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公益社団法人 日本騒音制御工学会

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振動対策する際,振動インテンシティを計測することで振動エネルギーの流れに基づいた対策が可能となるでしょうか。振動インテンシティの計測方法および計測の際の注意点も合せて教えてください。(Vol.41 No.3)
Vol.41 No.3

(神奈川大学 山崎徹)

まずは一様はりの曲げ振動を例に回答したいと思います.

振動インテンシティ(Structural Intensity,機械学会ではVibration Intensityと訳すようである)の実用的な計測方法は,音響インテンシティのクロススペクトル法と同様に,二つの検出器を用いた2点法です.これは遠距離場を仮定した計測法で,振動インテンシティスペクトル(周波数域)の算出式と検出器配置は以下となります.計測法のポイントは,曲げ変位スペクトル(周波数域)ζの空間微分∂ζ/∂xは直接測定することは難しいため有限差分近似で(ζ1-ζ2)/δ求めることです.

計測の際に留意することは,応力測定のための有限差分近似誤差となる二つの検出器の間隔(以降,検出器間隔)と検出器とケーブルおよび測定器を含む検出特性(検出器特性)です.検出器特性はゲイン特性と位相特性で,特に使用する二つの検出器特性が一致していることが理想ですが,一般的にゲイン特性はほぼ等しい場合が多いものの位相特性の両者の違いは一般的に大きく,そのような場合には二つの検出器特性の違いを事前に測定し補正する必要があります.位相特性の違いが0.2度程度以下であればそのまま使用してもよいでしょう.また,検出器間隔は有限差分間隔でその近似誤差に影響します.差分間隔は小さいほど近似精度は高くなり,対象振動の波長が短いほどに間隔は小さくする必要があります.しかし,間隔を小さくすると検出器特性によるわずかな誤差に敏感で誤差は拡大されます.そのため,実用的な検出器間隔(差分間隔)は,対象振動の波長の1/10程度が望まれます.

なお,一様平板の曲げ振動のインテンシティ計測にもいくつかの方法が提案されていますが,平板の直交二軸方向をそれぞれ2点法で測定する方法(4点法)が実用的と言えます.

また,上述では一様はりおよび一様平板について示しましたが,一様でない構造物の振動インテンシティの測定について回答者の知る範囲では試みも知りません.そもそもインテンシティは振動速度と動的応力の積で表され,振動速度の直接測定は容易ですが,応力の測定は困難なためです.しかし,一様はりや一様平板であれば,応力は変位の空間微分で記述できますので,複数点で変位(速度,加速度)を測定すればその空間微分を有限差分近似で応力を求めることができ,上述のように振動インテンシティが測定できるわけです.またFEMであれば応力も算出できるのでインテンシティの算出に対象物の制約はありません.以上の詳細につきましては,文献(1)や(2)をご参照ください.

さらに,振動インテンシティが測定もしくはFEMなどで算出できれば,振動エネルギーの流れに基づいた対策ができるという点について,そんなに簡単ではないと回答者は考えており,現在も研究を進めております.音響インテンシティと同様に,インテンシティが分かれば放射パワーや透過損失などの評価,分析に有効でありますが,インテンシティからどのように具体的な対象物の対策および設計の案を抽出し,どのように対策および設計を施せばよいか,明らかにはなっていないと思います.回答者は最近の研究成果(3)(4)などで,ようやくインテンシティを用いた構造設計の可能性が見えてきました.これらの成果について今後ご期待ください.

【参考文献】

(1) 大野進一,山崎徹共著,機械音響工学 第8章,森北出版,2010.11

(2) 山崎徹ほか,角速度計を用いたはりの振動インテンシティ計測,日本機械学会論文集Vol.83, No.845,DOI:10.1299/transjsme.16-00245,2017-1

(3) 山崎徹ほか,モードと波動の両視点による機械構造物の振動低減設計,自動車技術会論文集,47巻6号,pp.1373-1379,2016-11

(4) 山崎徹ほか,線結合された平板構造物の振動エネルギーとその流れの関係に基づく振動低減,自動車技術会論文集,47巻1号,pp.159-164,2016-1

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騒音制御工学会では道路振動予測式を提案されたと聞きましたがどのような予測式なのでしょうか。また、この式をアセスメントの際に利用することは可能でしょうか。その他、式を利用する場合に注意する事柄があればご教授下さい。(Vol.30 No.3)

