公益社団法人 日本騒音制御工学会

用語解説

Eyringの残響式、Eyringの残響時間

完全な拡散音場が仮定される室内の残響時間について、C.F.Eyringが提案した式がEyringの残響式である。またその式によって求められる残響時間をEyringの残響時間という。 Eyringの残響時間T(s)は、以下の式であらわされる。

ただし、V:室の容積(m3)、S:室の表面積(㎡)、α:平均吸音率(-)、 また、K=24/(c・log10e)(cは音速、eは自然対数の底)である。 残響式にはほかにSabineの残響式があるが、 これはα=1のとき残響時間が0(s)にならないという欠点があった。 Eyringの残響式はこの欠点を修正したものである。

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位相 phase

周期現象で、ひとつの繰り返し上の位置を示す量。 通常は角度(rad)であらわされる。この場合、特に位相角ということもある。

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位相差 phase difference

同じ周期の二つの現象において,独立変数が同一の値をとるときの位相の差。 一つの周期現象で,独立変数の二つの値に対する位相の差をいうこともある。 通常は角度(rad)で表示する。一周期分の位相差は2π(rad)である。

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一過性域値変動 Temporary threshold shift

TTSという略がよく使われている。音響負荷によって生じた最小可聴値の上昇のうち,原因となる音響を取り去った後時間とともに減少する部分をいう。
特に強大音響負荷後の一過性域値上昇をNITTS(Noise induced temporary threshold shift)という。

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インピーダンス impedance

複素インピーダンスともいう。線形系の正弦的な励振(入力)と応答(出力)との比。励振,応答ともに複素量として表わした複素数比である。一般にインピーダンスZ を

ZRjX

と表わしたとき,実数部R を抵抗,虚数部X をリアクタンスという。元来は電気系の二端子回路(一端子対回路one terminal-pair circuit)について入力電圧と入力電流との複素数比である。(電気)インピーダンスの逆数を(電気)アドミタンスadmittanceという。

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うなり beats

振動数がわずか異なった同じ種類の二つの正弦量を加えたときに起こる振幅が周期的に変化する現象。
1秒間に起こる変動の数は元の正弦量の振動数の差(絶対値)に等しい(うなり振動数,うなり周波数 beat frequency(B0153)という)。

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角振動数,角周波数,円振動数 angular frequency,circular frequency

振動数の2π倍,単位:rad/s 音響学では円振動数は使わない。

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円柱波 cylindrical wave

波面が同軸の円柱面である波をいう。

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鉛直振動

振動レベル

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エネルギー束 Energy flux

ある面を単位時間に通過する音響エネルギー、 もしくはある面に垂直な方向の退席速度と恩厚瞬時値の同相成分の積の時間平均値。 単位はワット(W)。
例えば、出力 W (W)の点音源を囲む閉曲面でのエネルギー束は W (W)である。

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EPNL(Eftective Perceived Level)

航空機騒音証明は1969年ICAO(民間航空連盟)において制定 されたが,その測定方法として,PNLを基本とした尺度EPNLが 定められた。航空機の飛翔に伴う時間的に変化する騒音の音圧を録 音にとり,0.5秒毎に1/3オクターブ分析を行って,そのスペク トルからPNLを算出するとともに,特異音補正量を計算する。こ の結果特異音補正を行ったPNL これをPNLTという の時間変 化が求められる。EPNLはPNLTをエネルギー的に積分し,次の式から計算される。

T=10秒, Δ:継続時間補正

Tを10秒にするのは,高度約1,000mのときΔ=0となり EPNL≒PNLTmaxとなるからである。(離陸時の騒音証明測定点に おける測定値がほぼ,Δ=0となる)近似的に積分範囲はPNLTmax から10 dB小さくなった範囲とすることもある。また0.5秒おきに計算するので,

とし,音圧からPNLへの変換及び特異音補正も含めて,計算機処理を行うのが普通である。

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S波 S wave

地震波の実体波のうちの横波(変形の波)をいう。 伝搬速度は、P波(縦波)より遅く、表面波であるレイリー波よりわずかに速い。

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SIL(0.5,1,2,4)

会誌3巻3号の用語解説でPSILとSILの解説をしたが,ANSI3.14-1977に おいてもSILを中心周波数500,1000,2000,及び4000 Hzのオクターブバンドの 音圧レベル(0dB=20μPa)の算術平均と定義し, その略号をSIL(0.5,1,2,4)とすることが述べられている。 他の中心周波数のバンド音圧レベルをとったときには,例えばSIL(1,2,4)の ように表わす。もちろん従来のSIL,PSILにも言及しており, それらに関する多くの文献が引用されている。
また,記号としてLSILも使用されていて, 一般の多くの騒音の場合には,そのA特性による騒音レベルLAとは,

LALSIL+8(dB)

になるという。

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SI単位

国際単位系の中の基本単位,補助単位及び組立単位の総称である。
基本単位は次に示す7個のもので,以下便宜上,量,単位名称, 同記号の順に示すと,

長さ:メートル m ; 質量:キログラム kg ; 時間:秒 s ;
電流:アンペア A ; 熱力学的温度:ケルビン K ; 物質量:モル mol ; 光度:カンデラ cd 。

補助単位は次の2個で,

平面角:ラジアン rad ; 立体角:ステラジアン sr。

組立単位は基本単位及び補助単位を乗法・除法の数学記号を使って組合わせることで表わされる単位で,例えば,面積:平方メートル ㎡ ; 体積: 立方メートル m3 ; 速さ:メートル毎秒 m/s ; 加速度: メートル毎秒毎秒 m/s2のようなものである。

組立単位のうち次の18個の量の単位には固有の名称と単位記号が与えられていて,それ自身として使用のほか他の組立単位を構成するのにも使用されている。

周波数:ヘルツ Hz(1Hz=1s-1) ;力: ニュートン N(1N=1kg・m/s2) ; 圧力:パスカル Pa(1Pa=1N/㎡) ;エネルギー,仕事,熱量:ジュール J(1J=1N・m) ; 仕事率,工率,動力,電力:ワット W(1W=1J/s) ; 電荷,電気量: クーロン C(1C=1A・s) ; 電位,電位差,電圧,超電力: ボルト V(1V=1J/C) ; セルシウス温度:セルシウス度または度 ℃,以下略。

単位記号は原則として小文字の直立体(手書きのときも)であるが, 人名に由来する名称の場合は,基本単位のアンペア A,ケルビン K を含めて, 大文字の直立体(ただし Hz,Paなどのように2文字のときには第1文字のみが大文字で,第2文字は小文字の直立体)を使用する。単位記号にはピリオドは付けない。
単位の10の整数乗倍に対する接頭語は10-3から 103までは10倍ごと,それ以外は103ごと あるいは10-3ごとに,大きい方では1018(エクサ:記号E) 小さい方では10-18(アト:a)まである。
これらを使うとき,数が0.1と1000の間に入るように選ぶが,一連の文章の中では この限りでなく同一の接頭語によるのが一般にはよい。
なお,JIS Z 8203は1978年に改訂された。

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SN比(えすえぬひ) signal-to-noise ratio

S/Nとも書く。信号の量と雑音の量との比。必要ならば信号 の量と雑音の量とに適当な定義を付ける。例として,信号の実効値 と雑音の実効値との比,信号のピーク値と雑音のピーク値との比, 信号のピーク値と雑音の実効値との比などが挙げられる。この値は伝送系の帯域幅に関係する。 (注)SN比とS/Nとを混同してS/N比と書いてある書物を よく見かけるがこれは誤りである。

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応答 response

入力に対応する系の出力。入力の変化に応じて出力が変化する有様。なお,変換器のレスポンスは出力と入力との比で表わされる。周波数応答(周波数レスポンス)は応答の周波数特性である。

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応力 stress

物体はその中の任意の点を通る任意の平面を考えると,その平 面の両側の部分は互いに力を及ぼし合っている。単位面積当りの その力をその平面についての応力という。これは平面の取り方に よって変わるから,平面の法線方向の単位ベクトルをnとすれば その平面の応力Tn)はnの関数である。Tn)とnとは同 じ方向になるとは限らない。応力のn方向の成分を垂直応力 normal stress,平面に平行な成分をせん断応力(接線応力,ず れ応力)shear stressという。垂直応力は面の両側の部分が互 いに引張り合うような向き(正の向きのとき張力tension,押し 合うような向き(負の向き)のとき圧力pressureという。静止し た流体の応力は圧力で、しかも平面方向に関係しない。これを静圧static pressureという。

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大きい音源

放射インピーダンス

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オクターブ octave
  1. 2:1の音程
  2. ある音の二倍の振動数の音
  3. 一オクターブの音程にある二音とそれらの間に含まれる音を合わせたもの。オクターブの周期数帯域の音。
  4. 2 1 のとき,log2 2 1)はf 1f 2との音程あるいはその周波数帯域幅をオクターブを単位として表わしたものになる。例えば,f2=21/31なら1/3オクターブ。

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オクターブ分析,1/3オクターブ分析,走査型分析

定比周波帯域形分析器で騒音や振動の測定に広く使われるのは, オクターブバンド,1/3オクターブバンドの固定フィルターを切替えて使う方式と,定比周波的に狭い周波数の単峯形特性で,連続的に走査して分析する分析機器がある。 オクターブバンドはもちろん帯域幅が1オクターブ分すなわち 高低遮断周波数比1:2のもので,例えば355~710 Hzのバンドのものは両遮断数の幾何平均値( の時f1, f2の幾何平均)である500 Hzのバンドと呼んでいる。1/3オクターブは1オクターブ内を更に3分(1.00;1.26;1.59の比)する分析器である。 オクターブや1/3オクターブではそのバンド内でエネルギーがどんなに分布しているかはわからない。その中に例えば強い純 音成分があるか否かは単峯型の走査式分析器では捕えることができる。 オクターブや1/3オクターブの分析結果はバンド音圧レベルで示す。白色雑音を分析するとオクターブでは次々高周波のバンドで3dB,1/3オクターブで1dB,バンドレベルが上昇し,ピンク雑音では次々のバンドに差は出ない。 オクターブ分析を1/1オクターブとも呼ぶ。

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オージオグラム

聴力損失あるいは聞こえのレベルを図または表によって表現したもので,図は横軸に周波数をとり,縦軸には聴力損失(聞こえ のレベル)を下向きに数値が増すようにとる。なお横軸のオクターブの間隔と縦軸の20 dBの間隔とが等しくなるようにする。オージオグラムに使用する記号,記入法は各国共通のものが使用されている。

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オージオメータの基準の0dB

オージオメータは聴力を測る装置(JIS Z8107音響用語機器) である。純音をつかってある耳の最小可聴値を基準の最小可聴値 とのレベル差で表わすのであるが,基準の最小可聴値は正常な耳についての値として定められたもので基準の0dBともいう。
さてこの0dBに当る音圧は最小可聴音圧に相当するものであるが,オージオメータの信頼性を保持しやすいために,イヤホンを 規定のカップラあるいは人工耳に結合したときのカップラまたは人工耳内の音圧で定められていて,等価最小可聴音圧ともいわれる。我が国で現在使用されているオージオメータの0dBの値は JIS T1201(オージオメータ)で1956年に定められた。これは米 国のASA Z24・5-1951年に準じるものであるが,ISO R389- 1964(後にISO 389-1975となった)がこれと異なった値を定め,米国もS3・6-1969にそれを採用した。JISの0dBはISO の0dBに比して周波数によって異なるがほぼ10 dBレベルが高い。したがってJISのオージオメータで測定した値はISO基準の オージオメータによる値より小さくなる。

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音のエネルギー sound energy

媒質のある領域について,音波が存在するために増したエネル ギー,力学的振動のエネルギーである。

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音のエネルギー密度 sound energy density

音場内の一つの点をかこむ微小部分にある音のエネルギーをそ の部分の体積で割ったもの。瞬時値,最高値,平均値等が考えられる。平均値は時間平均とその位置的平均(ある瞬間についての) がある。記号 wwaE,単位J/m3

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音の大きさ Loudness

音の聴覚上の性質の一つで,音をそれによって小さいものから 大きいものへと連続的に配列することができる。音の大きさは主として音圧に関係するが,周波数や波形にも関係する。音の大き さの単位をソーン(sone)といい,その倍の音の大きさをソーンとする。N1ソーンの大きさの音とN2ソーンの大きさの音が 同時にあったときの大きさはマスキングの影響がないものとすると(N1N2)ソーンになる。 複合音や連続スペクトルの雑音では,その音の占める周波数帯域幅が(音の大きさの)臨界帯域と呼ばれる帯域の幅になるまで は,周波数がその音の周波数帯域の中心周波数と同じで,音圧レベルがその音と等しい純音の大きさと同じであるが,音の分布の幅が臨界帯域以上になると音圧レベルは同じでも大きく感じられるようになる。

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音の大きさのレベル Loudness Level

正常な聞こえを持つ人が,ある音の大きさを,音圧レベルLS dBの1kHzの純音の自由進行波を音源に正対して聞いた大きさと同 じであると判断したときに,その音の大きさを表わす数値として LSをとって大きさのレベルLSホン(phon)であるという。
このホン(JIS Z 8202)という単位は計量法でいう騒音レベル の単位とは異なる。したがってフォンとかphonと書く人もいる。 1ソーンの音の大きさは,大きさのレベル40ホンの音の大きさであると定義される。大きさのレベルLSホンの音の大きさをNソーンとすると,

または,

この関係は20ホンから120ホンの間で成立つするものとされ, これから音の大きさが2倍になると大きさのレベルの数値が10 増加することになる。定義によって1kHzの音の大きさのレベル の数値は,その音圧レベルの数値と同じであるが,それ以外の周 波数の純音について等しい大きさに聞こえる音の音圧レベルを周 波数の関数として示す曲線を音の大きさの等感曲線(loudness contour)という。その代表的なものには,最小可聴音場のところで引用した ISO R226-1961の曲線やフレッチャー・マンソンの曲線などがある。
連続スペクトルの定常雑音の大きさや大きさのレベルは,その音のオクターブ帯域または1/3オクターブ帯域の音圧レベルから算出する方法がISO 532-1975などに与えられている。ただこのようにして算出されたおとの大きさや大きさのレベルは,聴取によって得られる値とは必ずしも一致しないから,何による値であるか明示する必要がある。

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音のスペクトル,音響スペクトル sound spectrum

音の成分の音圧,強さなどを振動数(周波数)の関係として示したもの(JIS Z 8106)。

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音の強さ,音圧とその単位 PaとN/㎡

ある点の音の強さ(intensity)は,その点を通って音波の進む 方向に垂直な単位面積を,単位時間に通過する音波のエネルギー 量で表わす。単位は〔W/㎡〕である。 媒質の密度をρ〔kg/m3〕,音の速度をc〔m/s〕とすると, 音の強さI 〔W/㎡〕とその点の音圧(sound pressure)の実効 値P 〔Pa〕との間には次式の関係がある。ρcは固有音響抵抗と 呼ばれる量である。

IP 2ρc (1)

音の強さ sound intensity

音場の一点において,音の伝搬方向に垂直な単位面積と単位時 間に流れる音のエネルギー。記号I ,J ,単位W/㎡。 ある任意の方向にある単位面積を単位時間に流れる音のエネル ギーをその方向の音の強さということもある。伝搬方向の音の強 さをJ とし,それとθの角をなす方向の音の強さJは

自由進行の平面音波や球面音波では,ある点の音の強さ(伝搬方向の)J とその点の音圧の実効値e f fは,

ただし,ρは媒質の密度kg/m3,c は音の伝搬速度m/s

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音の強さのレベル sound intensity levelと音圧レベル dB

音の強さI W と基準の音の強さ10-12 W=1pW(空気中の場合)との工率レベル差

単位dB。普通ある音(空気中)の音圧レベルLP の数値とその音の強さのレベルLI の数値とは等しいとされる。

2つのパワー(エネルギー)P1P2の差を表わすのに,次式のLを用い,単位はデシベル〔dB〕とし,これをレベル(level) 差という。dBのdはデシ(1/10)の意味で小文字を用いる。

L=10log10 P2P1〔dB〕

以前使われていたFletcherの聴感曲線で,1000〔Hz〕付近の 最小可聴値が約10-12〔W/㎡〕であったので,これを可聴音の強さの基準値に採ることにした。この基準値に対する音圧を求めてみると,(1)式において常温の空気でρ=1.2~1.3〔kg/m3〕,c=330~340〔m/s〕を用いて約2×10-5〔Pa〕が得られる。 強さI 〔W/㎡〕,音圧P 〔Pa〕の音について,次のLI を音の強さのレベル(sound intensity level),LP を音圧レベル(sound pressure level)と呼ぶ。同じ音では同じ数字である。

LI =10log10 I/10-12〔dB〕

LP =10log10P/2×10-52

=20 log10 P/2×10-5〔dB〕

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音圧 sound pressure

媒質の一点(x ,y ,z)において,音によって生じた圧力の交 流的変化分。時刻 におけるその場所の圧力t ,x ,y ,z) と静圧pSとの差。

at ,x ,y ,z)=t ,x ,y ,z)-Sx ,y ,z

これをその点の瞬時音圧instantaneous sound pressureまたは 音圧の瞬時値ともいう。
普通,音圧といえばat)の実効値,

を指すことが多い。ここにT は周期,周期がないときはT を少し 変えてもeffが変わらない時間をとる。記号としてはaも特 に断ることなしに実効値として使用される。
なお,以下に述べる用語を含めて,粒子変位,粒子速度等につ いても音圧の場合と同様なことがいえる。

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音圧感度 pressure sensitivity

マイクロホンの電気出力と入射音に感じる部分に実際に働いて いる音圧との比。電気出力は一般に起電力(出力端子を解放した ときの電圧)をとる。単位はV/Pa。
音圧感度レベルは,音圧感度の常用対数の20倍。単位はdB。
0dB=1V/Pa。

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音圧の最大値 maximum sound pressure,音圧の波高値 crest value

周期がある場合,その間での瞬時音圧の絶対値の最大値をいう。
正弦音波では音圧の振幅 amplitudeといい,

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音圧レベル sound pressure level

音圧の実効値paeff Paと基準の音圧(実効値)2×10-5 Pa=20
μPa(空気中の場合)との振幅レベル差

単位はdB。

音の強さのレベルと音圧レベル

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音圧レベル差

音源の存在する室の平均音圧レベルをL1,受音室のそれをL2 としたとき,両者の差D dBを音圧レベル差(level difference)と いう。両室の隔壁の透過損失をR,面積をS(㎡)受音室の吸音力 をA(㎡)とすれば,前号解説した(3)式はDを使って次式と なる。

RD+10 log10SA

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音響インピーダンス acoustic impedance

音場において波面に平行な有限な面を考え,その面における音圧をその面を通過する体積速度で割った複素数比(JIS Z 8106)。記号 Z a,単位Pa・s/㎥(ISO 31-7)。

音場内の一点の音圧p (Pa)と,その点の粒子速度ξ(m/s) に垂直な微小面積S (㎡)を貫く体積速度(すなわちフラックス) ξS (㎡)との比

を音場のその点の音響インピーダンスといい,複号は交番時間因数 に従い,|ZA|をインピーダンスの大きさ,φ を位相角、RAを音響抵抗,XAを音響リアクタンスという。

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音響(性)外傷 acoustic trauma

強大な音響によって急性に起った聴覚障害をいう。

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音響抵抗 acoustic resistance

音響インピーダンスの実数部。

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音響中心 effective acoustic center(ANSI)

音源から十分離れて,その出力音波が球面波と見なせるとき,
その球面波の中心。

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音響透過係数 sound transmission coefficient

境界壁体に入射する音響エネルギー流(音響パワー)をWi(W), これが壁体を透過して反対側の空間に放射される音響エネルギー流 をW0(W)とすると,この壁体の音響透過係数は,

(数値)

と定義される。これは音圧透過係数や粒子速度の透過係数とは異なるから注意を要する。

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音響特性インピーダンス acoustic characteristic impedance

自由平面進行波音場内の一点における音圧p (Pa)と粒子速度との比

を音響特性インピーダンスと呼び,媒質の音波のないときの密度ρ0 (kg/㎥)と音の伝搬速度c (m/s)との積で表わされる定数となる。常温常圧の空気に対するρ0c はほぼ430 Pa・s/mである。

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音響放射インピーダンス acoustic radiation impedance

音源の音響放射面が一様な速度ξ(m/s)で振動しているとき, この放射音場の音圧によって音源の放射面に加わる力をF (N)と すると,音源の音響放射インピーダンスは,

と定義され,|ZAM|はその大きさ,φは位相角,RAMは音響放射抵抗,XAMは音響放射リアクタンスであり,その単位が機械インピー ダンスの単位であることに注意を要する。
音源の放射面の面積をS(㎡)とすれば,音響放射インピーダン スを比音響インピーダンス比の形で表わすことができ

