日本騒音制御工学会は、騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り, 生活環境の保全と向上に寄与いたします

公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

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直下に居室があるような厨房の床は、浮き床が必要であると聞きましたが、耐水性を考慮してスタイロフォームを緩衝材として用いたいのですが性能はどうでしょうか?(Vol.27 No.5)
                                  (工務店 社員)

((株)大林組技術研究所)

厨房の床は水仕舞の関係から硬い仕上げとなりますので、固体音対策が不十分な場合には、厨房での作業音は直下の室で50dBA以上となります。特に、グリストラップや側溝のグレーチング上を作業者が歩行する時に発生する衝撃音は60dBAに達し、発生頻度も高いので、厨房の直下に居室がある場合は浮き床などの固体音対策は不可欠です。

浮き床の緩衝材としてスタイロフォームを用いられるとのことですが、スタイロフォームでは十分な対策であるとは言えません。スタイロフォームは、厚さ50mmで動ばね定数は4×107N/m3、損失係数は0.5程度です。一方、グラスウール96kg/m3の厚さ50mmの動ばね定数は4×106N/m3、損失係数は0.25程度ですので、スタイロフォームの動ばね定数はグラスウールの10倍、損失係数は2倍に相当します。そのため、スタイロフォームを緩衝材として用いた浮き床は、グラスウールを用いた浮き床よりも固体音遮断性能が約10dB劣ります。厨房の床衝撃音対策としては、スタイロフォームよりもグラスウールを用いた浮き床を推奨致します。

なお、浮き床はわずかでも躯体と接触した部分(サウンドブリッジ)があると固体音の遮断性能は低下します。浮き床を施工する際には、サウンドブリッジができないように、特に立ち上がり部分などは十分な施工管理が必要だと思います。その他の留意点としては、以下の事項が挙げられます。緩衝材は、JIS A 6321、 JIS A 6322に規定するロックウール(100~150kg/m3)またはグラスウール(96kg/m3)で厚さ25mm以上のものを用います。これらの材料は濡れると性能が発揮できませんので、JIS K 6781に規定するポリエチレンフィルム1種厚さ0.1mm以上で防水処理します。フィルムの継ぎ目は10cm以上重ねて、テープなどで目貼りをします。コンクリート打設の際には、ポリエチレンフィルムを踏み破らないようにし、また局部的な荷重をかけてグラスウールに損傷を与えないように注意して打設します。

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道路の音がうるさいので、窓を替えようと思っています。ガラスが2枚ある複層ガラスにしようと思いますが、遮音性能は今の2倍になるでしょうか?(Vol.27 No.6)
                                 (マンション住人)

複層ガラスは、断熱ガラスとして広く用いられるようになってきています。複層ガラスは対流による断熱性能の低下を防ぐため、空気層(ガラス間隔)は通常6~12mmとなっています。そのため、ガラスの質量と空気のばねによる共鳴透過現象が中低音域に生じ、共鳴透過周波数帯域での遮音性能は、2枚のガラスの面密度を合計して、単板の音響透過損失質量則から計算した遮音性能よりも大きく性能は低下します。したがって、道路交通騒音のように低い周波数成分の多い音源に対しては、複層ガラスの遮音性能は2倍にはなりませんし、かえって逆効果となることもあります。

複層ガラスでも厚いガラス構成、特に異なる厚さのガラスで構成されたものは、比較的高い遮音性能が得られます。ただし、重くかつ見込み厚さが厚くなるため、普通のサッシでは対応できなくなりますので、サッシの交換を伴う工事が必要になると思います。

道路交通騒音を十分に遮音するためには、別々のサッシを現場で二重に構成する二重窓とされることが良いと思います。二重サッシは、十分なサッシ間隔(150mm程度以上)が確保できると、2枚のサッシの遮音性能の合計に近い性能が得られます。また、2枚のサッシは両方とも防音サッシとする必要はなく、片側は既存の普通サッシでも高い遮音性能が得られます。さらに、施工面や使い勝手の制約がなければ、二重サッシ間の周壁を吸音構造としたりひだを多くしたカーテンなどによる吸音処理をされると遮音性能は向上します。