この道路交通振動の予測式は,環境振動に係る国際的な動向を加味した「物理的なモデル」に基づいて,新たに道路交通振動予測計算方法を提案し,会員のみならず関係する方々に提供するものです。道路交通振動予測計算方法(INCE/J RTV-MODEL 2003)として,騒音制御誌上に発表されています1)。

従来より,広く利用されている道路交通振動の予測式2)は,行政面での道路交通振動の評価値である,振動レベルの80%レンジの上端値LV10を直接予測する式であり,データの蓄積による統計的かつ経験的な側面が強いものです。一方,提案した新しい予測式では,道路交通振動の予測量として等価振動レベルLVeqを定義しています。また同時に,LVeqからLV10への変換式を提案し,行政面での評価値への対応を図っています。

予測式の構築にあたっては,地盤・路面条件等を考慮し実測データを基にして,基準点の振動加速度レベルを設定,Bornitzの振動伝搬式を用いて伝搬計算を簡略化し,各離散点振動源と予測地点間の振動伝搬計算から振動加速度レベルのユニットパターンを求めます。次いで,車線,車種別に求めた等価振動加速度レベルLVaeqを合成して車線ごとのLVaeqを求め,最後に全車線分を合成して地盤による補正を加味して等価振動レベルLVeqを求めています。また,補正値(+3dB)によりLV10を推定しています。

本予測式をアセスメントに利用することは可能ですが,アセスメント(環境影響評価法)では,一定規模以上の事業は,調査・予測及び評価をすることを法律で義務付けられており,学術的な根拠に基づいた方法で予測計算をすること,また,予測の不確実性の程度その理由等を明らかにすることが求められています。標準予測手法として広く利用されている建設省土木研究所の提案式は,その効果に関する知見の蓄積が十分であると判断されていますが,本予測式は新しい予測手法であるため,その効果に関する知見の蓄積はこれからである分,事後調査などが必要となるケースも考えられます。

本予測式は平坦道路を対象としていること,LV10の計算値が実測値より多少小さな値となっていることから,計算値に不確定要因による補正値として2dBを加えることを推奨していることに留意して利用して下さい。


図.1一台の自動車と予測地点の位置関係

参考文献

  • 1)道路交通振動予測式作成分科会:研究部会報告 道路交通振動予測計算方法(INCE/J RTV-MODEL 2003),騒音制御,28巻3号,pp.207~216(2004).
  • 2)(財)道路環境研究所:道路環境影響評価の技術手法,第2巻,293~317(2000)

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圧縮機は振動規制法の規制対象となっていますが、空調や冷蔵・冷凍用に用いられる圧縮機は規制対象施設に該当しないのでしょうか。また、どのようなものが該当しますか。(Vol.29 No.5)
                              (空調機器メーカー社員)

(千葉市環境保全部 松島 貢)

低振動規制法で対象施設に定めてある圧縮機は、気体の圧力を上げる機械であり、各種機械の原動力として使用されるものを対象としており、冷凍機に用いられる圧縮機は規制対象外となっております。

冷凍機に用いられる圧縮機は、機械の原動力として用いられているのではなく、冷却に利用する冷媒を圧縮させる用途に用いられています。空調機や冷蔵庫に用いられる圧縮機も冷凍機と同様の用途に用いられていますので規制対象外と判断しています。

しかし、近年、コンビニエンスストアーやスーパーマーケットの冷蔵・冷凍庫や、事務所ビルの空調機に関する振動の苦情が発生しているために、市町村が条例で冷蔵・冷凍及び空調に用いられている圧縮機から発生する振動を規制している場合があります。

千葉市におきましては環境保全条例で、冷凍・冷蔵及び空調に用いられる圧縮機を、冷凍機という名称で規制しています。

どのようなものが振動規制法に該当するかとのご質問は、圧縮機は各種機械の動力、気体の圧送、及びボンベや天然ガス自動車用のガス充填などに用いられている圧縮機が該当します。言換えると、冷凍機以外の圧縮機は該当することになります。

ちなみに、本市での最近の事例ですが、産業廃棄物中間処理施設に設置された、紙、プラスッチク及び金属等を圧縮する金属加工機械に分類されるプレス機が圧縮機という名称をつけられているものがあります。このため届出の際に、プレスで届出なければならないところを、圧縮機で届出ようとした事例がありましたので注意が必要だと思います。

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