公益社団法人 日本騒音制御工学会

Q&A

振動レベル計のピックアップの設置について注意すべき点などを教えてください。

JIS C 1510 に準拠した振動レベル計のピックアップは,コンクリートやアスファルトなどの地面,フローリング床などの硬い面に設置することを前提に作られたものがほとんどである。そのような硬い面では,できるだけ凸凹の無い平らな面を選び,ピックアップにガタツキが無いか,傾いていないか,あるいはコードに引っ張られて浮きが生じていないかなど,計測対象面にしっかりと設置されていることを確認する必要がある。 一方,表面が土や砂利敷きなどの地面,畳や絨毯敷などの床面では,設置共振と呼ばれる現象が生じる。設置共振とは,柔らかい土や畳,絨毯がばねとなり,ピックアップが質量となるほぼ 1 自由度の共振系が形成されることによる共振現象(振動増幅および減衰)である。

まず初めに,土の表面にピックアップを設置した時の鉛直方向の共振現象を図−1 に示す。何もせず,直にピックアップを設置した場合(A : 直置き)では,約 55 Hz に共振のピーク(共振点 : 約 17 dB)が見られる。仮に,55 Hz の正弦振動を直置きで計測すると実際よりも 17 dB 大きな値となる。JIS Z8735「振動レベルの測定方法」では,表面を十分に踏み固めることとしているが,設置共振の影響を完全に取り除けるとは限らない(B : 踏み固め)。そこで,地中に打ち込んだ長さ 30 cm の杭で固定された金属板にピックアップを設置する方法(D : 3 本杭E : 1 本杭)が提案されている。図−1 の実験条件では,80 Hz 以下の周波数範囲において,設置共振の影響を 2 dB 以下に抑えることが出来ている。現時点では,土の地面への設置においては,最も実用的な方法であると考える。

次に,畳による鉛直方向の設置共振を図−2 に示す。畳床の厚さと材質が異なる 6 種類の畳(一寸八分わら床,一寸八分わら床(12 年使用),二寸わら床,一寸八分むぎ床,一寸八分スタイル床,一寸八分ダイケン床)では,30 Hz から 50 Hz の間に共振点が見られる。10 dB から 18 dB の設置共振による振動増幅が生じている。

最後に,図−3 に示した 3 種類の絨毯(合成ゴムベースは全て 3 mm,① : 3 mm ループパイル,② :7 mm ループパイル,③ : 12 mm カットパイル)では,パイルが長い絨毯ほど共振点が低い周波数にあり,設置共振の影響も大きくなる傾向にある。また,水平方向では,20 Hz 以上の周波数範囲で振動を減衰する現象がみられる。例えば,②の絨毯の上で 50 Hz の正弦振動を計測すると実際よりも約 9dB 小さな値となる。

このように,畳や絨毯敷きの床面では,精度よく振動を計測することは,現状において困難に近い。一時的に畳や絨毯を取り除き,座板やモルタルなどの硬い表面にピックアップを設置する必要がある。

(一般財団法人小林理学研究所 平尾善裕)

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低周波音に関する外国での規制の状況について教えてほしい。

最近,低周波音がマスコミで取り上げられる事例が増え,一般の方の関心も高まっているように思われます。

規制の状況を述べる前に,注意点を述べておきます。まず,「低周波音(英語では low-frequency sound,または low-frequency noise)」という用語についてですが,実は,これには標準的な定義がありません。国によって,対象とする「低周波音」の周波数範囲が異なるので,注意する必要があります。また,一般的に,それぞれの規制には適用条件(受音環境,音源,時間帯など)があり,そこから外れる場合には適用できません。この点にも留意してください。

以下では,低周波音によって生じる不快感などの感覚的な(心理的な)苦情に関する,住居内部での低周波音に対する外国の規制の状況について,筆者らが把握している範囲で紹介します。感覚的な苦情は,低周波音が知覚されれば生じる可能性があります。低周波音の音圧レベルがその人の感覚閾値(標準的な(若い人の平均的な)感覚閾値は,ISO 389-7(2005)に規定されています)を超えれば知覚されると考えられますが,測定方法によって閾値が多少異なること,閾値に個人差があること,低周波音に対する反応に個人差があることなどから,各国の規制値や推奨値は,標準的な感覚閾値とは異なる場合が多いようです。

台湾では,騒音規制法の一部として,低周波音を対象とした規制値が策定されています(噪音管制標準(2009 改正))。ここでは,20∼200 Hz の音を低周波音として扱い,その周波数範囲において A 特性で重み付けをした等価レベルを評価指標としています。基準値は,地域カテゴリー(4 区分),時間帯(3区分),低周波音の音源(3 区分)によって異なります。例えば,住居専用地域における娯楽・商業施設からの低周波音に対する基準値は,昼間で 35 dB,夜間で 30 dB となっており,同じ地域における工場・工業施設からの低周波音に対する基準値は,昼間で 42 dB,夜間で 39 dB(以上,すべて住宅内)となっています。これは法的な強制力を持つ規制値で,違反があり,その後の改善がなければ罰金が科されることになっています。

デンマークでは,10∼160 Hz の音を低周波音として,低周波音の推奨値が示されています(Informationfrom the Danish Environmental Protection Agency,no. 9/1997(1997))。ここでは,台湾の場合と同様に A 特性で重み付けをした等価レベルを求めて評価指標とします。基準値は,環境や時間帯によって何種類かありますが,例えば,日中の住宅内では25 dB,夕方・夜間の住宅内では 20 dB となっています。また,ISO 7196(1995)で規定された G 特性重み付けを利用して,超低周波音(1∼20 Hz)に対する推奨値も定められています。これは,例えば住宅内では,時間帯によらず 85 dB となっています。これらは推奨値であるため,強制力はありません。

スウェーデンでは,特定の周波数範囲で等価レベルを求めるのではなく,1/3 オクターブバンドごとに基準値を定め,各バンドレベルがそれらを超えないようにするという考え方で推奨値を定めています(SOSFS 2005.6(2005))。具体的には,31.5∼200 Hzを低周波音の範囲とし,31.5 Hz バンドの 56 dB から 40 Hz バンドの 49 dB,50 Hz バンドの 43 dB と漸減し,200 Hz バンドで 32 dB となる基準値(住宅内)が採用されています。この場合も推奨値ですが,運用上はその値を守るようにしているようです。

以上,3 カ国の状況を紹介しましたが,イギリス,オランダ,ドイツ,オーストリア,ポーランド,アメリカなどでも,低周波音の推奨値が策定または提案されています。しかし,国際的に広く使われている標準的な規制値はなく,各国が独自に策定・運用しているのが現状です。どのような評価指標を用いて,どのような基準値で評価すべきかについて,今後の研究・議論が求められています。

(安衛研 高橋幸雄,元山梨大学 山田伸志)

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航空機騒音について,各自治体に寄せられる苦情内容の現状,対応例があれば伺いたい。

苦情は主に,自治体,空港,国などに申し入れられるケースが多く,それぞれで管理されています。自治体によってはホームページで苦情内容を公開している場合もあり,例えば千葉市では羽田空港の航空機騒音に関する苦情の件数や内容を公開しています。オスプレイの問題に直面している普天間飛行場周辺の宜野湾市は「基地被害 110 番」として騒音以外も含めた苦情内容を公開しています。

自治体ごとに苦情の具体的な内容は異なりますが,例えば当学会が一昨年度に実施した「福岡空港に係る環境保全検討業務委託」業務の結果では,夜間の騒音や飛行経路に関する苦情が目立つと報告されています。福岡空港は暗黙の了解で 22 : 00∼7 : 00は飛行しないとされていますが公式ルールではないため,実際には 22 : 00 以降の到着遅れなどがあります。また,飛行経路も風向きや天候によって変化することから,飛行頻度の少ない経路などで,普段聞こえないのに今日はうるさいといった苦情が発生しやすくなっています。このような苦情は,住民にとって「イレギュラー」な騒音と捉えられているのかもしれません。これらは十分な住民説明が不足していると考えることができ,時間帯の取り決めや,季節・天候ごとの標準飛行経路パターンを十分に周知し,個々の騒音がなぜ発生したのか理解してもらうことが苦情対応の第一歩ではないでしょうか。

最初にお話しした千葉市における羽田空港の苦情とは,主として D 滑走路の増設に伴う飛行経路の変更が原因です。夏場などの南風時に千葉市の上空で北からの着陸便と南からの着陸便が交差して飛行するようになり,当該地域の住民の方々にとっては今まで聞こえなかった騒音が,決して大きな騒音レベルではなくても非常に頻繁に飛行することとなり苦情が増加しています。国や自治体はよりよい飛行経路を模索しているようですが,飛行経路を変更すると今度はその先で苦情が生じかねませんので,単純ではありません。

苦情対応の確固たる手法はありませんから,これは私の個人的な意見となりますが,できるだけ不公平感を解消することが重要ではないかと思います。車や電車とは異なり,航空機は空港周辺の住民ほどより利用する交通機関ではありませんから,自分たちに便益は少なく,騒音だけを請け負っているという不公平感が生じやすいのが航空機騒音問題の特徴ではないかと思います。空港の存在による観光資源を中心とした地域経済の潤いや,雇用の増加など,空港の存在による地域への便益は潜在していると思います。2012 年に成田国際空港が 23 : 00 までの夜間離着陸制限について,低騒音型機材に限定することを条件に 24 : 00 までの緩和措置を実施しましたが,緩和時間帯における到着便には着陸料金の増加が課せられ,そのお金は周辺自治体に支払われることになっています。このように,受苦者に便益をもたらすシステムの存在と,その存在の周知が重要ではないでしょうか。

(防衛施設協会 森長誠)

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風車騒音を測定する時など,風が強い場所で騒音測定する際に留意すべきことにはどんなことがあるでしょうか?
また風雑音の影響を避ける方法はあるのでしょうか?

マイクロホンに風が当たると,胴の部分を空気が迂回するときに渦ができ,渦による風雑音が発生します。そのため,マイクロホンにウインドスクリーン(以下,WS)をつけて測定します。風雑音の影響は,WS の大きさ,風速や乱れ具合によって異なりますが,マイクロホンに付属のウレタン製 WS(直径 6 cm 程度)や全天候型 WS(直径 20 cm 程度)を着けても,低周波音領域(特に超低周波音領域)を対象とした測定では,風雑音の影響を防ぐことはできません。また,より強風時には,WS 自体に風があたることにより広帯域に風雑音が発生することがあります。

一般的な環境騒音測定では,このような強風が見込まれる日を避け,風の弱い日を選びますが,質問にあるような風車騒音を対象とした測定の場合は,風車が定格回転しているような風が強い日に測定する必要があります。また,風車騒音は,低周波音成分を含む広帯域な騒音であるといわれており,広い周波数範囲にわたって風雑音を低減する手法が必要です。

よく使われる風雑音の低減方法として,マイクロホン自体を地表面付近まで下げて設置し測定を行います。筆者らが,草地において高さ別の風速を調査したところ,地表面付近では,高さ 1.2 m と比べて 7割程度まで風が弱くなることから,風雑音は低減します。風車騒音のパワーレベルの測定方法として,地表面上に設置した円板の中心に全天候型 WS を装着したマイクロホンを設置し測定する方法があります。IEC 61400-11(JIS C 1400-11)で規格化されています。また地上付近まで下げることで,風によるマイクロホンの転倒防止にも役立ちます。

地表面付近に設置しても風雑音の影響が避けられないくらい強風の場合は,マイクロホンに取り付けるウレタン製 WS を一次 WS とし,さらにそれを覆うように二次 WS を被せる方法が有用です。ただし二次 WS を作成する必要があります。

この二次 WS については,さまざまな検討が行われており,落合らは,低周波騒音測定の常時監視を目的として,ウレタン製シートや農業用ネットを二次 WS とする方法を報告1)しています。また,H23∼H25 年度に実施された環境省の風車騒音調査では,超低周波音領域から騒音領域までを一つのマイクロホンで測定するための二次 WS の開発2)を行っています。こちらは暴露側の調査であり,運用面を考慮しできるだけ小型になるように設計しています。雨天時の測定を考えて一次 WS には全天候型WS を用いています。また,二次 WS は一次 WS との間に 10 数 cm 程度の間隔を空けて取り付けることで,風をより低減する効果があります。二次 WSの素材や開口率,伸縮性により防風性能が多少変化します。測定対象とする騒音や低周波音の特性,設置場所,運用面などを考慮し,目的に応じた WS を作成する必要があります。なお,特に高周波数領域では WS による減衰が考えられるため,現地で測定する前に実験により WS の挿入損失を把握しておく必要があります。

((株)ニューズ環境設計 太田達也)

  • 1 ) 落合他 : 低周波騒音計測用防風スクリーンの開発,騒音制御,vol. 30,no. 5,pp. 408-417(2006).
  • 2 ) 太田他 : 低周波音領域を含む環境騒音測定のための防風スクリーンの試作,音講論(春),pp. 1195-1196

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特定工場等から発生する振動の苦情があり,敷地境界線で測定を行ったところ振動規制法の規制基準は満足していました。しかし,家屋内部では,その特定工場からの振動を感じます。家屋内部での測定も含めて,どのように対応すべきでしょうか。 (地方公共団体職員)

振動規制法(昭和 51 年 6 月 10 日法律第 64 号)では,指定地域内の特定工場等の設置者に対して,規制基準の遵守義務を規定しております。さらに,市町村長が,特定工場等から発生する振動が規制基準に適合しないことにより,周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは,当該特定工場等の設置者に対して,振動防止対策等の改善を勧告および命令が可能です。今回の事例では,敷地境界線での測定結果は規制基準値内であったため,事業者に対して,振動規制法に基づく指導はできません。

しかし,地方公共団体職員の公害に関する苦情の処理に関しては,公害紛争処理法(昭和 45年6月1日法律第 108 号)の第 49 条に,「地方公共団体は,関係行政機関と協力して公害に関する苦情の適切な処理に努めるものとする。」と規定されています。すなわち,法律等で規定されている規制基準等の超過の有無に関わらず,公害に関する苦情対応は地方公共団体の努力規定です。努力規定のため罰則等はありませんが,本事例では,家屋内部での体感調査から,暴露されている振動が住民の生活環境または健康に影響を及ぼしている可能性も考えられます。振動規制法の主旨等に照らしあわせると,生活環境を保全し,国民の健康を保護するために,振動規制法を施行している市町村が,都道府県の技術支援などを受けて対応する必要があると思います。

対応の第一歩としては,住民が感じている振動の把握,すなわち家屋内部での振動測定が必要になります。木造家屋の板の間と地表面との鉛直振動の関係については,環境庁(当時)が調査した結果があります。家屋内部での振動レベルは,地表面に比べて 5 dB 増幅(中央値)していましたが,これは 30年以上も前の結果であり,現在の木造家屋や工業化住宅に適用できるか不透明です。また,振動規制法は鉛直振動を対象としておりますが,家屋内部では建築物の共振周波数の関係もあり,水平振動の増幅事例が多く報告されています。例えば,平尾ら1)は,並進 3 方向の振動について,1/3 オクターブバンド中心周波数が 5 Hz または 6.3 Hz の帯域で,地表面に比べて家屋内部での振動加速度レベルが,水平方向で 20 dB 程度大きくなることを報告しています。

さらに,家屋内部での測定では,測定位置の選定が重要です。木造家屋における在来鉄道振動を対象とした測定事例2)から,同一の家屋内部でも,測定位置が床面の中央であるか,あるいは柱脚の付近であるかにより,1/3 オクターブバンド振動加速度レベルが大きく異なることが報告されています。

従来,家屋内部での測定は,公式の手法が規定されていなかったため,担当者個々の経験等に基づく独自の手法で行われてきました。このような現状を踏まえ,家屋内部での統一的な測定手法を構築するため,当学会の環境振動評価分科会が,平成 20 年度の環境省請負業務での検討結果を基に,振動測定マニュアル(案)(以下,「マニュアル案」と記す)を整備しました。マニュアル案は,全ての外部振動源を対象としております。また,環境振動評価分科会の HP(http://www.ince-j.or.jp/04/04_page/04_sh.html, 参照 2012 年 12 月)からダウンロード可能です。

以下にマニュアル案の概要を示します。

  • 1.適用範囲
  • 2.測定
    • 2.1 測定量
    • 2.2 測定機器
    • 2.3 測定位置(家屋振動特性の把握)
    • 2.4 測定位置(地盤振動の伝搬特性の把握)
    • 2.5 測定方向
    • 2.6 測定時間帯
    • 2.7 測定方法
  • 3.測定結果の算出方法

マニュアル案では「評価」の項目がなく,生活や健康への影響の有無を判断する基準も記載されていませんが,人間の振動に対する知覚閾値(概ね 55dB)も有用な判断基準の一つであると考えています。しかし近年の判例では,受忍限度の超過が判断基準となっていることから,振動の大きさだけではなく様々な要因を含めた総合的な判断が必要です。最後に,家屋内部での測定結果から,振動により住民の生活環境などが損なわれていると判断される場合でも,事業者の任意の協力によって実現できる行政指導での対応しかないと思います。この場合には,費用面および時間的な問題から,事業者の負担が大きいハード面での対策より,作業時間の短縮や変更などのソフト面での対策が有用であると考えます。

(神奈川県 横島潤紀)

  • 1 )平尾他,振動測定マニュアル(案)に基づいた測定・分析事例,H24 春季騒音制御講論集(2012).
  • 2 )横島他,木造家屋内における鉄道走行時の振動実測結果について,建築学会技術報告集,vol. 24(2006).

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低周波音が原因で家屋や窓が振動することはあるでしょうか。そのような場合は,因果関係はどのように調査・解明したらよろしいでしょうか。

上空を大型のヘリコプターが通過する際,窓や戸がカタカタと音をたてることがあります。これは上空で発生した音波が地上まで伝わり,窓や戸などの建具を振動させているのです。低周波音による建具の振動は,低周波音の主要な周波数と建具自体が持っている共振周波数と合致した場合に発生します。したがって,同じ家屋内でも,振動する窓と振動しない窓があるといった現象が起こります。建具の他にも,人形ケースのガラス面や食器戸棚のガラス戸,蛍光灯のカバーなどが振動することもあります。発破や爆発などのように低周波音の音圧レベルが非常に大きい場合には,床が振動するのを感じられることもあります。

建具等のがたつきを生じさせる可能性がある低周波音発生源として,工場の大型施設,道路高架橋,高速列車のトンネル突入,ヘリコプター,堰の放流,発破・爆発などがあります。

因果関係を調べるには,はじめに,発生状況の把握を行います。その現象が発生し始めた時期,発生する季節,時刻,発生性状(連続的か,間欠的か,単発的か)などを調べます。ある時期から突然建具の振動が発生したような場合には,施設の新設や移設,稼動状況の変更や不具合の発生した時期と関係があると思われます。また,近くに低周波音の発生源がないか確認します。

次に,推定される発生源の稼動状況と振動の発生状況の対応関係を確認します。移動発生源や発破・爆発などは対応関係が比較的わかりやすいと思われます。道路高架橋では大型車の通行時,高速鉄道トンネルでは列車のトンネル突入時,ヘリコプターでは上空通過時,発破・爆発では作業時との対応を調べます。堰の放流については水膜が薄い条件で大きな音圧レベルの低周波音が発生することがあるので,放流状況を確認します。

工場の大型施設が発生源である場合には,施設の稼動時間や稼動状況と関係があるはずです。可能であれば,施設を稼動・停止させて振動の発生との対応を調べるとよいでしょう。

測定により因果関係を調べる場合には,周波数分析機能の付いた低周波音レベル計を用います。発生源近傍(難しければ敷地境界)と,振動が発生している家屋(建具)の屋外で,低周波音を同時に測定します。その際,音圧レベルの変動が少ない場合はパワー平均値を,大きく変動する場合や間欠的・衝撃的な低周波音の場合は発生時の最大値を測定します。発生源側と家屋側で測定された低周波音の周波数特性を比較し,家屋側と対応する卓越周波数成分を調べます。

工場のように施設がたくさんある場合には,メッシュ状に測定点を設けて測定し,家屋側で観測された低周波音の卓越周波数と同じ卓越周波数をもつ測定結果を手がかりに発生源を絞り込んでゆくとよいでしょう。

対応関係が確認された場合,建具の振動に寄与する周波数を調べるには,家屋屋外で得られた測定結果を「建具のがたつき閾値」(下表)1)と比較します。この値を上回っている卓越周波数成分があれば,その周波数の低周波音が振動の原因である可能性があります。

周波数(Hz) 5 6.3 8 10 12.5 16 20 25 31.5 40 50
建具のがたつき閾値(dB) 70 71 72 73 75 77 80 83 87 92.5 99

なお,家屋全体または部屋全体が振動している場合には,地面振動が原因である可能性も考えられます。調査にあたっては,鉛直方向と水平方向の 3 方向が測定できる振動レベル計も併せて持って行かれることをお薦めします。

低周波音の測定,評価,苦情対応,事例等については,以下に示す環境省のホームページもご参照下さい。(何れのページも,2013 年 3 月時点確認)

文献

  • 1 )環境庁 : 昭和 52 年度低周波空気振動等実態調査(低周波空気振動の家屋等に及ぼす影響の研究)報告書(1978. 3).

(一般財団法人小林理学研究所 落合博明)

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建設作業の振動対策については、騒音に比べて対策法が少ない。具体的な対策事例があれば 例示して欲しい。 (東京都環境科学研究所)

近年コンクリート系建築物の老朽化,耐震強度の問題等の理由により解体及び再建築が増加傾向にあります。このため振動規制法に基づく特定建設作業届出のうち,ブレーカを使用する作業の届出件数は増加しており,また苦情件数も増加傾向にあります。しかし建設作業振動の低減対策は多くはなく,定量的に○dB 低減を図れるといった対策はありません。地方自治体,事業者それぞれの振動を少なくする対策の検討,住民への情報提供など,いくつかの対策を組み合わせて周辺住民に理解を得る方法が最も有効と思われます。

1 地方自治体における対策

特定建設作業に該当する場合や条例で規制を受ける作業の場合には,事前に届出申請がありますので,申請時に作業内容,作業時間及び周辺状況等を確認し,振動防止の方法等を審査し,適切でない時は事業者に更なる対策の進言や助言を行います。工事期間中には申請内容の確認,測定の実施により,発生状況の確認と規制基準値の遵守を図ります。コンクリート系建築物の解体は数カ月に及ぶ場合もあることから,苦情対応には複数日の測定調査によって苦情者,事業者双方の理解も得られるでしょう。

また法・条例にも該当しない建設作業に対する苦情が寄せられた場合には,公害紛争処理法に基づき,状況調査を行い振動防止や低減のための助言等により改善を図る必要があります。できれば測定を行い,特定建設作業の基準を準用し,それと比較しながら調整することも一つの方法です。

さらに自治体の中には,良好な近隣関係の保持と生活環境の保全などを目的として,中高層建築物の建築事業者(発注者,設計者,施工者等)に,周辺住民への計画の事前公開を義務づける条例を施行しており,公害苦情の未然防止に貢献しています(表−1)。またこの条例では,紛争についてのあっせん及び調停その他必要な事項も定めており,紛争の解決を図っています。

2 事業者における対策

建設作業の設計段階から,周辺状況などの現地調査を行い,振動低減に向けた対策を検討する事が重要です。それには低振動工法の採用,低振動型建設機械の使用,振動を発生する機械を住居からできるだけ離す等配置の検討などが挙げられます。その他,建設機械オペレータへの教育も欠かせません。

表−1 建築工事の事前公表と紛争に係る条例施行事例

自治体名 条例,要綱の名称 施行期日等
新宿区 新宿区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と
調整に関する条例
昭和 53年9月 29日条例第 30号
墨田区 墨田区中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び
調整に関する条例
昭和 53年9月30日条例第 30号
千代田区 千代田区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と
調整に関する条例
昭和 53年 12月 1日条例第22号
港区 港区中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と
調整に関する条例
昭和 54年3月 17日条例第15号
港区建築物の解体工事等の事前周知等に関する要綱 平成20年6月1日施行
姫路市 姫路市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び
調整に関する条例
平成 3年 12月 20日条例第 33号
横浜市 横浜市中高層建築物等の建築及び開発事業に係る
住環境の保全等に関する条例
平成 5年6月 25日条例第 35号
浜松市 浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び
調整に関する条例
平成14年 12月 17日浜松市条例第102号

路盤を重機で持ち上げて破壊したり,鉄筋を無理に引っ張るなどの行為は振動を多く発生させます。伝搬対策として鋼矢板などを用いた連続地中壁の設置も低減方法の一つです。さらに住民に対しては,事前に工事内容,工程の情報提供を行い,作業についての理解を得る努力が重要です。

作業期間中は適宜情報提供と巡回点検により状況把握に努めます。大きな振動を発生する時間帯について住民と日程の調整,作業時間の短縮(工事日程は長期化する)も検討する必要があります。

苦情が寄せられた場合には,苦情者の意見を率直に受け止めて改善策を検討し,苦情者の意見を聞きながら実施する事が求められます。

3 新たな解体技術

地上 100 m 超の超高層建築物の解体建て替えが最近進んでおります。これらの建築物の周辺にはそれと同じかそれ以上の超高層建築物が並んでいるため,特に周辺環境への配慮が求められます。

一般的な解体は,最上階に重機を持ち上げて最上階から解体しますが,下層階から解体する工法(鹿島カットアンドダウン工法)や既存の最上階躯体を利用して閉鎖空間で上層階から解体を進める工法(テコレップシステム)などが開発され導入されています。これらの工法は低騒音技術ですが,今後振動の低減技術へとつながることを期待しております。

(東京都環境科学研究所 門屋真希子)

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時間帯補正等価騒音レベル(Ldn,Lden)は,騒音レベルに夕方の時間帯は+5dB,夜間の時間帯は+10dB の重みを付けて,1日の等価騒音レベルを算出して求めますが,これらの補正の根拠はあるのでしょうか。

アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)は,1972 年騒音規制法に則り連邦議会から要請された 2 つの相互に関連ある責務を,1973 年に「騒音に関する公衆の健康と福祉クライテリア1)」,1974 年に「公衆の健康と福祉を十分な安全幅で保護するのに必要な環境騒音レベルに関する情報2)」の公表により果たした。

この中で EPA は 7 つの判断基準を設定し,A 特性等価騒音レベルが環境騒音の大きさの最良の物差しであると判断した。その上で,住居など長時間にわたり人々が環境騒音に曝される地域や状況下で,会話,睡眠その他の日常活動妨害による慢性的なうるささと関連づけるために,夜間の睡眠時に 10 dB の重みを付けた 1 日 24 時間の等価騒音レベルであるLdnを採用した。1 日を昼,夕,夜に 3 分して夕方 5dB,夜間 10 dB の重みを付ける Ldenについても検討しているが,2 分法と 3 分法で得られる数値の差が極めて小さいことから簡便な Ldnを選択した。

この Ldnは,Von Gierke らが EPA の依頼により蓄積する騒音暴露を適切でかつ簡潔に定義し測定する手法として開発した成果である。夜間 10 dB の加重は,世界中の多数の騒音評価法3)に取り入れられていた実績を考慮したことと,Ldn,Ld,Lnからなる 63 組の環境騒音の調査結果に基づくものである。Ldnが 55 dB 未満の低騒音レベル地域では Lnの自然低下は約 10 dB であるため,Ldと Lnは同等に Ldnに寄与する。しかし騒音レベルが高い地域では Lnの低下は僅かであり,LnがLdnを支配する。このため騒音基準を順守しようとすれば,夜間の加重が 1 日 24 時間にわたって騒音レベルを引き下げるように圧力をかけることになる。

更に,EPA は 55 の地域社会での騒音測定結果と苦情や訴訟との関連を解析した報告を基に,「10 dB程度の夜間加重を正当なものと実証できる。10 dB加重時に比べ夜間加重を全く適用しないときは関連性が悪化した。しかし,夜間加重が 8 dB から 12 dBの間では差異は認められず,これ以上細かく夜間加重を決定できるものではない。」と指摘している。わが国の初期の騒音防止条例4)でも夜間は睡眠を妨げない程度の小音とする,他の時間も付近の暗騒音より 10 dB をこえてはならないとするなど,夜間重視,暗騒音との相対性の考えが散見される。

B. Berglund と T. Lindvall が編集し WHO に向けて用意した 1995 年文書「生活騒音」5)は,発生時間重みについて,「同様の騒音環境でも,昼間より夕方又は夜間には住宅地域により煩わしさをもたらすとしばしば仮定される。夜間に重みを加えることは,したがってLdnのようないくつかの騒音指標に含まれている。合計 22000 人の回答者からなる 10 の研究の分析は,夕方及び夜間騒音が煩わしさに多少大きな影響を及ぼすかもしれないというある証拠を見いだした。(Fields, 1985,1986)

しかし,この違いの大きさの有意性は示されることはできていない。Ldnや騒音暴露予測(NEF)のように多くの累積的な騒音指標では,昼間の騒音に比べ夜間の騒音に 10 dB の重みが加えられる。夕方時(通常午後 7 時と 10 時の間)の煩わしさをさらに取りいれている騒音指標は,測定した騒音レベルに5 dB を加えている。 Ldnが導入されたとき,夜間の騒音に重みを付けるために次の 3 つの理由が主張された。

  • 1)生活騒音は,昼間より夜間において,より煩わしいと知覚される。
  • 2)夜の睡眠のための低い騒音レベルの要求は,暗騒音が通常夜間に減少しているために,より一層の騒音低減を動機づける。
  • 3)夜中の屋内での活動が低くなればそれだけ,より低い騒音レベルであることにつながる。

多くの研究が上記理由 2),3)を確認する。すなわち,低レベルの暗騒音下では,騒音源からの煩わしさが増大する。昼間の騒音暴露と夜間の睡眠の質との関係が示唆された(Blois, Debilly & Mouret,1980)が,夜間の騒音がどの程度昼間の騒音に関連して重み付けされなければならないのか経験的に示すことはできなかった。オーストラリアの飛行場近くでの社会学的研究(Bullen, Hede, 1983)は,騒音の非妨害への要求は午後 6 時から 9 時の間で最も重要であることを見いだした。」と報告している。

以上をまとめてみると,Ldn,Ldenは

  • a)24 時間の累積騒音暴露をエネルギーベースで評価している。
  • b)長時間にわたる日常活動への妨害による慢性的なうるささに関連する。
  • c)夜間(加えて夕方)の騒音源からの煩わしさ増大を夜間 10 dB(加えて夕方 5 dB)と見込んでいる。

騒音の大きさがうるささの第 1 要因であることは広く認めるところであり,a),b)を導くものである。他方 c)項は,5 dB は 1 ランク,10 dB は 2 ランク地域社会反応の増大に相当するペナルティであるという経験知に依るところが大きく,世界的暗黙知である。

(横浜国立大学名誉教授 田村明弘)

  • 1 )EPA, Public Health and Welfare Criteria for Noise,1973
  • 2 )EPA, Information on Levels of Environmental NoiseRequisite to Protect Public Health and Welfare withan Adequate Margin of Safety, 1974(全訳 : 東京都公害研究所,海外公害情報シリーズ(15),1978)
  • 3 )日本建築学会編,騒音の評価法─各種騒音評価法の系譜と手法─,1981
  • 4 )横浜市騒音防止条例(1953),京都市騒音防止条例(1954)等
  • 5 )Edited by Birgitta Berglund & Thomas Lindvall, CommunityNoise, Stockholm, Sweden, 1995

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重量床衝撃音レベルの大きさはスラブ厚さに関連するそうですが,何mm 以上の厚さにすると苦情が減少するなどといった経験値などはありますか?