(数値)

は単位系に無関係に,放射面の形に固有の定数となる。またこの音 源の音響出力は,振動速度を実効値で表わしたとき

となる。
放射面上の速度分布が一様でない場合には,面上速度の平均値を 用いて音響放射インピーダンスを定義することができるが,放射面上に互に逆位相の速度が生ずるような分割振動が発生している場合には,音響放射インピーダンスの概念を適用することが困難となる。

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音響リアクタンス acoustic reactance

音響インピーダンスの虚数部。

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音源の出力 sound power of a source

音響出力ともいう。音源が単位時間に放出する音の全エネルギ ー。記号P ,(Pa),単位W。

音源の出力,パワーレベル,見かけのパワーレベル,振動の出力レベル
地震の場合,その大きさを示すのに震度とマグニチュードが使われる。震度は音圧レベルまたは騒音レベルに相当するもので,例えば震源から遠くなれば一般に震度は小さい。これに対しマグニチュードは地震自体のスケールを示すもので勿論一つの値である。振動出力である。これに相当する量が音響の場合はパワーレベルである。(なお震度もマグニチュードも対数尺度をとっていることは興味がある。)
音源の出力の大きさも大小極めて広範囲であって,我々の身のまわりにある物について考えても,大きいものは小さいものの1012~1015倍もある。当然対数尺度で考えるのがよい。現在用いられているパワーレベルは10-12(W)を基準にして,その何倍あるかをdB尺度で示している。出力1(W)は120 dBであるし,ジェト機がパワーレベル150 dB~160 dBという場合は1kWないし10 kWの音響出力ということである。
さて音源のパワーレベルを問題とする場合大きく二つの場合を考える。一つは例えばその音源をある室内に入れる場合で,この場合は全体のパワーレベルを考えねばならない。総出力が問題だからである。今一つは例えばある大きい屋外固定設備のような場合で,この時は問題になる方向の見かけのパワーレベルを問題にすればよい。被害者のいない方向例えば空中側とか,反対側に大きい出力があっても問題にしないからである。音源の指向性まで含め,被害者の分布も考慮して,問題の範囲に影響を及ぼすパワーレベルを考えればよいのである。見かけのパワーレベルであり,それがこの場合の実効パワーレベルである。
最後に公害振動の場合の振動源出力はどのように考えるか。現在はこの点について明確な定義も測定法も評価法も確立していない。それは公害振動自体が振動源の近くの地表点で,縦波,横波,レーリー波がはっきり分離されて捕えておらず,また地表の状況などが千差万別でその振動の伝搬性状自体が明確にされていないからである。ただ当然いえることは振動源の強いものが遠距離まで強い振動を及ぼすということで,例えば同じ振動の距離減衰からそこに振動源のパワーレベルのようなものを描き出すことは可能であるし,その前提の下に対策などもしているわけである。すべての振動モード,振動スペクトルに共通のパワーレベルの関係式が出来ていないのが現状である。

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音源の出力レベル,音源のパワーレベル sound power level of a source

音源が単位時間(1秒間)に放出する音の全エネルギー(音源 の出力)PWと基準の工率との工率レベル差。空気中の音の場合 には基準の工率として10-12W=1pWをとる。単位はデシベル, 単位記号はdB。量記号はLP またはLW (ISO 31/Ⅶ),ただしISO /TC43ではLW を推薦している。

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音場 sound field

音波が存在する領域。

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自由空間の音場:波面の拡がり,媒質の吸収,指向性,音線のまがりなど

ここに自由空間というのは,屋外または野外というぐらいの意 味で,地面上の半空間も含み,音源から受音点にくる直接波を考 えている。さて音源から出た音波はまず波面の拡がりによるエネ ルギー密度の減少による減衰を受ける。点音源であれば一般に球 面波状に拡がるので,音の強さは距離の2乗に逆比例して減少する。倍距離で6dBの減衰である。線音源であれば円筒波状に拡がるので距離に逆比例し,倍距離で3dBの減衰であり,面音源ではこの意味の距離減衰はないことになる。しかし実際の音源は 線音源でも,面音源でも有限の大きさをもっているため,長さ,広さの影響を受けるもので,線音源,面音源ともその中央付近で測ってもその寸法(線または面の短辺の長さ)の数分の1の範囲しか正しく上の関係にはならない。
線音源,面音源ともその寸法(面の場合,こんどは長辺の長さ)の10倍程度以上になると,音源全体を一つの点音源と見なして 距離減衰を考えてよい。すなわち倍距離で6dBの減衰である。この場合の距離のとり方は正しくは,実際の音源から若干後に下 った所に音源中心を考えるのが正しいが,これを無視しても大きい誤差にはならない。それは仮に距離を11l(lは長さ)の代りに10lとしても,対数尺度でdB値にすると誤差は小さいのである。
次に媒質の吸収による減衰を考える。空気中の音波の吸収減衰については,温度,湿度を変えた場合が詳しく調べられており,ISO にも示されている。最も影響の大きいのは周波数で,高周波ほど 吸収は大きく,数1000 Hzになると100 mごとに数dBないし10 数dBの減衰を受ける。
同じく空気中の吸音減衰を,強さIの音が距離xだけ進行して Iになるとき,IIe-m′x とおいてこの定数m′で表示する 方法もよく使われる。4.34 m′が1mあたり,434 m′が100 m あたりのdBの減衰値である。ある距離以上になると,波面の拡がりによる減衰よりこの吸収による減衰の方が大きくなるもので,特に高周波ではこの影響が大きい。したがって一般に原音に高音 成分の多いもの(航空機や軌道車輌の音など)では,音源から数 100 mのところで高周波が急激に失われ音色が変化する。この場合防音対策は低周波成分に力を入れないと,遠距離に対しては成 功しないことになる。
次に大きさのある音源が多くの場合指向性をもつことは日常経験するところである。この場合音源自体の形や構造上,ある方向へ,ある音を出すという形の指向性と,音源自体の拡がりのため に音波の干渉によって空間にできる指向性がある。また点音源などの群による指向性もある。一般にその音源の近くと音源から離 れた点では指向性は変化するもので,上にのべた線音源,面音源の場合も近くと遠くを指向性の変化と考えてもよい。特に音源の 中心線上だけでなく,その全面にわたって距離を段々離れてみると明らかに近接音場と遠距離指向性にわけざるを得ない。中間地帯には複雑な音場分布ができるもので,これはなかなか一般式で扱いきれないものとなる。ただしいずれの場合も一定距離以上離 れて,上の例で逆2乗則が成り立つ程度まで離れるとこれ以上指 向性の形は変らない。その方向による強弱が保たれて伝搬する。これを一般にはその音源の指向性と呼んでいる。 次に音波の異常減衰として音線のまがりによるものが大きい。気象の影響と呼ばれる空気層内の音線のまがりは,見かけ上ある方向に異常な減衰として現れる。ただし一方では異常に大きい音となって来る方向もあるので,一種の指向性現象に似た性格をもつ。例えば風上には音が行かないこと,その代り風下にはそれだ け多く来るわけである。逆転層の影響などもこの例である。空気 の流れや気温の変化など空中の断層からも音は反響して帰って来る。
今一つの吸音材に沿って行く音波は異状伝搬の原因となる。コンクリート面より芝生,かん木林,森林に沿って音は異常に減衰することが多い。航空機の音も仰角の小さい所では小さく読みとれる。この現象の代表例が吸音ダクトの減音と考えてもよい。

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音程 interval

二つの音の高さあるいは振動数の関係を表わすもので,二つの 音の振動数の比またはその比の対数で表わす。対数の場合その底は別に示される。
振動数の比の対数で表わしたものをANSIやISO 31/Ⅶではfrequency intervalといっている。

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音波 sound wave,弾性波 elastic wave

弾性体内をその力学的性質によってエネルギーが伝わる変動。 通常は,その波の通過は媒質の平衡状態からの一時的変動を起こすだけである。なお音波というと可聴周波数範囲のものを指すことが多い。

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音波の速度とその温度変化

媒質の中を波動が伝わる場合,その速度は波動ができるための復元力の定数できまる。例えば空気中の音波では体積弾性が復元力であるため,音の速度c は体積弾性率をk,密度をρとして である。同様に固体棒ではヤング率をE,密度をρとしてが縦振動の速度であるし,同じ棒でも横振動となると 太さまたは厚さが復元力をきめるため,材料の定数以外に太さま たは厚さが速度の式に入る。
さて空気中の音速で上のkrP0である。ここにr は恒容比熱と恒圧比熱の比であり,P0 は気圧である。すなわちc=である。式中密度ρP0は比例する量である。気 圧が上がれば大気の密度は比例して大きくなる。このため気圧は 音速に影響しない。一方温度の方はρにだけ影響する。温度が上 ると密度が下るのである。正しくは0℃の音速(約331.5 m/s) に対し絶対温度をT としてT/273の割合で変化する。摂氏温度 θがあまり大きくない範囲で次式とおける。

c=331.5+0.61θ(m/s)

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固有音響抵抗,音波の反射,透過

媒質の密度をρ(kg/㎡),音の速度をc (m/s)とする時 ρc をその媒質の固有音響抵抗(specific acoustic resistance) と呼ぶ。specificとしたのは単位面積あたりの抵抗という意味である。抵抗という代りにインピーダンスとも言うが普通実数 であるので抵抗と言う。 さてρc は媒質によって著しく差のある量で,特に気体(例 えば空気)に比べ液体や固体では大きく桁がちがう。MSK系 で数字だけみて,空気で約4×102なのに対し,水ではρ=103, c=1400でρc=1.4×106,コンクリートや金属ではρ=(2.5~8)×103,c=(3~6)×103でρc≧107となる。
このことは気体と液体や固体の境界面でいわめるインピーダンスが桁ちがいに変化していることを示し,例えば空気中の音のエネルギーが水の中へ入ることも甚だ少ないこと,また間仕 切り壁に音があたる場合も殆ど100%が反射して音波の形で入ることは考えなくてよいことを示している。壁の音響透過というのは音波のもつ交流圧すなわち力学的な力によって,壁がゆすぶられ,その振動によって反対側に出る音を考えればよいの である。壁の音響透廻または透過損失がその材料に関係なく質量だけできまるのはこの性質による。

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回折 diffraction

音源から出る音波の音場が妨害物や媒質の不均一,境界面などにより無限に広い媒質中の音場と異なる現象であるが,狭い意味ではさらに妨害物などより数波長の範囲についていう。したがって広い意味では反射,屈折の現象も含まれる。多くの妨害物等からの回折の影響が遠方で組合さったものが散乱scatteringである。 回折の影響はいわゆる幾何学的な影の部分以外のところでも現われているのである。

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解放インピーダンス open-circuit impedance

電気系の二端子対回路で出力端子対を解放(負荷インピーダンス無限大,すなわち電流ゼロ)にしたときの入力端子対の電気インピーダンス。二端子対回路に限らず,他のすべての端子対を解放としたときの入力端子対の電気インピーダンス。

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拡散音 diffuse sound

室のような反射面で囲まれた空間では,任意の場所の音は,音源から直接に到達する音(直接音)と一回以上反射した音を合成した音とに分けて考えられるが,直接音に対してこの1回以上反射した音の合成音を拡散音という。音源が,小さいとして音源の近くでは直接音が優勢で,音圧は音源からの距離に逆比例して小さくなるが,ある程度離れると拡散音の音圧の方が大きくなり,それから先は音圧がほぼ一定になる。この値Prev Pa(実効値)は音源の出力をPwattとすると,

となる。ここにρcは空気の固有音響抵抗,R は室定数で

で与えられる。αは室の平均の吸音率,S は総表面積(㎡)である。

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拡散音場 diffuse sound field

拡散音のつくる音場。この音場のなかでは音圧即ち音のエネルギー密度は一定であり,またどの点でもすべての方向から一様に音波が侵入する状態が成り立っている。

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角振動数,角周波数,円振動数 angular frequency,circular frequency

単位時間あたりの位相角の変化のことをいう。 振動数(周波数)の2π倍で求められる。 通常ω(rad/s)であらわす。

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楽音

複合音

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加振 stimulus

励振

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加速度レベル

振動レベル

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硬さ(かたさ)rigidity

固体の変形しにくさをいう。こわさ,剛性も同じ意味で曲げ剛性,ねじれ剛性などと使われる。

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可聴周波数 audible frequency

普通20 Hzから20 kHz(ISO),あるいは16 Hzから16 kHz(IEC)の範囲の音の周波数をいう。

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過渡現象 transient(BS)

一つの系が定常状態から他の定常状態に移るときに起こる現象。

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ガル gal

CGS単位系の加速度の単位。単位の名称としての英文名称はgalで表されるが、単位記号はGalであって、

1Gal=1cm/s2=0.01m/s2

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カルマン渦音(karman vortex induced tone,karman tone)

静止した物体が気体中にあるとき、その後流れに周期的な渦ができる。この渦の一つが物体から放出されると、物体のまわりに循環が交互に正負の値をとるため、その物体には交互に正負の揚力を生じて振動し、それによって音を発生する。この音をカルマン渦音とよび、その振動数 は単位時間に物体から放出される渦の数に等しく、次式で与えられる。

=

はストラハル数、 は気流の速度m/s, は物体の代表寸法m。 は物体の形状によって異なり、表-1のようになる。円筒の場合にはほぼ0.21である。カルマン渦振動数 が機械要素の固有振動数と一致すると共振する。強風時に送電線から騒音が発生することはよく経験するところであるが、これはカルマン渦音である。カルマン渦音の問題は戦時中の潜水艦のプロペラ鳴音についての鬼頭の研究があり、水車の鳴音対策として応用されている。 また、熱交換器も異常音を発生することが多いが、そのほとんどがカルマン渦音である。ただ、熱交換器の場合は管群であり、そのストラハル数は単一円筒値と異なり、配列などによって渦列の様相が異なり、ストラハル数の予測は難しい。 また、プロペラ後縁、水車ランナ、送風機の静翼後縁などは図-1などを参考にして、カルマン渦音の発生を少なくするようにしている。

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干渉 interference

同一の場所に同時に到着した同一周波数の二つ以上の(音)波が,互いに強めたり弱めたりする現象,したがって空間的に定まった強弱の分布が生じる。

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簡単な音源 simple sound source(ANSI),simple source of sound(BS)

単一音源,モノポール(monopole)ともいう。自由音場において等方性の媒質中ですべての方向に同じように音を放射する音源。

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簡単な音源の強さ strength of a simple source of sound(BS),strength of a simple source(ANSI)

波長に比して小さい簡単な音源が正弦音波を放射しているとき,音源における体積速度の振幅(最大値)。

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感度レベル sensitivity level,response level(sensitivity,response)(ANSI)

変換器の感度とその基準にとった感度との比の常用対数の20倍。単位はdB。

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機械インピーダンス mechanical impedance

物体の駆動点に加えられる起振力F(N)と,これによって駆動点に生ずる速度ξ(m/s)との比

を機械インピーダンス,|ZM|をその大きさ,φをその位相角,RMを機械抵抗,XMを機械リアクタンスという。

単振動をする機械系(力学系,音響系)の1点または同一速度,同一位相で振動する一つの面に加わる振動方向の力とその点またはその面の速度との複素数比。 この逆数をモビリティmobilityということがある。記号Zm。単位 N・s/m。

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気導と骨導

気導は音が外耳道の空気を通じて内耳に伝えられることであり, 骨導は音が頭蓋骨を通じて内耳に伝えられることである。
外耳道の空気から音が伝えられない伝音(性)難聴では聴力損 失は60 dB以上にならないといわれる。これからも分かるとおり, 頭骨(歯なども含めて)に皮膚を通して,直接振動を与えるとき ばかりでなく,普通の音も顔面や頭部に振動を生じて骨導で聞こ えているのである。耳の防音保護具を装用しても音が全く聞こえ なくならないのはこのためでもある。外耳道を完全にふさいでも 125 Hzのような周波数が少なくない音はたかだか20 dBぐらい しか最小可聴値は変らないが,2,000 Hz以上になると50 dBも 最小可聴値は変化する。これは空気中の音が骨導になるときの損 失と見なせる。外耳道を防音用耳せんでふさぐときすき間がある と周波数が少なくない音はほとんど遮音されない。場合によると ヘルムホルツの共鳴をおこしてかえって音がよく進入することも ある。またイヤホンで音を聞くときにも骨導が伴うものである。

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基準化音圧レベル差

音圧レベル差D(用語解説第8回)は二室間の隔壁の材料, 構造,面積が等しくても,受音室の吸音力A により値が異なる。 そこで現場測定して得られた音圧レベル差D を受音室の吸音力A がある 基準値AO であった場合に換算した音圧レベル差Dnで,この隔壁の遮音性能を比較検討する。 このDnD に対して基準化音圧レベル差 (normalized level difference)という。ISO R/140ではAO の値を10(㎡)と規定している。なお現在検討されているその改定 案ではAO=10(㎡)の基準吸音力と受音室の容積がV(m3)のとき, AO=0.32V(㎡)とする2つの場合を規定している。 後者の場合は受音室の残響時間を0.5秒に基準化することに相等し,この方 法で基準化した値をDnT と記し,AO=10(㎡)で基準化した値Dnと区別する。 基準残響時間TO を0.5秒としたのは欧米の多くの居室 の残響時間は家具などが入った条件で大体0.5秒であることを根拠とし, わが国の住宅の場合とは多少異なる。

DDnまたはDnT に換算するには次式による。
DnD+10 log10AOA) dB AO=10(㎡)
DnTD+10 log10(0.32V/A)″ =D+10 log10TTO)″ TO=0.5(秒)
T は受音室の残響時間

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基準軸(電気音響変換器の)principal axis

主軸ともいう。電気音響変換器の性能の方向性を表わすときの基準とする軸。 通常,振動板の対象軸または出力が最大となる方向で, この二者が一致しないときはそれを明確に指定しなればならない。

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基本音 fundamental(ANSI),fundamental tone(JIS Z 8106)

複合音が周期を持っているときには,その周期に相当する周波数の純音。 周期を持たない複合音の場合には,部分音構成ならば周波数が最小の部分音。

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吸音ダクト(sound absorbing duct)

ダクトの内面に吸音材料を内張りしたものを吸音ダクトという。図-1,2はその一例を示す。原理的には音波がダクト内を進行していくときに,吸音材料によって吸引され,音響エネルギが熱に変換されるものである。減音量NRは空気の通過する断面積を(㎡)、吸音材料のある部分の内周長さを(m),吸音率をαとすればセイビンによる式(1)で与えられる。
図-1,2の場合の 及び は図中に記してある通りである。 吸音材内張り消音器は吸音ダクトをある長さに選んで製品化したものであり,その機能は吸音ダクトと同じである。

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吸音力 sound absorption

吸音率αiなる壁面がSi(㎡)ずつ n種類の材料で内装されている室の全吸音力は,

と表わされる。また容積がV(m3)の室の全吸音力がA(㎡)であるとき,この室の残響時間は,

で与えられる。したがって,AVT の内のいずれか2個が既知であれば,残りは定められる。 これらの関係を用いて,最初に述べた遮音度の式の受音室の吸音力 ABを決めることができる。

吸音力(等価吸音面積)

二室間の面積S(㎡)の隔壁の透過損失R と音圧レベル差D との間には次式(用語解説第8回(3)式)の関係がある。

RD+10 log10SA

右辺第2項のAを受音室の吸音力(absorbing power)または 等価吸音面積(equivalent absorption area)といい,単位は〔㎡〕 である。
A の値は受音室の容積V(㎡) と残響時間T(秒)を測定すれば, 次に示すSabineの式を使って算出される。

TK VAK=0.163

このSabineの式を理論的に導く場合に,受音室の周壁(天井, 床を含め)を構成している諸材料の使用面積をS(㎡), それぞれの残響室法吸音率をα とすれば, ΣαS とおいた。
ここで受音室内の全表面積をS(㎡)とすれば,

ここに

従来,我が国ではW.C.SabineにならってAを吸音力とよんで いるが,これはパワーでも力でもないから妥当な用語とはいえな い。これに対してISOでは等価吸音面積という用語を用いている。 これは受音室の周壁全面積中A(㎡)は残響室法吸音率1の材料 で,残りの面積は完全反射性の材料すなわち残響室法吸音率Oの 材料で構成された室の吸音力と等価であるとの意味である。

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吸音率

ある材料の表面に強さI の音が入射したとき,反射される音の 強さをI とすれば,次式で与えられるαをその材料の吸音率 (sound absorption coefficient)という。

