日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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建設作業の振動対策については、騒音に比べて対策法が少ない。具体的な対策事例があれば 例示して欲しい。(Vol.37 No.3)
                              (東京都環境科学研究所)

(東京都環境科学研究所 門屋真希子)

近年コンクリート系建築物の老朽化,耐震強度の問題等の理由により解体及び再建築が増加傾向にあります。このため振動規制法に基づく特定建設作業届出のうち,ブレーカを使用する作業の届出件数は増加しており,また苦情件数も増加傾向にあります。しかし建設作業振動の低減対策は多くはなく,定量的に○dB 低減を図れるといった対策はありません。地方自治体,事業者それぞれの振動を少なくする対策の検討,住民への情報提供など,いくつかの対策を組み合わせて周辺住民に理解を得る方法が最も有効と思われます。

1 地方自治体における対策

特定建設作業に該当する場合や条例で規制を受ける作業の場合には,事前に届出申請がありますので,申請時に作業内容,作業時間及び周辺状況等を確認し,振動防止の方法等を審査し,適切でない時は事業者に更なる対策の進言や助言を行います。工事期間中には申請内容の確認,測定の実施により,発生状況の確認と規制基準値の遵守を図ります。コンクリート系建築物の解体は数カ月に及ぶ場合もあることから,苦情対応には複数日の測定調査によって苦情者,事業者双方の理解も得られるでしょう。

また法・条例にも該当しない建設作業に対する苦情が寄せられた場合には,公害紛争処理法に基づき,状況調査を行い振動防止や低減のための助言等により改善を図る必要があります。できれば測定を行い,特定建設作業の基準を準用し,それと比較しながら調整することも一つの方法です。

さらに自治体の中には,良好な近隣関係の保持と生活環境の保全などを目的として,中高層建築物の建築事業者(発注者,設計者,施工者等)に,周辺住民への計画の事前公開を義務づける条例を施行しており,公害苦情の未然防止に貢献しています(表−1)。またこの条例では,紛争についてのあっせん及び調停その他必要な事項も定めており,紛争の解決を図っています。

2 事業者における対策

建設作業の設計段階から,周辺状況などの現地調査を行い,振動低減に向けた対策を検討する事が重要です。それには低振動工法の採用,低振動型建設機械の使用,振動を発生する機械を住居からできるだけ離す等配置の検討などが挙げられます。その他,建設機械オペレータへの教育も欠かせません。

表−1 建築工事の事前公表と紛争に係る条例施行事例

自治体名 条例,要綱の名称 施行期日等
新宿区 新宿区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と
調整に関する条例
昭和 53年9月 29日条例第 30号
墨田区 墨田区中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び
調整に関する条例
昭和 53年9月30日条例第 30号
千代田区 千代田区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と
調整に関する条例
昭和 53年 12月 1日条例第22号
港区 港区中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と
調整に関する条例
昭和 54年3月 17日条例第15号
港区建築物の解体工事等の事前周知等に関する要綱 平成20年6月1日施行
姫路市 姫路市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び
調整に関する条例
平成 3年 12月 20日条例第 33号
横浜市 横浜市中高層建築物等の建築及び開発事業に係る
住環境の保全等に関する条例
平成 5年6月 25日条例第 35号
浜松市 浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び
調整に関する条例
平成14年 12月 17日浜松市条例第102号

路盤を重機で持ち上げて破壊したり,鉄筋を無理に引っ張るなどの行為は振動を多く発生させます。伝搬対策として鋼矢板などを用いた連続地中壁の設置も低減方法の一つです。さらに住民に対しては,事前に工事内容,工程の情報提供を行い,作業についての理解を得る努力が重要です。

作業期間中は適宜情報提供と巡回点検により状況把握に努めます。大きな振動を発生する時間帯について住民と日程の調整,作業時間の短縮(工事日程は長期化する)も検討する必要があります。

苦情が寄せられた場合には,苦情者の意見を率直に受け止めて改善策を検討し,苦情者の意見を聞きながら実施する事が求められます。

3 新たな解体技術

地上 100 m 超の超高層建築物の解体建て替えが最近進んでおります。これらの建築物の周辺にはそれと同じかそれ以上の超高層建築物が並んでいるため,特に周辺環境への配慮が求められます。

一般的な解体は,最上階に重機を持ち上げて最上階から解体しますが,下層階から解体する工法(鹿島カットアンドダウン工法)や既存の最上階躯体を利用して閉鎖空間で上層階から解体を進める工法(テコレップシステム)などが開発され導入されています。これらの工法は低騒音技術ですが,今後振動の低減技術へとつながることを期待しております。

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