なお、既製品で工場出荷時に二重に構成されているものを二重サッシと言い、上記の二重窓とは区別しています。

((株)大林組技術研究所)

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室間音圧レベル差及び重量・軽量床衝撃音レベルで問題となる周波数は実際のところ,主に何Hzですか。
                          (ゴム・樹脂部品の製造業 社員)

(三井建設(株)技術研究所 赤尾伸一)

問題となる、という意味は、居住者などからのクレームになる、あるいは竣 工時確認測定において設計時点に設定した所定の性能が出ないということでしょ うか。室間音圧レベル差のD値や床衝撃音レベルのL値はクレームとの対応が 良いとされているので、ここでは後者の観点から問題となる周波数について述 べたいと思います。
室間音圧レベル差の測定では、通常125Hzから4KHzまでを測定することになっ ています。建物の主体構造や内装材料などの違い、また、建物用途などの違い により一概に言うことは出来ませんが、問題となる周波数はすべての周波数と いっても良いと思います。たとえばGL工法では250Hz、4KHzで落ち込み性能が 低下してしまいます。また、プラスターボードなどの軽量中空二重壁では 125Hzで性能か決定される製品が多いようです。さらに乾式の間仕切壁では床・ 梁との取り合い部のシール不良により1KHzや2KHzで遮音低下が起きることがあ ります。特に鉄骨構造の建物では、柱、梁に耐火被覆が施されること により間仕切壁との取り合いが複雑になり落ち込む周波数もケースバイケース となるようです。

重量床衝撃音レベルについては建物の主体構造で決まることが多く、ほとん どの場合63Hzが決定周波数となります。ただし、二重床や、天井の影響で 125Hzで決まることもあります。

軽量衝撃音レベルは仕上げ材で決まり、性能が良いものは125Hz、250Hzで決 まることが多く、性能が悪くなると250Hz、500Hzとなるようです。

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近年、戸建住宅でアスファルト系の遮音ボードが 使われていますが、どれを用いても、床衝撃音の125、250Hzあたりの ピークが下がらず、L値が高くなる傾向が多いようです。 どうすれば下がるのでしょうか。また、木造や軽量鉄骨 造といった構造別の床衝撃音対策の注意点も教えて下さい。
                                  (製造業 社員)

(戸田建設(株)技術研究所 渡邉秀夫)

125Hz~250Hzの発生音は、根太間(300~450mm)のボードの 共振と考えられます。これを低減させるには、 共振周波数の高域へのシフトとダンピング効果の増大が必要で、 具体的には根太間隔の狭小化や表面ボードに下地合板を 付加して曲げ剛性の増加を図ることなどがあげられます。
次に、木造、軽量鉄骨住宅の重量床衝撃音遮断性能向上の基本的な 考え方を述べます。

木造・鉄骨造では、建物自体の質量や剛性が小さいため、 床衝撃により、床以外にも建物全体が振動しますので、 床衝撃音の低減には床のほかに、 下室の天井および壁にも対策を行うことが必要不可欠です。

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現在一般に用いられているアルミサッシ、シャッター、ドアの透過損失について、防音型のそれらの透過損失はメーカ資料にもよく見られますが、一般的なものは見当たりません。いい資料はないでしょうか。
                               (建材メーカー 社員)

(戸田建設(株)技術研究所 渡邉 秀夫)

ご質問の「一般的なもの」を「普通型の透過損失」と解釈して以下お答えします。

音響関係の専門書、ハンドブックなどを改めて調べてみますと、アルミサッシ、シャッター、ドアの透過損失のうち、アルミサッシのデータは、掲載されているのが多くみられますが、ドアはかなり少なく、シャッターは極くわずかなようです。その中で、比較的新しいデータが盛り込まれているのは、「騒音・振動対策ハンドブック:日本音響材料協会編」と「建物の騒音防止設計:日本建築学会編」ですが、その他に普通型の最近の透過損失データが纏まって掲載されている資料はないようです。