重量床衝撃音レベルの大きさは,スラブの厚さ(基本インピーダンスレベル),面積,スラブスパン,スラブ周辺の梁などによる拘束条件の違い(1 辺拘束,2 辺拘束,梁の大きさ等),床仕上げ材(乾式二重床(床先行工法,壁先行工法),直貼り床),二重天井の有無によって変わります。

スラブの基本インピーダンスレベルは,無限大板のインピーダンスレベルに相当するもので,衝撃力(入力)と,それによってスラブに生じる振動(出力)との関係を示しています。感覚的な意味としては,インピーダンスレベルが大きいほどスラブが振動しにくくなります。スラブ厚さと基本インピーダンスレベルを計算すると,スラブ厚さ 200 mm で基本インピーダンスレベルは 117 dB,230 mm で 119dB,250 mm で 121 dB,280 mm で 123 dB,300 mmで 124 dB となります。つまりスラブの基本インピーダンスレベルは,スラブを 200 mm から 250mm に 50 mm 厚くすると 4 dB,200 mm から 300mm に 100 mm 厚くすると 7 dB 大きくなります。これは,スラブを加振したときに発生する床衝撃音レベルが,スラブを 200 mm から 50 mm 厚くすると 4 dB,200 mm から 100 mm 厚くすると 7 dB 小さくなることを示しています。

しかし,スラブ厚さを大きくしても,スラブ厚さ以外の条件によって重量床衝撃音レベルが向上しない場合があります。設計時にはスラブ厚さ以外の条件をも考慮したスラブ素面における重量床衝撃音レベル予測結果をもとにスラブの厚さを決めています。

現在,首都圏で共同住宅として供給されている居室のスラブ厚さは 200mm から 300mm が一般的であり,竣工時の重量床衝撃音遮断性能は Li,Fmax,r,H(1)-50∼60 の性能のものが多いです。竣工時の重量床衝撃音遮断性能がタイヤ衝撃でLi,Fmax,r,H(1)- 50∼55,ボール衝撃で Li,Fmax,r,H(2)-45∼50 の乾式二重床仕上げの居室において子供及び大人の歩行などによって発生する音の大きさを測定した事例を紹介します。3∼8 歳の子供 9 名の場合では,歩行(普通∼強歩行)によって直下居室で発生する最大 A 特性音圧レベルは,LD の普通歩行で 22∼36 dB,洋室で 25∼33 dB でした。走り回りによって発生する音は LD で 24∼44 dB,洋室で26∼42 dB でした。飛び跳ねによって発生する音は,LD で 30∼52 dB,洋室で 27∼49 dB でした。A特性音圧レベルの大きい子供は踵から踏み込む傾向がみられました。測定時の暗騒音レベルは 23∼24dB と静かな音環境であったため,聴感上いずれの行動も「小さく聞こえる」から「聞こえる」程度でした。重量床衝撃音レベルと比較すると,子供の走り回りはボールと同程度のレベル,子供の飛び跳ねはタイヤと同程度のレベルになる場合があることがわかります。

次に,30∼60 歳代の大人 16 名(男性 12 名,女性4 名)の場合では,歩行音の最大 A 特性音圧レベルは LD で 24∼30 dB,洋室で 24∼28 dB の大きさでした。小走り時は LD で 27∼34 dB,洋室で 26∼29dB でした。大人の場合,性別,体重にばらつきがあるにも関わらず音圧レベルに大きな差はみられませんでした。これは,今回の被験者はつま先から踏み込む傾向を示したことが原因と考えられます。聴感上は,測定時の暗騒音レベルが 23∼28 dB と静かな音環境であったため,「小さく聞こえる」程度でした。

居室内の音環境が非常に静謐な場合(例えば暗騒音が 25 dB 以下)には上階からの歩行音が聞こえることになります。特に子供は体重が軽いですが歩行音は大人よりも大きくなる傾向があります。「リブランひと住文化研究所」が東京都と埼玉の分譲マンションの居住者を対象に行った音トラブルに関する意識調査の結果が朝日新聞(2007 年 2 月 27 日)に紹介されていました。「生活の音(子供が走り回る音,大人が歩く音等)にいらだちを感じる」という回答が 52% あり,音のトラブルについて「入居者間のコミュニケーションで減ると思うか」との問いに「はい」との回答が 71% でした。しかし,「問題解消へお付き合い」する努力をしている人は 13% と非常に少ない結果となっていました。これらのことからもわかりますようにスラブの厚さを厚くするだけでは問題の解決になりません。共同住宅においては住まい方の工夫も重要と考えます。

((株)熊谷組 大脇雅直)

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航空機騒音について,対策や実例があれば紹介していただきたい。

まず発生源対策として,国際民間航空機関(ICAO)が制定した発生源の規制基準(国際民間航空条約附属書 16 第Ⅰ巻)が挙げられます。各国はこの基準を騒音基準適合証明制度として法令化しており,民間航空機が商業運航する際にはこの基準を満足していなくてはなりません。最近の大型ジェット機には Chapter 4 と呼ばれる基準が適用されていますが,本年 2 月 14 日に基準強化について合意したとの報道があり,2017 年以降に製造される新型航空機が騒音証明を申請する際は新基準が適用されることになりそうです。空港によっては低騒音型機材への移行を促進するため,騒音証明値に基づく独自の制度を設けるところもあります。例えば成田国際空港は着陸料金が低騒音型機ほど安くなる「成田空港騒音インデックス」制度を導入しています。大阪国際空港も低騒音型機ほど着陸料が安くなる制度を今年の夏ダイヤから導入しています。発生源対策には低騒音型機の導入だけでなく,騒音軽減運航方式,運航規制などもあり,空港毎に対策に要するコストと得られる効果のバランスを考えて取り組むことが必要とされており,これを Balanced Approachとよびます。

次に,伝搬経路対策としては羽田国際空港の D滑走路のような沖合展開が挙げられます。また,航空機騒音に係る環境基準の改正により地上音の評価が必要になりましたが,成田国際空港や山口宇部空港などでは離陸滑走音,着陸時のリバース音,誘導路の地上走行音などの低減のために防音堤が設置されています。大阪国際空港では空港隣接地域への騒音軽減を目的として防音壁を設置するとともに,空港のできるだけ内側を走行するための誘導路から滑走路へのバイパス通路が設けられています。

受音側対策としては,移転補償や家屋の防音工事助成が挙げられます。これらの対策は,主要な空港や防衛施設については国(国交省・防衛省),成田国際空港や関西国際空港は空港会社,その他の空港は管理者である自治体等が実施しています。補償あるいは助成という形で行われますから,騒音コンターに基づき対策エリアが指定され,エリア内の該当する家屋だけが対象となります。

先に述べた Balanced Approach には,発生源対策である低騒音型機導入,騒音軽減運航方式,運航規制の他に,土地利用計画が含まれています。土地利用計画は,騒音の影響を受ける住民の数を増やさないようにするための取り組みであり,騒音の大きな地域の新規開発の規制などを通して行われるものですが,我が国では成田国際空港以外に土地利用規制を行っている空港はなく,今後の課題の一つと言えるでしょう。

ここまで,我が国の騒音対策の基本的な枠組みである発生源対策・伝搬経路対策・受音点対策のそれぞれの枠組みで説明しましたが,地域住民への情報公開という重要な対策も忘れてはなりません。成田国際空港では 1995 年に空港情報センターを開設し,航空機騒音の測定値や飛行コースの公開などを行っています。中部国際空港はホームページ上でリアルタイムに近い形で飛行経路や騒音レベルを公開しています。羽田国際空港でも「羽田空港飛行コースホームページ」によって 1 日前から 1 カ月前までの飛行コースや騒音レベルを確認することが出来ます。また企業の社会的責任の一環として成田国際空港,中部国際空港,関西国際空港では環境報告書を年に 1 回発行しており,騒音を含む各種環境問題についての空港の取り組みが詳しく紹介されています。これらは空港のホームページからもダウンロードが可能です。

なお,航空機騒音に対する対策の詳細については本誌 31巻2 号に「航空機騒音に対する体系的な取り組み」という特集号がありますのでそちらをご覧ください。

(防衛施設周辺整備協会 森長誠)

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最近アクティブノイズコントロール(ANC)という言葉をよく聞きますが、どのような仕組みで音が小さくなっているのでしょうか? また、これを使って道路や鉄道などの騒音は制御できないのでしょうか。 (会社員)

騒音の能動制御あるいは Active Noise Control(ANC)については,1930 年代にアメリカ合衆国で特許申請された記録が残っています。特許申請時の図には,元々存在している騒音に対して,同振幅・逆位相の波形をもつ音波を重ね合わせることによって,騒音を消去するという基本的考え方が示されています。その後,1980 年代以降のディジタル信号処理技術の発展に伴って,数多くの ANC システムが考案されてきました。最近では,ノイズキャンセリングヘッドホンや自動車キャビンの静穏化などで,ANC の実用システムに接することができます。

ANC は,騒音源(Primary Noise Source)が作る音場と同一の音場を騒音源周囲に配置した二次的な音源(Secondary Noise Source)で作ることができるという原理に基づいています。したがって,空間全体を静かにしなければならいような場合には,静かにしようとしている音の周波数にもよりますが,比較的多くの音源が必要になるとされています。

一方,細長い管状の空間を伝わる音波については,管の断面寸法よりも波長が十分に長ければ,管の長さ方向への波の伝わり方だけを考えれば良いので,制御方法も簡単になります。そのため,ANCの研究が盛んになり始めた 1980 年代には,ダクト内を伝わる騒音を対象とした研究が盛んに行われていました。詳しくは文献 1)をご参照下さい。

ANC の制御方法としては,フィードフォワード(FF)制御とフィードバック(FB)制御に大別できます。説明を簡単にするため,ダクト内 ANC を例にとります。図−1(a)に示す FF 制御では,まず参照用センサで事前に騒音の情報を検出します。その騒音が音の重ね合わせ点に到達するまでに制御器で処理を行い二次音源から制御用音波を生成させ重ね合わせ点に到達させます。図−1(b)はブロック図と呼ばれますが,制御器を通る信号が信号 x と同様前向きに送られているため,FF 制御と呼ばれます。

一方図−2(a)に示す FB 制御では,参照用信号を使わずに,制御結果(誤差信号)を制御器で処理し,二次音源によって制御用音波を生成させます。図−2(b)のブロック図において,制御器を通る信号が信号 x と反対の後ろ向きに送られているため,FB 制御と呼ばれます。前述のノイズキャンセリングヘッドホンでは,基本的に FB 制御が用いられますが,FF と FB の両者を組み合わせた制御システムも存在します。

ANC の道路騒音や鉄道騒音への適用については,受動的デバイスとの協調動作という意味では,遮音壁と ANC の組み合わせがあります。このシステムは,遮音壁エッジ部の音場を適切に制御することで遮音壁の騒音抑制効果を向上させることを目的としたシステムです。国道 43 号線での試験運用の報告があります2)。

移動する音源に対する ANC の検討としては,広い空間における制御システムの構成法の検討3)や適応アルゴリズムの動作特性の検討4)などが行われています。当然海外でも研究例があります。原理から考えると,移動する音源に対して広い空間に渡って減音領域を生成することは大変難しい問題であることは間違いないでしょう。しかし,騒音制御のために大きな構造物を付加できない場合には,上記のような ANC システムが唯一の騒音対策手段になると考えられるため,移動音源に対する ANC のさらなる検討が望まれます。

(東海大学 森下達哉)

  • 1 )西村他,アクティブノイズコントロール(コロナ社,東京都,2006).
  • 2 )ASE 試験導入に関わる騒音調査結果,兵庫県国道事務所,http://www.kkr.mlit.go.jp/hyogo/oshirase/2006/2006-10-30-01.html
  • 3 )大西他,日本音響学会誌,vol. 64, no. 3, pp. 131-141(2008).
  • 4 )A. Omoto et al, Acoust. Sci.&Tech., vol. 23, no. 2, pp.84-89 (2002).

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等価回路に基づいた消音器の性能予測法とはどのような方法ですか。また管路内での気流や温度変化をどのように扱えばよいでしょうか。 (消音器設計者)

音響等価回路は音源やそれに接続される管路等を音響素子として電気回路の様に示したもので、参考図書1)に示すようにかなり以前から使われてきました。

通常の音響式では系固有のインピーダンスや複雑な管路系は計算できませんが、各音響素子を四端子マトリクスで表すことにより複雑な系でも計算することが可能です。図-1は音源と管路系の等価回路で粒子速度を電流、音圧を電圧に置き換えて考えることができます。内部抵抗Riが負荷抵抗により十分大きければ流れる粒子速度は負荷抵抗Rsによらず一定となります。(定速度音源)。またRiが十分に小さければ負荷にかかる音圧は負荷抵抗の大きさにかかわらず一定の音圧となります。(定音圧音源)。

様々に組み合わされた管路系の特性は四端子マトリクスにより計算が可能です。

図-2は音源からの管路出口までの音響等価回路を表し、管路系の出入り口の音圧と体積速度の関係は四端子マトリックスで表されます。

この四端子マトリクス法では管路系は平面波理論を適用し、管路系各構成要素を音響要素で表現できます。図-3は拡張型消音器での音波の伝播経路と気流の様子を示し、音波が管内を進行する際に進行波と反射波は気流の影響を受けることとなります。

式(1)、式(2)は管路の四端子マトリクスと定数を示し、気流による音速の変化を進行波と反射波の位相定数で表現し、また管路での摩擦損失や吸音材により音波の減衰が生じる場合はこの損失を減衰定数δにより考慮することもできます。温度条件については音速cで式に反映されています。

各構成要素をこの音波の流れに従って組み合わせることにより、減音量計算に必要な消音器出口の体積速度U2を求め消音器の特性が計算できます。しかしながら、自動車の排気消音系などの管内を高速で期待が流れる場合は管内や出口端で発生する気流騒音などの考慮が必要です。

これまで示した音響等価回路による管路系の特性計算は平面波領域で成り立つ1次元モデルです。近年ではコンピュータの進歩による計算器能力の大幅な向上で、3次元での予測計算が可能となり、境界要素法や時間領域差分法(FDTD)等、予測範囲拡大と精度向上が図られつつあります。

参考図書

  • 1)福田基一、奥田 襄介:騒音対策と消音設計(共立出版、1974)
  • 2)(社)日本騒音制御工学会編:騒音制御工学ハンドブック基礎編・応用編(技報堂出版、2001)

(日本騒音制御工学会認定技士 森 卓支)

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室間音圧レベル差や床衝撃音レベルなどの測定で、受音側室内の吸音力はどの程度測定値に影響するのか目安といったものはありますか。 (石膏ボード製造会社 社員)

室間音圧レベル差や重量・軽量床衝撃音レベルの現場における測定方法は,日本では JIS(日本工業規格)に制定されており,それには JIS A 1417(2000)“建築物の空気音遮断性能の測定方法”とJIS A 1418(2000)“建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法”があります。さらに後者は 2 部構成となっており,第一部は標準軽量衝撃源による方法,第二部は標準重量衝撃源による方法となっております。ご質問のように,受音側の等価吸音面積(吸音力)によってこの測定結果は変化します。定常的な音の場合,等価吸音面積が 2 倍になれば,その場の音圧レベルは,理論的には 3 dB の低下となります。室外から入射して来る騒音を低減させる方法としては,この吸音力を増加させることは有効な方法です。

隣室からの騒音や上階からの床衝撃音を聞いている人にとっては,実際の値そのものが,音環境となりますので,上記の JIS においても測定された絶対値で評価する手法がとられています。しかし,壁や床といった建築部位材単体の遮断性能を評価し,他部材と比較する場合には,この吸音力の影響を除く必要があります,そこで,この実測値以外に上記のJIS では,受音室内の残響時間を測定して,そこから計算される吸音力を用いて換算し比較する方法も提示されています。残響時間は 0.5 秒,吸音力は 10m2を基準として換算した値で,吸音力を基準とした場合には規準化,残響時間を基準とした場合には標準化という言葉をつけて区別しています。すなわち,音圧レベル差の場合には規準化音圧レベル差と標準化音圧レベル差,軽量床衝撃音では規準化床衝撃音レベルと標準化床衝撃音レベルとなります。但し,重量床衝撃音のみは,パルス的な衝撃音の最大値を測定するため,吸音力の影響は受け難いためこの考え方を取っていません。

これらを詳しく知りたい方は,関連 JIS を参照してください。

((株)鹿島建設 技術研究所 安藤 啓)

関連 JIS

  • JIS A 1416 実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法.
  • JIS A 1417 建築物の空気音遮断性能の測定方法.
  • JIS A 1418-1 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法─第一部 : 標準軽量衝撃源による方法.
  • JIS A 1418-2 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法─第二部 : 標準重量衝撃源による方法.
  • JIS A 1419-1 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法─第一部 : 空気音遮断性能.
  • JIS A 1419-2 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法─第二部 : 床衝撃音遮断性能.

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室間音圧レベル差の測定に63Hzが含まれていないのは、どのような理由なのでしょうか。 (音響測定会社 社員)

日本工業規格 JIS A 1417 における周波数範囲について,“63 Hz が入ってないのはなぜか?”という質問は良く聞きます。“床衝撃音の方には含まれているのに”ということだと思われます。私の聞き伝えの回答でよろしければ,以下のように考えられます。

集合住宅,ホテルなどは一般に居室が小さく,相対的に波長の長い周波数に関しては定在波が大きく寄与して,音圧レベルの偏差が各測定点間で大きくなり,平均音圧レベルで扱うのには問題が多いということだと思います。つまり,室のどの点が受音点になるか分からない状況で平均値を当てはめると,受音点の取り方によっては平均音圧レベル差の測定結果に 1 ランク以上の違いが生じる場合もあるということではないでしょうか。

このため,特定場所間音圧レベル差が規定されていますので,それで 63 Hz を測定して,当てはめるのは,その点の固有の値ですので,一つの考え方としては妥当と思われます。また,参考として 63 Hzの室間音圧レベル差を測定する場合もありますが,当然データの妥当性はその旨明記して自己責任で行うことになります。

そして,床衝撃音の重量衝撃音の場合は,低音を測定するために行いますから偏差を承知で決めてあり,打点も多くなっていますし,測定値の空間的ばらつきは今まで多く検証されながら運用されています。

(日本騒音制御工学会認定技士 安岡博人)

関連 JIS

  • JIS A 1416 実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法.
  • JIS A 1417 建築物の空気音遮断性能の測定方法.
  • JIS A 1418-1 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法─第一部 : 標準軽量衝撃源による方法.
  • JIS A 1418-2 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法─第二部 : 標準重量衝撃源による方法.
  • JIS A 1419-1 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法─第一部 : 空気音遮断性能.
  • JIS A 1419-2 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法─第二部 : 床衝撃音遮断性能.

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1/1,1/3オクターブ分析(フィルタ分析)とFFT 分析とはどのような違いがあるのでしょうか。使用上の留意点を教えてください。また,昔から使われてきたアナログ方式と最新のディジタル方式によって同じ分析結果が得られるのでしょうか。 (計量証明事業所 社員)

オクターブ分析と FFT 分析は,定常信号であればほぼ同じ結果が得られます。非定常信号では,分析原理に起因する(時間と周波数の)分解能に注意しなければなりませんので,以下に原理と注意点を解説します。

オクターブ分析(一定比率帯域幅または CPB(Constant Persentage Bandwidth)分析)はフィルタ分析に基づく方法です。そのバンドパスフィルタの設計,例えば中心周波数 1 kHz のオクターブ分析では,帯域幅 707 Hz,一定比率(70.7%)帯域幅,通過帯域形状に依存して,時間応答(インパルス応答)が決まります。これに対応するディジタル処理は,同一の設計方法で得た時間応答と重畳積分を行う方法であれば,アナログ処理と同じ結果が得られます。

一方,FFT 分析は,有限離散フーリエ変換を高速計算に行うアルゴリズム(Fast Fourie Transform)による方法です。まず,対象信号を窓関数(時間窓)にて 2 のべき乗数(…256,512,1024…)の有限長データに制限します。次にこのデータに単位振幅の正弦波成分の掛け算と足し算(積和演算)を行うことで,信号に含まれる周波数成分を抽出します。窓関数の有限長に対応した一定数(…100,200,400…)の一定帯域幅分析結果となります。

原理的な相違をまとめると,時間応答の重畳積分か有限データの積和演算かということです。オクターブ分析の注意点は,時間応答が分析帯域幅に逆比例することです。衝撃波の分析では低周波数の分析帯域の応答がより遅れて出力すること(因果性)です。

一方,FFT 分析の計算時間は周波数と無関係にどの周波数帯域についても一定ですが,信号の時間分解能は,衝撃発生時を中心とした,時間窓の記録長 T となります。FFT 分析の欠点は,定常信号では時間窓を無作為(フリーラン)に適用できますが,過渡信号では時間窓の正確な制御(オーバーラップやトリガの利用)が必要になることです。

一般に,定常信号では,帯域幅 B(FFT : 周波数分解能 Δf )と平均時間 T(FFT : 記録長 Tr×n)で決定される BT 積が同一であれば,同じ結果が得られます。過渡信号の特徴と捕らえるために平均時間を短くすれば,再現性の確保はより困難になります。というわけで,信号の性質(定常/非定常)と,周波数分析の不確定性原理(BT 積一定)の検討は重要です。

(ブリュエル・ケアー・ジャパン 佐藤利和)

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室間音圧レベル差及び重量・軽量床衝撃音レベルで問題となる周波数は実際のところ,主に何Hzですか。 (ゴム・樹脂部品の製造業 社員)

問題となる,という意味は,居住者などからのクレームになる,あるいは竣工時確認測定において設計時点に設定した所定の性能が出ないということでしょうか。クレームは様々な原因で発生するものだと思いますので,ここでは後者の観点から問題となる周波数について述べたいと思います。

室間音圧レベル差の測定では,125 Hz から 2 kHzまでを測定し,室間音圧レベル差等級(Dr 値)で表します。問題になる周波数は,建物の主体構造や内装材料などの違いにより一概に言うことは出来ません。たとえば GL 工法では 250 Hz,4 kHz で性能が低下してしまいます。また,プラスターボードなどの軽量中空二重壁では 125 Hz で性能が決定される製品が多いようです。さらに乾式の間仕切壁では柱・梁・床スラブとの取り合い部の隙間により 1kHz や 2 kHz で遮音低下が起きることがあります。特に鉄骨構造の建物では,柱,梁に耐火被覆が施されることにより間仕切壁との取り合いが複雑になり,落ち込む周波数もケースバイケースとなります。

重量床衝撃音レベルの測定では,63 Hz から 500Hz までを,軽量床衝撃音レベルの測定では,125 Hzから 2 kHz までを測定し,床衝撃音レベル等級(Lr値)で表します。重量床衝撃音遮断性能は建物の主体構造で決まることが多く,ほとんどの場合 63 Hzが決定周波数となります。ただし,二重床や天井の影響で 125 Hz で決まることもあります。軽量床衝撃音遮断性能は仕上げ材で決まり,性能が良いものは 125 Hz,250 Hz で決まることが多く,性能が悪いものでは 250 Hz,500 Hz となるようです。

(三井住友建設(株)技術開発センター 赤尾伸一)

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最近,市内にバッティングセンターがオープンし,近隣の8 階建てマンションの住民から騒音苦情が寄せられましたが,開放型の事業場のためその対応に苦慮しております。このような開放型事業場の防音対策についてどのような方法があるかご教示願いたい。 (地方公共団体職員)

ここでは,法令等による規制及び平成 6 年度に環境省が作成し,全国地方公共団体に示した「開放型事業場騒音防止マニュアル」の内容を紹介します。

1.法令等による規制

開放型事業場において騒音規制法に基づく特定施設を有していれば,同法の対象になるが多くの事業場では対象になっていないと思われます。これに対し地方公共団体の条例では一般家庭以外は事業場として敷地境界上での規制基準を定めており,苦情が発生した場合この規制基準の適用を受けますが,一般の工場のように建物で囲うことが出来ないため,どこの地方公共団体でもその対応に苦慮していることから環境省ではマニュアルを作成しました。

また,神奈川県や川崎市のように一部の地方公共団体では,住居系地域における板金,製缶,鉄骨又は橋りょうの組立て,自動車の解体の屋外での作業を禁じております(建設工事の現場は対象外)。

2.開放型事業場騒音防止マニュアルの内容

2.1 開放型事業場の定義

定義としては「主に都市内の空き地に上屋などの建物を設置せずに,資材置場や残土置場,廃品回収置場,ダンプ・重機置場等に使用(営業)する事業場」をいうとしています。

2.2 開放型事業場の種類

開放型事業場の種類として次の 19 事業場を示しています。

イ.資材置場 ロ.残土置場 ハ.廃棄物(廃品回収)置場 ニ.荷物集配所 ホ.コイン洗車場 へ.ダンプ・重機等の置場 ト.板金作業所 チ.木材加工所 リ.石材加工所 ヌ.鉄骨(鉄筋)加工所,ル.コンクリート製品製造所 ヲ.テニス・ゴルフ・バッティング練習所 ワ.自動車修理場 カ.学校・幼稚園 ヨ.保育所 タ.ガソリンスタンド レ.駐車場 ソ.自動車教習所 チ.その他

2.3 開放型事業場騒音防止対策の基本的な考え方

  • (1) ハード面からの対策
    主として,排出騒音の防止(敷地境界)と進入騒音の防止(苦情者住居)に分けられます。
    そのうち発生源対策として,低騒音型機種の導入,消音装置の装備等による機械・施設の改善,事業場の移転などであります。また,騒音伝搬対策として建物等施設の改善,苦情者側敷地境界に防音塀の設置,車両の出入りの多い事業所周辺道路のアスファルト舗装の整備,路上駐車のアイドリング騒音防止対策としての駐車場の整備などであります。次に受音側対策として住宅の防音対策,住宅の移転などがあります。
  • (2) ソフト面からの対策
    主として発生源を具体的に低減する方法とその他の方法に分けられます。
    そのうち操業方法の改善として,作業者による発生騒音の防止,作業方法の改善,使用方法の改善,作業位置の移動,搬出入車両の対応,物流関連の業者への呼びかけなどであります。また,操業時間の改善として,休日操業の自粛,作業時間の短縮,作業時間帯の自粛(深夜,夜間,早朝,夕方)等であります。次にその他の方法として,適用できる騒音低減方法がないケースでは事業場の事情について説明し苦情者に理解してもらうための話し合いが有効であります。
    さらに,地域共存対策として周辺住民の生活環境を配慮して事業者による騒音防止自主管理,周辺の植樹,緑地化,清掃なども有効であるとしています。

2.4 音源別具体例

本マニュアルでは音源別に具体例を示しており,ここでは「バッティングセンター,ゴルフ練習場[打撃音,拡声機,(利用客の)車両,話し声]」について示します。

  • 拡声機は条例で対応できれば,それに基づく指導を行い,音源を必要最小限に絞り,使用時間帯についても付近への影響を考慮します。
  • 利用客のカーステレオ,騒ぎ声等問題となるケースが多いので利用者の注意を促す必要があります。
  • 特に看板を設けるなど,利用者に対する騒音防止の注意の啓発を図る必要があります。
  • 夜間の照明も苦情発生に影響していることを留意・ボール洗浄機などの騒音を,営業時間終了後に発生させないようにします。

以上がマニュアルの内容ですが,この外にケージに遮音,吸音対策することやマシンの低騒音化,マシン周辺の遮音,吸音処理も有効だと考えます。

なお,回答者の長年の苦情処理の経験では,開放型事業場の抜本的な騒音対策は,事業場の移転以外は難しいと考えています。

(当工学会環境騒音振動行政分科会委員 沖山文敏)

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超音波が医療に役立っているとテレビで見ました。超低周波音も何か私達の生活に有効利用されていますか。 (主婦)

