まれない。

・排気ガス温度が構成材料の許容温度以下になる。

FODForeign Object Damage)を発生しない。

・室内負圧が所定圧力に納まる。

・構造的に十分な強度を有する等。

2. 騒音低減施設の種類

2.1 航空機地上試運転騒音低減施設

航空機の点検,整備の一環としてジェットエンジンを機体に装着した状態 で試運転する時の騒音低減施設です。これは下記の種類に大別できます。

(1) フェンス(防音壁)型

機体の廻りを防音壁で囲うもの

(2)ダクト&フェンス型

ジェットエンジンの排気音低減のため,排気口に吸音ダクトを設置,エンジンとダクト間から漏れる音を低減するため防音壁を併用するもの

(3)セミハンガ型

機体の後方(ジェットエンジン排気側)のみを防音建屋に入れるもの

(4)ハンガ(ハッシュハウス)型

機体全体を防音建屋に入れるもの

このような施設が無い空港では,エプロン等で試運転が行われることもあります。

2.2 ジェットエンジン運転用騒音低減施設

オーバーホールの後,エンジン単体で性能確認運転する時の騒音低減施設です。通常,エンジンテストセルともいわれます。

 なお,戦闘機用エンジンの場合,高温の排気ジェットを冷却するため,空冷型と水冷型に分けられます。

 地上音の測定・評価上の課題として,タクシーイングを除き准定常騒音とみなされ,時間区分をまたがる,単発騒音等との重畳など評価量に及ぼす影響の処理に手間が掛かる,場合によっては音源の特定が難しい点などが挙げられます。

注釈1) ICAO : 国際民間航空機関

注釈2) APU : 小型ガスタービン補助動力装置

【参考文献】

1) 環境省 航空機騒音測定・評価マニュアル 平成2411

2) 航空機・ジェットエンジン試運転用騒音低減施設 IHI技報

   Vol.50 No.4 (2010)

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MRI 騒音対策にはどのようなものがありますか。(Vol.40 No.1)
Vol.40 No.1

(関西大学 梶川嘉延)

MRIは任意の方向の人体の断面画像を撮像可能なため, 医療分野においては欠くことのできない医療機器の一つとなっている。 しかしながら,MRIは撮像のために静磁場中に配置された傾斜磁場コイルに電流の緩急を与えることにより, それに伴うローレンツ力により傾斜磁場コイルが振動し, 高い音圧レベルを有する騒音が発生する。 その音圧レベルは最大で100dBを超えることもあるため, その深刻な騒音暴露に対する対策の必要性も指摘されている。そのため,現状ではMRI検査の際には,耳栓やイヤープロテクタ, 撮像部位によってはヘッドホンの装着が必須となる。

MRI騒音に対する対策は, 受動騒音制御(パッシブノイズコントール) による対策, 撮像シーケンスのコントールによる対策,能動騒音制御(アクティブノイズコントロール), に大きく分類される。パッシブノイズコントロールによる対策の代表例は,耳栓やイヤープロテクタの利用である。この場合, 高い周波数成分の騒音低減には効果的であるが, 原理上低い周波数成分の騒音を低減するのは困難である。 また, 耳栓やイヤープロテクタの装着は耳への圧迫感を与えるとともに,必要な音まで遮ってしまうという問題がある。特に肉声による対話を著しく妨げることは医療現場においては大きな問題点となる。さらに,心理的不安を少なからず与えることも事実である。

他にも, 傾斜磁場コイルを真空中に設置するとともに, 傾斜磁場の振動を免震する構造を取り入れたMRI装置も開発されている。この対策により騒音低減を実現できるが, 設置済みのMRI装置は世界中には多数あるため, コストを考えるとすべてをその装置に置き換えることは現実的ではない。

次に, 撮像シーケンスを制御することで騒音が発生しにくいもしくは騒音が大きくならないようにする試みもなされており, 最大で20dB程度の音圧レベルの低減を達成したという報告もある。 しかしながら, この方法の大きな欠点は撮像方向や解像度などに大きな制限を与えるということである。