透過損失データを必要とする場合は、遮音材料の透過損失の概略傾向を把握する場合とかなり厳密な遮音計算を行う場合の二通りに分けられると考えられますが、その目的によって求めるデータが異なってくると思います。

前者の場合は、音響関係の専門書やハンドブック類のデータで問題ないと思います。しかし、後者の場合は、透過損失はサッシメーカやサッシの種類、型などによって異なってきますので、それらを特定して、そのサッシ固有の透過損失データを使って遮音計算を行うのが普通ですので、メーカやサッシの仕様が明確でない透過損失データを使用して計算しても不十分になる場合がでてきます。したがって、厳密な遮音計算を行う場合は、メーカのカタロクを調べるか直接メーカから透過損失を入手するのが原則となります。なお、普通型サッシの透過損失データがメーカのカタログに掲載されていない場合でも、社内データとして保有している場合がありますので、問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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室間音圧レベル差、重量・軽量床衝撃音測定などで、 音源側と受音側の広さによって吸音力等も変化すると思いますが、 どの程度の比率で受音側の音圧レベルがどう変化するのか 目安といったものはありますか。
                               (石膏製造会社 社員)

安藤啓(鹿島建設技研)0424-89-7123

室内音圧レベル差や重量・軽量床衝撃音レベルの測定方法は、日本ではJIS (日本工業規格)に制定されており、それぞれJIS-A-1417“建築物の現場にお ける音圧レベル差の測定方法”とJIS-A-1418“建築物の現場における床衝撃音 レベルの測定方法”であります。

この測定方法の基本はあくまでも建築物の空間の音響性能を得ようとする観 点から制定されており、受音室における音圧レベルの絶対値を重点に評価する 立場をとっています。更にこの規格は受音室の広さや吸音力がどの程度でなけ ればならないという規定ではなく、一般的な室の使用状態を想定している程度 です。そのため受音室が広かったり、内部の吸音力が大きい場合には、当然そ の影響を直接受けることになります。この影響度合いは吸音力の比の常用対数 の10倍で評価されます。すなわち、吸音力が2倍になれば3dBの差になりま す。一般的な室の使用状態といっても、カーペットやソファーの状態、家具の 配置、また人の存在によって室の吸音力は2倍程度の変化はあるものと考えら れます。

国際的にはISO(International Standard)140シリーズの規格があります。 “Acoustics-Measurement of sound insulation in building and of building element-Part 4:Field measurements of airborne sound insulation between rooms”と“Acoustics-Measurement of sound insulation in building and of building element-Part 7:Field measurements of impact sound insulation of floors”がそれです。

この規格の基本は建築物の部位性能を評価する方針であるため、受音室の吸 音力や残響時間を基に基準化して評価値を得る手法をとっています。吸音力は 10m3 、残響時間では0.5秒がその基準値となっているため、受音室の広さや吸 音力の影響の少ない指標といえます。

最近になって前述のJISは改訂されることになりました。これはGATT(関税 と貿易に関する一般協定)を1995年に改組したWTO(世界貿易機構)における 非関税障壁撤廃の要求に対応する施策の一つとしてJISの国際整合化が進めら れるようになったためです。ただし、建築の分野においては、各国における建 築構造や生活様式の違いなどに関連して、建築法規なども独自の形で規定され ていることが多いため一概に整合が取りにくい面があるのは当然と考えられま す。

建築音響分野のJISについても、特に空気音及び床衝撃音遮音性能の測定・ 評価方法については、対応するISO規格との間に多くの不整合があり、国際整 合化は容易ではないことが想定されました。これらのJISに関しては、その主 管が建設大臣となっているため、この規格改訂に関しては、建設省から(社) 日本音響学会に委託が行われ学会内に委員会を設置して改訂作業が行われまし た。その結果、本年3月に規格原案が答申されました。

今回答申のJISは基本的にはISOを踏襲し、それから大きくはずれる点に関し ては、付属書などで対応をとる方針としています。更に、重量衝撃源遮断性能 の測定法はISOにはないため、現行のJISをPart1は軽量、Part2は重量というよ うに2分割して作成されていることが特徴です。