確かに、超音波は直進性が強く、波長が短いため分解能が高く、放射能と比べて安全であるという特徴を生かして多くの超音波診断機器が開発され、私たちの生活に役立っています。

それでは、超低周波音を生活に役立てるための特徴を考えてみましょう。

第1の特徴として、位相速度が遅いことがあげられます。ある閉空間内で音を発生させると、周波数の高い音は進行波になりますが、周波数が低いと空間内の全ての場所で位相が一致する、つまり圧力場となります。このような場ではボイルの法則により圧力と容積が反比例するという関係が成立します。
この現象を利用して開発された機器が音響式体積計です。容器内に体積を測定したい被計測物を入れると、どんなに複雑な形状をしていても音圧レベルを計るだけで正確な体積を求めることができます。
従来は、複雑な形状の物体の体積を測るには、水槽の中に沈めて溢れる水の体積を測る方法が一般的でしたが、音響式体積計は正確さだけでなく、乾いたままで測れる特徴があるため色々なものの測定に応用することが期待されます。図-1奥にはボールが容器に入っていますが、スイカや桃などに置き換えて重さも計ると、糖度すなわち甘さを計る測定器に応用できるそうです。手前はエンジンヘッド内の複雑な形状の燃料室の容積を乾いたままで瞬時に正確に計る容積計を表しています。

第2の特徴として、波長が長いことがあげられます。波長が長いと、地表面の建物などによる凹凸や、空気中の水滴などの粒子が音波伝搬の障害にならないため、音波が長距離伝搬します。一方、地球内部のマントルやマグマの動き、プレートの活動などはゆっくりとした動きですが、これらの動きを観測し続けることにより、火山の噴火や地震の発生を予測する研究が行われています。これも超低周波音を(観測することにより)私達の生活に有効利用することの一環ではないでしょうか。

第3の特徴として、エネルギーが高いことがあげられます。無論、一般環境ではなく、超低周波音の代表的な発生源での話です。あるダムの放流を観測したとき、ダムサイトにある観光レストランの大きなガラス窓に触れると大きな振幅で揺れていて、強大なパワーを感じました。このパワーを利用して新エネルギー発電などできないかと期待しています。

(小林理学研究所 田矢晃一)

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騒音計の普通級と精密級の選択方法については,どのような条件で決定すれば良いのですか。 (空調機メーカ担当者)

計量法で規定される検定公差は普通騒音計で1.5dB、機密騒音計で0.7dBです。道路交通騒音など環境騒音測定などをはじめ、一般に多く用いられているのは普通騒音計です。

両者の大きな違いは上記検定公差であり、同じ検定合格品でも検定公差の範囲で個々の騒音計による測定値にばらつきがあります。検定公差はプラスとマイナスがありますので、普通騒音計では最大3dBとなります。対策の評価などより厳密に測定結果を比較する必要がある場合、精密騒音計の使用が望ましいと考えられます。騒音規制の対象外ですが、各種機器の騒音試験や検査、音響実験等には精密騒音計が使用されています。これはその数値が製品の性能を示すことになるためと考えられます。

欧州ではいくつかの国に型式承認精度がありますが、精密騒音計相当のクラス2は対象外です。公的な測定にはクラス1の使用が義務付けられていることが一般的です。今後、機器の騒音試験については輸出国等の要求がさらに高まり、より厳密な評価が求められて精密騒音計の使用が増えると考えられます。

(リオン(株)音響振動計測器営業部 河野正秀)

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ウィンドスクリーン(防風スクリーン)には大きいものと小さいものがありますが,どのような違いがあるのでしょうか。使用上の留意点を教えてください。 (環境調査会社 社員)

風の影響によりマイクロホンで検出される雑音が風雑音であり、この影響を低減するためにウインドスクリーン(防風スクリーン)が使用されます。ウインドスクリーンは騒音測定時のみ一時的に使用するタイプと、屋外で長時間の騒音監視に使用する雨天対応の全天候型に大別されます。

ウインドスクリーンの材料には多孔質のウレタンフォームで材料中の気泡膜を取り除いたオープンセルタイプが一般に使用されますが、その外形寸法や構造、気泡密度により音響性能、風雑音効果が異なります。実際のウインドスクリーンではそれらの性能を両立できる条件を選択して使用されます。

一般的なハンディタイプ騒音計では利便性から直径7cm程度の球状のウレタンフォーム(図-1左)が使用され、各種性能を考慮して気泡密度が選択されています。A特性で約25dBの風雑音減少効果があります。最近ポケットに入る小型の騒音計(図-1右)が発売されていますが、その大きさに合わせてウインドスクリーンも小型化する必要があり、形状を工夫し気泡密度を高めることにより、実用的な性能(A特性で風雑音の減少効果20dB)を得ています。

騒音監視に使用する全天候型では、屋外での長期間使用を目的としており風雑音の減少はもちろん、十分な耐久性と同時に雨に対する防水効果が必要です。耐久性を考慮し一般的なウインドスクリーンより一回り大型(直径15~20cm)のウレタンフォームを用いて、内部には雨水の浸透を防ぐ構造がとられています。

ウインドスクリーンの各種性能は騒音計の技術資料等に紹介されていますので、その性能を良く理解し騒音計に適したウインドスクリーンを使用することが大切です。

(リオン(株)音響振動計測器営業部 河野正秀)

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校正信号の数値が騒音計の場合-6dBであり,振動レベルは0dB(もしくは-10dB)である理由は? (環境調査会社 社員)

騒音計には基準音圧に相当する基準電圧(校正信号)が備えられていますが、この校正方式はマイクロホンを除く増幅器・指示機構等の感度を校正するものです。一方、マイクロホンの感度は-32dBV(例)のように表記されていますが、これは1Pa(パスカル)の音圧によりマイクロホンに生じる電圧値を1V基準にしてその対数を求めたものです。

すなわち-32dBV=20×log10(25mV/1V)であり、このマイクロホンは1Paの音圧で25mVの電圧を発生するわけです。1Paは音圧レベルで表現すると94dBであり、この音圧に相当する基準電圧を校正信号に用いることから、古スケールを100として100-94=6で、-6dBを校正信号の数値としています。

また、騒音計の国際規格IEC61672-1の翻訳規格であるJISC1509-1(サウンドレベルメータ)では、94dBを基準音圧レベルとすることを推奨しています。

振動レベル計では、振動ピックアップを含む加振試験で加振レベルを100dB(1m/s2)程度にすることが一般的であり、校正信号の数値はフルスケールやフルスケール-10といった、ぴったりの数値が使用されています。

指示計(メータ)のみが対象であった頃、校正信号の数値の前後(調整範囲)がメータの直線性範囲にあるようフルスケール-10の数値が使用されていました。その後、アナログ回路をほとんど使用せずDSPによるデジタル処理が一般的になって感度の調整は不要として、校正信号は録音機器等の後続機器のレベル調整用として備えられるようになりました。このような機器では校正信号はOUTPUTCAL(出力校正)と表記され、その数値は利便性を考慮しフルスケール(0dB)が使用されています。

(リオン(株)音響振動計測器営業部 河野正秀)

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エコキュートを設置しようと思っていますが、騒音は大丈夫でしょうか?性能や設置に関する基準等はないのでしょうか?周りは閑静な住宅街です。 (主婦)

近年,さまざまな生活騒音の苦情が増えてきています。その中には,隣家に設置されたエコキュート(家庭用ヒートポンプ給湯機,以下,エコキュート)等の騒音もあります。

エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯ユニットから構成されます(図−1)。騒音は主にヒートポンプユニット(外気との熱交換を行う送風機,CO2冷媒を圧縮加熱する圧縮機)から発生します(図−2)。騒音の大きさはメーカ,型式により異なりますが,ヒートポンプユニット近傍で概ね 40 dB程度です。

エコキュートは深夜から明け方にかけて深夜電力を使ってお湯をつくります。周りの音が静かな深夜に運転するため,運転音自体が小さくても,相対的に知覚され易くなります。また,敷地の関係で,隣接民家との間隔が狭く,その間に設置せざるを得ない場合もあり,苦情要因の一つになる可能性があります。

このような状況を踏まえ,(社)日本冷凍空調工業会では据付業者さん向けに【騒音防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック】を作成,Web に公開しています。

据付時の配慮事項としてはヒートポンプユニットの据付場所を隣家の寝室から離す,壁面の反射による音圧上昇を小さくするため,片側開放空間の場所を選ぶなどです。

低減策としては防音壁等で騒音を遮蔽するのが一般的です。この場合,空熱環境が給湯器の性能に影響を及ぼす可能性もあり,専門化に相談されると良いでしょう。ベランダ等に設置する場合は,防振ゴム等を用いるなど振動絶縁にも気を配ると良いでしょう。

また,普段からの,ご近所様とのコミュニケーションも大切です。

なお,エコキュートの性能,試験,検査,表示などについては,(社)日本冷凍空調工業会の標準規格があります(下記)。

  • 家庭用ヒートポンプ給湯機 JRA4050 : 2007R
  • 家庭用ヒートポンプ給湯機(追補 1)JRA4050 :2009
  • 家庭用ヒートポンプ給湯機の給湯性能 JRA4060 :2009

(社)日本冷凍空調工業会
URL : http://www.jraia.or.jp

((株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング技術本部 井上保雄)

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近年、低周波騒音の苦情が増えていますが、どう対処すべきか苦慮しています。適切な対応が取れるための基準やマニュアルはありませんでしょうか。 (地方公共団体職員)

低周波音の苦情については,図−1 に示したように,平成 5 年頃から増加の傾向にあり地方公共団体ではその対応に苦慮していました。そこで,環境省では平成 12 年に「低周波音の測定方法に関するマニュアル」を作成しましたが,それ以降さらに低周波音の苦情は急激に増加しました。なかでも暗騒音レベルが低い,静かな地域の家屋内における音圧レベルが低い低周波音に関する苦情が多く見られました。しかしこのような低周波音について測定方法は示されたものの,苦情にどのように対処していくかが明確ではありませんでした。これを改善するため,平成 16 年に「低周波音問題対応の手引書」が作成されました。

手引書には,[1]苦情申し立て内容の把握,[2]現場の確認,[3]低周波音の測定,[4]測定された低周波音の評価の方法,[5]対策の検討,[6]対策効果の確認という一連の筋道における,具体的な方法や配慮事項,技術的な解説が盛り込まれています。

特に,低周波音の評価の方法としては,発生源側で測定される低周波音と苦情者側で測定される低周波音の対応関係を調べることが特に重要であることが述べられ,対応関係を調べる方法が示されています。これと併せて,手引書では『評価指針』が示され,それまでの手法では対応の難しかった音圧レベルの低い低周波音に関する苦情に対応するために,『参照値』が提案されています。
『参照値』とは,建具類のがたつきや室内での不快感などについて苦情申し立てがあった場合に,低周波音によるものかどうかを判断する目安となる値です。

なお,低周波音の規制基準については,年間の騒音苦情全体が約 15,000 件に対して低周波音は 245件(平成 21 年度)と苦情件数割合が少ないため,環境省では当分の間規制基準などの規制は設けないとしています。

最近では,風車発電施設に対する低周波音の苦情が発生していることから,現在環境省では,これに対する測定,評価方法について調査,検討を行っているとのことです。

なお,環境省では「低周波音の測定方法に関するマニュアル」,「低周波音問題対応の手引書」のほかに「低周波音防止対策事例集」,「低周波音対応事例集」,「よく分かる低周波音」等を作成しており,これらは,環境省のホームページに掲載されています。

URL : http://www.env.go.jp/air/teishuha/index.html

(低周波音分科会委員 沖山文敏)

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騒音測定において,マイクロホンを延長ケーブルで延長した場合,どのくらいの誤差を生じるものでしょうか。また,延長ケーブルの長さにも関係するのでしょうか。 (大学院生)

ご質問は,ケーブルの長さと誤差に関するものですが,一概に「延長ケーブルで○○m 延ばしたときの計測誤差は○○dB となる」と言い切ることは出来ません。理由は,各々の騒音計の電子回路が異なるため,ケーブル長による影響の度合いに違いがでるためです。

騒音計は,マイクロホン,プリアンプ,本体(演算表示部)の 3 つで構成されています。一般的にマイクロホンとプリアンプは一体となっており,延長ケーブルはプリアンプと本体の間に入ります。延長ケーブルによる計測信号の減衰量は,プリアンプの駆動方式や出力回路,ケーブルの電気特性,本体の入力回路により決まります。そのため,メーカごと,もしくは騒音計の型式ごとに,ケーブルの長さによる誤差の大きさには違いがでます。同じ電気特性の延長ケーブルを使っても異なる機種では誤差に違いがでたり,同じ騒音計でも延長ケーブルの電気特性が異なれば延長できる長さに差が生じることになります。

計量法に適合した騒音計の場合,メーカが指定している延長ケーブルを使用し,かつ検定対象の最大長までであれば,測定誤差は規定している精度内に入っていると言えます。また,各騒音計の取扱説明書(技術解説部)やメーカが出している技術ノート等に,特性に関する資料が記載されている場合がありますので,参照するのが良いでしょう。指定以外の延長ケーブルを使用すると,同じ長さでも大きな誤差が生じる場合があるので注意が必要です。

上記の様に,延長ケーブルの長さと誤差の関係は各々の騒音計ごとに異なりますが,主な誤差の要因について簡単にご紹介します。

1.ケーブルの電気抵抗による減衰

ケーブルは通常銅線を使用しており,およそ 17nΩm の電気抵抗率を持っています。これによる減衰は全周波数帯域の信号に対して発生します。誤差の大きさは,騒音計本体の入力回路設計により変わり,また長さと誤差は正比例関係にはありません。

2.ケーブルの静電容量による高周波数の減衰

通常使用される騒音計の延長ケーブルは静電容量(電気を貯める能力)を持っており,プリアンプの出力能力と静電容量値の関係で高い周波数の信号ほど大きく減衰します。例えば,X[m]のケーブルを使用したときに許容できる誤差内に入る最大周波数をY[Hz]とすると,ケーブル長を 2 倍の 2X[m]に延ばすと最大周波数は半分の Y/2[Hz]に下がってしまいます。逆に,静電容量値を半分にすれば,最大周波数は 2 倍になります。

3.ケーブルの静電容量による大信号の制限

ケーブルの静電容量が大きいと,プリアンプの出力能力により高周波数の大きな信号も伝送しにくくなります。図−1 は,120 dB と 130 dB の音圧に相当する信号入力時のケーブルの影響を示した一例です。この例では比較的小さな静電容量値のケーブルを採用していますが,120 dB の音圧では影響を受けない長さでも,130 dB になると減衰するのが分かります。

騒音計は,その機器が使われる用途に合わせて,電子回路や延長ケーブルを選定してあります。精度良く計測するためにも,各社が指定している延長ケーブルを,規定された長さ以下で使用することをお勧めいたします。

((株)小野測器 営業本部 星靖洋)

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騒音規制法の特定工場で,特定施設を増設する場合に,届出において騒音の予測計算を行い,規制基準の遵守状況を確認します。そのときに,予測評価するのは新たに増設する施設だけか,それとも全ての施設について行うのでしょうか。 (騒音担当 行政職員)

騒音規制法の工場事業場の仕組み

騒音規制法の工場・事業場に対する規制は,指定地域内において,工場・事業場が騒音規制法に定められた騒音発生施設(以下,特定施設)を設置すると都道府県知事が定めた規制基準の遵守義務が生じます。その工場・事業場を特定工場等といいます。
特定工場等は敷地境界において,規制基準を遵守しなければなりません。この際に,規制基準は特定施設から発生する騒音だけでなく,特定工場等から発生する全ての騒音が対象となります。
さて,ご質問の主旨を,特定工場等が新たに特定施設を増設する場合,新たに増設する施設だけを対象にして評価するのか,それとも増設施設を含めた特定工場等から発生する全ての騒音を対象にして評価するのか,と理解しまして回答いたします。
騒音規制法による特定工場等の規制の仕組みを踏まえますと,特定工場等に新たに特定施設を増設する場合には,工場から発生している現状の騒音に,増設する施設の騒音を加えて評価しなければなりません。
ちなみに,現状の騒音とは,実測値,若しくは直近の届出以降騒音の発生状況に変化がなければ,その届出時の評価値のどちらを用いてもかまいません。

(千葉市 松島 貢)

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工場騒音を評価する時の評価時間を教えてください。
ある特定工場の操業時間は8:00~17:00なのですが,騒音レベルが大きく苦情が生じるのは,この時間内のある30分間だけです。この場合,工場騒音を評価するための測定時間は,問題となる騒音が発生している時間だけを対象とすればよいのか,それとも操業時間全体を対象とすればよいのか教えてください。 (騒音担当 行政職員)

騒音規制法において,工場・事業場に関する規制は「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」(以下,特定工場等の基準)に定められています。

この中の備考に,時間帯区分等とあわせて,騒音の測定方法が示されています。しかし,騒音の大きさの決定方法については詳しく示されていますが,その他の事項については日本工業規格Z 8731によるものと示されています。

しかし,この日本工業規格にも明確な測定時間は示されていません。ということは,騒音規制法における特定工場等の評価手法において,明確に実測時間がさだめられておりません。

そこで,一般的に行なわれている実測時間と測定対象の考え方を説明させていただきます。今回のご質問は,苦情対応のための測定と判断して回答いたします。

工場騒音はご質問の内容のとおり,うるさい時とそうでない時があります。苦情対応による工場騒音の測定は,生活環境の保全が目的ですから,問題となっている騒音に着目して測定・評価を行い,その状態の改善を目的にしなければなりません。仮に,問題となっている以外の騒音も評価に含めた場合には,問題となる騒音の適切な評価ができず,問題解決に至らない可能性があります。そのような訳ですから,工場騒音の測定対象は問題となる騒音に絞り,実測時間はその騒音の状況を的確に把握できる時間となります。

(千葉市 松島 貢)

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行政は工場騒音の苦情に対して、どのように対応するのですか。工場が行政の指導に従わず、騒音対策の実施を拒否した場合、操業停止などの強制力はあるのでしょうか。

ご質問の趣旨から、まず、騒音規制法に基づく工場騒音に関する規制の体系を説明してから、具体的な対処方法を説明いたします。

騒音規制法に基づく規制は、住民の生活環境を保全する必要がある地域を指定し(第3条)、その地域に適した規制基準を設定しています(第4条)。

そして、工場に対する規制は、特定施設の新設や増設時の事前規制と、操業時の事後規制に区別されます。事前規制は特定施設の設置前に届出書による書類審査を行い(第6条、第8条)、工場から発生する騒音が規制基準に適合せず、周辺の生活環境が損なわれると認めるときは、市町村長は騒音の防止の方法等を変更するよう勧告(計画変更勧告)することができます(第9条)。

事後規制は、工場から発生する騒音が規制基準に適合せず、生活環境を損なうと認められ時に、市町村長が騒音の防止の方法等を変更するよう勧告(改善勧告)を行うことができます(第12条)。そして、事前規制及び事後規制における両勧告に従わないときには、騒音の防止の方法等の変更を命ずる(改善命令)ことができます(第12条)。

そして、この命令に違反した場合には罰則が課せられる(第29条)こととなっています。

ここで、「周辺環境を損なうと認める時」とありますが、この判断基準は工場近傍に住民の居住実態があることや苦情の発生等があげられます。

具体的には、市町村は次のような手順で工場騒音に関する苦情に対処しています。

住民から苦情を受け付けると、現地調査を実施し、住民の申し立て内容の確認と、工場の立入り調査を実施し、必要であれば騒音測定を実施します。この調査により工場騒音が規制基準を超えていた場合(苦情が発生しているので、生活環境が損なわれていると判断する)、工場に対して規制基準を遵守するよう指導します。このときに、規制基準を超えているからといって、直ちに改善勧告を行うことは稀です。

工場騒音に関する苦情対応では、多くの場合、勧告や命令によらない行政指導で対応しております。平成16年度騒音規制法施行状況調査においても、特定工場等の苦情に関する行政指導は1189件ありましたが、このうち改善勧告を行ったのは4件、改善命令にいたっては0件という集計結果でありました。この背景には、工場が行政の指導に対して素直に対応していることと、騒音規制法に定めてある勧告や命令の適用に際しての、小規模事業者に対する配慮(第13条)が考えられます。小規模事業者とは常時使用する従業員が概ね10名以下の事業者を想定しています。

しかし、質問のように、仮に工場が市町村の指導に従わず、騒音低減対策の実施を拒否する場合には積極的に勧告を行うべきです。

また、騒音規制法においては、いかなる場合においても、工場の操業を停止させることはできません。

参考文献

  • 1)騒音法令研究会:騒音規制の手引き(技報堂出版,東京都,2002),p.79~84
  • 2)環境省水・大気環境局大気生活環境室:平成16年度騒音規制法施行状況調査(2005)

(千葉市環境保全部 松島 貢)

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高性能な吸音材料は、遮音性能も良いと考えてもよいのですか。例えば、グラスウールは吸音材として高い性能を示しますが、遮音材料としても有効な材料なのでしょうか。 (設計事務所社員)

このような質問は,吸音という言葉のイメージから出てくるものだと思います。吸音と聞くと,あたかも冷蔵庫の中にある脱臭剤のようなものをイメージしてしまい,吸音材がそこにあるだけで,周りの音を吸い取ってしまうと考えがちです。

しかし,そうではありません。まずは,吸音率と透過率の定義を示します。Fig. 1に示すように,透過率はPt/Piで,吸音率は1-(Pr/Pi)2です。すなわち,吸音率は入射エネルギーに対する「反射しなかったエネルギー」となり,仮に材料内部で音が減衰していなくても,音波が材料を透過して返って来なければ,吸音率が高いことになります。(注: 一般的には,材料背後に剛壁を設けた状態での吸音率が示されます。)一方,透過率は高くなります(音響透過損失は小さくなります)。

グラスウール等の多孔質材料の吸音メカニズムは,材料内を音波が透過する際に,材料を構成する繊維と空気の摩擦によって音のエネルギーが熱エネルギーに変換されて消散されるというものです。そのため,高性能な吸音材料は,効率よく音波を材料内に取り込むことで,通気性が高くなるように工夫されています。このことは逆に音波を透過しやすくしていることになり,高い吸音率をもつ材料は,高い遮音性能を発揮できないということになります。その違いがわかる一例をFig.2に示します1)。軽量コンクリートブロックは通気性があり吸音性をある程度示します。しかし,ブロックの表面に塗装を施し通気性を低減すると吸音性は失われる一方,遮音性能は高くなることがわかります。

単体では高い遮音性能がない吸音材料でも,他の材料と組み合わせると高い遮音性能を発揮する場合があります。例えば,二重壁の中空に吸音材料を充填するという方法があります。2枚のせっこうボード(9.5 mm厚)で製作した二重壁の中空層内に,グラスウールを挿入した例をFig.3に示します2)。吸音材料がない場合に比べ,吸音材料が入ることにより,中高音域で遮音性能が増加していることがわかります。また,吸音材料の厚さの増加とともに遮音性能も増加することもわかります。

吸音材料は,単体では大きな遮音性能を示しませんが,他の遮音材料と併用することにより,その遮音性能を向上させることができます。


Fig. 1 吸音率と透過率


Fig. 2 通気性の有無による遮音性能の違い


Fig. 3 二重壁への吸音材料の挿入効果

参考文献

  • 1)騒音制御工学会編: 騒音制御ハンドブック[資料編](技報堂, 2001)
  • 2)杉江 他: 中空二重壁の音響透過損失に与える吸音材料の影響-小試験体による検討-, 日本音響学会講演論文集CD-ROM, (2005.9)

(財団法人小林理学研究所 杉江 聡)

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騒音制御工学会では道路振動予測式を提案されたと聞きましたがどのような予測式なのでしょうか。また、この式をアセスメントの際に利用することは可能でしょうか。その他、式を利用する場合に注意する事柄があればご教授下さい。

この道路交通振動の予測式は,環境振動に係る国際的な動向を加味した「物理的なモデル」に基づいて,新たに道路交通振動予測計算方法を提案し,会員のみならず関係する方々に提供するものです。道路交通振動予測計算方法(INCE/J RTV-MODEL 2003)として,騒音制御誌上に発表されています1)。

従来より,広く利用されている道路交通振動の予測式2)は,行政面での道路交通振動の評価値である,振動レベルの80%レンジの上端値LV10を直接予測する式であり,データの蓄積による統計的かつ経験的な側面が強いものです。一方,提案した新しい予測式では,道路交通振動の予測量として等価振動レベルLVeqを定義しています。また同時に,LVeqからLV10への変換式を提案し,行政面での評価値への対応を図っています。

予測式の構築にあたっては,地盤・路面条件等を考慮し実測データを基にして,基準点の振動加速度レベルを設定,Bornitzの振動伝搬式を用いて伝搬計算を簡略化し,各離散点振動源と予測地点間の振動伝搬計算から振動加速度レベルのユニットパターンを求めます。次いで,車線,車種別に求めた等価振動加速度レベルLVaeqを合成して車線ごとのLVaeqを求め,最後に全車線分を合成して地盤による補正を加味して等価振動レベルLVeqを求めています。また,補正値(+3dB)によりLV10を推定しています。

本予測式をアセスメントに利用することは可能ですが,アセスメント(環境影響評価法)では,一定規模以上の事業は,調査・予測及び評価をすることを法律で義務付けられており,学術的な根拠に基づいた方法で予測計算をすること,また,予測の不確実性の程度その理由等を明らかにすることが求められています。標準予測手法として広く利用されている建設省土木研究所の提案式は,その効果に関する知見の蓄積が十分であると判断されていますが,本予測式は新しい予測手法であるため,その効果に関する知見の蓄積はこれからである分,事後調査などが必要となるケースも考えられます。

本予測式は平坦道路を対象としていること,LV10の計算値が実測値より多少小さな値となっていることから,計算値に不確定要因による補正値として2dBを加えることを推奨していることに留意して利用して下さい。


図.1一台の自動車と予測地点の位置関係


参考文献

  • 1)道路交通振動予測式作成分科会:研究部会報告 道路交通振動予測計算方法(INCE/J RTV-MODEL 2003),騒音制御,28巻3号,pp.207~216(2004).
  • 2)(財)道路環境研究所:道路環境影響評価の技術手法,第2巻,293~317(2000)

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外部騒音の大きな場所でのマンションのサッシ選定について留意点を教えて下さい。 (建築設計事務所 技術者)

機遮音設計、すなわち室内騒音を評価・予測をすることですが、これには1)室内騒音の目標値設定、2)外部騒音予測、3)室内外レベル差の予測があります。
設計方法には簡単な方法から複雑精緻な方法まであり各社いろいろ工夫されています。一般的には参考文献[1]に示された方法が用いられることが多いようですが、ここでは私が現在行っている方法を中心にその留意点について紹介いたします。

1)費用対効果の考慮

遮音設計の目的には、a)窓サッシ・換気口の仕様を決める、b)住宅購入者への騒音環境に対する説明資料にする、の両方があります。遮音設計の調査費用は最終的には住宅購入者が負担されるわけですから必要でありかつ十分な設計を心がける必要があります。

2)室内騒音の目標値の設定

室内騒音の目標値は表1のように昼間(6時~22時)・夜間(22時~翌6時)の時間帯別に等価騒音レベルLAeq及び騒音レベルの最大値LAmaxの目標値を設け、全ての目標値を満足するようにしています。但し、工場騒音が対象の場合はLAeq,1hが目標値を超えないように設計しています。
昼間の目標値は会話妨害の防止、夜間の目標値は睡眠妨害の防止を対象にしています。

表1 室内騒音の目標値

評 価 値 昼 間 夜 間
等価騒音レベルLAeq 45dB以下 40dB以下
最大値LAmax 60dB以下 55dB以下

LAeqの目標値の根拠は騒音に係る環境基準です。

LAmaxの目標値の根拠は加来[2]がWHOのガイドラインを参考にしてまとめた文献を参考に外部騒音が大きい地域での目標値ということで決めています。時間重み特性はWHOの指針に従ってFを使用しています。鉄道騒音・航空機騒音等の騒音の最大値が対象となる地域での遮音設計もしていますが上記の目標値の設定には問題はないように思われます。
列車の警笛音、自動車のクラクションのように“継続時間は短いがLAmaxは高い”という音の取り扱いが問題になることがあります。実際にはこれらの単発騒音レベル LAEが同じ場所で観測される列車騒音等のLAEに比べずいぶん小さい場合は問題ないようです。

3)外部騒音の予測方法

クレーン車等を用いて敷地全体の高さ方向も含めた外部騒音の実測調査ができれば確実です。
騒音伝播予測式にはいろいろありますが道路交通騒音の場合には日本音響学会式ASJ RTN-Model2003を用いて計算する方法が便利です。
列車騒音の最大値の予測には注意が必要です。線路の継ぎ目などで音響パワーレベルLwが時々刻々変化していますので、Lw測定地点での騒音が建設予定地の騒音レベルの最大値を決定しているのかを検討する必要があります。
外部騒音の予測結果は計画地が更地の場合の結果がまず算出されます。マンション建設後にはマンション自体の反射によってレベルが上がります。またマンション自体の遮蔽効果も考慮する場合もあります。

4)室内外レベル差の予測

サッシ・換気口の透過損失、天井・床・壁などの吸音率、そしてこれらの面積を考慮して室内外レベル差を計算します。室内外レベル差の計算式には考え方の違いによりいくつかあります。どれが良いとはいえません。ただ、施工後の室内外レベル差は施工の問題等により計算値より悪くなるのが一般的です。これを補正する必要があります。
透過損失の値は実際に使用するサッシ等の値を用いる方が良いでしょう。一般にT-1(TS-25等級)とT-2(TS-30等級)の差は小さく遮音性能の改善効果は2dB程度です。