α=1-

この吸音率αは,材料そのものの性質のほかに,材料の背後条件,入射音の周波数,入射角に関係する。したがって吸音率には これらの条件が明記されなくてはならない。 材料面に垂直に音が入射したときの吸音率を垂直入射吸音率 (normal incident absorption coefficient)αO ,材料面の法線と θの角度の方向から入射した音に対する吸音率を斜入射吸音率 (oblique incident absorption coefficient)αθという。 αOの測定方法はJIS A 1405-63で規定されている。 また材料面にあらゆる方向から音の強さが等しい確率で入射したときの吸音率をランダム入射吸音率(random incident absorption coefficient) αrandom ,または統計入射吸音率(statistic absorption coefficient)αstatという。αstat に相当する吸音率を実験室で測定するには, 残響室の床に材料を所定の条件で装着したときの残響時間と材料を装着しないときの残響時間を測定し,その差から算出する。 このようにして求めた吸音率を残響法吸音率 (reverberant absorption coefficient)αrevという。この測定方法にはJIS A 1409-67,ISO R/354がある。

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球面波 spherical wave

波面が同心球面である波。普通の音源の場合, その大きさがそこまでの距離に比して十分小さいような点ではその音波を球面波 とみなすことが多い。

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振動系の減衰に関する諸定数:対数減衰率,減衰比,Q,ロスファクターなど

振動系の減衰に関する諸定数

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共鳴,共振 resonance

一定な大きさの正弦的励振による応答が特別な振動数(共鳴振動数, 共振振動数 resonance frequency(BS)resonant frequency(ANSI)) で最大となる現象。着目する応答により変位の共振,速度の共振, 音圧の共鳴などという。元来は共振という用語は速度の共振のことである。

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共振周波数

固有振動数(周波数)

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強制振動 forced vibration,forced oscillation

周期を持つ一つまたはそれ以上の外力によって保たれていて, それらの力と同じ周期を持っている定常振動。

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狭帯域雑音 narrow-band noise

通常1/3オクターブ以下の幅の周波数帯域にだけ成分が広がっているような雑音。 (注)広帯域雑音や狭帯域雑音を含めてband noiseという用語は見当たらない。 必ずwide-band noiseまたはnarrow-band noiseとして使われている。

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空気伝搬音,固体伝搬音

種々の振動源から振動のエネルギーの一部が空気中に音となって放射され,それが空気中を伝搬し,ある着目点に達したとき,その音を空気伝搬音(air borne sound)という。 伝搬経路の媒質がすべて空気でなくて途中に隔壁のような固体の媒体があっても よい。 窓を開けて室内で聞こえる航空機の音も,窓を閉めて聞こえる航空機の音もいずれも空気伝搬音である。 これに対して,建物の床に設備された機械の振動が床に伝わり,更にその振動が建 物の構造体中を伝搬し, 着目している場所の壁などを振動させて空気中に音となって放射されるとき,これを固体伝搬音(solid borne sound)という。 騒音制御において,対象が空気伝搬音,固体伝搬音のいずれかであるか,あるいは両者が混在しているかを明らかにする必要がある。 効果的制御方法が両者で異なるからである。

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減衰係数 damping coefficient(ISO 31/Ⅱ,JIS Z 8202),decay coefficient,decay factor(BS)

時間 の関数が

のときのδo (1)式の場合,

(備考)これは抵抗係数の同音異義語である。

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減衰定数 attenuation coefficient(JIS Z 8202,ISO,31/Ⅱ,BS),attenuation constant(ANSI)

位相定数 phase coefficient(Z 8202,ISO,31/Ⅱ,BS),phase-change confficient(BS),phase constant(BS,ANSI) 距離 の関数である量が,

F)=Ae-ax cosβ(0

で表わされるときのαを減衰定数,βを位相定数という。 なおその量の波長をλとすると

単位はm-1

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減衰比

振動系の減衰に関する諸定数

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コインシデンス

単板材料に入射する音の周波数 が単板の限界振動数に等しいかまたは大きいときには,板面に沿って測った入射音の波長λtr (trace wave-length)と限界振動数c での板の屈曲振動進行波 の波長λb前号(4)式」とが等しくなる入射角θc oが必ず存在する。 この入射角θc oでは,空気中の音速を,波長をλ,板上 の屈曲振動の伝搬速度をbとすれば,

cf =λ=λtr sinθc o=λb sinθc o=(cb /f )・sinθco (3)

(3)式が成立する周波数と入射角では音は隔壁を減衰することなく透過してしまう。実際には単板のロスファクタのため, ある程度の減衰を伴うが,質量法則から予測される透過損失より著しく小さい値を示す。この減少をコインシデンス(coincidence)といい, 入射する音の周波数 に対して,(3)式の条件が満たされ コインシデンスを起す入射角θc oをコインシデンス角 (coincidence angle)という。

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公害振動の減衰

公害振動の伝搬減衰については理論的には遥かに複雑である。 というのは点振動源の場合でも球面波状に拡がる圧縮波(縦波)及びせん断波(横波)と円筒波状に拡がるレーリー波があり, しかもそれぞれの強さの割合が明確でない上に,特にむつかしいのは地面が均一な自由空間的と考えにくいこと, また吸収減衰が地質等により著しく異なること等である。 実測値を統計的にみると極めて近い点では全くばらばらで一定でないこと, 数10 mまでは大体逆2乗位の減衰で, それを超えると遥かに急激な吸収減衰を受けるように見える。

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工具振動レベル vibration level for hand tools

振動が手に伝わる工具・機械などの振動の評価尺度として使用される補正加速度レベルで,下の式で与えられる。 この場合も基準の加速度実効値は10-5m/s2

ここに,a:周波数がnHzの成分の振動加速度の実効値
c:周波数Hzにおける補正値
この周波数に対する補正値は振動レベルのものとは異なる。JIS C 1511-1979 手持工具用振動レベル計による補正値は8 Hzから1400 Hzまでの範囲が与えられ,振動レベルの周波数範囲1Hzから90 Hzに比べて非常に広い。
単位はデシベル(dB)。

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航空機騒音モニター

空港周辺は航空機の運航による騒音の暴露量(例えばWECPNL)を予測した騒音コンターを基礎にして土地利用の方策が実施される。 しかし航空機の運航にあたり飛行コース,高度を規定のようにとらないとある地点の騒音が予測を上廻る結果になる。 したがって主要空港では各機の発生する騒音を測定して監視することを行っている。モニターには2種類あって,1つは空港当局が,飛行径路のほぼ直下地点に測定点を配置し,各地点の騒音に関する情報を収集して監視するもので,規定の限度を超えて騒音を発生した場合,その航空機の所属する航空会社に警告を発し,あるいは規定による制裁を加えることもある。また空港に近接して住宅が密集しているためその地域を避けて飛行するよう指定されている場合,その地域にモニター点をおくこともある。
一方予測コンターは各機種の基礎データをもとに標準の気象状態で作成されるので,特殊な地形,特殊な気象状態の場合は実際の騒音暴露量と差異を生ずることもある。したがってコンターを実測によって検証するため,長期間にわたる騒音暴露量を監視す ることもある。この場合は通常移動可能な測定車を用いることが多い。

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横弾性係数,剛性率 shear modulus,modulus of rigidity

ずれ応力τとずれ との比

G=τ/

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広帯域雑音 wide-band noise,broadband noise

通常1オクターブ以上の幅の周波数帯域にだけ成分が広がっているような雑音。

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工率レベル差 power level difference(JIS Z 8202,ISO 31-2)

(1)

二つの同じ種類の工率P1とP2との工率レベル差は または

(2)

(1) の場合は

であるときの工率レベル差を単位としてネーパneper(記号 Np) という。 (2) の場合は10 log10P1P2)=1であるときの工率レベル差を単位としてデシベルdecibel(記号 dB)という。
この両者の関係は
基準にとった値との工率レベル差を単にレベルlevelという。
基準の工率は常に示す必要がある。なお,基準の工率についてはISO 1683 参照。
いろいろの量について同じような名称が使用されるから, その量の名称および記号の添字を付ける必要がある。
備考 F1F2を二つの振幅, P1P2を二つの工率とするとき,
P1P2=(F1F22 ならばLPLFとなる。

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国際規格 ISO 31-1978

国際規格ISO 31は科学及び工学のいろいろの分野で使用される量と単位について規格である。
Part0からPartXⅢまでの14分冊からなり,それぞれに表題がある(ただし全体の表題はない)。

ISO 31/0   ISO 31の総則 ―― 量,単位及び記号に関する一般原則
ISO 31/Ⅰ  空間及び時間の量と単位
ISO 31/Ⅱ  周期現象及び関連現象の量と単位
ISO 31/Ⅲ  力学の量と単位
ISO 31/Ⅳ  熱の量と単位
ISO 31/Ⅴ  電気及び磁気の量と単位
ISO 31/Ⅵ  光及び関連する電磁放射の量と単位
ISO 31/Ⅶ  音の量と単位
ISO 31/Ⅷ  物理化学及び分子物理学の量と単位
ISO 31/Ⅸ  原子物理学及び核物理の量と単位
ISO 31/Ⅹ  核反応及び電離性放射線の量と単位
ISO 31/XI  物理科学技術において用いる数学記号
ISO 31/XⅡ  無次元パラメータ
ISO 31/XⅢ  固体物理学の量と単位

これはISO/TC 12の仕事として1955年頃から部門別に開始されてRecomendationが出された。
その後見直しなどで1973年からISO 31となる部門があり,1978年に全部がISO 31となった。
改訂の主要点は,全くSI単位中心となったことで,CGS単位系の特別な名称をもつ単位(例えばdyne,ergなど),フート・ポンド・秒系の単位,重力単位系の単位などSI単位と並用しないものは全部付録(換算値を与えるため)に移された。
表の中もSI単位を大きな活字で書き,次に破線で境をしてSI単位でないがSI単位と並用できる単位を普通の大きさの活字,SI単位と並用することがある単位を更に小さい活字で書いてある。
各分冊とも表を見るのに必要な一般的注意が前書きとしてあるが,更に部門によってはSpecial Remarkがある。例えばPartⅡ,PartⅦには,レベル差の特別注意として「これは無次元量であるから量の単位は1という数であるが,単位として,ネーパ(Np)を使用する。常用対数によるレベル差はこの定義から導かれる。また,1dB=10-1 dBであるが,ベル(bel,B)はあまり使われていないのでデシベルのみがISO 31に採用されている」というものがある。

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国際単位系

国際単位系(略称をSIという)は1960年に第11回国際度量衡総会(CGPM)で勧告された一貫した単位系で,基本単位,補助単位,及びそれらから組立てられる組立単位,並びにそれらの10の整数乗倍に対する接頭語からなる。
元来単位の国際的統一のため創設されたメートル法が科学技術100年の発展につれて,いくつかの単位系に分かれ一貫性も失われかけた状態になったため,1948年の第9回のCGPMで,計量単位の完全な規則の確立,メートル条約加盟国のすべてが採用 できる実用計量単位系の確立に関する勧告を決議し,メートル条約の理事機関である国際度量衡委員会(CIPM)がこれを受けて作業を開始し,1954年の第10回CGPMで,標準が明確かつ高い精度で実現されている,長さ,質量,時間,電流,熱力学的 温度及び光度の単位を基本単位に採用することを決め,ついで1960年の第11回CGPMでこの実用単位系に 国際単位系 Systeme International d’Unites(International System of Units)という名称と,その略称SIを最終的に採択し,接頭語,組立単位及び補助単位とその他の指示事項を決定しSIが成立したのである。その後引き続き総会のつど改訂や追加があり,基本単位に物質量の単位モルの追加,接頭語及び組立単位の追加,単 位の名称の変更などが行われた。
国際標準化機構(ISO)では1969年にISO/R1000でSIの採用を決めて,1971年1月からISO規格に使用を開始した。1973年2月にはISO/R1000を一部改めてISO 1000(SI units and recommendation for the use of their multiples and of certain other units)を制定公刊した。それによってイギリス,ソ連を始め西ドイツ,アメリカ等においてSIへの切り換えが進められている。我が国でも計量法にも正式に採用されるようになったが, これはまだSI優先を決めていない。
日本工業標準調査会はJISにSIを導入する方針を決定し,1974年(昭和49年)4月1日にJIS Z 8203-1974「国際単位系(SI)及びその使い方」を制定した。これはISO 1000に対応するものである。そして1974年4月1日以降に制定,改正,見直しをされるJISについては,SIでない単位を使用する場合は必ずSIによる単位を括弧付きで併記することが行われている。

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木魂 Multiple Echo

一つの音源から出た音が,多くの反射物から次ぎ次ぎにはっきりした,あるいは残響音に近いような反射音として聞こえるような現象。
山彦も木魂もechoとして混同されがちであるが,山彦の方は単独の反射音である。

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固定インピーダンス(JIS B 0153),制止インピーダンス(JIS Z 8107),blocked impedance

出力側に無限大の機械インピーダンスの負荷をつないだときの入力側からみたインピーダンス。
備考:固定駆動点機械インピーダンスとか,変換器の制止(電気)インピーダンスのようにいう。(JIS B 0153)

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固有音響抵抗(JIS Z 8106),音波の反射,透過

媒質の密度をρ(kg/㎡),音の速度をc (m/s)とする時 ρc をその媒質の固有音響抵抗(specific acoustic resistance) と呼ぶ。specificとしたのは単位面積あたりの抵抗という意味 である。抵抗という代りにインピーダンスとも言うが普通実数 であるので抵抗と言う。
さてρc は媒質によって著しく差のある量で,特に気体(例 えば空気)に比べ液体や固体では大きく桁がちがう。MSK系 で数字だけみて,空気で約4×102なのに対し,水ではρ=103c=1400でρc=1.4×106,コンクリートや金属ではρ=(2.5~8)×103c=(3~6)×103ρc≧107となる。
このことは気体と液体や固体の境界面でいわめるインピーダ ンスが桁ちがいに変化していることを示し,例えば空気中の音 のエネルギーが水の中へ入ることも甚だ少ないこと,また間仕 切り壁に音があたる場合も殆ど100%が反射して音波の形で入 ることは考えなくてよいことを示している。壁の音響透過とい うのは音波のもつ交流圧すなわち力学的な力によって,壁がゆ すぶられ,その振動によって反対側に出る音を考えればよいの である。壁の音響透廻または透過損失がその材料に関係なく質 量だけできまるのはこの性質による。

音の媒質の密度ρとその媒質の音の伝搬速度との積ρc。 エネルギー損失がない媒質では特性インピーダンスと一致する。
〔備考〕JIS Z 8106では,これの対応英語に specific acoustic resistance――単位面積インピーダンスの実数部――を当てているが,これは適当でない。

放射インピーダンスと固有音響抵抗、小さい音源、大きい音源

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固有振動 vibration of normal mode(JIS Z 8106)

規準形の振動。

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固有振動数(周波数),共振周波数,振動モード

ある振動体を,ある境界条件(例えば棒の端を固定するとか,空気管の両端を閉ざすとか)におくと,ある固有振動数を持つ。この際外部から振動的な力で駆動し,その外部振動数を上の固有震同数に一致させると共振(または共鳴)して振動体は激しく振動する。したがって固有振動数を共振周波数と言うことが多い。
さて振動体が共振する姿態を振動モードと言う。これは共振している場合に限るのではないが,実際は共振の時の振動モードを問題にするのが普通である。例えば空気柱であれば,両端が開いていれば端面がループとなって粒子振動最大の形の振動 モードをもち,両端が閉じていれば両端がノードで圧力最大の形の振動モードをもつ。両端閉じた管では菅の長さl がその音の半波長(λ/2)の整数倍で共鳴する。すなわち周波数を としてl/2 ,fnnc/2l の関係がある。ここに は1,2,3,……である。 このfn が固有振動数であり,共鳴周波数である。板や膜では複雑なモードの振動をすることはよく知られているが,室なども3次元的に複雑な振動モードで共振する。(振動数と周波数は使いわけないで,最近はすべて周波数を使うことが多い。)

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サージング

サージング(surging)はターボ型送風機・ターボ型圧縮機と配管とを含めた系が一種の自励振動を起こし、特有のさだまった周期で吐出し圧力及びガス量が変動する現象をいう。 送風機系(またはポンプ系)にある吐出弁を絞っていくと運転点は図-1のA点からB点に移る。さらに弁を絞ると運転点は圧力曲線の右上りの部分のC点にいたり、風量、圧力が急に脈動を起こし、送風機(または圧縮機)本体および配管系の振動が大きくなる。

圧力の高いブロワや圧縮機では脈動が相当大きなものとなり、系全体が激しく振動して運転不能となる。これがサージング現象である。この現象については古くからいろいろの説明がなされていたが、いずれも不十分であった。藤井は流体機械の圧力~風量特性(P~Q曲線)の特殊性によって自励振動として理論的に解明した。この理論のユニークな点は圧力~風量曲線に逆流特性をとりいれて、管系の振動問題として解析したところである。いま、図-2のような送風機系において、送風機が空気溜めからタンクへ流体を供給しているとする。送風機の吐出風量をQ ,タンクからは一定風量Q が流出しているとする。送風機吐出風量の変動分をqとすると、

QQ+q (1)

送風機の圧力をf(q),管路定数を ,タンクの定数をc とする。空気溜めの圧力を基準としたタンクの圧力をP とすれば、圧力P の微少変動に対して、 この系の力の釣合から、 (3)式を微分して、(2)式に代入すると次式が求まる。 この式はqに関する振動方程式の形であって、ρmは質量、-f(q)は減衰系数、c はバネ定数に相当している。f(q)>0すなわち圧力曲線が右上り勾配のとき(4)式の第2項は負性抵抗となり、自励振動の周期Tは である。次に、f(q)<0すなわち圧力曲線が右下り勾配のとき振動は減衰的である。一方、(2),(3)から となる。この式は時間tが含まれていないので、P ~q座標面に

サージング軌跡で暫次C曲線に収斂する。 サージングについては経験的に、あるいは、研究の結果からいろいろの性質が明らかにされている。まず、サージングの八千は図-1に示すように圧力曲線に右上りの部分が存在することが必要条件(十分条件ではない)である。発生点Pmax の点よりやや小風量側のC点から風量0(締切点D)までの範囲がサージングの領域であって、C点をサージング限界という。サージング限界は圧力の高低、羽根車の設計、機種などによって異なる。

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最小可聴音圧

MAPと略す。イヤホンを使用して求めた一つの耳の最小可聴値で,鼓膜上の音圧で定義されている。
片耳聴取であること,イヤホンが聴器への負荷になることなどもあって,最小可聴音場より音圧の値は高くなるとされている。正常な聞こえを持つ耳に対する公称値としてISOで定めたものは見当たらないが,純音についての値はシビアンとホワイト(I. J. Sivian and S. D. White)のものがよく引用されている。
なお,最小可聴音圧を,外耳道入口での最小可聴音圧というように,その場所を示して使用することもある。外耳道入口の最小可聴音圧にはMACという略がある。

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最小可聴音場(音圧)

MAFと略される。自由音場の中で平面進行音波に正対して両耳で聞いた場合の最小可聴値で,その音波の音圧の値,いいかえると,その人が音場から出た後に,音場のその人の両耳を結ぶ線の中点に相当する場所における音圧の値で表される。正常な聞こ えを持つ若い人(18才~25才)の純音についてのこの公称値はISO R226-1961に音の大きさのレベル4ホン(phon)に対する音圧レベルとして与えられている。いうまでもなく,これは実際に音場でその人の聴器に作用している音圧の値ではない。
最小可聴音場(音圧)の測定はいろいろの人が行っているがISO R226-1961は英国で1957年にロビンソンとダッドソン(D. W. Robinson and R. S. Dadson)が発表したものである。この他有名な米国のフレッチャーとマンソン(H. Fletcher and W. A. Munson)が発表したもの(1933年)などがある。
なお,拡散音場の場合について自由音場の場合に対する補正値がISO 454-1975に与えられている。

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最小可聴(域)値

音の感覚を生じさせることができる最小の音圧の実効値で,通常は音圧レベルによって表わす。特に断らない限り周囲雑音が無視できる場合の値をいう。この値は,また音の性質,聞かせる手続き,音圧を測定する点などにも影響を受けるから必要な場合には測定条件を明記しなければならない。最小可聴(域)値は性別,人種によらないとされているが,一般に年齢とともに周波数が多い音に対する値は上昇する。

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最適残響時間 Optimum Reverberation Time

室内の音響状態を最もよくする残響時間をいう。室の大きさと使用目的などによって変るものであり,研究者によって推奨する最適残響時間の値はやや異なっている。

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Sabineの残響式、Sabineの残響時間 Sabine Equation