現在ではこのJISがどのようなスケジュールで制定公布されるかは明確では ありません。公布されるようになれば、各方面からニュースが入ってくるよう になると思いますので、皆様もそれに注意しておいて下さい。

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室間音圧レベル差の測定に63Hz が含まれていないのはどのような理由なのでしょうか。
                              (スレート製造業 社員)

(三井建設技研 安岡博人)

室間音圧レベル差は住宅の居室やホテルの客室など事務所、宴会場などと比 較して小さい室で多く測定されています。室間音圧レベル差測定は室における 音がある程度以上拡散した状態で測るのを前提にしていますので、小さい室で は波長と室容量、形状によっては拡散音場が形成できなくなります。

実用的な周波数としては、63Hz帯域も欲しいところで、実際に測定しても何 らかの値はでてきます。

これが、他の周波数帯域同様な測定精度と意味を持つかどうかが理由の一つ です。スピーカで音場を作る場合、1個用いる時や2個以上用いる時、また無 指向性型を用いる時などで音圧分布は変り、それらの偏差も変ってきます。受 音点のマイクロホンの位置による音圧の分布状態も周波数が低くなるとバラツ キは大きくなり、測定点間で10dB以上の差が生じてきます。あまり大きな差が 生じると、空間平均の意味が薄れ、特定場所間の色合いが強くなってきます。 現行の各受音点間の差が10dB以内を基本と考えると63Hz帯域は満足しない確率 は高くなり、31.5Hzはなおさらでしょう。

現在JISの国際整合化が行われていますが、この中で“低周波数域の測定が 必要な場合には、オクターブバンド測定による場合は中心周波数63Hzの帯域、 1/3オクターブバンド測定による場合は中心周波数50Hz、63Hz、及び80Hzの帯 域について測定を追加する”という備考が案として盛り込まれています。バラ ツキや定在波などを考慮すれば、実用的に必要な63Hz帯域を測定しても良いと いう方向が付け加えられる予定です。実際の測定時には、測定上の工夫や、注 意事項を解説として作成して、条件をそろえるようにして、測定結果の信頼性 を上げる必要があるでしょう。 ホールや体育館と隣室のような場合は、特定 場所間音圧レベル差として考えれば、問題点は少ないのではないかと考えられ ます。いずれにせよ測定上の目的がはっきりしていれば、開発などに応用して ゆくことについては、発展的に考えたほうが良いと思います。

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地下鉄と地下のホールとが隣接するような場合、 山止壁の騒音・振動効果について分かる範囲で教えて下さい。
                             (建築設計監理会社 社員)

(大成建設技研 平松友孝)

地下鉄に近接した建物では、列車走行時に発生した振動が地下鉄構築、地盤 を介して建物に入り込み、建物躯体を伝搬して居室の内装から放射する固体伝 搬音が影響を与えることがよく知られています。この低減方法として、軌道の 防振、居室内装への浮き構造の適用等が多く用いられていますが、近年図1に 示すような山止壁(地中連壁)と建物地下壁との間に防振材を挿入して地盤か ら建物に伝搬する振動を低減する方法(以降防振地下壁と記す)も散見される ようになりました。防振地下壁の防振効果は、本来防振地下壁を採用しない場 合に対して採用した場合に低減できる振動(固体伝搬音)の量(挿入損失)と して求めるべきでありますが、同じ建物でそのような量を測定によって得るこ とは現実的にはできないと言って良いと思います。これに対して、防振材を介 した地中連壁と防振地下壁との振動の差(伝達損失)は、実際の建物でも測定 可能です。

また、建物の最下部より下では図1に示すように防振地下壁が構成できず、地下鉄振動は建物の最下部から主に伝搬するので、防振地下壁の防振効果には 限度があります。

擬似的な挿入損失としては、地中連壁施工時と防振地下壁施工後の地下鉄固 体伝搬音の差を測定した事例がありますが、地下鉄固体伝搬音の卓越周波数の 63Hz帯域では40dB程度の低減効果が認められています。また、伝達損失として は、5~8dBという測定事例があります。

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