5)施工後の遮音性能の改善

実際の現場では残念なことに設計値より騒音レベルが大きいことがたびたびあります。サッシの調整によってT-3のサッシ(腰窓)の遮音性能が3~6dB改善された例があります。
具体的な計算式・補正値などについては文献[3]~[5]等を参考にして下さい。

参考文献

  • 1)日本建築学会編,“建築物の遮音性能基準と設計指針(第二版)”,技報堂出版,音響技術,(1997 )
  • 2)加来治郎,“住宅の屋内騒音基準と設計目標値”,音響技術,113巻,pp15-18(2000 )
  • 3)騒音防止設計マニュアル 集合住宅における外部騒音の遮断手法に関する調査研究報告書,(1985)
  • 4)“外周壁の遮音設計の現状と留意点”,建築音響研究会資料AA2000-36~AA2000-40(2000)
  • 5)“集合住宅の外周壁遮音設計の現状”、建築音響研究会資料AA2005-38(2005)

(ゼット音響設計事務所 北川 保)

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騒音計に関する新しいJISでは騒音レベルがサウンドレベルに, 騒音計がサウンドレベルメータに変わったと聞きましたが, 具体的にいつから変わるのでしょうか。また, 何故変わるのでしょうか。 (計量証明事業所員)

騒音計のJIS (C 1502及びC 1505) が改正により廃止され、平成17年3月に、国際規格IEC 61672シリーズに一致したJIS C 1509シリーズが制定され、規格群の名称は”サウンドレベルメータ (騒音計)”となり、騒音レベルに代わり”サウンドレベル”が用語として採用されました。

これらの用語は、JIS C 1509シリーズで初めて採用されたものではなく、2000年に改正されたJIS Z 8106 (音響用語) で、”weighted sound pressure level、sound level” 及び “sound level meter”に対応する最初の見出し語として既に採用されています。このJISの解説では、その理由を次のように説明しています。

  • (1)周波数と時間に関して重みつけを用いた音圧レベルを騒音レベルとしていたが、この評価量は騒音測定に限定されるものではなく、”騒音レベル”の用い方は、独自のものである。今回の改正では、普遍的な意味を表し、国際的にも用いられている”サウンドレベル”及び”重みつけ音圧レベル”を採用し、従来の慣例による”騒音レベル”を併記した。
  • (2)“騒音計”についても上述(1)同様に取り扱われている。そこで、より普遍的な”サウンドレベルメータ”を採用し、従来の慣例による”騒音計”を併記した。

JIS C 1509シリーズの場合には、C特性やFLATでの性能や試験方法を規定しています。”騒音レベル”を使っていると”C特性騒音レベル”では矛盾が生じますし、C特性では音圧レベル、A特性では騒音レベルと使い分けるのも統一性に欠けるという理由も加わります。また、規格の中でsound pressure levelとsound levelを使い分けているので”音圧レベル”も採用し難いという事情があります。

規格を引用したり、規格に基づいて話をしたりする場合には”サウンドレベル”や”サウンドレベルメータ”の用語を使った方が適切かと思いますが、それ以外の場合には”騒音レベル”や”騒音計”を使っていただいて何ら問題はありません。

(リオン株式会社 瀧浪 弘章)

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技術講習会などのテキストを見ると,”dBA”という表記が使われていません。一般的にも使われないのでしょうか? (コンサルタント)

“dBA”、A特性で測定したことを示す、確かに便利な表記方法だと思います。騒音レベル (A特性サウンドレベル) と言うかわりに “デシベルエー”と呼んでいることもあります。しかしながら”メデシベルエー”も”dBA”も、正式な単位や単位記号としては認められていません。

量や単位の国際的な統一は、国際標準化の重要な役割を果たします。国際的に使用する単位 (SI: 国際単位系) は、1960年に国際度量衡総会 (CGPM) で採択されています。これに整合した規格 (ISO 37シリーズ、JIS Z 8202シリーズ) も制定されています。

音圧レベルや音響パワーレベルの単位として使っているデシベルという単位は、実は、SI単位としては採択されていませんが “SIには属さないがSIと併用して用いてよい単位”として認められている”ベル”(単位記号は”B”) に10-1倍を表すSI接頭語”デシ”(記号は”d”) が付いたものです。

A特性で重み付けられていることを表すには”騒音レベル”、”A特性サウンドレベル”などと明記するか量記号に添え字を付けて表す (LpALAeq) のが規格などでは正式とされています。

学会の中には、SI単位系に準拠していない学術論文の受理を拒否しているところもあると聞いたことがあります。とはいえ、これだけ広く普及している”dBA”ですから、即座に”dB”に統一することは困難ですし、一般的に用いることを否定するものではありません。講習会のテキストなどでは、気がついた部分から”dB”に変更している段階です。

(リオン株式会社 瀧浪 弘章)

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工場の設備機器への外気導入のために壁に開口部を設けています。開口部の騒音対策について、考え方と方法を教えて下さい。 (公害防止管理者)

対策の詳細は専門書に譲るとして、ここでは考え方の基本を述べますので参考にして下さい。

1) 開口部の位置と面積の最適化

開口部から放射する騒音のパワーレベルに対して、開口面積Sは10log10 S [dB]として影響します。例えば、Sが1/2になれば、騒音は3dB低減します。面積は必要最小限にして下さい。

開口部が矩形(長辺a×短辺b)の場合、開口部からの距離rをr1からr2にしたときの減衰は、r≧a/πの領域では点音源と同様に20log10(r2/r1) [dB]です。そのため、境界線が近ければ、少し遠ざけるだけでも減衰効果が上がります。例えば、3mから4mに離したときの減衰量は、20Log(4/3)=2.5dB です。但し開口部寸法と距離の関係が、b/π≦r<a/πの領域になると、減衰量は線音源と同様に10log10(r2/r1) [dB]に半減し、r<b/πの領域では減衰しないので注意が必要です。ただ余程大きな開口部でない限り減衰が見込める場合が多いので、開口部は敷地境界線からできるだけ遠ざけて下さい。

建物角部の開口部は、敷地境界線に面していない側の壁面に設置すれば、建物による回折減衰や開口部の指向性(大体の場合正面方向の音が大きい)によって低減が期待できます。簡易的にフードを取り付けて、下や横に向きを変える方法もあります。開口部と敷地境界線は向き合わせないで下さい。

2) 開口部での消音

開口部での消音対策には様々な種類がありますので、減音効果、設置スペース、圧力損失等を考慮して選択して下さい。

  • 消音エルボ(直角やラウンドエルボに吸音材内貼)
  • 吸音材内貼ダクト
  • 消音器(セル型やスプリッタ型から選定)
  • 吸音ルーバ(吸音材付きのルーバ)
  • 遮蔽板(開口部屋内側で機械の直接音を遮る)

3) 室内騒音の低減

屋内の機器配置を変更できるなら、騒音の大きい機器は開口部から遠ざけ、ファンの吸込口などは開口部と反対に向けて直接音が到達しないように工夫します。室内の反響が大きい場合、グラスウール等の吸音材を壁や天井に内貼りすれば、対策効果が上がりますし、室内作業環境もあわせて改善できます。また機器の改修時期であれば、低騒音型への変更なども検討しては如何でしょうか。

開口部の対策を十分に行っても騒音が低減しない場合、固体伝搬音の影響も疑われますので、壁面に振動が伝わっていないか確認してみて下さい。

((株)荏原製作所 松田 道昭)

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圧縮機は振動規制法の規制対象となっていますが、空調や冷蔵・冷凍用に用いられる圧縮機は規制対象施設に該当しないのでしょうか。また、どのようなものが該当しますか。 (空調機器メーカー社員)

低振動規制法で対象施設に定めてある圧縮機は、気体の圧力を上げる機械であり、各種機械の原動力として使用されるものを対象としており、冷凍機に用いられる圧縮機は規制対象外となっております。

冷凍機に用いられる圧縮機は、機械の原動力として用いられているのではなく、冷却に利用する冷媒を圧縮させる用途に用いられています。空調機や冷蔵庫に用いられる圧縮機も冷凍機と同様の用途に用いられていますので規制対象外と判断しています。

しかし、近年、コンビニエンスストアーやスーパーマーケットの冷蔵・冷凍庫や、事務所ビルの空調機に関する振動の苦情が発生しているために、市町村が条例で冷蔵・冷凍及び空調に用いられている圧縮機から発生する振動を規制している場合があります。

千葉市におきましては環境保全条例で、冷凍・冷蔵及び空調に用いられる圧縮機を、冷凍機という名称で規制しています。

どのようなものが振動規制法に該当するかとのご質問は、圧縮機は各種機械の動力、気体の圧送、及びボンベや天然ガス自動車用のガス充填などに用いられている圧縮機が該当します。言換えると、冷凍機以外の圧縮機は該当することになります。

ちなみに、本市での最近の事例ですが、産業廃棄物中間処理施設に設置された、紙、プラスッチク及び金属等を圧縮する金属加工機械に分類されるプレス機が圧縮機という名称をつけられているものがあります。このため届出の際に、プレスで届出なければならないところを、圧縮機で届出ようとした事例がありましたので注意が必要だと思います。

(千葉市環境保全部 松島 貢)

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騒音測定の際に、気温・湿度・風向・風速も同時に測定しますがこの結果を活用したことがありません。どのような場合にこの結果を活かすのでしょうか。 (計量証明事業所社員)

JIS Z 8731「環境騒音の表示・測定方法」では、騒音測定時の大気の状態(風向・風速、雨、地上及びその他の高さにおける気温、大気圧、相対湿度)を必要に応じて、記録しておくことが望ましいとされています。

騒音測定の際に同時に測定した気象条件の活用方法は、大きく分けて2つ考えられます。

1つ目は、測定値の精度を保証するための活用です。騒音計の規格は、普通騒音計についてはJIS C 1502、精密騒音計についてはJIS C 1505で定められており、その使用範囲は、温度については-10~+50℃、湿度については相対湿度90%以下です。通常、強風時や雨天時には測定自体を避けますが、測定中一時的に強風や降雨があった場合は測定値に影響が出る可能性があるため、気象条件を記録しておく必要があります。また、騒音対策の効果を把握するために対策実施前後の測定等を行う場合、騒音対策以外の条件が変わらない状態で測定し、測定値を比較する必要があります(等価性の確保)。ISO 10847における遮音壁挿入損失測定方法では、音響特性の等価性を確保するために、気象条件については風向・風速や温湿度、雲量について等価性の条件が規定されています。

2つ目は、屋外での音の伝搬に対する影響を説明するための活用です。通常、昼間が晴天の場合は、地表面近くよりも上空ほど気温が低くなり、夜間または曇天の場合は、この逆に上空ほど気温が高くなります。後者のように上空ほど気温が高い場合は離れた地点まで音が到達します。また、有風時には風上に向かって音が伝搬しない影の領域ができますが、風下に向かっては遠方まで音が到達します。例えば、24時間の測定をしていて、ある時間から急に遠方の工場音や道路交通騒音によってレベルが上昇するような場合は、原因の一つとして気象の影響が考えられます。このような場合に騒音測定と同時に測定した気象条件によって測定値の傾向を説明できる場合があります。

気温・湿度・風向・風速を自動測定し、測定値をデータロガーに保存できる機器もありますので、このような機器を利用することによって、騒音の測定とあわせて長時間の気象条件を手軽に連続測定することも可能です。

(株式会社ニューズ環境設計 後藤賢光)

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騒工場騒音規制について教えてください。
1) 規制基準とはどの位置での値でしょうか。
2) 特定施設のない工場については、規制はないのでしょうか。
3)既存工場で特定施設を新規に導入した場合、どのように考えるべきでしょうか。 (騒音防止管理者)

規制基準は、発生源側の基準値であることから、当該工場の最も外側である敷地境界で測定評価し、工場等が立地する区域ごとに定められた基準値が適用されます。この規制基準は工場等に対する規制であり、直接的には工場等の外側の騒音状況とは関係はありません。また、同一の工場等の敷地が2つの規制区域にまたがって立地している場合などは、敷地境界が含まれる規制区域ごとに判断されます。このような場合は、住居に最も近い敷地境界の地点が測定評価の対象とはならない場合も当然ありえます。なお、しばしば騒音対策が苦情からスタートすることから、苦情者宅の区域を考えがちですが、あくまでも規制基準は発生源側の基準であり、当該工場の敷地で考える必要があります。

特定施設の無い工場、すなわち届出の必要のない工場等について騒音対策が必要と認められる場合には、1)条例で規制対象を拡大する、2)工場等の規制とは別にたとえば一般騒音の規制基準を条例で定める、3)環境基準達成のために当該工場に協力を求める、4)苦情がでている場合は公害紛争処理法第49条に基づき調査・指導・助言等を行う、などで対処されています。

工場騒音の規制における特定施設とは、当該の工場が規制の対象になるかの判断に用いられており、規制の対象となる騒音は、特定施設を含む「工場からのすべての騒音」となります。たとえば、特定施設以外の運搬用の自動車や建物設備からの騒音も規制の対象となります。

なお、道路交通騒音など工場以外からの騒音が、規制基準よりも大きい場合については、当面の措置として、工場からの騒音が当該地域の騒音レベルを上昇させない範囲で騒音対策を求めるのが一般的です。

(東京都環境科学研究所 末岡伸一)

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深夜営業での人のざわめきについては、どのような評価手法があるのでしょうか。 (計量証明事業所所員)

人のざわめき等は、歴史的にもっとも古い騒音苦情であり、現在の「軽犯罪法」もこの人声の規制を受け継いだ条項が存在しています。ただし、このざわめき等の測定法については、法令的に特に定められたものはありませんが、発生場所から区分して、1)屋外で発生、2)隣室での発生、が考えられます。

このうち屋外については、例えば駐車場での立ち話、ざわめき、嬌声などですが、地方公共団体の条例で、一般騒音の規制として実施している例があります。この場合は、通常の騒音規制と同様の手法で処理しており、波形により区分して俗にL5規制と呼ばれる手法で評価していますが、深夜等の場合が多く、測定し確認するのが困難な場合が多いのが現実です。

一般にざわめきなど人の声は、騒音レベルというより「気になる音」として苦情が多く、騒音レベルで何dBという手法が有効かの点については議論の多いところです。そのため、騒音レベルによる規制でなく、たとえば深夜に不特定の若者が集まるような施設は、住宅地への立地を規制するなど措置するのが適切と考えられています。

一方、後段の隣室のざわめきについては、例えば集合住宅等で隣の部屋からの話し声、カラオケなどが考えられますが、明確な測定評価手法は定められておりません。しばしば敷地境界の概念を拡張して法令の手法を適用しようとする場合がありますが、集合住宅における敷地境界の概念には無理があるといえますし、屋外と同様に気になる音であることから、単なる騒音レベルによる規制が有効とは思われません。

そこで、一部の地方公共団体では、対策の手引き等を作成するなど社会全体での合意形成に努力しているのが現状といえます。また、このような「音の漏れ」については、複数の公務員によりメロディーが聞き取れるかにより判別するなど、種々の努力がおこなわれています。

(東京都環境科学研究所 末岡伸一)

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工場を新設する場合、周囲に住居などが存在しない地域でも騒音規制値は適用されるのでしょうか。 (建設会社社員)

騒音規制法及び振動規制法の規制は、都道府県知事が指定する地域に適用されるものであり、そもそも規制する意味の無い地域は、指定されないものと理解されております。この適用の判断は、単に住居等が何件あるかということだけではなく、海や川のリクリエーション施設で人々が集うようになったとか、地域の状況を総合的に考慮する必要があります。従って、騒音規制法における規制は、全国一律に適用されるものではなく、都道府県知事が規制する地域を指定することにより初めて適用されます。この指定は、住居等が存在し騒音を減少させ環境基準を達成するために規制を行なうものであり、一般的には環境基準の類型指定と対で指定するものです。

御質問の点で考えるならば、第一に、住居等のまったくない荒野等の場合です。この場合は住居や人の集まる施設が存在しているか又は近々に建設されるかなど、地域の状況を総合的に判断して指定すべきものであり、まったく規制の必要のない地域を指定する必要はありません。

第二に考えられるのは、特定の方向などが荒野や水面となっており、住民などが立ち入らないなど騒音低減の必要性が乏しい場合です。この場合は、現実に照らして対処するのが合理的で、工場には一般的な意味で騒音対策を求めた上で、当該地域における住居の立地状況の変化にあわせて順次対策を求めていくことになります。いわば、継続的に指導するということになり、緊急に騒音対策を求める必要はないと思われます。

なお、規制地域の指定は、行政区画単位に行なわれますが、一般に市町村境界には地先水面が含まれておりますので、市町村単位の指定においては、特段の明記が無い限り地先水面が自動的に指定されることになります。一方、町丁目単位での指定においては、地先水面は含まれませんので、必要な場合は「地先水面を含む」という記述が必要となります。

(東京都環境科学研究所 末岡伸一)

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騒音測定を行う際に、騒音計はどちらに向けると良いのでしょうか。 (大学院生)

騒音計は,どの方向から入射する音に対しても等しい感度を持つことを理想とします。(全指向性)。音の波長がマイクロホンや騒音計の筐体(ケース)の寸法に対して十分に長い,低い周波数範囲では, 騒音計の指向特性は全指向性となります。しかしながら, 音の波長が騒音計の寸法と同程度より短くなってくる, 高い周波数範囲では, 音の反射や回折のために, 指向性を持ち, 一般に, マイクロホンの後方から入射する音に対する感度は低くなっていきます。

騒音計の規格 (近々改正される予定のJIS) では, 騒音計の指向特性の許容限度値を表のように規定しています。表の数値 (dB) は, 精密級に相当するクラス1の限度値で, 普通級クラス2の限度値はこれより大きくなります。なお, この許容限度値には測定の不確かさの最大許容値が含まれています。

周波数
(Hz)
入射角(θ)
30° 90° 150°
250~1,000 1.3 1.8 2.3
1,000~2,000 1.5 2.5 4.5
2,000~4,000 2.0 4.5 6.5
4,000~8,000 3.5 8.0 11.0
8,000~12,500 5.5 11.5 15.5

想像以上に大きい値だと思われるかもしれませんが, これは, 正弦波を特定の方向から入射したときの値です。一般の騒音は広帯域であり, 数kHz以上の成分が突出していることは殆どありません。また, 一般の環境騒音の測定では音の到来方向が特定できないことも多く, 交通騒音の場合には, 音源が移動しています。

純音性で音源位置が固定して明確な場合を除き, 実際の測定では, 騒音計の向きにあまり神経質になる必要はないと考えられます。

音源の向きが特定できる場合には音源の方向にマイクロホンを向け, 特定できない場合には上を向けるというのが自然な方法かと思います。

(リオン株式会社  瀧浪 弘章)

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騒音計のDC出力は, どのような測定のときに利用するのでしょうか。 (計量証明事業所所員)

多くの騒音計 (振動レベル計も同じ) には, 交流 (AC) 出力の他に直流 (DC) 出力を備えています。これは, 現行のJISや計量法 (検定検査規則) で, ディジタル表示の騒音計 (又は振動レベル計) には (原則として) 直流出力を備えることを規定しているからです。騒音レベルや振動レベルの時間重み付け特性の性能は, 通常, 立ち上がり特性と立ち下がり特性で規定されます。立ち上がり特性は, バースト信号を入力させたときの最大値を測定して試験します。立ち下がり特性は, 定常信号を入力し, それを突然停止してからの指示値が10 dB低下するまでの時間を測定して試験します。ディジタル表示の機器では, 10 dB低下する時間を測定できないので, 直流出力端子を利用して測定しています。

試験以外の用途としては, 例えば, ペンレコーダのように時間重み付け特性をもたないレコーダを利用して騒音レベルや振動レベルの記録をする場合が挙げられます。交流出力を利用してレベルレコーダに記録する場合のレベル合わせは増幅度の調整だけですが, 直流出力を利用する場合のレベル合わせは, 増幅度の調整に加えてゼロ点の調整も必要となることに注意が必要です。

他にも, 電圧計を使って簡単な騒音表示器を自作する場合などに直流出力を利用する例もありましたが, ディジタル出力を利用してコンピュータに表示できる今となっては, この目的で利用されることはめったにありません。

なお, 改正予定の騒音計のJISでは, 立ち下がり特性を1秒間に低下する指示値 (dB) で規定しているので, 試験のために直流出力を使う必要はなくなります。

(リオン株式会社 瀧浪 弘章)

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機械等から発生する騒音の対策についての留意点はどのような事でしょう。 (コンサルタント)

家電製品など小型の機械関連

機械の騒音対策は、問題解決へかける時間とコストで変わる場合がありますが、今は早く、低コストで実現できることが求められています。これを実現するには騒音振動の原因にさかのぼって対策を考える必要があります。

騒音は騒音振動源を入力とし機械システムを伝達系としたときの出力とみることができます。騒音振動源は様々ですが家電ではモータ、ギヤ、ファン、コンプレッサが主なものです。騒音振動の原因である強制力のメカニズムが解明されそのスペクトルの大きさが予測できたとき、騒音発生の原理が理解され対策を考えることができます。騒音の原因となっている力は直接測ることができない場合が多く、出力である騒音振動を計測し解析技術を使って音源振動源を推定する必要があります。その現象は機械力学的なもの、電磁気学的なもの、流体力学的なものなど様々でそれぞれ学術的な現象解明のアプローチがされているので文献から音源振動源対策のヒントを得ることができます。音源振動源対策例としてモータのスロットコンビネーション最適化、はすば歯車の使用などがあります。

伝達系としてはフレームへ振動伝達など固体振動系伝達とカバー内の空間の音響伝達、隙間の透過などの音響系伝達とがあります。伝達系を調べるとはその周波数応答と空間的な特性を調べることです。音源振動源が制御可能なら回転数を変えたりすることで周波数応答を調べることができます。伝達系の周波数応答の大きいところに騒音振動源の周波数があると共振状態となるので周波数が一致しないようにずらす必要があります。このようにして騒音振動の真因、騒音振動を大きくしている真因がわかれば真因を取り除くことで低コストな騒音振動低減が実現できます。真因がわかった上で的確に吸音材や制振材を使えば、使う量も最小量で済みます。

今後はdB値を下げるだけでなく、音質改善が求められることも多くなってくるものと思われます。dB値を下げることが技術的に限界となって求められる場合もありますが、コスト的にdB値を下げることが困難な場合にも音質改善は必要なことです。

(東芝 岡崎洋二)

自動車

自動車から発生する騒音を対策するときには、如何に他の性能と両立させるか、影響を低くするか、を留意します。特に、

  • 騒音対策のためのスペース、レイアウト
  • 騒音対策のための質量

が増加することは、車両のデザインや各種性能、燃費などに大きな影響を与えます。車両開発の末期に追加対策を行う必要が出た場合、それらの制約と両立出来る騒音対策を実施・採用することは非常に困難です。

そこで、設計の早い段階から、車両の制約条件や、騒音対策による影響を十分に考慮して、騒音対策を検討します。

騒音対策のうち、いくつかの対策例と、その制約や他に与える影響を以下に示します。

  • エンジンの遮蔽カバーの採用 エンジンの下部への遮蔽カバーは、質量増だけでなく、エンジンルーム内の冷却性能や、最低地上高(=特にSUVでは悪路走破性の悪化)への影響、制約があります。これは熱耐久性や車両用途など、車両そのものに非常に大きな影響を与えるため、その採否は車両開発の当初段階で決める必要があります。採否の検討の際、車両の目的に沿った車両姿勢・サスペンション高の設定や、冷却の対策を併せて検討します。
  • サイレンサやエアクリーナの大型化、レゾネータの採用 吸気のエアクリーナ、排気サイレンサの大型化や、レゾネータの採用は、吸気・排気騒音を下げる効果がありますが、採用する時には、それらを搭載できるスペースの確保が必要です。しかし、車両デザインや他の部品のスペース、レイアウトへの影響があります。 また、歩行者傷害低減の観点から、エンジンルームの中に衝撃を吸収するスペース、すなわち部品を設置できないスペースの制約もあります。そこで、必要な(もしくはレイアウト上確保できる最大の)容量を開発当初に設定し、騒音対策の設計検討を行います。
  • 排気管のレイアウト改善 排気管は急な曲げのない形状にし、気流音が発生しにくいようにします。しかし駆動系やサスペンション構成部品のレイアウト、地上最低高の制約や、近接する各種部品への熱の影響があります。そのため、設計検討の際には排気管のスペースだけでなく、熱の影響を受ける部品も併せて適切なレイアウトを検討します。

(日産自動車 第一車両計画部 鈴木 明)

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野外で騒音調査を行うときに、周辺に建物などの目標値がないので、測定位置の確認に困っています。何か効率的な方法があれば教えて下さい。 (環境調査会社 技術者)

昨今、測量用のGPS受信機が手軽に利用できるようになり、位置出しに便利なアプリケーションも充実してきていますので、これらを野外騒音調査の測定位置確認に利用すると非常に有効です。

測量用のGPSはDGPS(ディファレンシャルGPS)とも呼ばれており、位置精度を補正するために、海上保安庁等運営の基準局が発信する長波信号(ビーコン)を、背負った専用アンテナで受信しながら利用します。

肝心の精度は、騒音調査における測定点の位置出しとしては十分な30cm程度(公称精度は±1m以下、一般的なカーナビのGPSは精度±10m程度で、現在位置はソフト的に補正する場合が多い)が得られます。またインターフェースとしてPDA を用いており、配置図との重ね合わせ、指定座標への誘導、任意座標のストア等が可能です。またGIS(地理情報システム)のソフトウェアがあれば、GPSのストアデータを直接読み込んで利用することも可能です。

欠点は、現場配置図を経緯度の座標系にマップする手間がある点と、ビルが林立する場所など衛星の捕捉状況が悪いと精度が落ちる点、室内での位置出しには利用できない点などです。

最近はジャイロ式の加速度センサーを内蔵して、DGPSの位置精度をさらに補正するタイプの測量機器も出回り始めており、衛星の補足状況の制約は解決されつつあります。これらの機器の発展が、室内の騒音測定も含めて位置出しの手間を効率化する日も近いかも知れません。

((株)大林組 池上雅之)

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防音ダクトの設計や施工についての留意点について教えて下さい。 (建築会社 技術者)

防音ダクト(以降、消音器と言います)の目的は、強制気流があるダクト内部を空気伝播する騒音を減音することです。この消音器を設計あるいは選定する際、下記のことに注意する必要があります。

1. 圧力損失

消音器の減音効果のみを考えていると、消音器の圧力損失が高くなる。これは例えば低周波域での減音量を大きくしようとすると、同減音構造部が大きくなり、減音構造部の気流速度が上がり、圧力損失が増加するからです。

次に消音器が設置される直近上下流のダクト形状(エルボ等)により、気流が変化して、ダクト消音器と直近のダクト系での総合圧力損失を増加させますので、このような設置をする場合、圧力損失は直管ダクト設置時の2倍を見込む必要があります。これらは消音器メーカーの技術データ等に示されているので、参照されると良いでしょう。

2. セルフノイズ

コンパクトな消音器を追求すると、同消音器の断面積が小さくなり、内部流速が増えて、圧力損失と共に、消音器の内部減音構造が発生する気流音(これをセルフノイズと言います‐パワーレベルで示す)が増えて、下流の騒音値を増加させることになりかねません。消音器の各気流速度におけるセルフノイズを掴んでおくことが必要です。基本的にはダクト内気流速度を出来るだけ遅くすることが必要ですが、コスト上ダクトサイズを大きくすることが出来ないのが現状です。セルフノイズデータについては、ダクト消音器メーカーカタログに記載されていますので参照できます。通常、消音器設計、選定の際、低周波音が下流のダクト系を加振して、新たな振動音を発生することがあるので、上流で低周波音を必要なだけ減音することが必要です。低周波音用消音器の構造上、気流速度が速くなり、セルフノイズを多く出す結果となります。場合によっては、その下流に気流音の主体である中・高周波を取るための消音器を考慮する必要があるでしょう。

3. ブレークイン・ブレークアウト

これは消音器で上流からの騒音を消音しても、下流でダクト外部の騒音が同ダクト内に透過して同ダクト内部騒音を増加させることがあるので注意する必要があります(ブレークイン)。その反対にダクト内部の騒音が同ダクトを透過して、その回りの空間、室内に侵入して同空間、或いは室内の騒音値を増加させることがありますので、その注意が必要でしょう。

4. 正流、逆流での消音器性能

消音器性能を詳細に見ますと、気流と騒音が同方向に流れる場合(正流)とそれぞれが反対方向に流れる場合(逆流)の同じ消音器性能が低周波域において1~3dB異なる(逆流の場合の方が性能が高く現れる)場合があるので注意が必要でしょう。これも消音器メーカーカタログ等に出ているので参照されるとよいでしょう。

((株)ササクラ 音・冷熱事業部 黒部能幸)

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幹線道路での騒音を評価する際、幹線道路近接空間の特例がありますが、その近接空間の具体的な範囲はどのように決めたらよいのでしょう。 (環境調査会社員他)

この関係のご質問は多く寄せられております。
「騒音に係る環境基準」(平成10年9月30日環境庁告示第64号)には、「幹線交通を担う道路に近接する空間」(略して幹線道路近接空間)における特例が示されていますが、この「幹線交通を担う道路に近接する空間」の定義は、通達「騒音に係る環境基準の改正について」(平成10年9月30日環大企第257号)の第三項3で次のように記されています。

第三 3 「幹線交通を担う道路に近接する空間」とは、次の車線区分に応じ道路端からの距離によりその範囲を特定するものとする。

2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路 15メートル

2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路 20メートル

また、「騒音規制法第17条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める省令」(平成12年3月2日総理府令第15号)の第3条には以下の記述があります。

第3条 別表に掲げる区域のうち幹線交通を担う道路に近接する区域(2車線以下の車線を有する場合は道路の敷地の境界線から15メートル、2車線を超える車線を有する道路の場合は道路の敷地の境界線から20メートルまでの範囲をいう。)に係る限度は、前条の規定にかかわらず、昼間においては75デシベル、夜間においては70デシベルとする。

以上のように、「幹線交通を担う道路に近接する空間」が始まる地点は、「道路端」もしくは「道路の敷地の境界線」と定義されています。
しかし、実際の様々な道路条件において「道路端」あるいは「道路敷地境界線」がどこになるかは判断に迷うケースが多々あると思われます。参考に、代表的なケースとして図1~4の具体例で境界線の位置を示すことにします。
要は、幹線交通を担う道路を構成する車道、歩道、道路法面、環境施設帯などの一体的な道路敷地の境界線ということになります。

(ゼット音響 北川 保、綜合技術C 三宅龍雄)

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低周波音の測定では風の影響を受けるとのことですが、具体的に風速何m/s以下での測定が望ましいのでしょうか。 (計量証明事業所所員)

低周波音測定では風の影響を受けますが、具体的に風速何m/s以下での測定が望ましいということは単純には言えません。

低周波音レベル計のマイクロホンに風が当たると雑音が発生します。低周波音の測定にあたっては、防風スクリーンを使用しますが、大きな効果は期待できません。防風スクリ?ンの効果は、周波数範囲 1~80Hz平坦特性で測定した場合、通常使用される連続気泡ポリウレタンの直径 9cmの防風スクリ?ンでは約10dB、同じ材質の直径20cmの防風スクリ?ンでは約20dBほどです。図?11)は直径20cmの防風スクリーンの有無による風雑音の大きさを比較したもので、図に示すように風が強くなると風雑音も増加しています。対象とする低周波音の音圧レベルが小さいほど, 風が強いほど風による影響は大きくなります。経験的には、低周波音の音圧レベルが80dB程度の場合、周囲の草が風で揺れていると(概ね風速1m/s以上),正確な値を得ることは難しいでしょう。

音圧レベル変動の小さい低周波音の測定で、時折風が吹く場合には、低周波音レベル計の出力をレベルレコーダに接続して音圧レベル変動をモニターし、変動の少ない区間を測定します。

図22)は風速による風雑音の周波数特性の違いを示したものです。風速の増加に伴い、低周波数域ほど音圧レベルの上昇が認められることがわかります。すなわち、測定対象とする低周波音の周波数特性によっても、風による影響の度合が異なることがわかります。対象とする発生源の卓越周波数が高い周波数域にあれば、風による影響は受けにくくなります。

低周波音の測定では、屋外の測定だけでなく、屋内でも風による影響を受けます。風により窓が振動することにより, 室内でも見かけの音圧レベル変動が観測されることがあります。風の強い日に室内で低周波音を測定する場合には, 風雑音の発生に注意を払う必要があります。

なお、低周波音測定時における風雑音の影響については、環境省より公表されている「低周波音の測定方法に関するマニュアル」(下記URL)にも記載されています。
(http://www.env.go.jp/air/teishuha/manual/index.html)

参考文献

  • 1)大熊恒靖, 福原博篤, 低周波音測定に及ぼす風の影響について,日本騒音制御工学会技術発表会講演論文集,1980.9, 173-176.
  • 2)R.N.Hosier and P.R.Donavan, Microphone Windscreen Performance, National Bureau of Standards Report NBSIR 79, 1599, Jan.1979.