W.C.Sabineが実験的に見出した残響時間T (s)と室の容量(V ㎡),表面積S(㎡)及び平均の吸音率αとの間の関係式

ここに,平均の吸音率αは,表面積Si(㎡)の部分の吸音率αt として

Sabineの式はαが小さい時には実測の時間とよく一致するがαが大きくなって1に近づくと合わなくなる。
なお,温度の影響を考慮に入れる場合は

cはその温度の音速(m/s)である。

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雑音,白色雑音,ピンク雑音

古く使われた用語に楽音,噪音というのがある。楽音の代表的なものは前記の周期的複合音(純音を含む)であり,噪音は非周期的複合音である。噪音は現在は使われず,必要があれば非楽音と言ったりする。
これに対し雑音というのは必ずしも音に関する用語ではない。音も含めて必要な信号に対し不必要または妨害的な混入波動などはすべて雑音とされる。
一方,白色雑音(ホワイトノイズ),ピンク雑音(ピンクノイズ)となると,これは音響機器とが建築音響の試験などの目的で特に作るもので,白色雑音の方は1Hzあたりのエネルギーが一定のもの,別の言葉ではスペクトルレベル(1Hzあたりのバンド音 圧レベル)が一定のものであり,ピンクノイズは1Hzあたりのエネルギーが周波数に逆比例して高周波になる程減少するもので,低周波側に強いので,色ではピンクに相当するためこの名がある。
自然の音の中にも白色雑音的なもの,ピンク雑音的なものは多い。水の音や風の音,グラインダーの音などもある周波数範囲に白色雑音的である。ただ必ずしも全周波数範囲に均一ではないし,変動の仕方もちがうので,それぞれの音色の特徴を聞きわけられ るわけである。

断続したり不規則に変化する音。一つ一つに分けられないあるいは分ける必要がない音,主要な音に付随する音についていうことが多い。noiseは音としては騒音の意味が主であり雑音もその意味あいにも使われるが,雑音というとき多くは“望ましくない” とか“ない方がよい”ということなしに使われる。その雑音が付随している音の音色に特徴を与える役をしているとみなされることもある。
音に密接な関係がある電気通信回路を始め,測定回路などの内部において発生したり,他から混入する好ましくない電気的変動をも雑音という。その場合に電気信号を電気音響変換器で音に変換したとき,電気的雑音は信号の音に対して明らかに雑音となる。 ただし電子回路内で発生している不規則な変動である電気的雑音を変換した雑音が,音の実験や測定にいろいろ使われていることも周知のことである。
電気回路内の電気的雑音などそれを変換したときの音で表現されているものが多い。

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残響 Reverberation

反射面で囲まれた場所で,音源の音を止めた後に音が残って聞こえること。あるいはその音。空間に放射された音のエネルギーは音響を止めても直ぐには消滅しない。音源から出た音は周囲の反射面で繰り返し反射されながら減衰する。これが残響となると考えられる。あるいは音源の音を切ったことでその空間の空気の固有振動が励起され,それが減衰振動として残る現象として残響を解釈することもでき,それを裏付ける現象も知られている。

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残響音 Reverberant

反射面で囲まれた場所で,音源の音を止めた後に残る音。拡散音の意味で用いられることもある。

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残響時間 Reverberation Time

室のように反射面で囲まれた場所で,定常状態になっている音源の音を止めた後に,その平均の音響エネルギー密度が定常状態の値から100万分の一になる(音圧レベルで60dB下がる)までの時間(単位s)をいう。この時間と室の大きさや総吸音力などとの関係 を示す式が残響式でSabineの残響式,Eyringの残響式などがある。

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ジェット機の騒音証明

ジェット機の騒音を規制するため,1969年,ICAO(民間航空連盟)は亜音速のジェット機でその後製作されるものについて騒音の限度を設定し,これに合格した機種を認定することにした。この限度は1977年,更に2~8 dB厳しい基準に改訂され,日本 政府も今年からこれを採用することにしている。騒音証明の検定には定められた条件で離着陸を行い,離陸側6,500m(滑走開始地点から),着陸側2,000m(滑走路端より)及び側方点450m(改訂前は650m)で計測されたEPNLが各地点における基準値(重 量,及びエンジン数別に定められている)以内であれば合格である。現在B-747,L-1011,DC-10,A-300等は旧基準を満足している。B-727,B-737,DC-9はこの対象機種ではないが,その後改修が行われたものはこの基準に到達している。しかし基準を超過している旧型機で今後しばらく使用されるものもあり,騒音対策を困難にしている。今度の改訂にあたっては改修を容易にするために,改修機について旧基準と新基準の中間に新し い基準を設定し,エンジンの数に応じて基準を別に定めている。騒音証明制度の採用により,将来運航されるジェット機について,現在よりも騒音が減少することが見込まれるとともに,運航計画にしたがって,騒音予測が適確にできることになり,空港周辺の 環境問題解決に寄与するところが大きい。現在超音速機に対する騒音証明は行われていないが,FAA(アメリカ航空局)は1980年以降,亜音速機の騒音基準を超過する超音速機の米国領土内での運航及び米国領土に影響を及ぼす超音速飛行(ソニックブーム の発生)の禁止に関する規制を1978年7月より実施することにした。ただし,現在及び製作が予定されているコンコード16機については1980年以前に製作されたものとして除外している。

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指向関数 directional function

音源の場合には,上記と同様な球面上の任意の方向の音圧と主軸方向の音圧との比をいう。受音器の場合には,任意の方向からの音圧入射感度と主軸方向からの音圧入射感度との比をいう。

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指向係数 directivity factor

(1) 音を放射する変換器の場合は,自由音場内で変換器の音響中心から主軸方向に十分離れた点の出る音の強さを,音響中心からその点までの距離を半径,音響中心を中心とする球面上のあらゆる点の音の強さの平均で割った値。
(2) マイクロホンの場合は,正面感度とランダム入射感度との比の二乗。
〔備考〕いずれの場合にも周波数の関数である。

音源の場合には,自由空間において音源の音響中心を中心として,波長に較べて十分に大きい長さの半径で描いた球面上に生ずる音の強さ(W/㎡)に関して,音源の主軸方向の値と全球表面上の値の平均値との比をいう。
受音器の場合には,正面入射音圧感度とすべての方向からの入射音圧感度(ランダム入射感度)との比の二乗をいう。

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指向性 Directivity

音源の音響放射特性または受音器の受音感度特性の方向による変化の様相を示す語であって,広い周波数帯域にわたって特定の指向性を持つような特性を表わす語として,“全指向性または無指向性”,“両指向性”および“単一指向性”などがあり,また指向 性を量的に表現する語として指向係数,指向特性(または指向関数)および指向性利得(または指向指数)などがある。一方,特定の周波数において鋭い指向性を有するような指向性送受音器(送受波器)の場合には,その指向性ビームの開き角をもって指向性 の鋭角を表わすことがある。

自由空間の音場

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指向特性 directional characteistics 指向関数 directional function

音源の場合には,上記と同様な球面上の任意の方向の音圧と主軸方向の音圧との比をいう。受音器の場合には,任意の方向からの音圧入射感度と主軸方向からの音圧入射感度との比をいう。

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指向性指数 directional index

指向係数をデシベルで表わしたもの,すなわち指向係数の常用対数の10倍をいう。なお,指向性利得という場合には,指向係数そのものをいうこともある。

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指向性配列 directional array

特定の周波数にて鋭い指向性を持たせるために,その波長と関係のある一定の間隔(例えば半波長)で無指向の音源または受音器を一直線上または一平面上に多数箇配列したもので,主として水中音響機器に利用されている。

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指向性利得 directional gain(ANSI),directivity index(BS ANSI)

指向性指数ともいう。指向係数の常用対数の10倍。

指向性指数

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刺激 excitation 励振,加振 stimulus

系に作用する入力または外力。力学系(機械系)の振動の場合にその原因となる外力を加振力という。

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室定数 Room Constant

室のような反射面で囲まれた空間で,室定数R

で与えられえる量。ここにαは室の平均の吸音率,S は室の総表面積(㎡)である。これを用いると,室の中で一回以上反射した音全体(拡散音)の平均の音のエネルギー密度ωav rev,J/㎥は,音源の出力PW

の関係になる。ここに,c は音の速さである。これに対応する拡散音の音圧p rev Paは

ρは媒質(空気)の密度。

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室内平均音圧レベル

実用の部屋ではもちろんのこと,音源の出力,遮音材料の透過損失,吸音材料の残響室法吸音率などの測定に使う実験室すなわち残響室においても,室内に完全な拡散音場をつくることは難しく,音場が定常状態になったときの室内各点での音圧レベルはあ る値のまわりに多少異なったいろいろな値を示す。
そこで室内の平均音圧レベル(average pressure level in a room) L‘ を次式で求める。
室内で,音源及び壁の近傍を除いた空間に,放射されている音の半波長以上互いに離れたn個の点を無作為に選び,各点で測定される音圧の実数値をpp,・・・・・・・・ppa)とすれば,

ここにp0は基準音圧でp0 =2・10-5 pa=2・10-4μbar 選定する測定点の数n は,音場の拡散の度合と平均音圧レベル の所要精度によって定める。 前号で解説した透過損失を算出する(3)式のL及びLの値にはそれぞれ残響室(Ⅰ)及び(Ⅱ)で測定された平均音圧レベルL及びLを使う。

(注)平均を表すバーがHTMLで表記できないのでL’とした。

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実効値 root mean square value,effective value

ある変化している量について,その瞬時値の二乗の平均値の平方根,周期をもつ量の場合には平均はその一周期についてとる。

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実効帯域幅 equivalent bandwidth

フィルタなどにおいて,実際のフィルタに対してその性能を次のように理想化したフィルタの帯域幅。

  1. 純音に対する通過帯域のレスポンスは平坦で実際のフィルタの最大のレスポンスに等しく,減衰帯域ではレスポンスはない。
  2. 広い周波数範囲に一様なエネルギー分布をもつ入力に対して実際のフィルタと同じエネルギーを通過する。

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実体波 body wave

地震波のように十分広い固体の弾性体の内部の弾性波は体積変化の波と変形の波の二つしかない。前者は縦波でP波といい,後者は横波でS波という。この両方を合せて実体波とよぶ。地震波では一番始めに到達するのがP波,続いてS波が来る。

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質量法則

各周辺長が問題にしている音波長に比して大きい単板材料(厳密には無限大の面積の)に周波数f(Hz)の純音の平面波が入射角θで入射したときの透過損失Rθはf が単板の限界振動数(前号に解説)fc よりかなり小さいときは次式で与えられる。

(1)

ここで,ρc は単板の両側の媒質の固有音響抵抗で,空気の場合20℃,1気圧のとき420(Ns/m3)である。m は単板の面密度,Rθはmωの対数にほぼ比例し,曲げ剛性,ロスファクタなどの単板のm 以外の性質に関係しない。周波数,入射角が一定の純音平面波に対する単板の透過損失は材質が同じならば厚さが倍になっても,あるいは厚さが同じならば密度が倍になっても,ほぼ6dB増加する。また厚さ,材質ともに同じ単板では入射角一定のとき周波数が倍になれば透過損失はほぼ6dB増加する。単板の透過損失のこの特性を質量法則(mass law)という。
純音があらゆる方向から単板に入射するとき,いわゆるランダム入射のときの透過損失Rrandomは音の周波数が限界振動数より十分小さければ次式で与えられ,面密度,または周波数の倍増に対して約5dBずつ増加する。これをランダム入射質量法則という。

RrandomR0-10 log10(0.23 R0

(2) ただし R0> 15 dBのとき
1/3オクターブ帯域雑音に対しては,その中心周波数を周波数とする純音を入射音とする質量法則がほぼ適用される。

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遮音度 noise reduction factor

二つの室AとBとが表面積S(㎡)の壁体で仕切られていて,A室内に音源があって,この境界壁のA室側表面の近傍に一様な音圧pA(Pa)が生じ、これが壁体を透過してB室側に放射され,境界壁のB室側表面の近傍に一様な音圧pB (Pa)を生じたときに,この壁体の遮音度は,

と表わされる。ここに,10 log(1/r )は壁体の音響透過損失(sound  transmission loss),r は壁体の音響透過係数(sound transmission  coefficient)であって壁体に固有の値であり,AB はB室の吸音力(㎡)である。音響透過損失は残響室―残響室法によって各周波数ごとの値が測定され表示されている。

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遮断周波数 cut-eff frequency

通過帯域と減衰帯域との境界の周波数。

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周波数分析,定周波数帯型,定比周波数帯型

騒音や振動公害の実態調査や対策のために,音や振動の周波数分析の必要なことは今日の常識である。周波数分析のことを波形分析と呼ぶこともある。それは以前は音も振動もまずオシロスコープ等を使って波形にとり,この波形に対し,グラフィックな方 式や電気式な分析方法を用いて,その周波数成分を算出する方法がとられたためと思われる。
現在はもちろんすべて電気式であるが,多く使われるものに定周波帯型と定比周波帯型がある。ヘデロダイン式と呼ばれた型には多く前者が使われている。これは分析される周波数域に無関係に一定の周波数帯域幅(例えば5Hzとか50 Hzとか)で分析す るもので高周波域になるほど相対的に分析能がよくなる。無線周波などのものもある。
定比周波型は分析の帯域幅(バンド幅)が周波数に比例しているもので,低周波域でも高周波域でも相対的な分析能は変化しない。例えば分析能10%といえば100 Hz付近では10 Hzのバンド幅,10000 Hz付近では1000 Hzのバンド幅である。 なお分析能として通過域またはピーク出力に対しエネルギで半分になる(3dBレベル下る)周波数幅をとる。

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周期 period

ある現象(または量)が一定の時間間隔で繰り返えすとき,その時間間隔を周期という。普通はその一番短いものをいう。ただし,この一番短いい周期にB0153では基本周期 fundamental period;ANSI:primituie periodという用語もある。
周期をもつ量を周期量 periodic quantity という。周期量:q(t),周期:Tとするとq(t)=q(t+T)
独立変数が時間でないときにも周期という用語を使うことがある。

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周波数,振動数 frequency

周期の逆数。周期が1sの振動数を1ヘルツ(hertz,Hz)という。1Hz=1s-1

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時間率騒音レベル percentile level(JIS Z 8731-1983)

騒音レベルがあるレベル以上になっている時間が実測時間のx %を占める場合,そのレベルをx パーセント時間率騒音レベルという。単位デシベル。単位記号dB,量記号Lx。50パーセント時間率騒音レベルL50を中央値,5パーセント時間率騒音レベルL5を90パーセントレンジの上端値,95パーセント時間率騒音レベルL95を90パーセントレンジの下端値などという。ISO/TC43では量記号としてLAx,Tをあげている。T は測定時間である。

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自由進行音波 free progressive wave

無限に広い均一な媒質中と同等の条件の下に伝わる音波。

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自由振動 free vibration,free oscillation

系に作用する力の状態が変ったとき系に起こる振動で,振動数が主として系の性質で定まる振動。

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自由音場 free field

境界の影響が考えている領域で無視できる音場。

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自由音場感度 free-field sensitivity

平面進行波の中にマイクロホンを置いたときの電気出力とマイクロホンを置かないときの音圧との比。通常,電気出力はマイクロホンに生じる超電力(マイクロホンの出力端子を解放したときの電圧)をとる。また,音波の入射角と周波数を付記しなければ ならない。単位はV/Pa。
自由音場感度レベルは,自由音場感度の常用対数の20倍。単位はdB。0dB=1V/Pa。

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自由インピーダンス free impedance

二端子対の系で出力側に接続する負荷のインピーダンスがゼロのときの入力側から見たインピーダンス。 備考:自由駆動点機械インピーダンスとか,変換器の自由(電気)インピーダンスのようにいう。(JIS B 0153)

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自由空間の音場:波面の拡がり,媒質の吸収,指向性,音線のまがりなど

ここに自由空間というのは,屋外または野外というぐらいの意味で,地面上の半空間も含み,音源から受音点にくる直接波を考えている。さて音源から出た音波はまず波面の拡がりによるエネルギー密度の減少による減衰を受ける。点音源であれば一般に球 面波状に拡がるので,音の強さは距離の2乗に逆比例して減少する。倍距離で6dBの減衰である。線音源であれば円筒波状に拡がるので距離に逆比例し,倍距離で3dBの減衰であり,面音源ではこの意味の距離減衰はないことになる。しかし実際の音源は 線音源でも,面音源でも有限の大きさをもっているため,長さ,広さの影響を受けるもので,線音源,面音源ともその中央付近で測ってもその寸法(線または面の短辺の長さ)の数分の1の範囲しか正しく上の関係にはならない。
線音源,面音源ともその寸法(面の場合,こんどは長辺の長さ)の10倍程度以上になると,音源全体を一つの点音源と見なして距離減衰を考えてよい。すなわち倍距離で6dBの減衰である。
この場合の距離のとり方は正しくは,実際の音源から若干後に下った所に音源中心を考えるのが正しいが,これを無視しても大きい誤差にはならない。それは仮に距離を11l(lは長さ)の代りに10lとしても,対数尺度でdB値にすると誤差は小さいので ある。
次に媒質の吸収による減衰を考える。空気中の音波の吸収減衰については,温度,湿度を変えた場合が詳しく調べられており,ISOにも示されている。最も影響の大きいのは周波数で,高周波ほど吸収は大きく,数1000 Hzになると100 mごとに数dBないし10 数dBの減衰を受ける。
同じく空気中の吸音減衰を,強さI1の音が距離xだけ進行してI2になるとき,II-m’xとおいてこの定数m’で表示する方法もよく使われる。4.34 m’が1mあたり,434m’が100mあたりのdBの減衰値である。ある距離以上になると,波面の拡 がりによる減衰よりこの吸収による減衰の方が大きくなるもので,特に高周波ではこの影響が大きい。したがって一般に原音に高音成分の多いもの(航空機や軌道車輌の音など)では,音源から数100 mのところで高周波が急激に失われ音色が変化する。この場 合防音対策は低周波成分に力を入れないと,遠距離に対しては成功しないことになる。
次に大きさのある音源が多くの場合指向性をもつことは日常経験するところである。この場合音源自体の形や構造上,ある方向へ,ある音を出すという形の指向性と,音源自体の拡がりのために音波の干渉によって空間にできる指向性がある。また点音源な どの群による指向性もある。一般にその音源の近くと音源から離れた点では指向性は変化するもので,上にのべた線音源,面音源の場合も近くと遠くを指向性の変化と考えてもよい。特に音源の中心線上だけでなく,その全面にわたって距離を段々離れてみる と明らかに近接音場と遠距離指向性にわけざるを得ない。中間地帯には複雑な音場分布ができるもので,これはなかなか一般式で扱いきれないものとなる。ただしいずれの場合も一定距離以上離れて,上の例で逆2乗則が成り立つ程度まで離れるとこれ以上指向性の形は変らない。その方向による強弱が保たれて伝搬する。これを一般にはその音源の指向性と呼んでいる。
次に音波の異常減衰として音線のまがりによるものが大きい。気象の影響と呼ばれる空気層内の音線のまがりは,見かけ上ある方向に異常な減衰として現れる。ただし一方では異常に大きい音となって来る方向もあるので,一種の指向性現象に似た性格をも つ。例えば風上には音が行かないこと,その代り風下にはそれだけ多く来るわけである。逆転層の影響などもこの例である。空気の流れや気温の変化など空中の断層からも音は反響して帰って来る。 今一つの吸音材に沿って行く音波は異状伝搬の原因となる。コンクリート面より芝生,かん木林,森林に沿って音は異常に減衰することが多い。航空機の音も仰角の小さい所では小さく読みとれる。この現象の代表例が吸音ダクトの減音と考えてもよい。

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自由落下の加速度 acceleration of free fall、重力の加速度 acceleration due to gravity

自由落下の加速度(重力の加速度)は地球上の場所によって変化するが、普通の場合にはgn =9.80665m/s2(国際度量衡総会1981年)を使う。単にこの加速度を示す時の量記号はgである。 また、この自由落下の加速度を加速度の単位として使用することがあるが、その時の単位の名称はジーで単位記号はGである。

1G=9.80665m/s2

ただし、この単位はSI単位として認められていないから、SI単位との併用はできない。

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受感軸 sensitivity axis(JIS B 0153)

並進運動を測定するための変換器において,最大の感度をもつ方向。

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縦弾性係数,ヤング率 modulus of elasticity,Young modulus

ある面の法線応力σと法線方向の線ひずみe との比

E=σ/e

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純音 pure tone(BS,ANSI),simple tone(ANSI)

瞬時音圧が時間の正弦関数である音。

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準正弦量 quasi-sinusoid(JIS B0153)

q(x)=qm(x)sin[ω(x)x+Φ(x)]

上式のように見掛け上は正弦量であるが,振幅,角振動数,初相にあたるqm(x),ω(x),Φ(x)が独立変数xの関数で比較的穏やかに変化している量。この場合,x=x1のときqm(x1)をx1における振幅というように正弦量の用語を拡張して使用する(BS:generalized sinusoidal quantity)。

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上音 overtone

複合音の基本音以外の部分音を上音という。その振動数が一番少ないものから順に第1上音,第2上音,・・・・・・・という。複合音が周期をもてば第2倍音が第1上音になる。

複合音

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正面感度 axial sensitivity 正面レスポンス axial response