最後に,MRI騒音の低減のためにアクティブノイズコントロール(ANC)を利用することも検討されている。 ANCは重ね合わせの原理に基づいた騒音制御法である。 すなわち, 制御対象となる騒音に対して同振幅で逆位相の擬似騒音をスピーカから放射し,騒音と干渉させることでその騒音を低減する。ANCによるMRI騒音の低減の試みは多くなされており, 30dB以上の騒音低減効果が実現されたという報告もあるが, シミュレーションや実験室による模擬実験による成果にのみ留まっているケースが多い。また, ヘッドホンにANCを導入した事例が多いが, ヘッドホンの利用は肉声による対話を阻害するとともに,耳への圧迫感などのため長時間の利用は困難である。 しかしながら, ANCは低い周波数成分の低減に効果的であることから, よりMRI 装置に適したANCシステムの検討が近年なされている。その一例としては, スピーカとマイクロホンを耳介近傍に設置したヘッドマウント型ANCシステムがあり, 500∼2,500Hzの帯域における周期性成分を約30dB低減することに成功している。また, 耳を塞がない構成のため肉声による対話も可能であり, 耳への圧迫感も軽減されている。 別のアプローチとしては,枕にANCシステムを導入することで, より自然な形で騒音低減を享受できるシステムについても近年検討されている。

以上のように,MRI騒音のための対策にはさまざまなものがあるが, まだまだ解決すべき課題が残されているものの, アクティブノイズコントロールによる対策が今後は主流になっていくのではないかと考えられる。

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「破砕機(建築廃材、廃アスファルトの中間処理施設)を設置する場合に有効な騒音対策を教えていただきたい。特に、法律によって建屋が建てられない場合。」
                                      (匿名)

(平野防音株式会社 平野康夫)

破砕機(クラッシャー、ジョークラッシャー)の騒音対策は非常に困難なものの一つである。防音対策に苦慮する主な要因は下記事項のためである。

  1. クラッシャー自体及び付帯設備の騒音レベルが非常に大きい。(音源近傍で90~110dB位)
  2. 開放型作業場であり法令等の制約により、屋根の架設が出来ないケースもある。
  3. 作業場が広大であり対策範囲も広く工事費用が膨大となる。
  4. 防音対策と共に粉塵対策にも配慮する必要がある。

対策の実際面では次の様なことに配慮して計画されるのが好ましい。

  1. 破砕機自体の防音対策
    1. 屋根が架設出来る場合屋根材料、外壁材料共、外側遮音材、内側吸音材の構成にすること。外壁内側はハネ石等の衝撃等に強い吸音材(例えば、防音ブロックサウンドガード、セラミック系又は剛体多孔質ポアセル等)を選定すること。
    2. 屋根が架設出来ない場合(建築基準法等の規制により)屋根のない場合高い外壁が必要となる。近隣への影響は、透過音と回折音があるので回折音の影響を無視しないこと。破砕機自体を地下に入れるか又は半地下形式にするものも一方法である。 外壁材料は①と同じ。
  2. 破砕機以外の付帯設備の防音対策
    1. ブロワの防音対策ブロワ本体を防音ボックスに収容し、排気音についてはダクトに消音器(サイレンサー)を装着する。
    2. 投入口(ホッパー)の防音対策コンクリート片等投入時の騒音対策としてホッパーの内部にゴム板等を貼付けると防音効果があるがすぐ摩耗破損するのでホッパーの外部に塗布型制振材(例えば、セメダインHCO25等)の塗付でもかなりの減音効果が期待できる。
    3. 建設重機(ショベルカー、ダンプカー等)の防音対策構内道路作業場所等の高低差をできるだけなくし、登り坂によるエンジン音の増大を防止する。その他の対策方法としては敷地境界に防音塀を建設することが上げられる。

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