(財団法人小林理学研究所 落合博明)

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『自動車騒音の状況の常時監視に係る法定受託事務の処理基準』には、評価結果の活用として、「騒音マップ等を作成して活用する」とありますが、どのような騒音マップ等を作成して活用すればよいのか、教えて下さい。 (地方公共団体担当者)

騒音規制法第18条に規定される自動車騒音の状況の常時監視(以下「常時監視」という)は、同法第26条により法定受託事務とされています。一方、常時監視結果の公表は、同法第19条に規定される地方自治事務です。したがって、常時監視事務においては、騒音マップの作成等を通知しているものの、各地方公共団体における常時監視事務の成果の公表については、個別の地域の事情に応じた方法によればよいものです。

このような背景から、ここでは環境省が国立環境研究所と共同で作成し、2004年11月にインターネット上で一般公開を開始した全国騒音マップ(http://www-gis.nies.go.jp/noise/car/)について、その制作ポリシーを事例として示すこととします。

環境省が作成し公表した全国騒音マップ(自動車交通騒音実態調査報告-図に画面例)は、自動車交通騒音の支配的な道路に面する地域の騒音曝露状況について、常時監視報告に基づく騒音情報を地理情報と共に情報提供するものです。

道路に面する地域における騒音曝露状況の表示方法は様々なものが考えられますが、環境省では、騒音に係る環境基準に基づいて「環境基準値を超過する住居等の戸数及び割合」を基本とした騒音マップを作ることとしました。この際、サイトの閲覧者が一般住民から行政の方まで不特定多数にわたること、及び制作上の維持・管理の観点などから、特に次の点に留意することとしました。

  • 1.背景地図は、常時監視が個別の住居等情報の識別を指向していないこと等から、1:25000縮尺の国土地理院数値地図25000(地図画像、空間データ基盤)を使用する。
  • 2.地域の住民、騒音対策の企画者の2つの視点に着目して、環境基準達成率と住居等密度(戸/km)について、色度に明度・彩度を組み合わせた2次元色パレットにより同時に表現する。
  • 3.環境質の経年変化・推移を把握することが重要なことからも、GIS(地理情報システム)座標情報と詳細な属性情報を分ける等、データ構造はなるべくシンプルにして、騒音マップの維持・更新を容易なものとする。
  • 4.全国各地域を、地図画像をクリックすることにより検索可能とするとともに、市区町村・町丁目によっても検索できる。
  • 5.幹線交通を担う道路に近接する空間、幹線交通を担う道路に近接しない空間、及び全体(前者2つを合算したもの)ごとに、環境基準達成状況の評価結果を表示できる。
  • 6.騒音測定結果を表示・閲覧できる。
  • 7.環境省で毎年取りまとめている、「自動車交通騒音実態調査報告」を閲覧し、ダウンロードできる。

最後に、今後の騒音マップの作成にあたっては、いずれの地方公共団体においても、アカウンタビリティーと個人情報保護に留意しつつ、情報更新を踏まえて維持・管理がしやすいデータ整備、インターネットの普及に対応した電子媒体による情報提供、及び国土地理情報を重ね合わせる等の各種騒音対策分析・活用方途、などについても検討し、生活環境の質の向上に寄与できる騒音マップが制作されることを期待します。

(環境省自動車環境対策課 児玉知之)

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建物の遮音性能の測定に関するJISが2000年に変わっているとのことですが、以前のJISと比べてどう変わっているのですか。 (音響調査会社 社員)

JIS A 1417は2000年にISOに準拠するために改定されました。その主な内容は、従来の室間音圧レベル差に加えて基準化音圧レベル差、標準化音圧レベル差及び準音響透過損失が追加された、測定周波数帯域が従来の1/1オクターブバンドに加えて1/3オクターブバンドが追加された、これに伴い測定周波数が変更されたこと、さらに受音装置に従来の騒音計に加えてリアルタイムアナライザーが追加された、測定方法として固定マイクロホン法に加えて移動マイクロホン法が追加されたこと、受音点の高さが従来の1.2~1.5mから空間的に等分布させる規定に変更されたこと等です。新JISと旧JISの変更点の詳細を次の対比表に示します。

JIA A 1418の重量床衝撃音遮断性能も本JISと同様の改正をされています。また、測定結果が小数点1位まで算出しますので、評価に関するJIS A 1419での許容値は2.0dBです。この他、計算結果の算出方法など細部で旧JIS と異なっています。測定時にはJISを参照して下さい。

比較項目 新JIS A 1417-2000 旧JIS A 1417-1974
表題 建築物の空気音遮断性能の測定方法 建築物の現場における音圧
レベル差の測定方法
適用範囲 室間音圧レベル差、基準化音圧レベル差、標準化音圧レベル差及び準音響透過損失 室間平均音圧レベル差、
特定場所間音圧レベル差
測定装置 普通騒音計、精密騒音計、オクターブ又は1/3オクターブバンドフィルタ、リアルタイムアナライザー 指示騒音計、精密騒音計、
オクターブバンドフィルタ
音の発生 定常音(帯域ノイズ、広帯域ノイズ等) 1オクターブ帯域雑音の
断続音
平均音圧レベルの
測定における
受音位置
固定マイクロホン法:
室境界または拡散体から0.5m以上離れ、音源からは1m以上離れた空間内に互いに0.7m以上離れた5測定点を空間的に均等に分布させる。
移動マイクロホン法
音源・受音室で0.7m以上の回転半径でマイクロホンを連続回転させる。回転面は床面に対して傾斜させ各壁面とも10°以上となるようにする。回転周期は15秒以上とする。
室内に一様に分布した5点、
マイクロホン高さは
1.2~1..5mで上向き、
音源スピーカ、壁、扉、
窓、開口部のごく近くは
避ける
平均化時間 固定マイクロホン法;
1/1オクターブバンド:250Hz以下3秒以上、500Hz以上2秒以上
1/3オクターブバンド:400Hz以下6秒以上、500Hz以上3秒以上
移動マイクロホン法;
マイクロホン移動装置の周期の整数倍且つ30秒以上
断続音発生時間内の指示値
の平均値
測定周波数
範囲
1/1オクターブバンド;
125Hz, 250Hz, 500Hz, 1000Hz,2000Hz
1/3オクターブバンド;
100Hz, 125Hz, 160Hz, 200Hz, 250Hz, 315Hz, 400Hz, 500Hz, 630Hz, 800Hz, 1000Hz, 1250Hz, 1600Hz, 2000Hz, 2500Hz, 3150Hz
125Hz, 250Hz, 500Hz,
1000Hz, 2000Hz, 4000Hz
残響時間の測定 受音室内で境界面から1m以上離し、均等分布した受音位置3点で測定 規定なし
測定結果 室間音圧レベル差、基準化音圧レベル差標準化音圧レベル差、準音響透過損失小数点1位まで 室間音圧レベル差整数位
まで

(日本建築総合試験所 和木孝男)

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JISA1417と同様にJISA1418(重量床衝撃音遮断性能)も改正されたとのことですが,解説をお願いします。 (音響調査会社 社員)

JIS A 1418はISOとの整合化を図るため、2000年1月に改正されました。旧JISから標準軽量衝撃源と標準重量衝撃源による方法に分離され、ISO 140-7が基本となっている前者が第1部(JIS A 1418-1)、対応するISOはないが第2部とした後者(JIS A 1418-2)といったように2部構成になりました。標準重量衝撃源として、従来の特性Ⅰ(タイヤ)に加え、衝撃力の小さい特性Ⅱ(ゴムボール)を規定しています。測定物理量として、周波数重み特性Aを用いて測定したA特性床衝撃音レベルが取り入れられています。測定方法は、マイク高さ1.2?1.5mであったものから空間的に均等に分布させること、周波数は旧JISのオクターブバンドの63?4000Hzが、オクターブバンドの63?500Hz、1/3オクターブバンドの50?630Hzを原則としています。また、暗騒音の影響を受ける測定値を補正するレベル差範囲が変更されました。新旧JISの変更点を下の対比表に示します。

(財団法人小林理学研究所 中森俊介)

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道路交通騒音対策効果を計算する際、高架裏面の吸音率等はどのように決めればよいのでしょうか。 (建設コンサルタント)

特にこうしなければならない、というものはありません。ただ、参考にする吸音率の値としては平成7年の旧建設省告示第1860号における開発目標があります。これは「種々の道路箇所等において、新技術を応用した吸音板を設置することにより、反射音が沿道騒音に与える影響を大きく低減できる効果を有する」ことを開発目標に平均斜入射吸音率を評価項目として設定されています。

以下、道路箇所と平均斜入射吸音率の評価基準を列挙します。

高架道路の裏面 0.90以上
掘割壁面 0.85以上
トンネル内壁面 0.70以上
沿道建物の外壁面 0.75以上
橋脚 0.70以上
植栽枡の外壁面 0.70以上

技術目標の評価項目には平均斜入射吸音率の他、強度、安全性、重量、景観性、設置作業の容易性、維持管理の容易性があります。

なお、騒音対策等に具体的な製品があればその製品の吸音率データを用いる方が精度が高くなることはいうまでもありません。

(ゼット音響 北川 保)

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既存道路の騒音対策を遮音壁、吸音処理によって行おうとする場合、費用はどのくらいかかりますか。また費用以外に注意すべき点はどのようなことでしょうか。 (建設コンサルタント)

このようなご質問に「マイナス1dBあたり単価」のようなものが簡単に提示できれば便利だろうなあといつも思います。しかし、伝播経路対策である遮音壁では、そのように表現することには無理があります。

また、一口に道路といっても、土工部・高架部・掘割部など様々な道路構造が存在する事や、遮音壁であれば高さや形状(柱のサイズ、「忍び返し」、R付きなど)でも費用は左右されます。更に近年では、遮音壁や吸音板も音響的な機能以外に、意匠性、耐久性、リサイクル性などに付加価値を求めるなど、製品も多様化してきており、費用の面でも様々です。

前置きが(言い訳が)長くなりましたが、これでは回答になりませんので、具体的に条件を絞ってお話ししてみます。

  • ・遮音壁
    「JH統一板*1)を用いて、遮音壁を高さ3mで土工部に施工した場合」を例にとると、大凡で¥30,000/㎡(材工共、以下全て)程度です。これよりも単価が上昇する要素としては、「塗装を施す」、「支柱を隠すなど意匠に工夫する」、「勾配がある」、「透光性にする」、「防汚仕上げを施す」、「工事が夜間に限られるなど作業効率が悪い」などが挙げられるでしょう。
    因みに透光性(反射性)にした場合、同様の施工条件で、¥60,000~70,000/㎡程度(枠つきポリカーボネート透光板)、¥65,000~75,000/㎡(枠なしアクリル透光板)程度です。
    また、近年遮音壁頂部に「新型遮音壁」を施工する例も増加してきております。凡そ¥59,000~62,000/m程度と考えられますが、こちらも様々な製品がありますので、各メーカーに問い合わせたほうがよいでしょう。
  • ・吸音処理
    トンネルの内壁や掘割などの反射面に、後から吸音処理を施す場合、吸音材としてグラスウールを用いた一般的なタイプでは、¥35,000~40,000/㎡程度と思われます。耐候性に優れたセラミック吸音板を用いた場合は、¥50,000~55,000/㎡程度です。また、比較的特殊な施工箇所ですが、近年対策事例の多い高架道路の裏面に対する吸音板は大凡¥45,000~55,000/㎡程度です。

これら全ては、誠に大雑把な概算です。計画に際しては、必ず各々見積もりをとる事をお勧め致します。

また、費用以外に注意すべき点との事ですが、

様々多くの点があると思います。材料メーカーの立場から申し上げられる事は限られていますが、既存構造ならではの点であれば、現状耐力の照査、供用中道路の工事規制の問題等が具体的に挙げられると思います。何事においても新品を作るより修理の方が難しいという事があると思いますが、手を加えるための、現状の調査・把握・診断の重要性に集約されるのではないでしょうか。

(日東紡績 三神 貴)

  • *1)竹本恒行,”日本道路公団における金属製統一型吸音壁,”音響技術vol.6 no.3 53-60(1977)など

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直下に居室があるような厨房の床は、浮き床が必要であると聞きましたが、耐水性を考慮してスタイロフォームを緩衝材として用いたいのですが性能はどうでしょうか? (工務店 社員)

厨房の床は水仕舞の関係から硬い仕上げとなりますので、固体音対策が不十分な場合には、厨房での作業音は直下の室で50dBA以上となります。特に、グリストラップや側溝のグレーチング上を作業者が歩行する時に発生する衝撃音は60dBAに達し、発生頻度も高いので、厨房の直下に居室がある場合は浮き床などの固体音対策は不可欠です。

浮き床の緩衝材としてスタイロフォームを用いられるとのことですが、スタイロフォームでは十分な対策であるとは言えません。スタイロフォームは、厚さ50mmで動ばね定数は4×107N/m3、損失係数は0.5程度です。一方、グラスウール96kg/m3の厚さ50mmの動ばね定数は4×106N/m3、損失係数は0.25程度ですので、スタイロフォームの動ばね定数はグラスウールの10倍、損失係数は2倍に相当します。そのため、スタイロフォームを緩衝材として用いた浮き床は、グラスウールを用いた浮き床よりも固体音遮断性能が約10dB劣ります。厨房の床衝撃音対策としては、スタイロフォームよりもグラスウールを用いた浮き床を推奨致します。

なお、浮き床はわずかでも躯体と接触した部分(サウンドブリッジ)があると固体音の遮断性能は低下します。浮き床を施工する際には、サウンドブリッジができないように、特に立ち上がり部分などは十分な施工管理が必要だと思います。その他の留意点としては、以下の事項が挙げられます。緩衝材は、JIS A 6321、 JIS A 6322に規定するロックウール(100~150kg/m3)またはグラスウール(96kg/m3)で厚さ25mm以上のものを用います。これらの材料は濡れると性能が発揮できませんので、JIS K 6781に規定するポリエチレンフィルム1種厚さ0.1mm以上で防水処理します。フィルムの継ぎ目は10cm以上重ねて、テープなどで目貼りをします。コンクリート打設の際には、ポリエチレンフィルムを踏み破らないようにし、また局部的な荷重をかけてグラスウールに損傷を与えないように注意して打設します。

((株)大林組技術研究所)

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道路の音がうるさいので、窓を替えようと思っています。ガラスが2枚ある複層ガラスにしようと思いますが、遮音性能は今の2倍になるでしょうか? (マンション住人)

複層ガラスは、断熱ガラスとして広く用いられるようになってきています。複層ガラスは対流による断熱性能の低下を防ぐため、空気層(ガラス間隔)は通常6~12mmとなっています。そのため、ガラスの質量と空気のばねによる共鳴透過現象が中低音域に生じ、共鳴透過周波数帯域での遮音性能は、2枚のガラスの面密度を合計して、単板の音響透過損失質量則から計算した遮音性能よりも大きく性能は低下します。したがって、道路交通騒音のように低い周波数成分の多い音源に対しては、複層ガラスの遮音性能は2倍にはなりませんし、かえって逆効果となることもあります。

複層ガラスでも厚いガラス構成、特に異なる厚さのガラスで構成されたものは、比較的高い遮音性能が得られます。ただし、重くかつ見込み厚さが厚くなるため、普通のサッシでは対応できなくなりますので、サッシの交換を伴う工事が必要になると思います。

道路交通騒音を十分に遮音するためには、別々のサッシを現場で二重に構成する二重窓とされることが良いと思います。二重サッシは、十分なサッシ間隔(150mm程度以上)が確保できると、2枚のサッシの遮音性能の合計に近い性能が得られます。また、2枚のサッシは両方とも防音サッシとする必要はなく、片側は既存の普通サッシでも高い遮音性能が得られます。さらに、施工面や使い勝手の制約がなければ、二重サッシ間の周壁を吸音構造としたりひだを多くしたカーテンなどによる吸音処理をされると遮音性能は向上します。

なお、既製品で工場出荷時に二重に構成されているものを二重サッシと言い、上記の二重窓とは区別しています。

((株)大林組技術研究所)

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最近エネルギーレベルという用語を良く聞きますが,どのような時にもちいられているのでしょうか? (大学学生)

エネルギーレベル (音響エネルギーレベル) は,JIS Z 8732:2000 (音響-音圧法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法-無響室及び半無響室における精密測定方法) において次のように定義されています。

“音響エネルギーレベル (sound energy level) LJ : 測定対象音源から放射される音響エネルギーE [J] を基準音響エネルギーE0で除した値の常用対数の10倍。次式で与えられる。単位はデシベル [dB]。

基準音響エネルギーE0は,1 pJ (=10^-12 J)。”

LJと類似の量に音響パワーレベル (sound power level) LWがあります。LWは,音源が単位時間 (1秒) に放射する音響エネルギー (単位:J) すなわち音響パワー (単位:W=J/s) をデシベル表示した量です。

一般にエネルギーとパワーは混同されやすいのですが,物理的には明らかに異なった量です。パワーは時間平均の概念に基づいていますから,衝撃あるいは間欠的な過渡現象には使えません。そのような場合にはエネルギーそのものに着目する必要があります。このようにLJとLWとは異なる量ですから,正確に使い分ける必要があります。定常騒音のように,時間によらず発生するエネルギーが変化しない場合にはLWの考え方を適用することができますが,衝撃性あるいは間欠性の音のように単発的な音については適用することが出来ません。この場合にはLJ,すなわち一回の発生ごとの総エネルギー (エネルギー積分値) を用いる必要があります。

最近,日本音響学会から提案された建設工事騒音の予測法”ASJ CN-Model 2002″において,A特性音響エネルギーレベルLJAが予測計算に用いられています。参考になると思いますので,ご一読されることをお勧めします。

(環境技術研究所 田近輝俊)

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道路交通騒音対策に用いられる吸音材の吸音性能に「平均斜入射吸音率」という言葉を聞きますが,どのような値なのでしょうか。また道路交通騒音以外の騒音に対する騒音予測には使用できないでしょうか。 (コンサルタント)

平均斜入射吸音率は道路交通騒音対策に用いられる吸音材の性能を規定する値であり,使用目的に応じて,例えば以下のような基準値が定められています。

高架裏面吸音板 90%以上
掘割側壁吸音板 85%以上
吸音型遮音壁 75%相当
トンネル内装吸音板 70%以上

従来,吸音材の性能評価には、音波が試料に垂直に入射する垂直入射吸音率や,ランダムに入射することを仮定した残響室法吸音率が用いられてきました。しかし道路交通騒音の場合には,音が特定の方向から吸音材に入射することが多いため,垂直入射吸音率や残響室法吸音率では十分ではなく,そのため斜入射吸音率で性能が規定されています。

平均斜入射吸音率は,0°,15°,30°,45°の4方向についての斜入射吸音率を測定し,道路交通騒音の平均スペクトルとA特性補正値を重み付けして算出します。入射角毎の斜入射吸音率の測定にはTSP信号等を用い,吸音材からの反射波を時間軸で分離します。そして吸音材がないときの(完全反射面と考えられる床面での)反射波との比からエネルギー吸音率を求めます。測定周波数範囲は400~4kHz(1/3オクターブバンド)です。

したがって,平均斜入射吸音率は道路交通騒音のスペクトルを考慮しているため,道路交通騒音と異なるスペクトルの音源には適用できません。しかし平均斜入射吸音率の算出のもととなる斜入射吸音率は,入射角度別に周波数毎に測定されています。その値を用いて周波数毎に計算すれば音源のスペクトルが異なっても騒音予測に用いることができます。

(ニューズ環境設計 福島昭則)

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高架道路の騒音や航空機騒音等の遠距離伝搬についての、国内外の調査研究について教えて下さい。 (建設コンサルタント 技術者)

音の遠距離伝搬に関する研究は1850年代から霧笛による信号のやりとりや大砲の設置場所を決定するために始まった。その後はしばらく戦争等で中断していたが、1950年代に入りジェットエンジンを装着した航空機やロケット開発実験の騒音が社会問題化したため、他の物理分野等の研究成果を加えて研究が西欧を中心に再開された。

それらは、第一に自由空間の逆二乗則による距離減衰が周波数や位相および振幅が絶えず変化する騒音でどの様になっているか、また、遠距離を伝搬する大気中でどのくらい空気による減衰があるかなどである。第二に地表面に近接した空中での減衰要素についての研究で、主に地表面インピーダンスによる反射音との干渉などにより伝搬音が到達しない領域が生じるシャドーゾーンの問題である。また、シャドーゾーンは地形、障害物、森林、風向風速などの影響によって発生する事が示された。第三には遠距離伝搬音と大気の状態の関係で、気温が上空に行くに従って逓減したり、風速が上空ほど速くなると云う気象学の知見を取り入れたものである。地上の大気が層状に分布すると考えると、その中を伝搬する音は層毎に異なる気温、湿度、風速などの影響で層の境界で音の伝搬方向が変化するので、地表面による影響ではない別のシャドーゾーン等が生じる事が多く研究されたが、気象と伝搬音の実測値の良い一致は多く見られないことが分かってきた。この理由は主に気象の実測値の質や数が不足しているためで、風は息をしながら三次元の方向に移動するものだが、一般に測定される風速は特定の場所の、水平方向の成分で、時間平均値であるために、音の伝搬と云う物理現象を表すことのできない観測値と云えるからである。気象の観測値を音の伝搬領域を充分カバーできる数と精密さで測定する事は不可能であるため、音の波動理論と気象学による大気の瞬時の要素を取り入れた理論的シミュレーションの研究や、反対に、長期間の伝搬音測定結果などからの実験的研究が行われている。何れの方法による研究も、大気のターバレンスと呼ばれる乱れがシャドーゾーンに動的に大きく関係する様子をある程度説明できるまでになってきた。 

これらは、市街地と騒音などの公害なしに共存できる高速道路や飛行場建設に必要な遠距離伝搬音の研究の始まりと云える。

(ケンオン 小西一生)

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1測定点で在来鉄道騒音と道路騒音を同時に測定する場合はどうしたらよいのでしょうか。 (環境調査会社 技術者)

鉄道騒音には、「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年環境庁)と「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針について」(平成7年環境庁)の二つの評価方法があります。前者は時間重み特性Sでの最大値を、後者は単発騒音曝露レベルLAEを基にした等価騒音レベルLAeqを評価値としています。

一方、道路交通騒音は、「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁)により等価騒音レベルLAeqを評価値にすることになっています。さらに、時間重み特性Fによる時間率騒音レベルLAN,Tを求めることも多いようです。

LAeqLAEの測定には積分型騒音計による方法とサンプル値を用いる方法がありますが、異なる音源のレベルを分離して測定する場合には、サンプル値を用いる方が便利と思われます。

サンプル値よりLAeq等を求める場合の時間重み特性は時間間隔⊿tが十分短ければ、FでもSでもかまいません(詳細は、JIS Z 8731:1999「環境騒音の表示・測定方法」を参照して下さい)。

実際の測定では測定項目、経済性等を考慮し測定方法を決めます。鉄道騒音についてLAeqと時間重み特性Sによる最大値、道路交通騒音についてLAeqと時間重み特性FによるLAN,Tを求める場合、図1のようにFで騒音レベルをサンプリングし、Sでレベルレコーダに騒音レベル変動波形を書かせる方法が一案です。この方法では、測定後レベルレコーダ記録を参照しながら、サンプリング値を鉄道騒音と道路交通騒音を分離することになりますが、パソコンを利用すればそれほど手間はかからないと思います。

(ゼット音響 北川 保)

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プレス工場などの防音対策はどのようにすればよいか教えて下さい。 (音響コンサルタント 技術者)

公害防止としての騒音対策は企業の利益に結びつかない投資であるため、実施に当たっては必ず的確な効果が期待でき、目標値(規制値)を達成できる様な計算の上に立った騒音対策計画を立案するべきである。 「これ位の工事をやれば良いダロウ、ブロックでも積めば解決するダロウ」という安易なダロウ設計、ダロウ工事では目的の防音効果が得られず、ムダ金、死に金になる。(場合によっては、防音効果が不十分なため一度施工したものを撤去して、改めて工事施工することもある。) プレス工場の防音対策計画を進めるには、下図の如くに行うのが好ましい。

○現場調査・騒音測定・周波数分析

先ず現状状況を聴覚、視覚にて調査し、騒音レベル測定・周波数分析を行う。周波数分析は、音の性質(高周波か?低周波か?)を知るために(即ち的確な防音設計を立案するために)必要であるから必ず行うこと。周波数分析値を把握せずに経済的な防音設計はできない。

○騒音予測計算・防音設計

騒音レベルの減音量(現状値-目標値)を決め、周波数分析結果より音の性質に合致した騒音防止の方法、防音材料の選定をし、騒音予測計算を行った上で防音設計計画を作成すること。
防音対策の方法としては、下図の3つの方法がある。

イ)防音ボックス(音源を狭い範囲で囲う)

“音は根源で断つ”の鉄則通り、若し可能なれば防音ボックス対策が最も有効、適切な方法である。
☆検討事項:プレス、コンプレッサー等全台数を実施できるか、作業能率、メンテナンス、工場内スペース、ボックス内の温度上昇、機器の更新等、作業安全、作業環境・・・・・

ロ)建家防音対策(屋根・壁を改善

現在の屋根・天井及び壁の防音強化対策。(二重壁・二重天井・二重屋根等の対策)防音材として音源側に吸音材、外部側に遮音材の構成とする。
☆検討事項:建築基準法・消防法他法例との関連、工場内スペース、換気口、サッシ、出入口等全面施工、作業環境(工場内換気・工場内採光) 遮音材等の材料の荷重計算・・・・・

ハ)防音塀対策(敷地境界等に塀を建てる)

回折音(回り込み音)の計算をした上で対策の範囲(高さ、長さ)を決める。あまり大きな防音効果はない(最大限25dB位である)但し、視覚的・心理的効果は大であり、企業側の前向きの誠意は通じる。
☆検討事項:消防法他法例との関連、日照権、通風権、環境権・・・・・

上記いずれの防音対策についても、施工技術の優劣により防音効果は、同じ防音材料を使ってもその差異が大きいため、施工に当たっては美観・雨仕舞等を主眼とする一般建築工事でなく、防音を主眼とする間隙部密閉処理を充分配慮した上の、綿密且つ入念な施工を行う事。  