マイクロホンの場合,主軸の方向から入射する音に対する自由音場感度。

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震音 warble tone

周波数がある範囲を連続的に,しかも周期的に変化する音。

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振動 vibration,oscillation

定まった場所の近くで起こっている運動。これから任意の量の値q が基準にとった値q0の近くで変動しているとき,即ち|qq0|≦CC:定数)であるとき,その量が振動しているともいう。

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振動数,周波数 frequency

周期の逆数。周期が1sの振動数を1ヘルツ(hertz,Hz)という。1Hz=1s-1

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振動加速度レベル vibratory level

振動加速度の実効値aeff m/s2と規準の振動加速度実効値10-5m/s2 との振幅レベル差。すなわち,

ただし,規準値として10-6m/s2や重力の加速度1G=9.8 m/ s2 をとることもあるから注意が必要である。単位はデシベル(dB)。

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振幅レベル差 amplitude level difference,field level difference(JIS Z 8202,ISO31-2)

音圧,粒子速度,電圧,電流などのような量について,同じ種類の二つの振幅F1とF2との振幅レベル差は

LF= ln(F1F2)(1)

または

LF= 20 log10F1F2)(2)

(1)の場合はln(F1F2)=1であるときの振幅レベル差を単位としてネーパneper(記号 Np)という。

(3)

(4)

(2)の場合は20 log10F1F2)=1であるときの振幅レベル差を単位としてデシベルdecibel(記号 dB)という。
この両者の関係は基準にとった値との振幅レベル差を単にレベルlevelという。基準の振幅は常に示す必要がある。なお,基準の値についてはISO 1683 参照。
いろいろの量について用いられるから,その量の名称および記号の添字をつける必要がある。

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振動の規準形 normal mode of vibration(JIS Z 8106)正規モード normal mode(JIS B 0153)

損失のない振動系において各部分が同一の振動数で自由に振動するときの特性的な振動振幅分布の形,一般的に損失のない自由振動は規準形の振動の合成として示される(JIS Z 8106)。

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振動の出力

音源の出力

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振動モード

固有振動数

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振動レベル vibration level

人体の全身を対象とする振動の評価尺度として使用されるレベル。振動加速度レベルに振動感覚のための周波数による重さを加えたものである。計量法には物象の状態の量の一つに振動レベルの名称があげてあるが,その計量単位等は通商産業省令によるこ とになっていて,同令第71号により定義や計量単位等が与えられている。それによる振動レベルの定義は,標準振動(5 Hzの正弦振動)については,測定した鉛直振動の加速度実効値aeffを基準の加速度実効値に10-5m/s2に対して表わした加速度レベルであり,標準振動以外の振動については,下式で与えられる振動感覚補正を行った鉛直振動の加速度レベル。

ここに,LV:振動レベル
an:周波数がnHzの成分の鉛直振動の加速度実効値
cn:周波数nHzにおける補正値
振動規制法では,したがって鉛直方向の振動だけが規制の対象となっている。しかし,実際に公害振動の測定に使われている振動レベル計JIS C 1510-1976では上述の鉛直振動に対するもののほか,水平振動についての感覚補正の特性も別に与えられてい る。単位はデシベル(dB)。

振動レベル,(振動)加速度レベル,鉛直振動と水平振動
振動公害の規則値として,振動規制法では鉛直方向の振動レベル(vibration level)を採用した。単位はdBである。
計量法でも振動公害の計量値として,上記規制法に採用したものと同じ鉛直方向についての振動レベルを定義している。
ただし振動レベル計のJIS(C-1510)では,鉛直振動に対する振動レベルの他に水平振動に対する振動レベルを併せて定義している。したがって今後の使いわけにおいては,振動規制法に基づく測定(今後作られる自治体の条例なども含めて)では特にこ とわらなくても鉛直振動の振動レベルを示すことになるが,研究の目的や振動対策のための測定などにおいては,当然鉛直振動と水平振動が測られるわけで,その使った補正特性名を明確にしておくことが必要とされる。 振動レベルが鉛直,水平共補正加速度レベルであるのに対し,実測の振動加速度の実効値を周波数に無関係に,10-5〔m/s2〕を基準として表わしたdB値が振動加速度レベルである。

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CVdip(C5dip)

騒音(性)難聴の初期の聴力損失が4,000 Hz付近から始まることが多く,そのオージオグラムの4,000 Hzのところに くぼみ ができる。したがってこの くぼみ は騒音(性)難聴の早期発見の大事な手掛りになるのでCV dipという名称がよく使われる。CVというのは聴力測定に音名cの系列の音が使われた名残りで,CVは4,186.01 Hz(ただし a′=440 Hzとして)になる。4,000 Hzに くぼみ ができるのは普通の聴力測定が離散的な周波数で行われるからで,連続周波数で測定したオージオグラムでは必ずしも4,000 Hzが極小になるわけではない。 ちなみに,聴覚障害が他の原因例えば薬物の作用などでおこる場合は可聴周波数の上限の方から始まるものが多い。

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JIS Z 8202-1978 量記号,単位記号及び化学記号

ISO 31に対応する日本工業規格である。ただしISO 31/Ⅸ(数学記号)は別規格JIS Z 8201(数学記号)があるので除かれている。特に1978年の改訂ではISO 31の大幅な改正に対応してその整合性を図り,またSI単位をJISに導入するための手引きとなることを考えている。
規格は本文,付表及び参考とからなり,本文には,量記号に関する通則,単位記号に関する通則,数値の記述に関する通則,化学記号に関する通則,部門別の付表についての説明がある。その中で特に目立つのは,数値の記述にあたって,小数点から左の部分は103 ごとにカンマで区切ることを廃止して,数字は3けたずつの群に分けるが群の間は活字の幅の1/4の空間をあけるようにした。手書きもこれに準じる。
付表に各部門の主な量の量記号,単位記号及び換算率が示されている。我が国ではまだいろいろな単位が使われているから,将来のSI化にそなえてSI単位,SI単位と並用できる単位,並用できない単位の順に並べ,SI単位はすべてゴシックとし,SI単位 と並用できない単位は点線で境し,メートル系単位でもSI単位と並用できないものが直ちに分るようにしてある。

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水平振動

振動レベル

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スプリッタ形消音器(Splitter type silencer)

吸音材内張り消音器の変形タイプであり,仕切った断面のそれぞれに吸音材料を内張りして,進行する音波の音響エネルギを吸収して消音させるものである。その原理は(セイビンによる)式(1)から明らかなように,P すなわち,音波を吸収する部分を大きくして減音量を増やそうとするものである。その一例を図-3に示す。図中の点線には普通,金属板を入れる。

NR の計算は仕切られた一つの断面について行えばよい。減音量の一例としてキングの実験結果を図-4に示す。

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スペクトル音圧レベル spectrum pressure level

連続スペクトルを持つ音のある周波数におけるスペクトル音圧レベルは,その周波数を中心周波数とする帯域幅1Hzのバンド音圧レベル。

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ずれ(ずり)shear,せん断ひずみ shear strain,せん断角 shear angle

一つの平面に対して,それからd の距離にあって平行な平面が平行にΔx=rd 移動するような変形で,r =Δx/d をいう。この変形には体積変化を伴わない。

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静圧 static pressure

音がない場合の媒質内の圧力。量記号 pS ,単位 Pa。

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正弦量 sinusoidal quantity,simple harmonic quantity(JIS B0153)

独立変数x の正弦関数または複素指数関数で表わされる量,振幅,振動数等単振動の用語をそのまま使用する。

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制止インピーダンス(Z 8107),固定インピーダンス(B 0153),blocked impedance

出力側に無限大の機械インピーダンスの負荷をつないだときの入力側からみたインピーダンス。
備考:固定駆動点機械インピーダンスとか,変換器の制止(電気)インピーダンスのようにいう。(B 0153)

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セル形消音器(Cell type silencer)

吸音材内張り消音器の変形タイプである。スプリッタ形よりも更に細かく断面を仕切って,それぞれに吸音材料を内張りして吸音する消音器である。
減音量NR を大きくするために(セイビンによる)式(1)のS を小さくl,P を大きくしたものである。構造の一例を図-5に示す。NR の計算は断面を仕切った一つのセルについて行えばよい。
以上の各種消音器は吸音材料としてグラスウール,ロックウールなどが多く使用され,低周波域の減音量を大きくする場合には上記材料の密度,厚さを大きくするかまたは完気層を設ける事などで対応している。上記の吸音材料は気流速度が大きくなると飛散が伴うため,グラスクロスやグラスクロスと金属多孔板の組合せで飛散を保護している。上記以外の吸音材料も種々使用されている。膨張形消音器のような形式のものに比べて圧力損失が少ないため,広範囲の用途に使われている。

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旋回失速(Potating stall)

旋回失速は軸流送風機・圧縮機などの円環通路の一部が失速して、この失速領域が回転方向に一定速度で移動する現象をいう。したがって伝播失速(Propagation Stall)ともよばれている。 よく、サージングと混同されて使われていることが多いが、全く異質の現象であるから注意が必要である。
すなわち、サージング現象が送風機(圧縮機)と管路系よりなる振動系の自励振動であり、その発生と周期が管路系に依存するのに反して旋回失速現象は管路系に無関係である。送風機(圧縮機)自体の不安定現象である。
軸流圧縮機が圧力~風量曲線の右上がり部分で運転していて、動翼を翼列として見たとき、失速に近い状態で作動している場合を考える。ある過渡的じょう乱によって一つの翼が失速を起こしたとする。するとその翼の負圧側の翼間通路の空気流入面積が小さくなり、その通路の抵抗が増大する。そこで、失速を生じている領域の翼間通路を通ることのできなくなった空気の一部は図-1に示すように隣の失速を生じていない通路に流れる。このため、負圧側にある隣の翼の迎え角は小さくなり流れは安定する。このようにして失速状態は負荷側(動翼の回転と反対方向)に伝搬する。絶対系から見れば失速は動翼の回転方向に動翼の回転より遅い一定回転数で移動することになる。

軸流圧縮機は回転数が大きいので、旋回失速の失速領域(セルと呼ぶ)回転数、したがって周波数は大きく、その圧力変動によって動翼は振動し、遂には振動疲労によって破壊にいたる。
遠心送風機の場合にも同様の現象があり、そのときの旋回失速に伴う旋回失速騒音の周波数frfr=κηιHzとなる。ここに、n =送風機の回転数Hz、ι=セルの数。送風機の比速度が大きいときにはκ=0.72となり、大型送風機の場合には回転数が小さいためfr の値は10~15Hzの範囲の超低周波数音となり、いわゆる窓ガラスのガタつきなどの原因となる。 κの値は比速度、送風機の種類、メーカなどによって異なる。 軸流送風機の場合はfr =(0.5~0.8)n ι Hzとなる。

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全指向性 omnidirectional 無指向性 nondirectional

すべての方向に一様に音を放射する音源および音の入射方向によって感度が変化しない受音器の指向性を表わす語で,昔は無指向性といっていたが,近時全指向性というようになった。この場合は,指向係数も指向特性も1である。

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線形系 linear system

応答の大きさが励振の大きさに比例する系。

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線のスペクトル line spectrum

成分が離散的な振動数(周波数)にあるスペクトル。純音はもちろんであるが,周期をもつ音のスペクトルは線スペクトルである。

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線ひずみ linear strain, 伸び率 relative elongation

弾性体内の二点間の距離が伸びる(または縮む)変形で,元の距離l0がΔlだけ伸びてl0ΔlになったとするとeΔll0をいう。伸び elongation、extensionもこの意味に使われることもある。

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騒音レベル noise level(IEV 801,ANSI)sound level(ANSI,BS),A-weighted sound pressure level(ISO/TC43,JIS Z8731-1983)

騒音の量の名称で,騒音計の国際的に規定された聴感補正のA特性によって計量したもの,すなわち,A特性で重ね付けした音圧レベルである。単位はデシベル,単位記号はdB(注1)。ただし,わが国では騒音レベルの単位はホンまたはデシベル(記号は dBのみ)と計量法に規定されている新聞などではホンが多く使われている。量記号はZ 8731ではLpA,さらに測定に使用した騒音計の動特性を付して,LpAFLpASなども使用する。 (注1)JIS Z 8731-1983ではdBのほかにdB(A)も認めている。
(注2)A特性以外の聴感特性で重ね付けた音圧レベルについても,例えば,C特性の騒音レベルC-weighted sound pressure levelということがあり,LpCなどのように表示する。このLpCは音圧レベルLpの近似値としても使う。

騒音レベル,等価騒音レベル(Leq)
騒音レベルは計量法によって法的計量単位として規定され,騒音計の周波数補正回路をA特性としたときの出力の指示値である。単位は“dB”(デシベル)または“ホン”となっているが,dBを使用することが望ましい。A特性を用いていることでdB(A)と表示することもある。
環境騒音等の評価に際して,非定常な騒音を対象とすることが多い。このためある期間(1時間あるいは1日等)の騒音エネルギーの総量 これを暴露量ともいう を求めその期間(単位秒)で平均したものをデシベル表示し,等価騒音レベルという。これはその期間の総エネルギが等しくなる定常騒音の騒音レベルである。

ISOでは,間欠音,不規則変動音等を一括してLeq の表示をする 方向で作業が進んでいる。

補正音圧レベル,騒音レベル dB(A),dB(B),dB(C)など
音圧レベルでは基準値は周波数に無関係に2×10-5〔Pa〕なる一定値がとられている。純粋に物理的な強さを表わす量である。これに対し基準値かまたは測定値かのいずれかに,例えば感覚特性などの周波数補正をしたものを補正音圧レベル(weighted sound pressure level)と言う。騒音に対してはA,B,Cなどの補正音圧レベルがISOやIECで定義されている。
上の補正音圧レベルのうち,A特性で補正したものを日本では騒音レベルと定義している。これが騒音の計量単位であり,精密騒音計,普通騒音計の新しいJIS(C-1505,C-1502)ではこの点が明確にされた。
騒音レベルの単位は計量法ではホンで,記号はdBであるが,騒音計のJISでは「デシベル(またはホン)で表わし,単位記号はdBとする。」とはっきりdB優先を明確にした。なおdB(A)またはdBAなどの表示を使えば特に騒音レベルとことわらなくてもよいことになる。補正音圧レベルdB(B)は殆ど使われることがないし,dB(C)は音圧レベルの代用として使われる。

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騒音評価指数 Noise rating number,N数またはNR
表-1 オクターブ帯域音圧レベルP = a+b N(dB)の係数a とb をオクターブ帯域中心周波数の関数として示す
オクターブ帯域中心周波数(Hz) a(dB) b(dB)
63 35.5 0.790
125 22.0 0.870
250 12.0 0.930
500 4.8 0.974
1000 0 1.000
2000 -3.5 1.015
4000 -6.1 1.025
8000 -8.0 1.030

これは1950年頃にL.BeranekがNoise Criteria(NC)という名称で発表した騒音の「等やかましさ線図」を1957年から1961年にかけてISO/TC43 Acousticsの会議で審議し,修正を加えてISO規格としたものである。 線図は図-1に示すように,縦軸はオクターブ帯域音圧レベル(dB,re.20μPa),横軸はオクターブ帯域中心周波数(Hz)であり,測定されたオクターブ帯域音圧レベルをこの図に記入し,全オクターブ帯域中の最大のN の値をもってこの騒音のN数とする。
Beranekの提案したNC図表は直線の折れ線で構成されていたが,修正された図表は滑らかな曲線で構成され,騒音評価指数N とオクターブ帯域音圧レベルP(dB)との間にはP = a+b N (dB)の関係が保たれている。ここにaとbは表-1に示されている。

騒音評価指数を聴力保護の目的で使用することができ,この場合には500,1000,2000,4000Hzの帯域にてN=85を超える騒音を長時間常習的に聞いていると聴力障害を引き起こす危険があるとされている。
また会話の了解度については表-2,電話による会話の伝達状況は表-3によって推定される。

表-2 会話了解可能な距離と騒音評価指数の関係
第1列 第2列 第3列
騒音評価指数N 日常会話に用いられる大きさの声が了解可能な距離(m) 大声による日常会話が了解可能な距離(m)
40 7 14
45 4 8
50 2.2 4.5
55 1.3 2.5
60 0.7 1.4
65 0.4 0.8
70 0.22 0.45
75 0.13 0.25
80 0.07 0.14
85 0.08
表-3 種々の騒音評価指数に対する電話による会話伝達状況
第1列 第2列
騒音評価指数N 電話による会話伝達状況
50 十分了解できる
60 了解がやや困難
75 了解が困難
75以上 満足な了解ができない

やかましさ(annoyance)の評価に使用するには,騒音のスペクトル構造,波形率,反復頻度,経歴の程度(始めて聞く音か,聞き馴れている音か),昼夜とか夏冬の別,地域的条件(農村とか工業地帯とか)によって修正を加えねばならないが,一般の居住地区においては表-4に示すような値が一般公衆の反応であろうと推定される。
また室の使用目的に応じたN数として表-5の値が推奨されている。

表-4 住居地区における公衆の騒音に対する反応
騒音評価指数修正値 予想される公衆の反応
40以下 はっきりした苦情はでない
40~50 散発的に苦情がでる
45~55 広範囲に苦情がでる
50~60 社会的行動の兆候がある
65以上 社会的行動が激しくなる
表-5 室の使用目的に応じて推奨する騒音評価指数
騒音評価指数 適合する室の例
20~30 寝室,病室,テレビジョンスタジオ,休憩室, 映画館,コンサートホール,小事務室,会議室,読書室等
30~40 大事務室,百貨店,会合室,静かなレストラン
40~50 大食堂,タイプライターのある秘書室,体育館
50~60 大タイプライター室
60~70 工場

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騒音の時間率 : Lα

道路交通騒音のように不規則に変動する場合,その表示法として統計的な中央値を用いることは我が国古くから行われている。 中央値はこのレベルを超えている時間が観測時間の半分であるこ とを示すレベルで,時間率50%のレベル,またはL50という。L50はJIS騒音レベルの測定方法において規定され,50回法等の名称で使われている。前述の等価騒音レベルと比べると,L50Leq であるが交通量が多い道路騒音の場合その差はほぼ一定でいずれの評価量を使っても問題はないが,交通量が少ないとき(例えば500台/毎時程度以下)の場合,L50を用いることは必ずしも適当ではない。一方時間率LLL10L90L95等の名称で変動騒音を評価することも試みられている。ここで,Lは観測時間中のほぼ最大値,L10は同じくその時間中のピークレベルの平均,L90は特定の騒音 例えば観測点直前通過の自動車騒音 を除いた暗騒音のレベルと考えられる。LL95はJISにおいて規定された不規則変動騒音の変動幅を示す際に用いられている変動の上端,下端値である。L10は道路交通騒音の評価値としてLeqと並んで欧米で比較的よく使われている。日本においては近年道路交通振動の評価値としてL10が導入されたが,L50と同様交通量が少ないときの評価値としては問題がある。

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走査型分析

オクターブ分析

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送風機騒音(Fan noise)

送風機騒音は翼通過周波数(翼枚数と回転数の積)およびその高調波の回転騒音とうずなどによて誘起される広帯域の乱流騒音とからなるものである。
普通に送風機の騒音レベルと云う場合はJIS B8346によって規定された一で測定した騒音レベルdB(A)である。図-1は片吸込形遠心送風機の試験装置であり、代表作長さ(最小1m,羽根車外径が1mを越えるときには羽根車外径寸法とする)離れたS点が規定点である。しかしながら、研究や異常音の調査などにはJISの規定位置に必ずしもこだわる必要はない。

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送風機騒音の相似則(Similarity law of fan noise)

幾何学的に相似な送風機が透過な状態での成立する槽四に関する関係式を送風機の騒音相似則という。 送風機のパワーレベルをLW ,風量をQ ,圧力をP ,比重量をr ,廻転数をn ,代表寸法(例えば羽根車の外径)をD,軸動力をL とする時に下記の諸式が成り立つ。添え字1,2は状態1および2を表わす。

  • LW2Lw1+70 log10DD+50 log10nn+20 log10rr(2)
  • LW2Lw1+20 log10DD+25 log10PP-5 log10rr(3)
  • LW2Lw1-80 log10DD+50 log10QQ+20 log10rr(4)
  • LW2Lw1-13.3 log10DD+16.6 log10LL+3.3 log10rr(5)
  • LW2Lw1+23.3 log10DD+26.6 log10nn+20 log10rr(6)

なお、等価な状態とは大きさの異なる送風機であっても運転点はいずれも最高効率風量であり、一方は最高効率風量、他方は締切風量という事ではないのである。

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ソニックブーム

飛行物体の速度が大きくなって音速を超えると,物体の先端を頂点とする衝撃波が発生する。したがって超音速機が上空を飛翔するとき円錐形に広がった衝撃波が地上に到達して急激な圧力変化を生ずる。これがソニックブームといわれる現象で,コンコードの運行にあたって多くの実験が行われ,人間はもちろん家畜,建造物に対する影響,なだれ発生の可能性等について詳しい調査が行われた。その結果コンコードの運航にあたっては10 km以上の上空で超音速飛行を行うこと,住宅の多い陸地上空はたとえ10 km以上上空でも極力飛行を行わないという制限が行われている。ソニックブームはN波と呼ばれる衝撃波で,10 km上空を飛行した際でも地上の圧力変化は最大100N/㎡に達し数10 msの継続時間をもつ衝撃波が観測される。これは音圧レベルでいうと130 dB程度になる。なお飛行直下から横方向にわたって強度は減少するが,数10 kmの巾にわたって衝撃波が到達する。超音速機は今後離着陸の騒音について亜音速機の騒音の基準を満足するような開発がすすめられていると予測されるが,ソニックブームについては機体の形状等によって衝撃波の発生は幾分弱めることはできても衝撃波を解消することはまず不可能と思われている。

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疎密波 compressional wave(JIS Z 8106)

粗密波とも書く。圧縮波(JIS B 0153)ともいう。
弾性体媒質の密度変化の波である。密度変化の割合(圧縮度 condensation)は体積ひずみの付号を変えたものに等しいから体積ひずみの波(体積変化の波 dilatational wave)ともいえる。
十分に広い弾性体の内部では,疎密波と変形の波(distortional wave,equivolumental wave,ずり波 せん断波 shear wave)しか存在しない。その場合,疎密波は縦波,変形の波は横波である。
また平面波および簡単な球面波の場合,疎密波の粒子の振動方向は波の伝搬方向と一致し縦波であるので,疎密波を一般に縦波ということもある。

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帯域消去フィルタ band-stop filter(BS),band-elimination filter(ANSI)

ある周波数帯域以外の周波数のエネルギーを通過し,その周波数帯域内の周波数のエネルギーを減衰させるフィルタ。

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帯域幅 bandwidth
  1. フィルタなどの通過帯域の幅。帯域をきめる二つの遮断周波数の差または音程で表わす。呼び遮断周波数による帯域幅であることを特に強調するときには呼び帯域幅nominal bandwidthという用語も使われるが,普通は帯域幅をその意味で使っている。
  2. 音の成分周波数の最大値から最小値を引いた値。この二つの周波数の音程で表わすこともある。

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帯域フィルタ band-pass filter

二つの与えられた周波数の間の周波数のエネルギーを通過し,それ以外の周波数のエネルギーを減衰させるフィルタ。

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帯域フィルタの中心周波数 nominal passband center frequency(ANSI)

帯域フィルタの両端の呼び遮断周波数の幾何学平均値,二つの呼び遮断周波数をf1 Hzとf2 Hz (f2>f1)とすると,中心周波数fC Hzは,

となる。

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対数減衰率 logarithmic decrement

振幅が指数関数的に減衰する自由振動において,同方向の相隣る二つの最大変位(変位振幅)の比の自然対数。量記号 A,単位ネーパ(neper Np)。

振動系の減衰に関する諸関数

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体積速度 volume velocity

音場内の面積を音によって通る媒質の体積の割合。 面(S )の極小部分をdσとしそこの粒子速度のdσに垂直な部分をunとすれば,面S についての体積速度qは,

記号にはU も使われる。単位 ㎥ /s。

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体積弾性係数,体積弾性率 bulk modulus,modulus of compression

圧力増加分p,体積ひずみθとすると K=-p /θ

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体積変化,体積ひずみ volume strain,bulk strain,膨張度 dilatation

体積V0が変形によりΔVだけ増加してV0ΔVになったときθ=ΔVV0をいう。直交軸xyz について,軸方向の線ひずみをそれぞれ exxeyyezz とすると微小変形の場合θ=exxeyyezzとなる。音響学ではθに膨張度dilatationという用語を用いることがある。

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縦波 longitudinal wave(ANSI,BS),compressional wave,irrotational wave(BS)

弾性体内部の波で粒子変位が波の伝搬方向(波面に垂直な方向)に平行である波。したがってこの波は疎密波である。細い棒などの長さの方向に伝わる波の場合のように粒子変位が主としてその方向であるが,それに垂直な方向の粒子変位がその棒の中心軸について反対であるものについても縦波という用語を流用する。

地中を伝搬する波

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単一指向性 unidirectional

主として前方から入射する音波に対して大きい感度を有するマイクロホンの指向性を表わすのに用いられる語で,音源に対してはあまり用いられていない。
これは全指向性マイクロホンと両指向性マイクロホンの受音出力を合成すると得られるもので,理論的には1+cosθの形をしていて,カーディオイドマイクロホンともいわれる。

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単板材料の屈曲振動の限界振動数

十分広い面積の単板材料の一部分に振動数f(Hz)の振動的外力が作用して屈曲振動が生じたとき,その板上での伝搬速度c(m/s)と波長λは次式で計算される。

Et,ρ ,σはそれぞれ板のヤング率,厚さ,密度,ポアソン比である。空気中での音速は音の周波数に関係しないのに対して,cは振動数の平方根に比例して変化する。この屈曲振動により空気中に放射される音は,空気中の音速ccとが等しくなる振動数fcより屈曲振動の振動数f が大きい振動数領域では板の法線方向に対してθの方向に傾いて,板上を屈曲波の進む向きに比較的強く放射される。θは空気中に放射される音の波長をλとすれば,λ sinθ=λの関係にある。逆にffcの振動数領域では板の屈曲振動は音を放射し難い。板の屈曲振動による音の放射は振動数fc を境にして,振動数がそれにより大きいか小さいかで性質を異にする。この振動数fc を屈曲振動の限界振動数(critical frequency)という。fcは(4)式から導かれる次式で計算される。

ρmB ′はそれぞれ板の面密度,曲げ剛性である。この限界振動数は単板の透過損失が質量法則に従う上限周波数を示し,透過損失が低下するコインシンデンス効果を起す下限周波数として重要である。

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単位面積インピーダンス(JIS Z 8106)specific acoustic impedance(ANSI,BS,IEV 08,ISO 31/Ⅶ)unit area acoustic impedance(ANSI),unit area impedance(BS,IEV 08),acoustic field impedance(IEV 08)

媒質内のある面において,その音圧をその粒子速度で割った複素数比。記号 ZS ,単位 Pa・s/m(ISO 31/Ⅶ)。

〔備考〕(1) Za =ZS /Z ,Zm =SZS
Sは関与する面積。
(2)specific acoustic impedanceを比音響インピーダンスということもあるが,「比」は特定の物質の量に対するある物質の量の比に用いる,という学術用語の原則に適合しないので日本音響学会は比音響インピーダンスという用語を使用しないことにした。したがって,これは学術用語にもなっていない。

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単振動 simple harmonic motion,simple harmonic oscillation,simple harmonic vibration

変位y が時間 t の正弦関数で表わされる振動

yym sin(ωt+Φ)

ymをその振幅amplitude,ωをその角振動数、ωt+Φをその位相,Φを初相initial phaseという (JIS B0153ではΦを位相としている)。この振動の振動数をνとするときω=2πν。

単振動は yym e j(ωt+Φ)

と複素指数関数(j:虚数単位)で表わされることもある。

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音波 sound wave,弾性波 elastic wave

弾性体内をその力学的性質によってエネルギーが伝わる変動。通常は,その波の通過は媒質の平衡状態からの一時的変動を起こすだけである。なお音波というと可聴周波数範囲のものを指すことが多い。

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弾力 elastic force

弾性体が外力を受けて変形するとき,変形に応じた応力を生じ,新しい釣合いの状態では応力による力が外力と釣合う。この力は変形した弾性体が元の形に戻ろうとする復元力であり,その際他の物体に力を及ぼしたり,それ自身の運動を起こしたりする。この力を弾力という。

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弾力定数 elastic constant,ばね定数 spring constant,ばねのかたさ,ばねの強さ stiiffness

弾性体の弾力は変形に比例する。この比例定数のことで,単位の大きさの変形に対する弾力に相当する。いわゆる“ばね”などについては,ばね定数なども使われている。

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短絡駆動点インピーダンス short-circuit driving-point impedance

電気系の二端子対回路で出力端子対を短絡(負荷インピーダンスゼロ,すなわち電圧ゼロ)した場合の入力端子対の電気インピーダンス。

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小さい音源

放射インピーダンス

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地中を伝搬する波,縦波,横波,レーリー波

気体中では波動の原因になる復元力が体積弾性しかないから縦波しかおこらない。液体の場合はその表面で重力及び表面張力を復元力として普通の波ができる。これは横波である。
固体の中では体積弾性のほかにシャーの弾性(引きちぎることへの抵抗)があるので縦波も横波も発生するのであるが,その他に固体の境界面で別の形の波が起り得る。その中で固体と気体,例えば空気に接する地表面のような所に発生する波がレーリー波と呼ばれるものである。
そして,これらの波の伝搬速度はそれぞれ別であって,縦波が最も早く,横波が大体その半分以下であり,レーリー波は更に横波より10~20%速度がおそい。地震の場合初期微動と呼ばれ,P波とも言うのが縦波であり,続いて一般には低周波で大きい振動のS波と呼ばれる横波が来る。P波S波は共に球面波的に拡がるのに対し,レーリー波は振動源の近くで地表面を円筒波的に伝わる波で,音源の近くでは最も強いもので振動公害では無視できない波である。

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超過減衰

超過減衰 excess attenuation
例えば,簡単な音源からでる球面音波では,その強さは音源からの距離の二乗に逆比例して小さくなる減衰を示すが,このような波の伝搬による波面の幾何学的拡大に相当する波の減衰(幾何学減衰ともいう)に対して,それ以上の減衰が伝搬とともに生じるときそれをいう。

超過減衰 over damping(JIS B 0153)
減衰比が1より大きな減衰。

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聴力損失と聞こえのレベル

JISのオージオメータである耳の最小可聴値を基準の0dBとのレベル差で表わした値をその耳の聴力損失という。これに対してISOの基準によるオージオメータでの値は「聞こえのレベル」と呼んで区別することが日本オージオロジー学会で提案されている。なお「聞こえレベル」の略字にHLが当てられる。

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聴力レベル hearing level

純音に対する聴力障害の程度を表わすための用語としてJIS T1201-1982オージオメータで新しく定められた。オージオメータの基準の最小可聴値としてISO 389-1975(純音オージオメータ校正用規準零レベルの標準値)に規定する値を零デシベルにとったときのある耳の最小可聴値を表わすレベルである。従来のオージオメータのJISでは昭和31年(1956年)に定めた基準値(その後昭和38年に一部追加)を零デシベルとして表わした最小可聴力値を聴力損失hearing lossと称していた。同じ耳を測定したとき周波数と受話器とにより聴力レベルの値は聴力損失の値より5dBから10dB程度大きくなる。聴力損失の値は法律等に広く使用されているし,現在使用されている旧JIS準拠のオージオメータが新JISに適合するように改造されるまでは実際に測定されるのは聴力損失の値であるから,この両者の換算がJIS T1201-1982の附属書に規定してある。 なお,hearing levelは聞こえのレベルと訳されたこともあるが,今後は聴力レベルに統一されることになる。単位はデシベル(dB)。

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調和成分 harmonic components(harmonics)

ある音の成分のうち振動数が倍音関係にあるもの(JIS Z 8106)。

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直インピーダンス direct impedance,駆動点インピーダンス driving-point impedance

単振動をする機械系の同一点の力と速度との複素数比。駆動点インピーダンスは電気系においても使用される。

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デイ・アンド・ナイトレベル(Ldn)

騒音の評価について夜間の騒音レベルに10dB加算することは以前から行われている。10dBが妥当かどうかは問題があるにしても統計的に暗騒音が夜間ほぼ10dB低くなることを考慮したものである。
Leqによって1日の間の騒音を代表させる場合にも,この夜間補正を組入れることが考えられる。実際には夜間22時から翌朝の7時の間の9時間について観測された騒音レベルに10dB加算してLdnを算出する。

T :1日(86,400秒)
Ld :昼間の騒音レベル
Ln :夜間の騒音レベル

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抵抗 resistance 抵抗力 resistance force,resistance

運動する物体にその運動を妨げるように運動と逆方向に働く力。次の抵抗係数を略して抵抗ということがある。(電気回路の電気抵抗等のことにも使う)。

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抵抗係数(抵抗)resistive constant 減衰係数 damping coefficient(BS)

系に働く抵抗力の速度に対する係数(ただし,定数でなくてもよい)。これが定数であるとき粘性抵抗(viscous damping),線形粘性減衰係数(linear viscous damping coefficient)という。一自由度の振動系の運動方式

 (1)

r

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低域フィルタ low-pass filter

ある周波数以下の周波数のエネルギーを通過し,それ以上の周波数のエネルギーは減衰させるフィルタ。

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定常波,定在波 standing wave,stationary wave

同じ周波数の進行波の干渉によって生じる空間的な振幅分布が定まった波。

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定常状態 steady state(BS)

持続する条件の下で一つの系が最終的に到達する状態をいう。

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定周波数帯型,定比周波数帯型

周波数分析

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点音源 point sound source(IEV 801)

一つの点から出るように音を放射する音源。

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電気音響変換器 electromechanical transducer

電気系からエネルギーを受けて音響系に供給する変換器。または音響系からエネルギーを受けて電気系に供給する変換器。

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電気機械変換器 electromechanical transducer

電気系からエネルギーを受けて機械系(力学系)に供給する変換器。または機械系(力学系)からエネルギーを受けて電気系に供給する変換器。

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伝達インピーダンス transfer impedance

単振動する機械系のある点の力と力の作用点でない点の速度との複素数比。電気系においては入力点でない点の圧力と入力点の電流(入力電流)との複素数比。

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伝達率 transmissibility

強制振動において励振振幅に対する応答振幅の無次元比。伝達率ともいう用語は力に対してだけでなく,変位,速度,加速度の無次元比に対しても用いられる(JIS B 0153-1975 1004)。

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伝搬定数 propagation coefficient(JIS Z 8202,ISO,31/Ⅱ,BS),propagation(BS,ANSI)

減衰定数をα,位相定数をβとしたとき,

γ=α+jβ(jは虚数単位)

をいう。単位はm-1

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動インピーダンス motional impedance

電気音響(機械)変換器において音響(機械)負荷をかけたときの入力の電気インピーダンスから制止インピーダンス(電気インピーダンス)を引いたベクトル差。電気インピーダンスである。

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等価騒音レベル A-weighted equivalent continuous sound pressure level(ISO/TC43,JIS Z 8731-1983)

騒音レベルが時間と共に変化する場合,測定時間内でこれと等しい平均2乗音圧を与える連続定常音の騒音レベル。単位はデシベル,単位記号はdB(騒音レベル注1参照)。量記号はLAeq ,γ,ただし,特に混同のおそれがない場合にはLAeq ,またはLeqで表示してもよい。量記号の添字T は測定時間であり,原則として連続的な測定を行う時間(実測時間という)を指す。また,断続した実測により長時間の代表値を求める場合のように,観測の対象としている総時間長(観測時間という)を指すこともある。例えば,実測時間10分間とした場合にはLAeq(10min),また,観測時間を午前9時から午後5時までの8時間とした場合にはLAeq(09~14),またはLAeq(8h)などと表示する。等価騒音レベルLAeq,γは

ここに,T :時刻t1に始まり時刻t2に終る実測時間
pAt):A特性音圧(A特性で重ね付けした音圧の実効値,単位はPa)
p0:基準音圧(20μPa)

騒音レベル

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透過率,透過損失

空気伝搬音に対する隔壁の遮音性能は,隔壁の片面に入射する音のパワーWiW)のうち,隔壁を透過して他方の側の半空間に放射される音のパワーWtW)の割合,すなわち(1)式のr の値で表わされる。r をその隔壁の透過率(transmission coefficient)という。

rWt Wi(1)

実用される隔壁の遮音材料・構造体のr は10-1~10-8の広範囲にわたるので,r の逆数の常用対数の10倍の値をもって,rの代りにその遮音性能を表わすことが多い。これを透過損失(sound reduction index,またはsound transmission loss)という。記号にはR またはTL が使われる。単位は〔dB〕である。

R(またはTL)=10 log10(1/r
=10 log(Wt / Wi )dB (2)

r 及びR の値は,同じ隔壁についても入射する音の周波数,入射角θ(隔壁面の法線方向と入射音の進行方向とのなす角)によって変化する。特定の入射角θの入射音に対するr またはRrθまたはRθで区別する。
遮音材料・構造体の透過損失を実験室または現場で測定する方法はISO/R 140またはJIS A1416-74(実験室での測定のみ)で規定されている。二つの残響室(Ⅰ)及び(Ⅱ)が測定試料の遮音材料・構造体を間仕切りとして相接し,音源を残響室(Ⅰ)におき動作させたときの両残響室内の定常状態の音圧レベルをそれぞれLL dBとする。もしいずれの音場も拡散していて,かつ残響室(Ⅰ)から(Ⅱ)への音の伝搬が測定試料面を通しての空気伝搬音だけで起るとすれば,測定試料の透過損失は次式で計算されるものである。

R(またはTL)≒LL+10 log10SA )dB (3)

ここにS(㎡)は測定試料の面積,A(㎡)は残響室(Ⅱ)の吸音力である。測定される透過損失は残響室(Ⅰ)で試料面に入射する音の強さがすべての方向で確率的に等しい場合のものである。ハンドブックその他に一般に発表されている遮音材料・構造体の透過損失資料はこの方法で測定されたものである。

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透過

固有音響抵抗

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桃色雑音(とうしょくざつおん)(ピンクノイズ)pink noise(JIS B 0153)

十分に広い周波数範囲全域で単位周波数帯域(1Hz幅の帯域)に含まれる成分の強さが,その帯域の中心周波数に逆比例している雑音。したがって,帯域幅と中心周波数との比が一定であるような周波数帯域に含まれる音の強さは,その帯域の中心周波数に関係なく一定になる。

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ドップラー効果 Doppler effeect

音源や観測者の両方または一方が動いていて,両者の間の距離が変化しているときに,音源の振動数が変って観測される現象で,距離が縮まっているときには振動数は多く観測され,距離が延びているときには振動数は少なく観測される。1842年にJ.Dopplerが二重星から来る光に関してはじめて見出し,続いて音の場合にもおこることを示した。 一番簡単な同一直線上を,音源はυs ,観測者はυoの速度で動く場合に,観測される振動数ν’は,音源の振動数をνとして

で与えられる。ただし,cは媒質が静止しているとしてその中の音の伝搬速度,υs ,υoは音源から観測者に向う方向を正とする。例えば,υs=0,即ち音源が静止し観測者が遠ざかっているときには,ν’<νo ,υo=0,即ち観測者が静止し音源が近づいているときには,ν’>νとなる。 この簡単な場合でも,Doppler効果は音源と観測者との相対速度だけで定まるものではない。音源と観測者の動く方向が一致しない場合,さらに媒質が動いている場合など複雑になる。実際にはそのうえに音源や観測者が動くことによって媒質が乱されるなどもあって厳密な取扱いはできない。
反射物から反射される音にもDoppler効果がおこり,水中音や超音波の応用に重要な役割を果している。
最後に,光の場合は光源などの運動で,媒質が乱されるというようなことはないが,相対論の取扱が必要である。

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聴力レベル hearing level

純音に対する聴力障害の程度を表わすための用語としてJIS T1201-1982オージオメータで新しく定められた。オージオメータの基準の最小可聴値としてISO 389-1975(純音オージオメータ校正用規準零レベルの標準値)に規定する値を零デシベルにとったときのある耳の最小可聴値を表わすレベルである。従来のオージオメータのJISでは昭和31年(1956年)に定めた基準値(その後昭和38年に一部追加)を零デシベルとして表わした最小可聴力値を聴力損失hearing lossと称していた。同じ耳を測定したとき周波数と受話器とにより聴力レベルの値は聴力損失の値より5dBから10dB程度大きくなる。聴力損失の値は法律等に広く使用されているし,現在使用されている旧JIS準拠のオージオメー タが新JISに適合するように改造されるまでは実際に測定されるのは聴力損失の値であるから,この両者の換算がJIS T1201-1982の附属書に規定してある。 なお,hearing levelは聞こえのレベルと訳されたこともあるが,今後は聴力レベルに統一されることになる。単位はデシベル(dB)。

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TNI2)

英国のBRS(Building Research Station)のGriffithsとLangdonは,1968年道路交通騒音の評価量としてL10L90を組合せた(L10-0.75 L90)が周辺住民との相関のよいことを明かにし,これを変形した4(L10L90)-L90-30 をTNI(Traffic Noise Index)としている。
TNIについてもその後,各方面の注目をあび評価量としての検討の対象になっているが,LNP同様必ずしもL10またはLeqなどに比べてすぐれた評価量であるという結論は得られていない。