(平野防音 平野 康夫)

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住宅地の近傍で道路工事を行うのですが、役所から「住宅地での騒音予測を行ってもらいたい。環境基準値と比較して、それをオーバーするようならば対策を講じてもらいたい。」という要請がありました。詳細な工事計画は全くないのですが、騒音予測はどうすればよいのでしょうか。 (建設コンサルタント 技術者)

工事騒音は騒音規制法の規制基準で評価するものであり、評価対象に含まれていない環境基準と比較する事には問題があります。ここでは、住宅地内の環境変化を知る一つの目安として環境基準と比べることと考えます。

ご質問のようなケースの場合は、「ユニット」を用いた予測がよいと思います。ユニットという考え方は、ここ2,3年にでてきた新しい考え方で、例えば、掘削工事ならば、バックホウとダンプトラックが1ユニットであり、掘削・積込・運搬という一連の作業の中で発生する騒音を1つの音源として取り扱おうというものです。これを用いると、作業モードの設定とか、ダンプトラックの走行路設定とかいう面倒な作業設定は一切不要です。これらの値は、全国の様々の工事現場での実測結果に基づいて算出されたものです。

詳細は「道路環境影響評価の技術手法」(平成12年11月、財団法人道路環境研究所)もしくは、「ダム事業における環境影響評価の考え方」(平成12年3月、財団法人ダム水源地環境整備センター)に記載されています。表1は筆者による設定例を示しました。

表1 ユニット別音源パワーレベルLwの設定例

(単位デシベル)

工種 適用したユニット LW
橋梁下部工 中掘工法 104
路盤土工(切土) 土砂掘削 104
路盤土工(盛土) 盛土(路体・路床) 108
路盤土工(擁壁) 現場打擁壁 110
舗装工 アスファルト舗装工 101

予測にあたっては、建設機械の稼動範囲の中心に点音源を置いて、通常の減衰式に当てはめればよいのですが、この結果は建設機械稼動時における等価騒音レベルであり、環境基準値と比べる場合は、昼間16時間の等価騒音レベルLAeq,16hに変換する必要があります。作業時間として通常は8時間を入れますが、実際の作業内容を考慮して実稼動時間を入れてもよいと思います。

LAeqP1=LW-20log(r)-8
LAeq,16hLAeqP1+10log10(T/16)
LAeqP1 : 建設機械稼動時の等価騒音レベル(dB)
LW : 音源のパワーレベル(表1の値)
r : 建設機械から予測地点P1までの距離(m)
LAeq,16h : 昼間16時間の等価騒音レベル(dB)
T : 作業時間(時間)

建設機械の稼動範囲については、筆者は工事計画の詳細が未定の場合、ユニットを構成する建設機械の大きさ・作業範囲を考慮して、直径15m~30mの円内を作業範囲と考えて、その中心に点音源を置いて計算を行っています。
注意点としては、予測は工種ごとの建設機械を理解した上、適切にユニットを設定する必要があります。例えば、橋梁工事(下部工)なら、掘削を対象とするなら「土砂掘削」を、杭打ちならば、例えば「中掘工法」を使用し、コンクリート打設に注目して予測を行いたいならば、使用する建設機械(コンクリートポンプ車、コンクリートミキサー車)から「現場打擁壁工」を準用するという工夫が必要です。ユニットは、施工内容を十分理解さえしておれば、面倒な設定が不要、かつ、精度の高いモデルと言えます。

(中央復建コンサルタンツ 松井敏彦)

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騒音調査の初心者です。どんな本を読めばいのでしょうか。 (調査会社社員)

初心者や一般の人を対象とした書籍として「公害防止の技術と法規 騒音編」(監修:通産省環境立地局)があります。これは、騒音の基本的特性から測定技術、騒音防止技術まで簡潔にまとめられており、公害防止管理者資格認定講習用テキストとしても用いられています。また、交通騒音や工事騒音、工場騒音などの騒音源特性などを知る上では「地域の音環境計画」(日本騒音制御工学会編、1997)、室内外の音の伝搬などを知る上では「建築・環境音響学」(前川純一著、1990)が参考になります。

当学会の頒布資料には「騒音・振動技術の基礎と測定」(平成13年度講習会テキスト)があります。当学会のホームページ(http://www.ince-j.or.jp)にアクセスされると騒音・振動についての情報が入手できます。

(綜合技術 三宅龍雄)

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道路交通騒音の低減のために遮音壁を設置したときに、事前に予測により求めた対策効果よりも遮音壁設置前後の測定値から求めた対策効果の方が小さいことが多いのですが、どのような理由が考えられるのでしょうか。また、予測精度を上げるための方法があれば、教えていただきたい。 (建設コンサルタント 技術者)

大きく分けて3つのことに注意する必要があります。まず第1点は対策効果の測定方法です。 通常は遮音壁を設置する前後において遮音壁背後で騒音測定を行い、 設置前後の測定値(LAeq)の差を遮音壁の挿入損失(効果)とすることが多いでしょう。 そのときに対象道路以外の騒音(例えば側道車等)の影響は除外する必要があります。 通常は測定中のLA95や最小値を暗騒音と考えてLAeqを補正します.このときに設定した 暗騒音の音源を確認しておく必要があります.交通量が多い道路ではLA95や最小値もそ の道路からの騒音で決まっている場合もあります.そのような場合には道路から離れた 地点に暗騒音把握用の測定点を設置する方法もあります.

第2点目は,設置前後の交通量等の違いを補正する必要があります. 調査時の交通量・大型車類混入率・走行速度等は調査毎に異なるわけですから、 発生騒音は遮音壁の設置前後で異なります。このため、遮音壁の設置区間の前後で遮音 壁設置の影響を受けず、かつ遮音壁設置区間と同じ交通状況と考えられる地点に測定点 (基準点)を配置し遮音壁背後での騒音測定と同期させて測定します。遮音壁設置前後 の基準点での測定値の差を発生騒音の違いと考え、遮音壁背後での測定値の差に補正して 効果を算出します。基準点が設置できない場合には、LAeqと小型車換算交通量 (ASJ Model 1998では大型車1台の発生騒音は小型車4.47台に相当しますので大型車1台を 小型車4.47台として換算します)との対応を設置前後で整理し、設置前後の回帰式の差 から対策効果を把握することもあります。 なお、この場合には回帰式の信頼区間をできるだけ小さくするために交通量が最小となる 時間と最大となる時間を含むような測定が必要になります.通常は毎正時から10分間の測定 を24回することが多いです。また、スピーカを用いた伝搬実験で対策効果を把握することもあります。 いずれにしても、遮音壁設置前後の発生騒音の違いをいかにキャンセルするかが重要です。 また、遮音壁の遮蔽効果は一般には高い周波数ほど大きいため,設置前後の周波数特性を比較し、 その差が物理的に意味のあるものかを検討するのも良いでしょう。

第3点目としては、現実の騒音伝搬や発生騒音がどの程度まで予測に反映されているかです。一例としてあげれば、

  • 建物や地面等での反射音はどのように考慮されているか。
  • 遮音壁の透過音は問題とならない程度に小さいと考えられるか。
  • 高架道路であれば高架構造物音を考慮しているか。

などが考えられます。透過音や高架構造物音の影響があれば、当然のことながら見かけの対策効果は小さくなります。問い合わせのなかで「予測により求めた対策効果よりも測定で求めた対策効果の方が小さいことが多い」とありますが、実際の伝搬経路等が予測において充分反映されているでしょうか。また「予測精度を上げるための方法」についてですが、対策箇所が具体的に決まっていれば、最低限その場所の現在(遮音壁設置前)の騒音レベルと予測値の対応を検討しておく必要があります。また遮音壁設置後とよく似た場所があれば、その場所で測定値と予測値の対応を整理し、予測に用いたモデルが妥当であるかを検討するのも良いと思います。マニュアル的には片付かない問題点が浮かび上がってくることもあるでしょう。もちろん何もかも予測にとり込めば良いというものではありませんし、またどう予測してよいのかわからないものもあるでしょう。しかし騒音に影響を与えそうな項目があれば、何らかの方法で検討すべきです。下手をすると「多額の対策費を講じたにも係わらず、ほとんど効果がなかった」なんてことにもなりかねません。  最後に、問い合わせのような経験をお持ちの方は多数いらっしゃると思います。成功例・失敗例共に大変貴重なデータです。遮音壁を設置するにあたり検討したこと、あるいは実際に設置したときの効果等を本工学会の技術発表会等で発表されることで、今後の遮音壁の設計に役立つはずです。ぜひ発表してください。

(ニューズ環境設計 福島昭則)

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水中音響の測定事例及び評価方法について,またできたら参考文献を教えて下さい。 (建設コンサルタント)

水中音響の調査,測定は,漁業環境影響に関連するものがほとんどですが,海中作業者,水族館等に対する影響調査も行われています。 今回は水中音の基礎,測定事例,評価方法についてまとめました。

1.水中音の基礎

水中音の基準値は,私たちが使用している空気中の音の基準値と異なります。水中音と空中音(騒音)の基準値等を比較して下記に示します。空中音の一般的な暗騒音は20~40dB程度ですが,水中音の背景雑音は静かな湾内で100~120dB程度です。水中音圧計の周波数範囲は10Hz~100kHz程度ですが,漁業環境関係では,10Hz~10kHzの周波数範囲で測定しています。

項 目 基準値 測定範囲
空中音 20μPa 30~130dB
水中音 1μPa 100~180dB

2.調査測定事例

弊社では,水中音,海底振動の漁業環境関連の調査,測定を1975年頃より,測定方法の基礎研究を含め,現在まで数多く行っています。主な測定事例を紹介します

  1. 航空機:海上空港建設に伴い,航空機の離着陸時の音が,水中へ透過,伝搬するため,空港島周辺の漁業環境に及ぼす影響を調査しました。測定は,空港周辺海域に調査船を配置して,航空機離着陸時の空中音,水中音,航空機の高度等を測定しました。測定結果から,空中音,水中音の音圧レベルコンタを作成し,滑走路直下周辺海域の影響範囲を予測しました。水深,機種等により異なりますが,滑走路直下の空中音圧レベルは90~110dB程度,水中音圧レベルは120~130dB程度です。
  2. 海洋土木工事:空港島,橋梁等の大型海洋建設工事に伴う,杭打ち,サンドコンパクション等から発生する水中音,海底振動について,測定しました。サンドコンパクションの水中音圧レベルは,距離100mで140~150dB,海底振動加速度レベルは距離100mで50~60dB程度でした。
  3. ロケット発射時:種子島宇宙センター周辺,海域で,ロケット打ち上げ時の水中音,海底振動を測定し,漁業影響範囲を予測しました。ロケット打ち上げ時の空中音圧レベルは130dB,水中音圧レベルは150dB程度でした。
  4. 海中作業者への影響:海岸の岩を砕く作業時,周辺の海中作業者(海女さん)への影響を確認するため,作業時の水中音を測定し,ダイバーの感覚等より影響範囲を予測しました。海外の文献では,水中音の人に対する実験報告も発表されていますが,今回の調査結果では海中の作業者が感じる水中音圧レベルは130dB程度と推定されました。
  5. 水族館:水族館周辺の地下駐車場の建設に伴い,事前に工事機械稼動時の振動,水槽の水中音を測定し,イルカ,ラッコ等への影響を予測しました。イルカの鳴声,複雑な伝搬経路等で苦戦しましたが,水中音,振動のレベル上昇は考えられるが,影響は非常に少ないと評価しました。
  6. 橋梁,海底トンネル:連絡橋列車通過時に橋脚及び地盤より発生する,水中音,海底振動を測定し,影響範囲を予測しました。列車通過時の水中音圧レベルは150~160dB,海底振動加速度レベルは60dB程度でした。海底トンネル調査では,車輌通過時にトンネル上部の水中音圧レベルが若干上昇する程度でした。

3.評価方法

魚類の聴感覚閾値等の生物的な基礎実験は数多く行われていますが,漁業環境影響に関する基準等は現在確立されていません。魚類に関する影響調査は,例えばイケスの魚類に水中スピーカから放音し,水中ビデオ等で行動を観察し,その行動を起こす水中音圧レベルを評価値としています。魚の種類,水中音の周波数,実験状況等により影響レベルは大きく異なりますが,最新の実験結果から得られた,魚類行動に影響を与える水中音レベル145~150dB,比較的敏感な周波数200Hz前後では140dBの値が良く使われています。魚種別の影響レベルの一例。

サケ,サバ,マダイ,スズキ 150 dB
アジ,マイワシ 145 dB
カタクチイワシ 135 dB

参考文献

  • R・J・ユーリック「水中音響の原理」共立出版
  • 添田秀男,畠山良己,川村軍蔵「魚類の聴覚生理」恒星社厚生閣

(アイ・エヌ・シー・エンジニアリング 藤井圭次)

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道路交通騒音の面的評価において、高架・盛土道路等の平面道路ではない区間について、「評価マニュアルⅡ」に示されている簡易な予測手法(建物列上方のパスを考慮しない場合)を用いて良いのでしょうか? (コンサルタント)

「評価マニュアルⅡ」1)においては、建物・建物群による減衰補正量に関する予測手法は、詳細調査手法として、建物群上方の回折音を考慮した一般式、基本調査手法として、建物群上方の回折音を無視した簡易式が示されています。いずれの手法とも、遮音壁のない平面道路を対象としたモデル式であり、モデル式の適用条件を勘案すると、高架・盛土道路等の平面道路ではない区間については、基本的には適用できません。

高架・盛土道路等の平面道路ではない区間を対象として、建物・建物群による減衰補正量を予測計算する方法については、上坂ら2)が示したモデル式が適用可能であり、伝播パスの考え方は、図-1に示すとおりです。 

ここで、道路交通騒音の面的評価では、数千戸あるいは数万戸の家屋等を対象として、騒音に係る環境基準値の超過状況を把握・評価するわけですが、これについては、家屋の立地状況等の年次更新も念頭に置き、効率的な予測システムが不可欠であると考えられます。

図-1 市街地のモデル化と伝播パスの考え方

上記の上坂らによる高架・盛土道路等も適用対象としたモデル式は、予測過程が複雑であり、道路交通騒音の面的評価に適用した場合、予測条件の整理に膨大な作業量を要する可能性があるものと思われます。

一方、高架・盛土道路等といった音源位置が受音点位置より高い場合は、建物群上方からの回折音の影響が比較的大きくなることが想定されますので、これらを反映していない「評価マニュアルⅡ」に示されている手法を適用することは過小な予測となります。

上記要件を勘案すると、実務レベルでは、高架・盛土道路等の平面道路ではない区間については、実測値に基づく検証・補正を行い、予測精度を補完するような措置を講じた上で、「評価マニュアルⅡ」に示されている手法を適用しても構わないのではないかと思います。この場合、モデル式の拡大適用を行っているわけですから、評価結果と併せて、モデル式の適用条件等を明示しておく必要があるものと考えられます。

なお、「評価マニュアルⅡ」に示されているモデル式については、評価高さを1階レベルで代表させる場合(基本調査)では、建物群上方の回折音を無視した簡易式を適用しても良いものと思われますが、沿道建物高さに対応した評価を行う場合(詳細調査)では、建物群上方の回折音を無視することは適切ではないものと考えられるため、建物群上方の回折音を考慮した一般式を適用する必要があります。

参考文献

  • 1)環境庁:騒音に係る環境基準の評価マニュアル Ⅱ.地域評価編(道路に面する地域)(平成10年5月)p37
  • 2)上坂克己、大西博文、千葉 隆、高木興一:幹線道路に面した市街地における騒音レベルの計算方法、((社)日本音響学会騒音振動研究会資料N98-67(平成10年12月)

(中央復建コンサルタンツ株式会社 八川 圭司)

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団地内駐車場から発生する団地内、団地外への騒音問題はどのように考えるべきですか。平面駐車場の騒音問題の場合、土地所有者、管理会社あるいは車の所有者のうち、誰に対して指導を行うべきか、また、効果的な対策法はありますか。 (自治体職員)

団地内駐車場、平面駐車場についての扱いは、一般的にそれを管理している者に対して行政的な対応を行うこととなります。

管理者は、団地駐車場の場合は、団地の管理組合または管理会社などが考えられます。従って団地内からの苦情については、(管理会社が管理する場合であっても)管理組合自身で苦情に対応することになるでしょう。

団地外からの苦情については、管理組合または管理会社に対し、対策について対応することになります。平面駐車場についても同様に、管理者に対策を行うよう指導することになります。

駐車場は事業所と違って一般的に、開放的な場所であることから、効果的な対策法はなく、どこの自治体でも対応に苦慮しているところです。

駐車場の騒音問題は、団地に限らず深夜営業の店舗に付属する駐車場でも大きな社会問題となっています。神奈川県では一定規模以上の深夜営業物販店周辺の騒音問題を解決するための方策の一つとして、騒音暴露量を基に規制を行うための条例改正について検討を行っており、平成13年4月からこの方法による規制を導入する予定です。

(神奈川県県央地区行政センター 堀江侑史)

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ランドサットデータ等、資源探査衛星を用いて環境監視を行っている例は良く見かけるのですが、騒音の分野での応用例があればお教え下さい。特に土地利用関連情報の少ない途上国では役に立つと思うのですが。 (コンサルエンジニア)

ランドサットなど、資源探査衛星の画像が水質汚濁や植生の実態把握等、環境監視の分野で活用されている例は数多くありますが、騒音の分野で活用されている例は少ないようです。電磁波の地表反射データを受信、解析するのが資源探査衛星のシステムですから、地表の音波を直接計測するのが、不可能なことは当たり前です。

我々が行った方法は、地表の音源に関しては建設省や地方自治体の土木部局が3~5年毎に行っている交通情勢調査(春季と秋期に幹線道路の地点別に、車種別交通量を計測している)や、メッシュ別の工場面積ファイルを用いて、500m×500mメッシュ単位で騒音発生総量(PWL)を求め、それを基に等パワーの音源が均一に分布していると仮定しL50を求める(Shaw & Olson,J.A.S.A.,Vol.51,No.6,1984)。メッシュ内での騒音伝搬係数、メッシュ間での騒音伝搬係数については、ランドサットMSSデータ(地上分解能80m×80m)を用いて、建物面積率を推定し、建物が稠密であれば騒音が伝搬し難く、疎であれば伝搬しやすいと仮定してメッシュレベルで騒音予測を行い、実測値との対応もおおむね良好な結果を得ました(厚井他、日音学誌、Vol.41,No.7,1985)。

また、道路近傍の騒音分布を詳細に予測するためランドサットTMデータ(地上分解能30m×30m)を用い、家田他の伝搬の考え方(家田他,日音学誌,Vol.39,No.4,1983)を取り入れて予測を行ったところ、これもおおむね良好な結果を得ました(藤田他,日本リモートセンシング学会誌,Vol.6,No.4,1986)。

現在わが国では、ASJ Model 1998 で道路近傍の騒音予測を行う趨勢になっていますが、地域全体の騒音をマクロな立場から評価したり、ご指摘のように、都市基盤に関するデータが少ない途上国などでは、(交通量データは必須ですが)応用可能なケースがあると考えています。

(大阪府公害監視センター 厚井弘志)

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戸建て住宅で床衝撃音を測定する場合、1階と2階が全て面していない場合、測定点や衝撃点などどのように測定するのでしょうか。 (製造業)

床衝撃音はJIS A 1418-2000「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法」に測定方法が規定されています。

JISにはご質問のような条件は想定していません。が、軽量衝撃源、重量衝撃源どちらも受音点を4点以上、打撃点は3~5点とすることになっていますので、JISに沿った測定をするために経験的に次のようにして測定しています。

戸建て住宅の居室面積はさほど広くない場合が多いので1階と2階の間取りが異なる戸建て住宅で床衝撃音レベルを測定する場合は、1階と2階の面する部分によって2パターンに分けます。

1階の大部分(1/2以上)が2階の床の投影面内にある場合は、受音室を1階全体とし図1のように打撃点および受音点を設定します。

また、1階における2階の投影面が小さい(1階の1/2以下)場合は1階の半分を受音面として図2のように打撃点および受音点を設定します。

なお、このことは戸建て住宅について言えるのであり、マンション等では梁の条件等によって異なりますので要注意です。

(日本建築総合試験所 和木孝男)

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「音響インテンシティ法において,入射エネルギーの測定は可能ですか。また,拡散音場でも可能ですか。」 (匿名)

音響インテンシティー法と言えば,音源から発する音響パワーを計測するための手法と考えるのが一般的です。そのための計測機器,インテンシティプローブの仕様がIEC 61043(一致規格,JIS C 1507が発効予定)として,また,測定方法がISO 9614-1及びISO 9614-2(同じく,一致規格,JIS Z 8736-1及びJIS Z 8736-2)として標準化されています。上記のISO規格においては,音源の取り囲む形で測定面を設定し,その面を通過する音響インテンシティーの平均(次元としてはW/m2)に,その測定面の面積(同じくm2)を掛け算して音響パワーを求めています。

これらの機器・手法のある種の応用として,音響エネルギーの計測も当然可能と思われます。具体的には,求めたパワーを観測時間(測定時間)で積分すればよいわけです。本当は逆で,測定時間中の音響エネルギーの時間平均が音響パワーであるわけです。

ただ,これはある音源から放射される音響エネルギーの求め方であり,どこかから入射してくる音響エネルギーとなると,少し趣が違ってきます。つまり,入射してくる方向に対して垂直な測定面を設定し,その面を通過する音響パワーから音響エネルギーを算出することになります。

音響インテンシティーはベクトル量であること,すなわち,大きさだけでなく,向きに関する情報も持っている訳で,入射音響エネルギーを求めるとは,測定面に垂直に入射する音響エネルギー成分の測定をすることになります。

この測定を拡散音場内で行うとした場合,測定面に垂直な音響インテンシティーが測定可能であれば,原則,可能と思われます。ただし,これも程度問題であって,理想的な完全な拡散音場があったとした場合,困難かも知れません。その目安としては,ISO 9614シリーズ(同じく,JIS Z 8736シリーズ)の音場指数等々を参考にし,音響インテンシティーが計測可能であるかどうかを見極める必要があります。 

(日本IBM 君塚郁夫)

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自動車騒音の防止に関して、排水性舗装が有効だと聞いておりますが、その原理、路面下への影響、空隙の詰まりなどに対するメンテナンスの問題についてお教え下さい。 (匿名)

排水性舗装は空隙を有しており雨水が路面に溜まらないため、もともとは交通安全に資するものとして用いられていました。ところが、自動車走行騒音の低減効果があるということで近年では騒音対策としても用いられています。現在よく用いられている排水性舗装は、骨材粒径が5~13mmの6号砕石を使い、厚さが4~5cm、空隙率が約20%のものです。

排水性舗装は自動車騒音の中でも特にタイヤ路面騒音を低減させるもので、その騒音低減の原理には次の三つの要因が挙げられます。

  • (1)路面とタイヤのトレッドパターンの溝に挟まれた空気が、タイヤが転動するときに圧縮・膨張することにより生じるエアポンピング音の発生を排水性舗装の空隙が抑制する。
  • (2)路面と車体下面の間においてタイヤ路面騒音やエンジン騒音等が多重反射するときに、空隙がある排水性舗装の路面が吸音する。
  • (3)多孔質で吸音性のある排水性舗装面上を自動車走行騒音が伝搬するときに、超過減衰が生じる。

これらのうち、(1)の要因が最も大きな騒音低減効果をもっているとする報告があります。

前述のとおり排水性舗装は空隙があるため、雨水は空隙を伝って下りてきますが、排水性舗装では表層だけに空隙がありその下の基層はふつう密粒度アスファルト混合物でできておりほとんど空隙はないので、雨水は表層と基層の境界上を流れ車道の側方にある側溝に排水されます。従って、路面の下に浸透するわけではなく、路面下の地質に影響を及ぼすものではありません。

また、排水性舗装の空隙は塵埃等により詰まってくるため、その騒音低減効果は徐々に低下します。そこで、この空隙詰まりを回復するため排水性舗装洗浄機械が製作されていますが、現在空隙の効率的な維持管理のために洗浄の時期、頻度、洗浄方法等の洗浄機械の運用方法が検討されています。

(国土交通省国土技術政策総合研究所 大西博文)

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最近,ディジタル信号処理の分野でウェーブレット解析という言葉を耳にしますが,これは従来のフーリエ解析に基づく信号処理方法と比べてどのような特徴があり,また現在どの程度研究が進んでいるのでしょうか。 (匿名)

ディジタル信号処理の分野においては近年様々な進歩が見られ,1980年代後半にはDaubechiesらによってウェーブレット解析の基礎が固められました。それは,画像やオーディオデータの圧縮の分野では応用が進んでいます。しかしその他には,現在まで音響分野におけるウェーブレットの応用例は少なく,その有効利用への示唆も十分には与えられていないようです。

なかでも,時間-周波数平面上に直交系を構成する直交ウェーブレットは,他では得られない卓越した特徴をもっています。直交ウェーブレットでは,得られる情報の定量性や完全再構成が保証されるだけでなく,本来直交関係にある時間と周波数の2つの次元によって張られる領域上で全ての係数が互いに独立しています。そのため,そこには原信号の情報が過不足なく保持されており,また任意の変形に対して実波形と1対1の対応が保たれます。

このような特徴を活かして,最近では例えば,直交ウェーブレットを用いた音響系の計測や処理についての研究も行われています。つまり,フーリエ解析に基づくインパルス応答の概念を時間-周波数平面上に拡張し,周波数ごとに得られる単一応答をそのまま周波数ごとの伝達関数として扱おうとするものです。これにより,各周波数対の応答をまとめて1本のインパルス応答としたり,既存のインパルス応答を部分的に修正することも可能となります。また,非線形系に対して,単一ウェーブレット応答に含まれるある種の非線形特性は,それを伝達関数とした系の出力の計算において失われずに出力結果に反映させることができます。そこで,高次の非線形歪の特性をもつスピーカシステムに対して,単一ウェーブレット応答によりその高調波歪の特性を捉え,低減処理を行おうという研究も見られます。

(大阪大学大学院 青野正二)

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低周波音について具体的な対応例を教えて下さい。 (自治体職員)

低周波音については、古くは、昭和30年代に、キューポラの鳴動音が苦情の対象になることがありました。この場合は燃焼方式を変える等の対策を取っていたようです。全国的には、和歌山県のある工場の溶鉱炉の低周波音が新聞でとりあげられたことがありましたが、対策にはかなり時間がかかったようです。

私自身が関わった例として、H市のK工場の例があります。K工場は周囲数kmに及ぶ大工場であり、その周辺の民家数百戸から、窓ガラスや建具が鳴動するという苦情が発生しました。現場に出向くと民家窓ガラスはもとより、近くの倉庫の壁が激しくゆれているが、可聴域の音は全く聞こえない、典型的な低周波音の事例でした。

波形を良く見るために、精密騒音計の端子にハイカットフィルタを取り付け、オッシロスコープで波形を確認すると、16Hzのきれいな正弦波形でした。発生源としては、コンプレッサ、ボイラ、オッシレートコンベア、ダクトの共鳴等対象となる機械が多い。

当初、会社側の協力を得て、ラインごとに止めていけば容易に発生源は探査できると考えていたが、なかなか分からない。最終的には、夜間、騒音計とオッシロスコープを車に乗せて16Hzの低周波音のコンターを描き、やっと一つの工場建物を特定できました。その建物のほぼ中央にはオッシレートコンベアが設置されており、コンベアの基礎と建物の基礎が固着しているため、コンベアの振動がそのまま建物に伝わり、建物を大きく揺らし、あたかも、建物本体が巨大なスピーカのような役割を果たしていたわけです。対策としては、機械の基礎と建物の基礎を切り離せばよいのですが、経費の点から機械の使用を停止したように聞いています。

超低周波音は20Hz以下の音をいいますが、低周波音として最も多い苦情は、先に述べたような発生源から出る100Hz以下の低いうなり音です。可聴域の騒音対策を行ったあとでも苦情を申し立てる人がいます。このような場合基準が無いことを説明して納得してもらうか、工場側に誠意があり、対策可能な場合 (例えば、大型コンプレッサに干渉型のサイレンサをつける、2台の機械が共鳴を起しているなら回転数をかえる、等)には工場側の相談にのることもあります。

多少変わった事例をご紹介しておきましょう。 ある河川の上流部でダムを作ったのですが、河川流量が増えた時、円形の越流堰から越流する河川水の薄膜が周期的に波打ち、低周波音が発生した事例があります。苦情者はダム建設によって立ち退いた数十軒の方々でしたが、建具ががたついたり、仏壇の位牌が反対側を向いたり、大変な騒ぎになりました。対策は簡単で、越流堰の中ほどにコンクリートで波切りをつくり、水膜を切ることにより発生を防止することができました。

ある町工場(製紡業)の場合、苦情を訴えているのは工場の経営者のお母さん(お婆さん)で、苦情の対象は約30m程離れたパン屋のクーリングタワーの低周波音です。工場の経営者、市の担当者、私にはその音は聞こえません。測定をしても問題になるような音圧レベルは観測されませんでした。

そのお婆さんの話を聞きながら、お婆さんの日常の動線にそっていっしょに動いてみました。お婆さんの話では動力ミシンを使用した後に、例の音が聞こえると言うことです。ハハア耳鳴りだな、と直感的に感じながらお婆さんから色々話しを聞くと、最近仕事が忙しくなり、また次男が結婚してだれもかまってくれなくなった、さびしい、云々。早速ご家族を呼び、パン屋が原因でなく、耳鳴りであること、家族でお婆さんにもっと気遣ってあげようということで一件落着。

低周波音は人によって感じ方が大きく異なります。また、苦情者の中には孤独で家の中に引きこもっているケースも多いようです。基準値を遵守している工場や騒音対策を行った高速道路で、かえって低周波音が気になるようになったとか、執拗に苦情を申し立てる人がいますが、このような場合、苦情者と良く話し合いを行い、真の原因を突き止めることが大切です。話し合いで解決が付かねば、公害調停や訴訟に持ち込むしかないでしょう。

(大阪府公害監視センター 厚井 弘志)

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アセス業務に携わっておりますが、ある現場で道路交通騒音・建設機械騒音についてスピーカ等を用いて再生する調査を計画しています。どうしたらよいでしょう。 (建設コンサルタント技術者)

ご質問のような調査での目的は二つ考えられます。一つは、事業を行うにあたり周辺住民に事前に道路交通騒音・建設機械騒音(以下、表記騒音という)を体感してもらうこと、もう一つは表記騒音が環境保全対象地点で何dBになるかを調査することと思われます。

前者の目的には、どのように標準的なデータを収録するかが問題になります。収録する地点とパワーレベルの設定方法です。建設機械の騒音レベル測定方法(日本建設機械化協会規格)やJIS Z 8733(一般の音場における音響パワーレベル測定方法)では多数の測定点を設けており、1点で代表する方法は記述しておりません。目的が表記騒音の体感ということですので、遮蔽されない地点で測定・録音したらどうでしょうか。録音したテープは時間的な問題等でそのまま使用できないでしょうから編集することになります。そのときアセスで設定したパワーレベルになるようスピーカのアンプを調整します。

他に、保全対象地点までの伝搬条件を計算し音源テープをイコライザで調整し聞いてもらう方法もあります。パソコンを使用すると、騒音対策時の騒音もシミュレートできます。この他にもいい方法があるかもしれません。

後者の目的にも、表記騒音の録音テープを再生させ調査することは可能です。しかし、レベルが変動するため、環境保全地点での騒音レベルを正確に測定することは暗騒音の影響もあり困難なことが多いように思われます。この場合には、音源にピンクノイズ等を使われるとよいでしょう。

先ず、スピーカからピンクノイズ等を発生させ、各測定点位置でバンド別(1/1または1/3オクターブバンド)の音圧レベルを測定し、基準点(例えば音源から1m)からの伝搬減衰量を求めます。このバンド別減衰量がわかれば対象とする任意の騒音源のパワースペクトルから基準点までの幾何減衰を含めたバンド別減衰量を差し引き、A特性補正を加えて求められる各バンド音圧レベルを全バンドについて合成することにより、伝搬音の騒音レベル(A特性オールパス値)を推定することができます。

(綜合技術C 三宅龍雄、ゼット音響 北川 保)

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「騒音に係る環境基準の評価マニュアル Ⅱ.地域評価編(道路に面する地域)」(平成12年4月環境庁)において単発騒音曝露レベルLAEから等価騒音レベルLAeq測定(推定)方法が記載されております。この方法を交通量が少なくかつ除外音が1観測時間中ほとんど占める場合にも当てはめることはできるでしょうか。 (匿名)

結論から申しますと、できます。

道路交通騒音予測モデルASJ Model 1998の基本的な考え方が、「道路上を1台の自動車が走行したときの予測地点における騒音の時刻変化(ユニットパターン)及びその時間積分値を求めることが基本になる。」1)と書かれているように時間積分値すなわち単発騒音曝露レベルLAEを基本とし、LAEより等価騒音レベルLAeqを計算するようになっています。

環境基準の評価マニュアルⅡの「3.4 観測時間と実測時間 (4)観測時間に区分して間欠的に測定を行う場合の実測時間」の項目では「交通量が少なく間欠的となる場合は、①実測時間を長くする、②連続測定とする、③残留騒音と基準時間帯内の車種別単発騒音曝露レベルを測定し、これと測定または推計より求めた基準時間帯交通量より基準時間帯のLAeqを算定する方法のいずれかによるものとする。」とあります。

測定方法は、同「3.6 騒音測定方法 (4)単発騒音曝露レベルから等価騒音レベルを算定する方法」の項目では「基準時間帯内の(中略)時間に、車種別に少なくとも10台以上観測する。(以下略)」等の詳細な規定があります。これに則り測定されるのがよいでしょう。

実際に現場でLAEからLAeqを推計した場合の精度については谷川ら2)が発表しています。夜間交通量が1,200~1,600台の道路で夜間のLAEを10台程度測定した場合には連続測定によるLAeqと比較すると1dB以内で推計されています。なお、この論文では西宮3)の考えを参考にL95を残留騒音としています。

参考文献

  • 1)日本音響学会道路交通騒音調査研究委員会報告、”道路交通騒音予測モデル”ASJ Model 1998″”、日本音響学会誌55巻4号(1999),p283
  • 2)谷川ら、”現地測定のLAEからLAeqへの推定精度について”、日本音響学会講演論文集(2000年9月),pp641-642
  • 3)西宮元、”任意の環境騒音におけるワイブル分布のあてはめによるLeqの推定”、日本音響学会誌35巻(1979),p563

(綜合技術C 三宅龍雄、ゼット音響 北川 保)

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動特性の説明で、過去に対する平均化とはどういうことでしょうか。 (環境測定会社 技術者)

騒音計や振動レベル計では変動する信号の実効値を表すために信号の二乗波形に対し指数的な重み付けをした平均(指数平均)値が得られるようになっています。この重み付けは動特性として規定され、その時定数によって応答が異なります。

指数平均値の時間応答を図1に示します。
信号が変動して大きくなった時、指数平均値は初期の値からその信号が連続して発生した場合の値へと上昇しながら近づいていきます(立ち上がり区間)。またこの動作は信号が小さくなった場合も同様で、指数平均値はそこまでの値を基点として徐々に減衰していきます(立ち下がり区間)。実効値の平均化動作ではこのようにして常に少し前の信号の影響を受けながら現在の信号の大きさに近づいて行きます。なおこの平均は指数平均であるため過去の重みは古いほど指数的に小さくなります。

ここで平均化の応答速度は時定数によって決定され、時定数が小さいほど実効値は俊敏な応答になります。例えば騒音計の早い動特性(F)の時定数は0.125秒であり、遅い動特性(S)の時定数は1秒ですが、実際の立ち上がりでは信号が発生してから実効値が定常信号レベルの1dB下に到達する時間はFで0.2秒であり、Sでは1.6秒になります。また立ち下がりでは10dB減衰する時間がFでは0.28秒、Sでは2.3秒になります。

なお、動特性の時定数をτとした時の時刻tにおける騒音レベルLA(t)は次式で表されます。

ここで、

τ 動特性の時定数(s)
ξ -∞の時刻から観測時刻tまでの積分変数
pA( ξ ) 時刻ξにおける瞬時A特性音圧
p0 基準音圧

これを利用して、プログラムを作る場合には、図2のアルゴリズムを利用されるとよいでしょう。
Mの初期値は0でなくてもかまいません。初期値に任意の値を与えればその値から真値に近づきます。
また、レベル値時系列データはそれほど細かく取る必要はないので、iを何回かインクリメントする
ごとにjを1つインクリメントすればよいと思います。

(リオン㈱ 若林友晴、音環境計測 多田雅昭)

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在来の鉄道騒音を評価する場合,特急,普通,貨物列車またディーゼル車で騒音の性質が変化するはずですが,車種別のLAeq評価をしなくてよいのですか。また,アセスメントではどのように取り扱うのでしょうか。 (匿名)

ご指摘のとおり,電車とディーゼル車,特急電車と通勤電車のように列車の種類によって発生する騒音の特性は異なります。又,同じJRの通勤電車でも,例えば旧型の103系と新型の209系では騒音レベルに差のあることは周知の事実です。その原因は主にギヤ比を含めた駆動方式の違いによるものです。従って、複数の種類の列車が走る路線で騒音評価を行う場合は,原則として列車の種類毎に騒音レベルを算出する必要があります。

在来鉄道騒音の予測評価は,最近では平成8年に発表された森藤らの方法1)によって行われることが多くなってきました。そこには電車騒音の主要な音源のパワーレベルの値が示されていますが,値に幅があり,しかもディーゼル車や貨物列車のデータは載っていません。騒音データが公表されていない列車については,自分で測定を行って所要のデータを入手しなければなりません。

ところで,アセスメントにおける騒音予測の方法としては,予測式等を用いて計算する方法と,評価対象と類似の箇所での実測結果から推定する方法とがあります。予測に必要なデータが与えられている場合は計算による方法が有効ですが,データがない場合は前述のように実測によってデータを入手するか,あるいは類似箇所での測定結果に基づいて予測を行うことになります。鉄道騒音に関しては公表されたデータが少ないこともあって,我が国では類似事例での結果に基づくアセスメントが大半を占める傾向にあります。

類似箇所でのデータを参照する場合に注意していただきたいのは,列車騒音の大きさは列車の種類だけでなく,列車速度,軌道構造,高欄高さ,構造物の種類などによって変わるということです。例えば,バラスト軌道とスラブ軌道では転動音に関して5~10dBのレベル差を生じます。予測の精度を高めるためには,騒音の大きさに関わる種々の要因が計画路線と一致する箇所をどう選定するかが極めて重要です。

参考文献

  • 1)森藤良夫他:在来鉄道騒音の予測評価手法について, 騒音制御, Vol.19, No.3, 32-37,1996.6.

((財)小林理学研究所 加来治郎)

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周波数分析の結果,ある中心周波数で1/3オクターブとオクターブの結果の差異がバンド幅の違いによるのは理解できますが,それらとFFT分析結果で得たその周波数での音圧とはどのように比較すれば良いのですか。 (自治体職員)

騒音振動関係の周波数分析の一般的手法は1/1,1/3などのオクターブ分析とFFT分析があります。主な違いは、分析バンド幅にて前者が定比型であるのに対して、後者が定幅型であることです。すなわち中心周波数列が、前者が等比級数で、後者が等差級数です。

オクターブフィルタの中心周波数とバンド幅などのフィルタ特性は、IEC規格(IEC61260)やJIS規格(JIS C 1513)で規定されますので、規格を参照して下さい。それに対して、FFTアナライザのバンド幅は、定幅分析なので、解析周波数レンジをFmax、分解能ライン数をLとすると、バンド幅=Fmax/Lとなります。例えば10kHzレンジで800ライン分解能だとすると、12.5Hzとなります。(厳密にはウィンドウ関数の影響でこれより大きめになります。)

ここで、注意するべきは、このようにFFT分析のバンド幅は一般的にオクターブ分析のそれと比較して非常に小さい(狭帯域分析とも呼ばれるゆえんです)ので、中心周波数のラインだけの分析と勘違いされそうですが、FFT分析といえどもある有限幅で分析していることです。

誤解を恐れずに言えば、FFT分析も、バンド幅が比較して小さい、中心周波数によらず幅が一定という違いを除けば、オクターブ分析とそれほど違いはありません。例えば、1kHzの顕著な離散音(1kHzのラインスペクトルの周りにランダムな信号成分のパワーが小さい場合)を分析すると、1/3オクターブ分析もFFT分析もほぼ同じような結果になります。実際の騒音はランダム成分が多いので、バンド幅に比例して音圧レベルは変わります。

ファンの羽根の枚数に依存した離散的な音の分析などには、FFTアナライザがよく利用され、全体の騒音レベルの評価にはオクターブ分析が利用されます。

((株)小野測器 今泉八郎)

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LAeqの取り扱いについて、今まで蓄積されたL50のデータを利用できないのでしょうか。 (匿名)

L50は統計量としては中央値と呼ばれるもので、騒音を連続的に測定した時ある値を超える時間の割合とその値以下となる時間の割合がちょうど同じ(それぞれ50%)となる値のことをいいます。

一方、LAeqは等価騒音レベルと呼ばれていますが、その意味は騒音のエネルギー平均値をデシベルで表したものです。具体的には、騒音を連続的に測定した時、測定を行った時間について騒音となっている音のエネルギーの総和を求め、その総和を測定時間で割った平均エネルギーをデシベル表示で書き直したものをいいます。

このように、両者は全く異なる評価方法であるためL50のデータをLAeqに換算することは一般にはできません。したがって、今までに蓄積されたL50のデータを使って新しい環境基準に対する適合状況を判断するなどといった、基準値に関係するデリケートなことはできないと言えます。

しかしあまりデリケートでない場合については、今までに蓄積されたL50のデータの利用は可能と思われます。この場合はL50のデータのを近似的な換算によってLAeqのデータに置き換えます。換算の方法は、①L50に一定の値を加算(減算)する、②統計的方法により処理する、③単純な仮定に基づく近似計算を行う、などが考えられます。ここでは③についてのひとつの例を紹介します。

騒音レベルが正規分布(標準偏差:σ)している場合、

LAeq=L50+σ2/20log(e)、と書けますが1)、ここから次のバリエーションが得られます。

LAeq=L50+(L5-L95)2/94.0
LAeq=L50+(L5-L50)2/23.5
LAeq=(L5+L95)/2+(L5-L95)2/94.0

これらは正規分布から多少ずれている場合でも比較的良く成り立つことが知られています。しかしあくまで近似計算ですので誤差の大きい場合もあり注意が必要です。これらについては文献を参照して下さい。

参考文献

  • 1)曽根、仁村:音学講論集(1977)
  • 2)高木:環境技術、8(1979)
  • 3)中野:騒音と振動
  • 4)竹下他:騒制講論集(1987)、同(1999)

(静岡県環境衛生科学研究所 竹下昭二)

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工学会の講習会で、空気は通す(排気?)が音は通さないといった構造物の説明がありましたが、具体的に構造を教えて下さい。 (匿名)

まず、音は空気中を伝わる波動です。空気が通れば、必ず音は伝わります。したがって、「空気は通すが音は通さない構造物」はちょっと言い過ぎです。しかし、空気を通しながら音を減衰させる物はあります。身近な例としては自動車のマフラーや建物内の空調設備用吸音ダクトなどの消音器(サイレンサ)が挙げられます。上記の質問を「空気は通すが音を通しにくい構造物」とするとそれはたぶん吸音ルーバーのことではないでしょうか。吸音ルーバーは、掘割構造道路やトンネル出入口部に架設し、道路交通騒音を対策するための道路施設です。もともとはトンネル出入口部の照度調節(明るさの変化をやわらげる)装置として開発されたものです。この装置はルーバーブレードといわれる薄いパネル板から構成された格子状の構造物であり、光学効果の他に空気が通ることで排気ガスの拡散を妨げないという換気効果も有しています。騒音に対してはこのブレード表面を吸音性にすることで、減音効果を得ることができます。ルーバーブレードは光が直接差し込まない間隔(外部から音源が直接見通せない間隔)で部材に取りつけられています。このブレードは「く」の字型に成型されたステンレス製の表面材(パンチングメタル[開孔率約35%])で吸音材(グラスウール[密度32kg/m3])を挟む構造となっています。図1に代表的な吸音ルーバーの構造を示します。吸音ルーバーはブレードの吸音面積や厚さにより減音量を調節することが可能で、自動車騒音(A特性加重)に対して15dB程度の挿入損失(ルーバーが有る時と無い時の差)が得られるものもあります。

((財)小林理学研究所 松本敏雄)

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騒音に係る環境基準が改正され,騒音の評価にLAeqが導入されました。それに関連して,騒音規制法の改正もあるように聞いていますが,振動規制法も含め,それらの動向をお聞かせ下さい。 (匿名)

環境基準値は、騒音が1年間を通じて平均的な状況を呈する日について、時間の区分を通じた等価騒音レベルで表示されており、住居等の生活の場における騒音の総曝露量を反映するものとなっています。一方、騒音規制法及び振動規制法における工場及び事業場に係る規制基準値は発生源の敷地の境界線における騒音の大きさの許容限度として、騒音の最大値等に着目して設定されています。また、騒音規制法における自動車騒音に係る要請限度値は交通規制や道路構造の改善等という発生源側の対策の要否を判断する際の基準であり、住居等の立地を前提としたうえで自動車騒音の発生源側の騒音レベルを把握するものであります。

要請限度における騒音の評価手法の在り方及びこれに関連して再検討が必要となる限度値等の在り方について中央環境審議会において審議され、平成10年10月6日に環境庁長官に答申されました。この中で、新たな要請限度における騒音の評価手法としては、環境基準と同一の評価手法によることとし、等価騒音レベルを採用することが適当であることとされました。この答申を受け、平成11年度に要請限度に係る総理府令を改正し、平成12年4月1日から施行されました。

環境基準と規制基準とでは騒音の評価手法が異なるため、その基準値間の単純な比較は困難ですが、

  • 騒音の最大値等に着目した現行の規制基準により、人に最も不快感を与える大きな騒音に効果的に対応できること。
  • 現場において効率的に騒音規制法を運用し、効果的な指導を行うためには、短時間で簡便に把握できる基準であることが望ましく、長時間を通じた基準や他の騒音との分離が困難な騒音指標は適さないこと。
  • 地域の実情に応じてきめ細かく規制を行うためには、現行の規制基準が採用している、新環境基準よりも細かい地域区分や時間区分を維持することが望ましいこと。

等の理由により現行の評価手法は環境基準改定後も引き続き有効であり、当面見直す予定はありません。

(環境庁大気保全局大気生活環境室)

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新環境基準では推計する方法が認められているが,推計結果の評価に評価者の主観が入ることになり,評価される側(推計者)との差異が表面化することが考えられる。このような場合をどのように処理するお考えですか。 (匿名)

新たな環境基準の特徴としては、等価騒音レベルを採用したことにより「道路交通騒音等の推計においても、計算方法が明確化・簡略化される」(平成10年5月22日中央環境審議会答申(騒音の評価手法の在り方について))ことです。これにより「必要な実測時間が確保できない場合や・・・・環境基準の達成状況を面的に把握する場合等においては、積極的に推計を導入することが必要である」(同答申)と中央環境審議会答申でも推計の導入を積極的に推進しています。しかし、環境庁としては、推計の導入により評価者の主観が大きく入るとは考えておりません。

道路に面する地域の評価を行う際のマニュアルは現在検討中ですが、全国的に統一された方法をできるだけ客観的かつ詳細に示すようにしており、客観的な評価・推計結果が得られると考えています。

具体的には、道路に面する地域について一定の区域の評価を行う際には、実測された騒音をもとに距離による減衰、建物による減衰の値をマニュアルで具体的に数値で示し、それをもとに当該区域の騒音曝露状況を求め、環境基準超過割合を求めることとしています。また、地域評価を行う際の母数や騒音の測定方法、騒音の減衰を計算する際に用いる変数の求め方についてもマニュアルで客観的に示す予定です。

このように、推計の方法を客観的かつ詳細に定めることにより、評価者の主観を排除することができ、従って評価者と推計者の間に大きな差異は出てこないものと考えています。

(環境庁大気企画局自動車環境対策第二課)

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騒音や振動レベルのフィールド測定中に,定格の温湿度測定可能条件から少し外れてしまった場合,どのような対策をとればよいのか,また,補正などが可能なのでしょうか。 (匿名)

JISで規定されている騒音計および振動レベル計の使用温湿度範囲は-10℃~50℃、90%以下となっており、温度による器差の変化が0.5dB以上ある場合には補正値を取扱説明書に記載することになっています。しかし補正が必要な性能では測定者の利便性に問題が生じるため、現実にこの範囲で補正の必要な騒音計・振動レベル計は実在していないと思います。

騒音計・振動レベル計の製品仕様に記載される温湿度範囲は前記したJISの規定と同一になっている製品が一般的ですが、その範囲よりも広く規定されている製品もありえます。問題は御質問にあるように製品仕様で規定される温湿度範囲外でのことですが、残念ながらメーカーでは性能保証することが出来ませんし補正値も用意されていません。その理由は次によります。

一般には温湿度試験を出荷される製品の全数について実施することはその必然性が低く、コストアップにも繋がるため行われていません。温湿度試験は製品の開発段階や、計量法の型式承認試験で実施されています。そしてその後は製品の量産時に抜き取り試験で実施されます。メーカー側ではそれらの試験データや設計上の理論的な判断によって製造された全数についての性能保証ができる範囲を決めています。そこで個々の製品で捉えた場合にはある程度の余裕度が含まれる場合もあるため、規定した温湿度範囲を大きく外れない範囲では正常に動作することもありえます。しかし、その環境での試験を行っての判断がないためメーカーとしてはあくまで性能保証ができないのです。

製品仕様より広い使用環境での性能保証を必要とする場合にはメーカーに依頼することにより、ある範囲内であればその環境での性能試験を実施することで対応出来る場合もありますが、別途に費用が発生してしまいます。メーカーではなく使用者の自己責任において性能を確認する場合には、その環境で音響校正器や振動レベル校正器を利用することなどにより動作確認するのも一つの方法ですが、その場合には動作確認が測定器の持つさまざまな機能の一部に限定されている点に注意することが必要です。

(リオン(株) 若林 友晴)

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在来鉄道の騒音指針値は新線のみ定められており、既設線の大規模改良には明確な数字がなく「現状より改善すること」となっている。「改善する」とは何dB(A)程度低減させるのが目的なのか。 (匿名)

在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針について」(平成7年12月20日環境庁通達)は、在来線のうち、特に新線建設による路線や立体交差等に伴う高架化又は線路の増設のような大規模工事を行った路線は、鉄道騒音を巡る周辺環境が急変するため新たな騒音問題が生じているケースが少なくありませんでした。このため、これらに際しての騒音問題の発生を未然に防止ために、目標となる当面の指針を定めたものです。

この策定過程で、最近供用された新線と大規模改良線について列車本数と騒音レベルを比較したところ、大規模改良線の方が運転本数が多い路線があり、新線と比較して数dB(A)大きくなってしまう状況もあることがわかりました。また、貨物列車と旅客列車の両方が走行する区間においては、列車総本数が同様でも貨物列車の運転本数が多いケースでは貨物列車の長さが長いため、夜間においてさらに数dB(A)大きくなった事例がありました。

このため、大規模改良線の指針については、状況が極めて複雑であり必ずしも新線と同様の騒音レベルに抑えることは容易ではないとして、「騒音レベルの状況を改良前より改善すること」としたものです。

したがって、「現状より改善すること」とは技術的な対応可能性も踏まえたうえで、できるだけ現状より騒音レベルを低くすることである、と考えていただきたいとおもいます。

なお、既設線の環境基準や指針については、列車の種類、編成内容、運行頻度、運行時間などが多種多様であり、採りうる環境対策も路線ごとにその条件が異なることから全国一律に設定することは困難ですので、この場合の騒音対策は個別の事例ごとに適切な対策が講じられるもの、と考えています。

(環境庁大気保全局自動車環境対策第一課 奥山 広)

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騒音に規制事務に携わって1年に満たないが、法律や条例に抵触しない工場・事業場、建設作業、近隣騒音等についての苦情処理について苦慮しています。対処方法のコツのようなものがあればお教え下さい。 (自治体職員)

騒音の苦情処理は、古くて新しい問題であり、ご苦労の程良く分かります。一 昔まえの騒音公害であれば、誰が聞いてもこれは大変だ、というものでしたが、近年 は騒音レベルが低くなり、技術的にそれ以上にレベルを下げることがほとんど不可能 に近い場合が多いのが現状です。特に大阪府の場合などは、規模に関わりなく、全て の工場・事業場を規制対象にしており、条例上は、例えば製品の搬出・搬入にともな うトラックの出入りに伴う音(事実状防止の方法がない)までが含まれますから、規 制に当たられる市町村の担当者のご苦労には大変なものがあります。

また、騒音公害のいくつかには、騒音自体が問題ではなく、相手方が我が家にな いピアノを持っていることがしゃくに障る、とか、先代からの土地の境界問題が根底 にあるとか、騒音そのものが問題でない場合も多いのです。

さて、こうした問題への対応ですが、まず誠実に対応し言い分を良く聞いてあげ る(私の場合は3度までは同じ事の繰言であっても聞く)のが、原則です。苦情者の 多くは孤独で、自分の悩みを理解してくれる人を持たない。したがって、まじめに聞 いてあげるだけで解決する場合もあります。もちろん行政の説明に納得せず、しつこ く何度も何度も苦情を申し立てる方も多くおられます。実は、私自身騒音公害の加害 者(マンションでの子供の飛び跳ねる音)になったり、被害者(隣家のボイラー音) になった経験がありますが、自分で出来る限りの処置をし行政に持ちこんだりはしま せんでした。

ですから、私が相手の立場ならこうする、あるいは、このようにして解決された 事例がある、と言えば、近隣騒音の場合は大抵以後苦情は来なくなります。

それでも納得が得られない場合、公害紛争処理法に基づく調停を進めます。大阪府 では年間7,8件の調停事案がありますが、6,7割は騒音に関するものです。それ でもだめなら残された手段は民事訴訟を勧めるしかないでしょう。

(大阪府公害監視センター 厚井弘志)

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国道43号の訴訟以来、道路騒音公害に対する一般の認識は大きく変化し、技術的対応策も多くの進展を見ていると聞いております。国道43号等で実際とられている道路騒音の防止に関しての最新技術について、お教えください。 (コンサル担当者)

国道43号は、片側3車線計6車線の道路で、阪神高速大阪-神戸線はその中 央付近に高架道路として建造されている。両道路に対する主な道路構造対策として、 以下に示す4つが実施されている。

(1)排水性舗装の敷設

国道43号、阪神高速道路の両道路とも全面排水性舗装が敷設されている。排水性 舗装は、自動車走行の安全面から考えられた舗装であるが、アスファルトに空隙があ るため吸音性能を持ち走行中のタイヤ音を減少させるため低騒音舗装とも言われる。 時速40km以上で2~4dBの効果がある。

(2)国道43号沿道における高遮音壁の設置

一般に平面道路には、遮音壁は設置されないが、国道43号沿道には高さ5mの遮 音壁が設置されている。遮音壁を建てる場合は、幅の長い遮音壁が理想的であるが、 沿道には商店、事務所等が混在し、一様に長い遮音壁を設置することが難しいため、 200mを超える長い遮音壁や20mに満たない短い遮音壁が見られる。しかし、短 いものであっても連続していれば、3~5dBの遮音効果がある。

(3)高架裏面吸音板の設置

国道43号を走行する自動車の騒音が阪神高速道路の高架裏面に反射し、反対側車 線の道路沿道に到達する音を防止するため、高架裏面に吸音材を張り付けたものであ る。一般的な断面では効果は1~2dBであるが、道路が河川などを横断する地点で沿 道より高くなっているところでは、5~7dBの効果があるといわれている。

(4)阪神高速道路における新型遮音壁の設置

新型遮音壁は、既成の遮音壁の上部に円筒形(きのこの様な)の遮音装置(高さ約 50cm)を取り付けたもので、従来の遮音壁より1.5~2m遮音壁を高くした場合と同 等の効果があるといわれている。

その他、夜間の大型車の通行帯規制が、平成10年4月から実施され、また、交通 管制システムの高度化や広域防災帯の整備も進められている。

(兵庫県立公害研究所 辻本三郎丸)

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現在途上国においても騒音は大きな問題になっていますが、騒音制御工学会、あるいは学会員の方々はどのような取り組みを行われているのでしょうか。わかる範囲でお教え下さい。 (自治体職員)

絶え間無いクラクションの音、黒煙を吐きながら走るミニバスや大型バス、日に5回モスクから大音量で放送されるコーラン、たくさんの自動車の流れの間をすり抜けるように道路を横切る人々とカイロの街はエネルギーに満ち溢れ、喧騒の中にあります。バンコクは交通渋滞で有名であり、この解決策としてのスカイトレイン(都市内高架鉄道)が建設されました。この高架軌道はバンコクのメイン通りに天蓋をかけたように建設され、それにより地上の通りに自動車音が充満しています。このように途上国の騒音問題は都市に人口が集中し、街が拡大し、工業化する中で生じています。自動車交通問題は東京・大阪・バンコク・カイロと共に大きな地域環境問題であり、途上国を走る自動車・オートバイ・ロングテールボートはかって先進国を走っていたものであり、地球環境問題でもあります。 我が国の環境庁はタイ・インドネシア・中国・チリ・メキシコ・エジプトの環境のモニタリングと研究研修を行うセンターを国際協力事業団のプロジェクト方式によって、建設・設備を充実させています。このセンターでの技術移転に参加している専門家に自治体・民間・大学の当学会員がいます。技術移転は単に技術を移転するだけではなく、途上国の環境問題をカウンターパートと共に調査研究し、その方法や報告書の作成を確立・改善して、そのセンターがプロジェクト終了後も自立・自律していくように促進する教育活動も含んだ内容を持ちます。途上国も我が国も騒音問題は身近な問題でもあり、特に地方公共団体の行政・研究の経験を持ち、環境行政に熟知し、環境保全の理念・哲学を同僚と共に育み活動している人材が必要とされています。そして、外国での技術移転はカウンターパートとの友好関係の上にはじめて可能となります。現職で海外青年協力隊に参加できる条例を制定した町もあります。国際協力はこれからますます期待されるのです。

(千葉県環境研究所  石井 晧)

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「破砕機(建築廃材、廃アスファルトの中間処理施設)を設置する場合に有効な騒音対策を教えていただきたい。特に、法律によって建屋が建てられない場合。」 (匿名)

破砕機(クラッシャー、ジョークラッシャー)の騒音対策は非常に困難なものの一つである。防音対策に苦慮する主な要因は下記事項のためである。

  1. クラッシャー自体及び付帯設備の騒音レベルが非常に大きい。(音源近傍で90~110dB位)
  2. 開放型作業場であり法令等の制約により、屋根の架設が出来ないケースもある。
  3. 作業場が広大であり対策範囲も広く工事費用が膨大となる。
  4. 防音対策と共に粉塵対策にも配慮する必要がある。