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WECPNL(Weighted Equivalent Continuous PNL)

ECPNLは航空機によるある地点の騒音暴露量を示す尺度で,通常1日(24時間-86,400秒)の全航空機による暴露量を平均して等価レベルとしたものである。

EPNLは,飛翔した全機のEPNLの平均値(エネルギー的)である。
更に夕方(19.00~22.00)及び夜間(22.00~07.00)の時刻について,それぞれ+5 dB,+10 dBした場合これをWECPNLと呼ぶ。
なお近似的にジェット機の場合EPNL≒dB(A)+13となり,夕方5dBの加算はほぼエネルギーで3倍,夜間の10 dB加算は,10倍になるので

WECPNL≒dB(A)+10log10(N1+3N2+10N3)-27

N1N2N3 それぞれ日中,夕方,夜間の機数)として計算する。(航空機騒音の環境基準測定法)WECPNLは航空機騒音について,1日の暴露量の平均を表示する形をとるが,空港周辺は風向の関係で季節により,あるいは1日のうちでも時間によってコースが著しく異なる場合もある。また気温による航空機の上昇率の違い,騒音伝搬に及ぼす風の影響もあって,1日,2日の測定でWECPNLを算出しても必ずしも正確な値を示さない。WECPNLはもともと土地利用計画に用いる尺度であって,各機種について既に計測されている,エンジン出力 高度 EPNLの基礎データを用い,飛行スケジュール(行先別重量による上昇曲線,コース,時間帯)によって1年間について計算し,その1日平均値を示したものである。したがってある地点のWECPNLは原則として計算によって求めるもので実測によって求める際には各種の条件を含んだ十分多数の観測データから算出する必要がある。多数点,短日時の測定でWECPNLコンターを作成しようとする試みは徒労に終わることが多い。WECPNLコンターは空港周辺の土地利用のために,将来の騒音をあらかじめ計算して対策を行うために作成される場合と,機種と便数,飛行コースの変更に伴う騒音環境の優劣を判定するトレードオフを行う場合に算出される。今后各空港の将来計画に基いてWECPNLコンターが整備されると考えられるので,実測はコンターを検証するために行うことが望ましい。

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波先 wave front

ある瞬間において,媒質の中の(音)波が存在する部分と,ま だ(音)波が存在しない平衡状態の部分との間の境界面をつくる 連続した面。

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粘度 viscosity, 粘性係数 Coefficient of viscosity

粘性係数は国際単位系では粘度と呼ばれるようになったが,その 定義は運動している流体内に生ずる剪断ひずみηの時間的変化を表 わす剪断ひずみ速度

 (1)

と剪断応力q(N/㎡)との関係として表わされ,粘度は

 (2)

と表わされる。これは剪断運動に対する粘性抵抗を表わす係数であり,流体の密度ρ(kg/㎥)には無関係であるが,温度の上昇とと もに増大する。
粘性が実際に運動に及ぼす影響はμ′/ρの形となるので, James C. Maxwellはこれを動粘度(Kinematic Viscosity)(前 はKinematical Coefficient of Viscosity)と呼んだ。その単位 は〔㎡/s〕である。
剪断運動の場合に,粘性によって消費されるエネルギーは

 (3)

である。
剛平面壁の近傍を,この平面に平行に伝播する平面進行音波の粒 子速度は,壁表面から一定の距離δ0 の範囲で粘性の影響を受け, 壁表面に近づくにしたがって粒子速度が減少し,壁表面では粒子速 度が零になる。この距離は

 (4)

である。ここにω=2πν(rad/s)は音波の振動角速度,λ(m) は音波の波長,c(m/s)は伝播速度であり,空気中の音波で ν=250 Hzの場合にはδ≒0.08 mm程度となる。
したがって,δ と同程度の細い管の中では粘性の影響が著しく 優勢となる。細い管の半径をa(m)とすると,この中の音波の伝 播速度は広い大気中の伝播速度c(m/s)より減少して

 (5)

となり,波長も短縮されてλ′=2πc′/ω(m)となる。また細 い管内の音波の減衰定数は

 (6)

となる。
ただし,(5)において細管の半径がa<<δ/4πとなると音波の伝 播速度が非常に小さくなる。このことは,a<<δ/4πのような細 管内では,いわゆる毛細管内を流動する流体の形をとることになる。
このような原理を利用してaを非常に小さくしたのが多孔質吸音 材であって,このような材料の中では抵抗が著しく増大するので, 比較的厚さの少ない多孔質材料でもかなりの吸音効果が得られることになる。
毛細管のような極めて細い管内の流体の運動の場合には,流体抵 抗(Flow resistance)R(Pa・s/㎡)として表わされ,半径a(m) の円形断面毛細管の場合には

 (7)

長軸がa(m),短軸がb(m)の楕円毛細管の場合には

 (8)

間隔が2b(m)の平行平面で挟まれた狭い間隙の抵抗は

 (9)

と表わされる。
また半径aなる円形毛細管に圧力p(Pa)を加えたときに毛細管 から流出する流量(体積速度)は

 (10)

であり,圧力傾度に比例し,かつ半径の4乗に比例する。これは Poiseulleの法則であって,粘度μ′を測定する基礎となっている。

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線ひずみ linear strain, 伸び率 relative elongation

弾性体内の二点間の距離が伸びる(または縮む)変形で,元の 距離l0Δlだけ伸びてl0ΔlになったとするとeΔll0をいう。伸び elongation、extensionもこの意味に使われることもある。

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Noise Pollution Level : LNP

変動する騒音を表示する試みとして,英国のD.W.Lobinson はLNPを提案している。

LNPLeq+2.56σ

σは変動量の標準偏差である。あるいは近似的に

LNPLeq+(L10L90

とすることもできる。LNPLeqよりも人間の反応によく対応 するとされているが,現在まだ検討の段階である。

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倍音 harmonic

周期をもっている複合音は,基本音とその振動数(基本振動数, 基本周波数 fundamental frequency)の整数倍の振動数をもつ部分音とからなる。 この場合,基本音以外の部分音を倍音という。
基本振動数のn倍(nは整数)の振動数をもつ倍音を第n倍音という。

複合音

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媒質の特性インピーダンス characteristic impedance of a medium(ISO 31-3) ,characteristic impedance(BS,ANSI)

媒質の一点において平面進行波の音圧を粒子速度で割った複素数比。
記号 ZC,単位Pa・s/m(ISO 31-3)。エネルギー損失 がない媒質ではZC=ρc ,但しρは媒質の密度, c はその媒質の音の伝搬速度。

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媒質の吸収

自由空間の音場

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白色雑音(ホワイトノイズ)white noise

十分に広い周波数範囲全域で単位周波数帯域(1Hz幅の帯域) に含まれる成分の強さが,その帯域の中心周波数に関係なく一定である雑音。 継続時間が短い音(単独の)や不規則雑音は白色雑音である。(白色雑音は不規則雑音であるとは限らない。)

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波形 waveform(BS)

変動している量の値を独立変数(多くは時間)に対して図として表示した形。 普通は直角座標軸についていう。 その量によって振動波形,音圧波形などと使用される。

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波高率 crest factor peak-to-rms ratio

波の最大値と実効値との比。

Pm /Peff

正弦波では√2=1.414,三角波では√3=1.732,半波整流波では2。
IECの騒音計規格案では波高率によって複合音特性の誤差が規定されている。

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波長 wavelength

周期をもった波の一周期だけ位相が異なる二つの波面間の垂直距離。記号λ。

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波面 wave front

周期をもつ進行(音)波のある時刻の波面は,変動が同位相である点を連ねる連続面。wave surfaceおよび等位相面(同義語)は音響標準用語集(昭和16年)に見えるが, その後の標準的用語集にはwave surfaceは見あたらない。
但し教科書的な本(英文の)には見かけることがある。

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波面の広がり

自由空間の音場

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ばねの強さ stiiffness

弾力定数

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腹 antinode(BS,ANSI),loop(ANSI)

定常波の音場において,例えば音圧あるいは粒子速度などの振幅が最大となる点, 線あるいは面,音圧の腹などのようにその量の名称をつけていう。

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パワーレベル

音源の出力

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パワースペクトル power spectrum,spectral density(BS),spectrum density(power spectrum)(ANSI)

振動する量の二乗平均値を振動数成分の分布として表わしたもの。振動量y (t)のパワースペクトルG(f)は,

で与えられる。f は振動数で正の数である。

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反響 Echo

直接音とはっきり分離して聞こえる反射音。直接音と約1/20秒以上の時間の遅れがあるときに反響を感じるという。室内の音の場合,この遅れの時間,反射音の強さなどによりその程度は異なるが,反響があると音質が損なわれる。

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反共振 anti-resonance(BS)antiresonance(ANSI)

一定の大きさの正弦的励振による応答が特別な振動数(反共振 振動数 anti-resonance frequency(BS))で最小となる現象。

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バンド音圧レベル band pressure level

規定された周波数帯域に含まれる音の音圧レベル。

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ピーク音圧 peak sound pressure(ANSI)

ある時間の間での瞬時音圧の絶対値の最大値。

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比音響インピーダンス specific acoustic impedance

音場内の一点の音圧p(Pa)と,その点の粒子速度ξ(m/s) との比

を音場のその点の比音響インピーダンス,|ZA|をその大きさ,φ をその位相角,RAを比音響抵抗,XAを 比音響リアクタンスという。 別項で解説の音響インピーダンスとこの比音響インピーダンスとは定義が 異なるために,同一音場に対して異なる数値を呈するから混乱を生 ずる恐れがある。よって一つの理論大系や論文の中に両者を混用す ることは避けて,いずれか一方に統一して使用することが肝要である。
比音響インピーダンスを英語でunit area acoustic impedance (単位面積音響インピーダンス)と呼ぶことがあるが,この意味は 物理的にはっきりしない。単位から見ると,前記の音響インピーダ ンス(Pa・s/m3)のほうが,比音響インピーダンスの単位面積の 値〔(Pa・s/m3)/㎡〕となっている。よって,この呼び方は使用 しない方がよい。
また,比音響インピーダンスは別項で解説している機械インピーダンス (N・s/m)の単位面積あたりの値(Pa・s/m)=(N・s/m3)= 〔(N・s/m)/㎡〕となっている。

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比音響インピーダンス比 specific acoustic impedance ratio

比音響インピーダンスと音響特性インピーダンスとの比

を比音響インピーダンス比といい,単位系に無関係で,音場に固有 の数値となる。rA を比音響抵抗比, xAを 比音響リアクタンス比という。

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比騒音レベル (Specific noise level)

最高効率点で運転した時の風量をQ m3/min,全圧力をPTmmAq ,JIS規定点の騒音レベルをLA dB(A)とした時に式(1)によって関係づけられLSA を比騒音レベルという。

LSALA -10 log10 QPT2 (1)

比騒音レベルの値は送風機の種類によってはほぼ固有の値を有し、圧力、回転数などには関係8しない値である、したがって 比騒音レベルがわかれば、送風機騒音を計画時に予測委できる。ただし、比騒音レベルは製造業者によって差異があるから、文献などの比騒音レベルから予測するのは目安程度に過ぎない。

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非調和成分 non-harmonic,components

ある音の成分のうち調和成分でない成分(JIS Z 8106)。

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表面波 surface wave

広い弾性体媒質の表面または二つの媒質の境界面に沿って伝わり,弾性体内部にはほとんど侵入しない波。レイリー波,ラブ波 などがこれである。実体波のS波より伝搬速度がやや遅く,S波 に続いて到達する。
一番大きい振幅を示し,また地表面に沿っての減衰は一番小さく遠方にまで届く波である。実体波のP波,S波に対しL波ということもある。

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ピンク雑音

雑音

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P波 P waves

地震波の実体波のうち縦波(体積変化の波)をいう。地震波の中で一番伝搬速度が速い。

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PNL(Perceived Noise Level)とdB(D)

音の大きさの尺度としてLoudness Level(音の大きさのレベル) 騒音レベルなどがあるが,Kryterは騒音のさわがしさを評価するとき, 新しい尺度としてPNLを提案した。 これは1kHzを中心周波数とする帯域白色雑音を基準として, 騒音のさわがしさを表示する尺度で, 主として航空機騒音の測定に使われている。 PNLは原則として1/3オクターブ分析した結果からそれぞれのバンドのnoy数 を求めて次式によって騒音のPNLを算出する。単位PN dB

ここでnmax は各帯域のnoy数の最大値である。
航空機の通過音のように時間的に大きさとともにスペクトルが変 化する場合は,同一時刻における各バンドの成分からPNLを計算する必要がある。また測定を簡便にするため騒音計のA特性に準拠してD特性を騒音計に組込む作業が,IEC(国際電気標準委員会)で行われている。これはdB(D)と表示され,航空機騒音の モニターに用いられる。
ただし PNL≒dB(D)+7 である。

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p-p値(JIS B0153)prak to prak value

ひずみ波の正の側の波高値と負の側の波高値の和。

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PSILとSIL

騒音があると会話がしにくくなるのは,会話音が騒音によって マスクされ,その一部の音が聞こえなくなったり小さくなるため である。正常の人が騒音があるところでどのくらいの距離まで離 れていても日常の会話が可能であるかということは生活に大事な ことである。PSIL(prefered speech interference level)やSIL(speech interference level)はその目安を与えるためのレベルで,PSILはその騒音の500Hz、1,000Hz、2,000Hzをそれぞれ中心周波数とするオクターブバンドのバンド音圧レベルの算術平均値である。
PSILが40 dBであると,向かい合った状態で男子の 普通の声での会話可能距離は7mであり,PSILが6 dB上昇するごとに距離は半減し,大声では距離が倍になるというような関係 になる。同じ距離でも女子の場合は男子に比してPSILが5 dB低 いことが必要である。通常の屋内騒音ではその場所の騒音レベル LAdBから7dBを引いた値をPSILの代用とすることができる。
SILは以前主として米国で使用されたオクターブ・フィルタ で中心周波数が420 Hz,850 Hz及び1700 Hzの3つの帯域のバ ンド音圧レベルの算術平均値をとったものであるが,フィルタの遮断周波数が変ったため今は使われない。SILの値に3dB加えた 値をPSILとする換算式がある。なお最近ではPSILのことをSILとする例もある。

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フィルタ wave filter

ろ波器ともいう。一つあるいはそれ以上の周波数帯域内の各周波数のエネルギーを通し,それ以外の周波数のエネルギーを減衰させる装置。エネルギーを通過させる周波数帯域を通過帯域,減衰させる周波数帯域を減衰帯域という。

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負荷時インピーダンス loaded impedance

出力側に負荷をつないだときの入力側から見たインピーダンス。
備考:負荷時駆動点機械インピーダンスとか変換器の負荷時(電気)インピーダンスのようにいう。(JIS B 0153)

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不規則雑音 random noise(JIS B 0153)

任意の時刻における大きさが正確に予知できない雑音。

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複合音,楽音,倍音,上音

広義に複合音といえば純音(正弦波の音)以外のすべての音の意 味で,おおよそ世の中に自然にある音は複合音でないものはない と考えてよい。しかし狭義には複数個の純音の重畳したものを考 えることが多い。そして後者の内で重畳しているすべての純音が 整数倍の関係にある場合が周期的複合音であり,これが楽音である。
周期的複合音すなわち楽音では波形を描かせると,正確に繰返 すもので,この繰返しのサイクルが音の場合は基本音であり,基 本音以外をその倍音と呼ぶ。音の場合を含んで一般的には基本波 と高調波と呼び,基本波と高調波を併せて調波と言うこともある。
倍音または高調波には番号がつけられており,第1倍音,第2 倍音等と言う。基本波の,何倍かを表わすので第1倍音はすなわ ち基本音であり,第2倍音は基本音の2倍,第3倍音は3倍の周 波数である。
次に部分音が倍音関係にあるものだけでない場合,この時は最 低の周波数を基本音とし,その他は順次第1上音,第2上音という。楽音であれば基本音すなわち第1倍音であり,第2倍音が第 1上音,第3倍音が第2上音ということになる。

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節 node

定常波において音場を特徴づける量,例えば音圧あるいは粒子 速度などの振幅が零または極小となる点,線あるいは面,その量によって音圧の節とか粒子速度の節などのようにいう。

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不足減衰 under damping(JIS B 0153)

減衰比が1より小さな減衰。

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部分音 partial(BS,ANSI),partial tone(JIS Z 8106)

複合音を構成する各純音。

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フラックス flux

フラックスという語は静電界や静磁界における電力線とか磁力線, 光学における光束,あるいは音響学におけるエネルギー束(energy flux)という概念で一般に親しまれているが,何かピンとこない感じを持っている人が多いのではないかと思われる。
fluxは日本語では束(そく)と訳される場合が多いようだが,元 来fluxは流体力学で使われていた語である。流体の流れの中の1点 の周囲に微少面積da(㎡)をつくり,その法線を n とし,その点の 流体の速度ベクトルをV(m/s),Vとnのなす角をθ(rad)とすると,daを貫いて流出する流量はV・n da=Vcosθda(m3/s)となる。ここにVはベクトル Vの大きさである。この流量は微少 面積daを底としこの面に垂直に長さVcosθ(m3)の体積が毎秒 流出することを示していて,これをdaを通るfluxと定義する。し たがって単位は(m3/s)であり,音響学でいう体積速度である。 したがって,音響学ではfluxは体積速度(m3/s)と訳すのが妥当 である。
流体の流れている領域の中の一部を閉じた曲面 S で囲み,その外 向法線を正方向とすると,流体がこの曲面で囲まれた領域に流入す る部分ではθが90~180°の範囲の値を取るので V cosθは負の値を取り,流体がこの曲面から流出する範囲では V cosθは正の値を 取る。したがって,S で囲まれた領域内に流体の噴出口(正の源泉)や吸入口(負の源泉)がない場合には,閉曲面を出入する流量の総和は零となる。すなわち全フラックスは,

もしも噴出口があればΦ>0,吸入口があればΦ<0となり,全 フラックスΦ(m3/sは源泉の強さを表す。この概念が光源とか 電荷または磁荷からその強さに応じたfluxが出るという考え方を導いた。
一方、cgs単位系の電気磁気学や光学では単位の強さの源泉から 4π本のfluxが放出されると仮定して理論体系を組み立てていたが,この考え方が不合理である事を1891年にHeavisideが指摘し,このような単位系を非合理単位系と呼ぶことになった。現代用いられている国際単位系(SI単位)では合理化単位系が採用されているので,単位の強さの源泉から1本のfluxが出ると定義されることになった。たとえば音源の強さQ(m3/s)の点音源から四方に一様に放射 されるflux(体積速度)はQ(m3/s)であり,点音源を中心とす る半径 r(m)の球面上の微少面積da(㎡)を貫通するfluxはQ da/4πr2(m3/s)となる。同様に Q(C)の点電荷から放射される 電力線も Q(C)となる。磁力線の場合は,現在は点磁荷の存在が考えられず,磁気双極が単位と考えられているので,磁気双極を代 表する電流環を磁界の源泉と考えて、これによって生ずる磁束(Wb)を 磁力線と考えている。

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平均聴力損失

周波数を規定しないで聴力損失という場合、幾つかの周波数,例えば500 Hz,1,000 Hz,2,000 Hzにおける聴力損失に重みをかけて平均した値(平均聴力損失)が使われる。我が国では500 Hz,1,000 Hz,2,000 Hzの聴力損失をそれぞれa dB,b dB,c dBとするとき(a+2 b+c)/4 dB を聴力損失とすることが多い。この方法は4分法ともいい,労働者災害保障保健法その他に使われている。ISO R1999-1971その他ではa,b,cを上と同じ意味として(a+b+c)/3 dB をとっている。
なお前回には述べなかったが,聴力損失にはそのままの意味の対応外国語はない。かつてその意味で用いられたHearing lossは今では米国(ANSI S.3 20-1971)でも聴覚障害の意味になっている。聞こえのレベルの対応英語にHearing levelである。

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平面波 plane wave

どこでも波面が伝搬方向に垂直な平行平面である波。広い空間 では実在しないが,音源から十分離れた場所では球面波は平面波に近づく。一様な太さの管の中では波長が太さに比して大きい音波(例えば円管では波長が直径の2倍以上)は平面波である。

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ヘルムホルツの共鳴器 Helmholtz Resonator

薬ビンのような,やや大きい容積を持った胴に,それよりも細くて短かい管(首という)が付いた形状をもつ共鳴器。本来の形は耳に当ててその中の共鳴音を聞くために耳に挿入できるような小さい管が首と反対側にある。
この共鳴器の固有振動数νHzは,胴の容積 vm3・首の断面積S㎡・首の長さlmによって,

で与えられる。ここにcは音の速さ(m/s),Δlは首の部分の開口端の補正で,首の部分が半径aの管であるとΔl=1.5a~1.7a程度の量である。これからも分かるとおり,首の部分がなく(l=0)て,箱の側面に穴を明けたようなものもこの共鳴器と同じ働きをする。なお,この式が成り立つためには,Sは胴の部分も管として,その断面積の四分の一以下位でなければならない。
共鳴器はその固有振動数の音をよく吸収するし,その音の波長に比べて小形になることなどから、現在では,この共鳴器は低い周波数の音の吸音器として広く使われている。
また,この種の共鳴をHelmholtzの共鳴ともいう。

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変換器 transducer

一つの系からエネルギーを受け,同種または異種のエネルギーとしてこれを他の系に供給し,入力側エネルギーのもつ必要な特徴が出力側に伝わるようにした装置。通常入力端子対と出力端子 対を備えた二端子対回路で表わされる。(JIS Z 8107)

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変換器の感度 sensitivity(of a transducer)

変換器の出力量と入力量との比。感度は,入力量や出力量として選定する量の種類によって異なるものとなるからそれらを明示 する必要がある。

〔備考〕

  1. 変換器の感度は通常正弦波入力による。したがって 周波数の関数である。
  2. 感度レベルの意味に使うこともある。
  3. 変換器の感度は,天秤などの計測器のいわゆる感度, 特に,一定の観測条件のもとで検知し得る最小の測定量, 若しくは測定量の最小の変化量の大きさなどで表わすも の――感度限界(JIS Z 8103)――とは異なる。

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変形 deformation,ひずみ strain

物体に働く力や温度が変わると物体の形が変化する。形の変化 には体積の変化も含まれる。力が働く場合に,力が元の状態に戻 ると形も元に戻る場合と戻らない場合に分けられるが,音や振動 に関係するのは元に戻る変形で弾性変形,弾性ひずみelastic strainといい,そのような性質を弾性elasticity,弾性をもつものを弾性体elastic bodyという(特に固体についていうことが 多い)。
なお,変形やひずみという用語は物体全体としての形が変わる ことの他に,単位にとった長さや体積などについての変形(ひず み)の意味にも多く使用されている(その場合は無次元量である)。

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放射インピーダンス radiation impedance

媒質に接して振動している面(放射面や受音面)が媒質の中に音波を放射するために,媒質が振動面に対して示す機械インピーダンス。振動面が媒質に加える力(振動面上の音圧の積分に等 しい)を振動面の平均速度で割った複素数比で表わされる。また, 放射インピーダンスは音波を放射しているときの振動面の機械インピーダンスと音波を放射していないときの機械インピーダンスのベクトル差,あるいは振動面の負荷インピーダンスとなる。この用語は,ANSI,BS,IEV 08およびISO 31-7には見当たらない。

放射インピーダンスと固有音響抵抗,小さい音源,大きい音源
音を出している物体がある場合,各振動面について音響放射イ ンピーダンスを考える。ある面について,その面上の平均音圧とその面の振動速度との比を放射インピーダンスという。これはその面が音を出すための反作用であり,抵抗である。面が小さくなって,振動はしてもまわりの空気がすぐ横に逃げたりして抵抗しなくなると,「のれんに腕おし」の状態で,運動が仕事にならず,振動が音にならない。(音以外の抵抗は考えない。) さて放射インピーダンスは一般には複素数で表示できるもので,(r+jx)の形をとる。実数部rと虚数部xである。これは上記の音圧と振動速度の位相にずれがあることを示し,全く同位相であ ればx=0となる。面積S の面が震動速度Vの震動をしている時の音響出力Wは

WrVS

である。

ここで極端に小さい音源と十分に大きい音源を考えてみる。大きいとか小さいとかいうのは,波動現象においてはその考えている波の波長入をものさしとして考えるべきことはいうまでもない。
さて,まず小さい場合である。直径の小さい円板,幅の小さい振 動板,いづれでもよい。この時は上記の実数部rが急激に小さくなるものでその上Sも小さいので音の出力は特に小さいのである。絃楽器で絃と胴をくらべると絃の方が大きく振動しているが絃からは音を出していない。放射インピーダンス,特にその実数部が小さい上にSも小さいからである。上記と逆に面の寸法が波長をものさしにして大きい(同じ程度 でもよい)場合はrもxも大きくなるものであり,波長に較べて十分大きくなると実数部のrはその媒質のρcに近づき,虚数部xは再び0に近づく。音響出力は

WρcVS

となる。

xが0に近づくということは振動速度と音圧とが同位相になることを示し,放射インピーダンスは実数になることである。ρcは固有音響抵抗と呼ばれる量である。すなわち平面波の一点の音圧Pと粒子速度vとの間にp=ρcvの関係があり,振動面の振動速度Vと面上の音圧pがp=ρcVとなり全く同じ量関係を示すことになる。

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放射抵抗 radiation resistance

放射インピーダンスの実数部。振動面の振動速度振幅の自乗と の積の1/2がその面の音響出力,すなわち,その面が単位時間に放射する音のエネルギーに等しい。

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放射リアクタンス radiation reactance

放射インピーダンスの虚数部。これを振動の角振動数で割ったものはその振動面の付加質量に等しい。

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補正音圧レベル,騒音レベル dB(A),dB(B),dB(C)など

音圧レベルでは基準値は周波数に無関係に2×10-5〔Pa〕なる一定値がとられている。純粋に物理的な強さを表わす量である。これに対し基準値かまたは測定値かのいずれかに,例えば感 覚特性などの周波数補正をしたものを補正音圧レベル(weighted sound pressure level)と言う。騒音に対してはA,B,Cなどの補正音圧レベルがISOやIECで定義されている。
上の補正音圧レベルのうち,A特性で補正したものを日本では騒音レベルと定義している。これが騒音の計量単位であり,精密騒音計,普通騒音計の新しいJIS(C-1505,C-1502)ではこの点が明確にされた。
騒音レベルの単位は計量法ではホンで,記号はdBであるが, 騒音計のJISでは「デシベル(またはホン)で表わし,単位記号 はdBとする。」とはっきりdB優先を明確にした。
なおdB(A)またはdBAなどの表示を使えば特に騒音レベルとことわらなくてもよいことになる。補正音圧レベルdB(B)は殆ど使われることがないし,dB(C)は音圧レベルの代用として使われる。

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マスキング

ある音の最小可聴値が同時にある他の音のために上昇すること である。そのときの域値の上昇量をデシベルで表わしたものもマ スキング(あるいはマスキング量)という。例えば,うるさい場 所で小さい音が聞こえなくなったり,会話音が聞きづらくなった りすることである。なおマスキング(masking)には域値上昇に 伴って聞こえなくならないまでも音が小さく聞こえることも含ま れる。域値の上昇が問題になる音Aをマスクされる音(masked soundあるいはmaskee),これを引きおこす音Bをマスクする音 あるいは マスキング音 (masking soundあるいはmasker) といい,BがAをマスクするという。

この現象はマスクされる音,マスクする音それぞれが,純音, 広帯域雑音,狭帯域雑音,会話音,衝撃音など種々の音であり得 るから,その組み合わせにより生じるマスキングの有様もいろい ろである。更に医学的見地からも,同一の耳にマスクされる音A とマスクする音Bとが与えられた場合(これは普通にいうマスキ ングに同じと考えてよい),AとBとが別々の耳に与えられる 場合,一方が骨導音である場合などがある。

以下同じ耳に両方の音が与えられるときのマスキングについて 簡単に説明する。純音が純音をマスクするとき,マスクする音の 周波数に近い音ほどよくマスクされるが,2つの音の間でうなり が感じられるようになるとマスキングは減少する。マスクする音 の音圧レベルが上るとその近くの周波数の音のマスキングもほぼ 同じ程度大きくなるが,周波数が少ない側の音のマスキングはそ れほど増加しないのに,周波数が多い側の音のマスキングはかえ って増加が著しいことがある。したがって一般にマスクする音よ り周波数が少ない範囲よりも多い範囲の音がマスクされやすいこ とになる。

極めて帯域幅の狭い周波数範囲にいくつかの純音がある場合や, その範囲に連続したスペクトルをもつ狭帯域雑音は,その帯域の 中心周波数にあって,その複合音あるいは狭帯域雑音と同じ音圧 をもつ純音によるマスキングとほとんど同じである。しかしこの 場合はうなりの現象がないので中心周波数付近のマスキングはそ の周波数の純音によるマスキングよりもずっと大きい。(注 帯域 の中心周波数fcは帯域の両端の遮断周波数f1f2のときfc= √f1f2 ,帯域幅はf2f1としてf2f1

スペクトル音圧レベルが一様な広帯域雑音(白色雑音)は広い周波数範囲の純音をマスクするが,最小可聴値のレベルが低い2kHz~4kHz付近のマスキングが一番大きく,可聴周波数の上限や下限に近づくとマスキングは減少する。周波数が少ない範囲でのマスキングは雑音のレベルが低いときには小さい。極めて特徴的なのは,そのような広帯域雑音があるとマスキングの影響を受けた純音の最小可聴値が周波数によらず一定値に近くなることであり,雑音のレベルが上昇すればマスキングもほぼ同じだけ上昇する。ただし,広帯域雑音の音圧レベルでいうと同じ音圧レベルの雑音に比してマ スキングは少ない。これは周波数が離れたところの成分はマスキ ングにほとんど寄与しないからと考えられる。どのくらいの周波 数範囲の成分がマスキングに寄与するのかはあまり明確ではない が,その帯域をマスキングの臨海帯域(critical band for masking) という。

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無指向性 nondirectional 全指向性 omnidirectional

すべての方向に一様に音を放射する音源および音の入射方向に よって感度が変化しない受音器の指向性を表わす語で,昔は無指 向性といっていたが,近時全指向性というようになった。この場合は,指向係数も指向特性も1である。

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鳴龍 Flutter Echo

向かい合った平行な二つの反射面の間で音を出すと,反射面の間に繰り返して反射がおこり,独特の音が聞こえる現象で,この音は二つの面の間の固有振動が励起されたものである。

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明瞭度 articulation,persent articulation

送話者や受聴者までを含めた全通話系の特性を表す量の一つである。送られた試験用の無意味な音節(または単音)の総数のうち、正しく聞き取れた無意味な音節(または単音)の割合を百分率で表したものであって、無意味な音節を用いた場合には音節明瞭度 syllable articulation、単語を用いた場合には単音明瞭度sound articulationという。 また、正しく聞き取れた母音あるいは子音の数の割合を百分率で表すこともあり、それぞれ、母音明瞭度(ぼいんめいりょうど)vowel articulation、子音明瞭度(しいんめいりょうど)consonant articulationという。

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山彦 Echo

谷を隔てた向うの山,湾をはさむ対岸などからのはっきりした反響をいう。

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縦弾性係数,ヤング率 modulus of elasticity,Young modulus

ある面の法線応力σと法線方向の線ひずみe との比

E=σ/e

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横感度 transverse sensitivity,cross sensitivity

受感軸に直角な任意方向の励振に対する感度。これは励振の方向の関数である。

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横感度比 transverse sensitivity ratio

横感度と受感軸方向の感度と比。

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横弾性係数,剛性率 shear modulus,modulus of rigidity

ずれ応力τとずれγ との比

G =τ/γ

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横波 transverse wave(ANSI,BS),shear wave,rotational wave(BS)

弾性体内部の波の場合,粒子変位がその伝搬方向に垂直である波。この波は体積変化を伴わない変形の波である。細い棒や張力 をかけて張った絃を伝わる波のように粒子変位がその長さの方向(波の伝搬方向)に主として垂直である場合にも横波という。

地中を伝搬する波

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呼び遮断周波数 nominal cut-off frequency(JIS Z 8107)

フィルタなどにおいて,そのレスポンスが最大値より3dB低くなる周波数。

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ランダム入射感度 random-insidence sensitivity,random sensitivity

マイクロホンのすべての入射角に対する自由音場感度の二乗平均値の平方根。

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リサジューの図形 Lissajous’ figure

互いに垂直な二つの直線上におこっている単振動の合成によって生じる振動の軌跡は,その二つの単振動の振動数の比が整数比のときに定常的な図形となる。この定常的な図形をリサジューの図形という。ただし,この図形は振動数の比が同じであっても,それぞれの単振動の初相*initial phaseの違いによって異なった図形になる。

*注 単振動をχ=χmsin(ωt+ψ)としたときのψをいう。

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粒子 particle

弾性体媒質の極めて極小な,しかし十分多くの分子等を含むような部分。音の波長に比べれば十分小さく分子の大きさに比べれば十分大きい。

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(瞬時)粒子加速度 (instantaneous)particle acceleration

瞬時粒子速度の時間微分。特に断らない限り粒子加速度は瞬時 粒子加速度の実効値。記号a

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(瞬時)粒子速度(instantaneous)particle velocity

瞬時粒子変位の時間微分。特に断らない限り粒子速度は瞬時粒子速度の実効値。 記号 uvw

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(瞬時)粒子変位 (instantaneous)particle displacement

弾性体媒質粒子の音波によるある瞬間の変位(ベクトル)。特に断らない限り粒子変位は与えられた期間についてとった瞬時粒子変位の実効値。記号ξ。

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了解度 intelligibility、perscent intelligibility了解度 intelligibility、perscent intelligibility

明瞭度試験の場合の無意味な音節などのかわりに、意味がある単語や文章について、、正しく聞き取れたものの割合を百分率で表したもの。単語の場合には単語了解度word intelligibility、文章の場合には文章了解度sentence intelligibilityという。

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両指向性 bidirectional

互に180°の開きをもつ両方向(主軸方向)に対して大きい値を持ち,かつその値が互に逆位相であって,これと直角な方向に 対して0に近い値を示すような指向性をいう。 主軸の一方から測った任意方向と主軸とのなす角をθとすると, この方向の指向特性はcosθで表わされ,その指向係数は3となる。なおθ方向に関する指向係数は3 cos2θである。 バッフル板に装着されたスピーカーの放射特性やリボン型ベロシティマイクロホンの指向性はこれに近いものである。

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臨界抵抗係数,臨界抵抗 critical resistance 臨界減衰係数 critical damping coefficient(BS,JIS B 0153)

粘性減衰係数において運動が振動的となるか非振動的となるか の境界値。1自由度の振動系の運動方程式 mχ・・+rχ+sχ=0の場合, 臨界抵抗 rcは,

 (2)

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臨界帯域 Critical Band

ある周波数についての音の大きさの臨界帯域(critical band for loudness)は,その周波数を中心とする周波数帯域に連続的に分 布した音の大きさが,それより狭い帯域に連続的に分布する音圧 レベルが等しい音と同じであるが,それより広い帯域に分布し音 圧レベルが等しい音より小さく感じる帯域である。500 Hz以下の 周波数では臨界帯域幅は約100 Hzで一定,500 Hzから上ではし だいに幅が広くなるが,2000 Hz以上ではほぼ1/4オクターブ の帯域幅となる。 この帯域は,連続スペクトルの雑音がその中心周波数の純音を マスクするときにもその状態が変わる一つの特異な帯域であると もいわれているが,普通の場合にマスキングの臨界帯域(critical band for masking)というのはフレッチャー(H. Fletcher)が1940 年に出した仮説で,スペクトルレベルIS dBの広 帯域雑音が周波数νHzの純音をちょうどマスクするとき,純音の強さ のレベルIνdBは,

IνIS+10 log10Δν

であるとし,Δνをその周波数における臨界帯域幅とした。いい 換えると,ちょうどマスクされる純音の強さと臨界帯域幅の雑音の強さが等しい。あるいは,スペクトル音圧レベル一定の雑音の帯域幅を周波数νHzの純音を中心として広げると,そのバンド音圧レベルは上昇し,νHzの純音に対するマスキングも増大するが,帯域幅が臨界帯域幅以上になると音圧レベルは上昇してもマスキングは増加しないことになる。上の式からも分かるとおり,10 log10Δνはスペクトルレベル0dBの広帯域雑音があるときの最小可聴値に等しくなる。この値は500 Hzくらいから上の周波 数では音の大きさの臨界帯域幅の約1/4の帯域幅となる。したがって,このフレッチャーの臨界帯域を臨界SN比(critical masking ratio,critical ratio)ともいう。

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励振,加振 stimulus 刺激 excitation

系に作用する入力または外力。力学系(機械系)の振動の場合にその原因となる外力を加振力という。

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地中を伝搬する波,縦波,横波,レーリー波

気体中では波動の原因になる復元力が体積弾性しかないから縦波しかおこらない。液体の場合はその表面で重力及び表面張力を復元力として普通の波ができる。これは横波である。 固体の中では体積弾性のほかにシャーの弾性(引きちぎるこ とへの抵抗)があるので縦波も横波も発生するのであるが,そ の他に固体の境界面で別の形の波が起り得る。その中で固体と気体,例えば空気に接する地表面のような所に発生する波がレーリー波と呼ばれるものである。
そして,これらの波の伝搬速度はそれぞれ別であって,縦波が最も早く,横波が大体その半分以下であり,レーリー波は更に横波より10~20%速度がおそい。地震の場合初期微動と呼ばれ,P波とも言うのが縦波であり,続いて一般には低周波で大 きい振動のS波と呼ばれる横波が来る。P波S波は共に球面波的に拡がるのに対し,レーリー波は振動源の近くで地表面を円 筒波的に伝わる波で,音源の近くでは最も強いもので振動公害 では無視できない波である。

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連続スペクトル continuous spectrum

成分がある周波数範囲にわたって連続的に分布しているスペクトル。継続時間が短い音(単独の)や変化している音などは連続スペクトルである。

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振動系の減衰に関する諸定数:対数減衰率,減衰比,Q,ロスファクターなど

空気その他媒質中の波動の伝搬に伴う減衰に関しては前回の用 語解説で一応解説した。ここでは機械系,電気系や音響系につい て定義されている減衰に関する諸量について述べる。類似のまた は極めて関係の深い量が,応用物理,機械工学,電気工学などの 分野ごとに別々に慣用され,これを引用した文献などで混乱して 使われていることが多いので,現在主に使われているものに限って相互の関係などを考える。 簡単のため集中定数的部分よりなる1自由度の振動系について 考える。抵抗分は速度(または電流)に比例するとして,一般式が機械系について次式によるものとする。

 (1)

ここにx は変位,F は外力, m は質量,c は抵抗(減衰係数), k はばね定数である。以下主としてc/2m =ε,km=ω02 で考える。この系の固有振動数(共振周波数) f0をとおくと ω0=2πf0である。 まずx またはdxdt の初期条件だけを考え,その後に周期的な外力はない場合,いわゆる自由減衰振動から考える。F =0の 場合である。減衰する振動の次々の振幅(同じむきのピーク値)の比の自然対数を対数減衰率(対数減幅率ともいう)といいΔで 記号する。このΔmk 及びc との間に

 (2)

の関係があるもので,c=0ではΔ=0で減衰しない持続振動になる。 (2)式はω02s の範囲で成り立つのであるが,一般に振動しながら減衰する場合は常に成立する。 次にε=ω0の場合がクリチカルダンピングの状態で,周期的外力がなければ振動しないのでアペリオディックな減衰をする場合である。 このときの抵抗をとc′おいて一般の系の減衰の程度を示すのに,次式で定義される減衰比ζが多く使われる。であるので,

 (3)

となり,式(2),(3)から次の関係が得られる。

 (4)

次に強制振動の場合,すなわち(1)式の外力F が任意の周波数f をもつ周期的な外力の場合で,このf を変化した場合, f がこの系の共振周波数f0の附近で描く共振の尖鋭さ, 共振特性の幅の狭さを示すのにQ なる量が使われる。quality factorの略で あるが単にQ と呼ぶことが多い。Q は共振周波数f0(またはω0)の前後にエネルギーで半分(速度,電流などで1/√2 ) になる周波数をf1f2 として,f2f1 (またはω2-ω1)を半値幅といい,

 (5)

で定義される。
Q は共振特性の尖鋭さを示すと同時に,共振時における拡大度を示す量でもある。例えばある電気回路の中でインダクタンスL またはキャパシチーC のみであるところに,LCCLを並列に入れ共振させると, 両端の電圧はQ 倍に拡大,上昇するのである。 以上の対数減衰率Δ ,減衰比ζとQ の間には一般には

 (6)

の関係があるもので,Q の代りに共振の尖鋭度を示すのにζを使う場合もある。更に原式の定数を用いて書きなおすと

 (7)

ともおける。

電気回路部品に多く使われるロスファクターηまたはロスアングルφというものがある。例えばあるコイルのロスファクター,ロスアングルという場合,そのインダクタンスをL,抵抗をrとして

 (8)

である。 共振周波数ω0以外のところでも r/ωLをロスファクターとして使うこともある。 コンデンサーに抵抗r があれば,そのロスファクターは r ω0Cとなる。
電気系,機械系の等価性を利用して考えると, 一般式としてはロスファクター,ロスアングルはΔQ

 (9)

の関係があり,ロスファクターはQ の逆数である。

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