対策の実際面では次の様なことに配慮して計画されるのが好ましい。

  1. 破砕機自体の防音対策
    1. 屋根が架設出来る場合
      屋根材料、外壁材料共、外側遮音材、内側吸音材の構成にすること。外壁内側はハネ石等の衝撃等に強い吸音材(例えば、防音ブロックサウンドガード、セラミック系又は剛体多孔質ポアセル等)を選定すること。
    2. 屋根が架設出来ない場合(建築基準法等の規制により)
      屋根のない場合高い外壁が必要となる。近隣への影響は、透過音と回折音があるので回折音の影響を無視しないこと。破砕機自体を地下に入れるか又は半地下形式にするものも一方法である。 外壁材料は①と同じ。
  2. 破砕機以外の付帯設備の防音対策
    1. ブロワの防音対策
      ブロワ本体を防音ボックスに収容し、排気音についてはダクトに消音器(サイレンサー)を装着する。
    2. 投入口(ホッパー)の防音対策
      コンクリート片等投入時の騒音対策としてホッパーの内部にゴム板等を貼付けると防音効果があるがすぐ摩耗破損するのでホッパーの外部に塗布型制振材(例えば、セメダインHCO25等)の塗付でもかなりの減音効果が期待できる。
    3. 建設重機(ショベルカー、ダンプカー等)の防音対策
      構内道路作業場所等の高低差をできるだけなくし、登り坂によるエンジン音の増大を防止する。その他の対策方法としては敷地境界に防音塀を建設することが上げられる。

(平野防音株式会社 平野康夫)

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室間音圧レベル差及び重量・軽量床衝撃音レベルで問題となる周波数は実際のところ,主に何Hzですか。 (ゴム・樹脂部品の製造業 社員)

問題となる、という意味は、居住者などからのクレームになる、あるいは竣 工時確認測定において設計時点に設定した所定の性能が出ないということでしょ うか。室間音圧レベル差のD値や床衝撃音レベルのL値はクレームとの対応が 良いとされているので、ここでは後者の観点から問題となる周波数について述 べたいと思います。

室間音圧レベル差の測定では、通常125Hzから4KHzまでを測定することになっ ています。建物の主体構造や内装材料などの違い、また、建物用途などの違い により一概に言うことは出来ませんが、問題となる周波数はすべての周波数と いっても良いと思います。たとえばGL工法では250Hz、4KHzで落ち込み性能が 低下してしまいます。また、プラスターボードなどの軽量中空二重壁では 125Hzで性能か決定される製品が多いようです。さらに乾式の間仕切壁では床・ 梁との取り合い部のシール不良により1KHzや2KHzで遮音低下が起きることがあ ります。特に鉄骨構造の建物では、柱、梁に耐火被覆が施されること により間仕切壁との取り合いが複雑になり落ち込む周波数もケースバイケース となるようです。

重量床衝撃音レベルについては建物の主体構造で決まることが多く、ほとん どの場合63Hzが決定周波数となります。ただし、二重床や、天井の影響で 125Hzで決まることもあります。

軽量衝撃音レベルは仕上げ材で決まり、性能が良いものは125Hz、250Hzで決 まることが多く、性能が悪くなると250Hz、500Hzとなるようです。

(三井建設(株)技術研究所 赤尾伸一)

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近年、戸建住宅でアスファルト系の遮音ボードが 使われていますが、どれを用いても、床衝撃音の125、250Hzあたりの ピークが下がらず、L値が高くなる傾向が多いようです。 どうすれば下がるのでしょうか。また、木造や軽量鉄骨 造といった構造別の床衝撃音対策の注意点も教えて下さい。 (製造業 社員)

125Hz~250Hzの発生音は、根太間(300~450mm)のボードの 共振と考えられます。これを低減させるには、 共振周波数の高域へのシフトとダンピング効果の増大が必要で、 具体的には根太間隔の狭小化や表面ボードに下地合板を 付加して曲げ剛性の増加を図ることなどがあげられます。

次に、木造、軽量鉄骨住宅の重量床衝撃音遮断性能向上の基本的な 考え方を述べます。

木造・鉄骨造では、建物自体の質量や剛性が小さいため、 床衝撃により、床以外にも建物全体が振動しますので、 床衝撃音の低減には床のほかに、 下室の天井および壁にも対策を行うことが必要不可欠です。

(戸田建設(株)技術研究所 渡邉秀夫)

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これまでの環境騒音測定(L50)ではレベルレコーダのチャートに現場でコメントをつけ,異常音を削除してデータ処理を行ってきました。今後,LAeq測定ではメモリ付き積分型騒音計で瞬時値を取り込むとしても,コメントが無ければ異常音処理ができないのでは。 (コンサル 社員)

理想的には異常音の影響が無視できるほど、Leqの測定時間を長くすれば、異常音に対する処理を行わずに済みますが、それが不可能な場合は以下の方法で測定を行ってみてはいかがでしょうか。

近頃の騒音計には、Leq測定中に異常音が発生した場合、操作ボタンによって測定が一時停止状態になり、異常音の発生中とその時点からさかのぼって数秒間のデータを除いてLeqの計算を行う機能を持っているものがあります。測定者が測定中に騒音計の近くにいることができる場合、この機能を使うことで異常音の影響を取り除くことが可能です。

しかし、夜間測定など測定者が騒音計の付近にいることができない場合、この機能を使うことができません。この場合に突発的な異常音の影響を測定値から取り除くには何らかの工夫が必要です。これをどのように処理すべきか、騒音測定に係わる多くの方々が困っていらっしゃるのではないでしょうか。測定器メーカ各社でも現在いくつかの方法を検討中です。

例えば1分間というような短時間のLeqを連続して測定し、それを騒音計または測定器の記憶装置に保存していき、測定後に異常音が発生した時間のLeqを除いて実測時間全体(例えば10分間)のLeqを計算する方法が考えられます。測定時には同時にテープレコーダ等の録音機を用意して一定値以上の強さの音が発生した場合、その音を録音するように設定します。測定後、録音を聴き、それが異常音かどうかの判断をします。異常音と認められる音であればその部分の短時間のLeq測定値を除いてLeqの計算を行います。

しかし、この方法では騒音計のみで測定を行うことができず、2次的なデータ処理に時間がかかってしまいます。また大がかりな測定装置が必要となります。実際にどのような方法が簡便で有効であるのか、今後も検討が必要です。

((株)小野測器 向井ひかり)

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自動車のユニットパターンについて、交通量が非常に少ない時に試験車両を1台走行させて理想的なユニットパターンを実測することが出来たら、そのデータから伝搬特性を抽出して使用することはできないでしょうか。道路構造や交通条件から求められるユニットパターンの計算値よりも有効なデータになると思うのですが。 (匿名)

現場において、自動車1台の理想的なユニットパターンを測定することができれば、それによる計算値と実測値との対応を検証する上でも非常に有効なデータになると思います。

では、理想的なユニットパターンとはどうすれば測定することが出来るのでしょうか。まず、試験車両として大型車と乗用車の2種類は必要となるでしょう。大型車については積載の有無の条件が有ればなお良いでしょう。次に、各試験車両を一定速度で対象車線を走行させ、ユニットパターンを測定することになります。その時、3種類程度の速度を設定し(例えば、40、60、80km/h)、データの安定性を確保するためには各車両、各車線毎に5回程度を走行させることが必要でしょう。また、現場ではなかなか難しいことなのですが、ユニットパターンの測定範囲(計算の場合は、道路中心線から測定点の距離の±20倍が必要。25mならば±500m)で十分なS/Nが取れていることが必要な条件となります。さらに、ここで測定されたデータは、試験車両がある一定速度で走行した場合のユニットパターンの実測値に過ぎません。このデータから伝搬特性の部分を抽出するためには音源である試験車両のパワーレベルの測定も同時に実施する必要があります。まだ、これ以外にも必要な測定や注意すべき点はたくさんありますが、自動車1台の理想的なユニットパターンを測定するには多大な労力を必要とすることが理解できると思います。私自身も、試験車両あるいは一般車両の単独走行を狙ったユニットパターン測定、スピーカを用いたユニットパターン測定等をこれまで手がけてきましたが、思うようなデータが得られたことは少なく、上記のいずれかの条件を犠牲にせざるを得ないことがしばしばです。  確かに、自動車1台の理想的なユニットパターンを実測することができれば、計算値よりも説得力があり車線毎の寄与が把握でき、また交通条件の変化に対しても汎用性が高いなどの有効なデータになると思いますが、音の伝搬過程での条件変化に対応できないといった欠点も考慮しておく必要があります。もし、自動車1台の理想的なユニットパターンの実測値を得ることが出来たならば、是非、本誌に報告されることを期待いたします。

((財)小林理学研究所 松本敏雄)

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低周波空気振動について行政の取り組みについて教えてほしい。 (匿名)

低周波音が原因と考えられる苦情は全国で毎年30件程度発生している(環境庁:騒音規制法施行状況調査より)。この件数は地方自治体の調査で原因が特定できたものの数で,これ以外にも潜在的な被害は多く存在すると考えられる。特に20Hz以下の超低周波音の場合には,苦情の原因が音にあることを見逃す場合もあることから実態は不明である。低周波音に起因する苦情件数は横這いの状況であったが,平成5年になって新幹線鉄道に起因する苦情が大幅に増えた。これに伴い,環境庁では平成6~7年度に低周波音の影響について調査を行った。この調査は,研究機関や自治体が行う低周波音に関する調査研究の進捗状況と発生源別の音圧レベルを把握し行政としての対応について検討するためのものであった。報告では,研究成果に関する文献調査結果を述べるとともに今後の課題として測定方法の確立,評価量,指針値などについて検討が必要であるとしている。最近,行政が対応した苦情事例としては次の様なものがある(公害等調整委員会報告より)。

  1. 染色工場からの低周波音による心理的感覚的被害
  2. 空調機用送風機からの感覚的・心理的騒音被害
  3. 料亭の高圧トランスから発生する騒音による感覚的・心理的被害
  4. ある老人が感じる原因不明の騒音について
  5. ヘリコプタの騒音振動について
  6. アルミ工場加熱乾燥炉から発生する低周波騒音による心理的感覚的被害

環境庁ではこれまで低周波空気振動と呼んでいた80Hz(1/3オクターブバンド中心周波数で)以下の音について最近では「低周波音」と称するようになっている。

低周波音の発生源として大型機械,燃焼機器,発破作業,長大橋,治水設備,新幹線トンネルや航空機のエンジンテストなどがあげられる。これらのうち,大型機械,燃焼機器やエンジンテストなどについては対策法の研究が進み成果をあげているが,一般的に低周波音の対策は大がかりになるため対策が進んでいない。

(神奈川県環境科学センター 堀江侑史)

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一般的傾向として、気温、湿度、天候などは騒音レベルにどういう影響があるのか教えて下さい。 (匿名)

冬季の早朝に遠くの鉄道の音が聞こえてきたり、屋外スピーカの放送音が風向きによって聞き難くなったりすることがあります。また、上空を通過する航空機の音は、晴れた日よりも曇りの日に大きく聞こえるといわれることもあります。

このような現象は、主として風と温度分布の影響、および空気の音響吸収の影響によって説明されています。

まず、風と温度分布の影響は、現実の地表面近傍の風速と気温が地上からの高さに依存するため、音速が地上高さによって異なってくることに起因しています。この音速の高さ方向の変化により、地表面に沿って伝搬する音は連続的な屈折作用を受けるとことになります。一般に、風速は地面近くで急速に減少しますから、順風条件(音が風下側に伝搬する場合)では上空ほど音速が高くなり、音線は下向きに曲げられ音が伝搬し易くなると考えられます。一方、逆風条件では反対に音線は上向きに曲げられ音が伝搬し難くなります。また、温度分布の影響については、昼間は地表面近傍の気温が上昇し音速が高くなるため、音線は上向きに曲げられるのに対して、夜間は放射冷却現象により地表面近くの気温が低下し、音線は下向きに曲げられると考えられます。このように、これらの現象は風速そのものや夏季と冬季のような気温の絶対的な違いではなく、地表面近傍の風速分布と温度分布によるものです。したがって、地面温度が上昇する晴天の昼間などは、夜間や雨天の日よりも騒音レベルは低くなると考えられます。空気吸収による減衰は、周波数が高いほど大きく、気温と湿度に依存します。気温が20℃付近の場合には、相対湿度が極端に低い場合(20%以下)を除いて、湿度の上昇とともに、大部分の周波数で減衰が小さくなります。この点に着目すると湿度が高い場合、すなわち、雨天や曇天の日は音が伝搬し易く、騒音レベルが高くなるといえます。ただし、この湿度依存性は気温によって大きく異なるため、一般的には、空気の音響吸収は気温や湿度とともに単調に増加あるいは減少するものではなく、複雑に変化すると理解しておくべきでしょう。

なお、以上述べた気象の影響については、本工学会編「地域の音環境計画」(技法堂)に、実測データと併せて詳述されていますので、それを参考にしてください。

(名城大理工学部 吉久光一)

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ISO9002の取得に対して文書化が必要なので,騒音計と振動レベル計の日常の精度管理の考え方と方法について教えてほしい。 (匿名)

ISO 9002の要求事項として、検査、測定、試験装置を管理し、校正し維持することが規定されています。しかし点検の範囲及び頻度に関しての具体的な標準はなく、使用者の判断と責任において検討して文書化することになります。

ご質問にあります騒音計および振動レベル計の日常の精度管理についてですが、回答者はその点検の時期について、使用時と一定の期間ごとの両者で実行することが望ましいと考えています。

まず使用時の点検については、少なくとも一連の測定の前後に現場で校正を行う必要があります。その方法は測定器メーカの指定した手順によりますが、騒音計の場合は内蔵された電気信号による校正が最も簡便な方法です。しかし、より望ましい方法は音響校正器を使用してマイクロホンを含めた音響的な動作試験を行うことです。音響校正器の性能についてはJIS C 1515に規定されています。振動レベル計については振動レベル校正器を使用すると振動ピックアップを含めた動作試験を行うことが可能ですが、現在の振動レベル計は安定度が高く、また振動レベル校正器が大型で機動性に欠けることもあってこの方法はまだ広くは普及していません。なお、音響校正器および振動レベル校正器はメーカにおいて国家標準とトレーサビリティを取っておりますが、その精度管理について使用者が規定しておく必要があります。

一定の期間ごとの点検についても実施する必要があります。これらの測定器は計量法で指定された特定計量器であり、検定証印の有効期間については騒音計で5年、振動レベル計で3年となっていますが、検定では器差検定と一部の性能試験のみを行っており、例えば騒音計において等価騒音レベルLAeqの機能などは試験されていません。また検定証印の有効期間がその期間の性能を保証している訳ではない点にも注意する必要があります。したがって検定品を含め1年に1回程度の割合で全体の点検校正を実施することが望ましいと考えます。

(リオン(株) 若林友晴)

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航空機騒音計測について,ICAO基準では音圧型マイクロホンを指定しているが,自由音場型マイクロホンを使用した場合と何dBほどの差が出るのですか。 (メーカ 社員)

航空機騒音の測定には、飛行場周辺の環境を評価するための測定の他に、発生源対策の観点から航空機が発生する騒音が一定の基準以下であることを判定する航空機騒音証明のための測定があります。  ICAO・ANNEX16にはその航空機騒音証明に係る測定の方法が記載されています。そこでは使用するマイクロホンとして音圧型が指定され、上空を通過する航空機からマイクロホンへの音波の入射角がかすめ入射(正面に対しての90°入射すなわちマイクロホン振動膜面の延長面上)となるようにマイクロホンを水平に設置することが規定されています。このような位置関係を満足した場合には飛行軌道上において音の入射角が常に一定となるため、全方向を均一な周波数特性で測定することが可能です。  下図に音波の入射角をパラメータとした時の、1/2インチ音圧型マイクロホンの自由音場における周波数特性を示します。音圧型マイクロホンはかすめ入射においてほぼ平坦な特性を示すため、このようにマイクロホンを設置すれば自由音場型マイクロホンを正面入射で使用した場合と同一な測定結果の得られることがわかります。  実際の測定においては音波の入射角が一定でないために音圧型と自由音場型の両者間で周波数特性に僅かながら差の生じることがあります。しかし、航空機騒音の周波数成分を考え合わせれば評価量に与えるその影響は極めて小さく、統計的に両者の測定値が同じであるという実測結果も報告されています1)。

参考文献

  • 1)吉岡:航空機騒音の測定方法, 騒音制御, Vol.19, No.3, 1995

(リオン(株) 若林友晴)

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大規模工場の作業環境騒音測定をガイドラインに従って行うと,多数の測定点が設定され金額的にユーザに負担が掛かり過ぎます。測定点数,測定方法,次回以降の測定点数・測定方法等で簡素化する案はあるのでしょうか。 (匿名)

騒音職場で働く人の聴力を保護するために定められた法、規則を先ず列記してみます。

(1)労働安全衛生法
(2)労働安全衛生規則
(3)騒音障害防止のためのガイドライン(通達)
(4)作業環境測定基準

騒音技術などの変化に沿った規則改正が平成4年に行なわれ、新たに騒音障害防止のためのガイドラインが定められ、測定、評価方法などが示され、騒音作業のある事業場の管理が進め易くなりました。
上記(1)、(2)および(3)の中からご質問に係わる事項を取り出してみます。

  1. 単位作業場所における騒音レべルがほぼ均一(標準偏差が3デシべル以下)であることが明らかのときは、測定点に係わる交点は、当該単位作業場所の床面上に6メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる。
  2. 間欠的な騒音又は不規則に変動する騒音を考慮して、一測定点における騒音の測定時間は10分間以上の継続したものであること。
  3. A測定平均値の算定には、80dB(A)未満の測定値は含めないこと。
  4. 屋内作業場以外の作業場における測定については、騒音発生源が作業により移動する手持動力工具を取り扱う業務が多いことから、屋内作業における作業環境基準に基づく測定を行なう必要はなく、音源に近接する場所において作業を行なう作業者の位置で測定を行なえば、足りるものである。
  5. 測定は衛生管理者など、事業場の労働衛生管理の実務に直接携わるもの、或は、測定機関に委託して実施することが望ましい。
法規に則り騒音事業場の労働衛生管理を行う立場の私からは具体的なことは申せませんが、法律、規則は最低限の決まりであり、前述した内容を十分検討すれば、質問事項についての解答が得られるものと考えます。

(増本安全衛生管理事務所 増本直樹)

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世の中で人が心地よくないと感じる音や音色とはどういうものですか。それらの範囲はありますか。 (匿名)

これは大変難しい質問です。ある音を心地よいと感じるか心地よくないと感じるかには、個人差ばかりでなく、その人の健康状態や気持ちの状況、その音を耳にするタイミング等、実に様々なものが影響してくるからです。このため、「人が心地よくないと感じる音や音色」に一般的な傾向はありますが、その範囲となると簡単に特定できるものではありません。
人が心地よくないと感じる音の一般的な特徴は、大きく次のように分類することができます。

  • 物理的な分類
    • ・大きな音
    • ・特定の周波数が強調された音(純音に近い音)
    • ・衝撃性の音/間欠的な音
  • 精神的(感情的)な分類
    • ・嫌なことを思い出させる音
    • ・嫌いな人(モノ)が出す音
    • ・あることに集中しようとしている時に、他のことを思い起こさせる音

大きな音というのは、それがどんなに美しい音色であっても、ある限度を超えてしまえば「心地よくない音」になってしまいます。特定の周波数が強調された音というのはジェット機の「キーン」という音やガラスを引っ掻いた時の音などのことです。衝撃性の音/間欠的な音は音のレベル変動が大きいため、聞いていて慣れにくいという特徴があります。

嫌なことを思い出させる音や嫌いな人(モノ)が出す音というのは、理由などなく「心地よくない」と感じてしまうようです。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ということでしょう。あることに集中しようとしている時に他のことを思い起こさせる音には、眠ろうとしている時に聞こえてくる隣の部屋の物音や、仕事に集中しようとしている時に聞こえてくる大好きなジャンルの音楽などがあります。

このように「心地よくない音」というのはケースバイケースで変わってきます。また人が心地よくないと感じる時、一つの音のみから受ける印象が心地よくない場合も確かにありますが、様々な要因が絡み合っている場合が多く、原因を特定するのは困難なことが多いようです。さらに「心地よくない」と感じるような音が聞こえていても、他の環境的な要素がこの音を意識の下に隠してしまっているために、その時は「心地よくない」ことに気づかず、後になって妙に疲労感を覚えたりするということもあります。

(千代田化工建設(株) 中村ひさお)

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現在一般に用いられているアルミサッシ、シャッター、ドアの透過損失について、防音型のそれらの透過損失はメーカ資料にもよく見られますが、一般的なものは見当たりません。いい資料はないでしょうか。 (建材メーカー 社員)

ご質問の「一般的なもの」を「普通型の透過損失」と解釈して以下お答えします。

音響関係の専門書、ハンドブックなどを改めて調べてみますと、アルミサッシ、シャッター、ドアの透過損失のうち、アルミサッシのデータは、掲載されているのが多くみられますが、ドアはかなり少なく、シャッターは極くわずかなようです。その中で、比較的新しいデータが盛り込まれているのは、「騒音・振動対策ハンドブック:日本音響材料協会編」と「建物の騒音防止設計:日本建築学会編」ですが、その他に普通型の最近の透過損失データが纏まって掲載されている資料はないようです。

透過損失データを必要とする場合は、遮音材料の透過損失の概略傾向を把握する場合とかなり厳密な遮音計算を行う場合の二通りに分けられると考えられますが、その目的によって求めるデータが異なってくると思います。

前者の場合は、音響関係の専門書やハンドブック類のデータで問題ないと思います。しかし、後者の場合は、透過損失はサッシメーカやサッシの種類、型などによって異なってきますので、それらを特定して、そのサッシ固有の透過損失データを使って遮音計算を行うのが普通ですので、メーカやサッシの仕様が明確でない透過損失データを使用して計算しても不十分になる場合がでてきます。したがって、厳密な遮音計算を行う場合は、メーカのカタロクを調べるか直接メーカから透過損失を入手するのが原則となります。なお、普通型サッシの透過損失データがメーカのカタログに掲載されていない場合でも、社内データとして保有している場合がありますので、問い合わせてみてはいかがでしょうか。

(戸田建設(株)技術研究所 渡邉 秀夫)

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道路交通騒音の環境アセスにおける保全対策として、 最近では「透水性舗装にする」という事例が見られます。 実際には、どの程度の減衰が期待できるのか、また、 その問題点をお教え下さい。 (地方自治体土木関係職員)

ご質問の「透水性舗装」は、使用目的により、 「排水性舗装」または「低騒音舗装」と呼ばれています。平成元年頃より、 雨天時の事故に対する対策として用いられ出したため、 路面の水を排水する舗装として「排水性舗装」と呼ばれていましたが、 平成6年頃より騒音対策として用いられる場合には「低騒音舗装」と呼ばれています。以後、 「低騒音舗装」という名称を使わせていただきます。

道路交通騒音は、1,250Hz付近で最も大きい音の圧力レベルを示しますが、 「低騒音舗装」はこの周波数を含む周波数範囲で音の圧力レベルを 減衰する効果があります。タイヤ転がりによるエアポンピング音 (空気の破裂によりタイヤリブを震わす音)の減衰、 エンジン音などの吸音により音が減衰します。

また、発生源にて音を減衰させることから、その効果は一定の値ではなく、 交通量が増減すれば変化します。「低騒音舗装」の空隙量や質の違い (設計空隙量の違い、施工誤差)、舗装面積(舗装する車線数や延長) によっても変化しますが、 普通に施工されている滑らかな表面の舗装に比較しますと、 L50値で3~7dB程度減衰が期待されます。

なお、「低騒音舗装」は空隙があるため、 沿道の埃や自動車が持ち込む土砂成分により詰まったり、 大型車両の走行による厚密により詰まりますと、音の減衰効果で減少します。 つまり、「低騒音舗装」の問題点としては、 その減衰効果が遮音壁のように半永久に持続するわけではないことが 挙げられます。関係機関における研究報告文献を見ますと、 効果は施工後4年までは確認されています。

計画段階の環境アセスとして取り込むためには、 「低騒音舗装」の騒音減衰値の予測計算式の確立、 減衰値を確保するための舗装の適切な時期での打換及び 機能回復洗浄が担保される必要があります。

「低騒音舗装」の減衰効果は、遮音壁のように半永久なものでないため、 遮音壁による対処ができない(橋梁補強なしでは嵩上げできない、 遮音壁では非常に不経済)場合、 マンション等の高層建築物への対処として使用されることが望まれます。

(日本道路公団名古屋建設局 中崎邦夫)

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当学会ではいわゆる「電子投稿」についてどうお考えでしょうか。他学会の動向も含めてお教え下さい。 (建設会社研究所研究員)

最近のパソコンは処理能力が飛躍的に高くなり、 良質のソフトウェアを利用すれば簡単に高品質の 版下原稿ができるようになりました。したがって、 他学会においては会誌への投稿形態として、(1)版下原稿、 (2)テキストファイル付原稿、 (3)版起こし用原稿が用意されていることがあります。

日本騒音制御工学会では、現在まだ、版起こし原稿で投稿していただいてお りますが、印刷所の受け入れ体制の改善にあわせて、 順次テキストファイル付原稿に移行したいと考えています。 すなわち、通常の原稿(文章・図・表・写真)に加えて、 テキスト形式で作成した文章ファイル入りフロッピーを 提出していただくことになります。このことにより、 執筆者にとって著者校正の負担が減ることになりますし、 学会にとっては会誌作成の省力化および経費削減に役立つと考えていますので、 積極的に進める所存です。その実現に向け、 試験的に電子投稿を受け付けて問題点を整理・ 検討していきたいと考えておりますので、 電子投稿の希望者はその旨お申し出下さい。

(編集委員会)

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低周波音の健康に与える影響について教えて下さい。 (建材メーカ社員)

人が低周波音を感じることができる最低音圧レベルは20Hzでおよそ75dB、 10Hzでおよそ100dB、5Hzでおよそ110dBと言われています。 私たちが日常生活している住空間にも40dB~ 110dB程度の低周波音は存在しています。 人は低い周波数の音ほど大きい音圧レベルでないと感じないので、 低周波音の存在に気づかない場合が多いようです。しかし、 低周波音のレベルが大きかったり、戸や窓がガタガタしたりして 低周波音の存在を知り、それが苦情につながることがあります。 低周波音による苦情は、人への影響(心理的影響、生理的影響) と建具等への影響(物的影響)に分けられます。 我が国では低周波音の音圧レベルが70~80dBから苦情が発生していますが、 これは20Hz以下の超低周波音と呼ばれる領域では 人よりも建具の方が低周波音に敏感で、 人が感じるよりも低い音圧レベルで戸や窓が振動してガタガタ音を発生し、 それが苦情となるからです。

1984年に環境庁が行った低周波音苦情が発生している29 の地域におけるアンケート調査によると、物的訴えが最も多く、 気分のいらいら、不眠等といった心理的訴えや、頭痛、耳鳴り、 胸・腹の圧迫感等の生理的な訴えは全体のわずか10% 程度しかありませんでした。

海外では、異常な運転状況の大型機械や施設近傍などで120~130dB といった大きな音圧レベルの超低周波音がかつて問題となり、 1970年前後に140dBを超える強烈な超低周波音による影響についての 実験が行われています。Johnson は0.2Hz,140dBと20Hz,120dB を結ぶ線を生理的な影響を現さない限界として提案しています。 近年では、一般的な作業環境や生活環境における低周波音を想定して、 120dB以下の音圧レベルの低周波音の研究が主流となっています。 環境庁の一連の調査や国内の研究者による研究では、 最大で120dB程度までの低周波音を用いて低周波音による生理影響について 調べていますが、低周波音による影響は認められませんでした。 睡眠影響については、環境庁の調査によれば、 通常のレベルでは睡眠への影響はほとんどないが、 眠りが浅い場合に 10Hz;100dB、20Hz;95dB で目が覚める場合があるという結果が得られています。 低周波音の感覚的な影響では、低周波音特有の感覚として、 圧迫感・振動感があることが確認されています。 当所で行った実験結果によると、40Hz,78dBで半数の人が圧迫感・ 振動感を感ずるという結果が得られました。

しかし、低周波音の知覚メカニズムそのものの解明が進んでいないこと、 低周波音の長時間暴露の調査がほとんどないこと、 被験者の個人差が大きいことなどの理由により、 現状では低周波音の健康への影響は明らかになっていません。 低周波音による影響解明のため、今後の研究が望まれます。

((財)小林理学研究所 落合博明)

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騒音規制法の罰則について、 簡単に説明して下さい。 (地方自治体職員)

行政各法においては罰則を設けていることが多いのですが、 法律に義務として規定されている以上、 国民ほ罰則の有無に関わらず法律に従うべきであり、 法律も国民が義務を履行することを期待しています。 特に公害関係行政法の場合、その義務規定は、国民全ての健康を保護し、 生活環境を保全するためのものであり、その意味においては、 法律がその義務が履行されることを強要しているものといえるでしょう。 ただ、その履行強要、履行期待の度合いなどは、その義務の性格、 内容、不履行のときの影響などによって強弱大小の差があります。

騒音による被害は、直接健康に悪影響を及ぼすものではなく、 騒音が規制基準を超え、 地域住民の生活環境に被害を与えている場合であってもその被害の 本質態様が感覚的なものであるため、いわゆる直罰主義ではなく、 まず改善勧告、改善命令によって事態の改善を図る取扱いとしています。

従って、騒音規制法においては、 法第12条第2項の規定に基づく改善命令に違反した者に対し、 1年以下の懲役または10万円以下の罰金を科すこと、 法第15条第2項の規定に基づく改善命令に違反した者に対し 5万円以下の罰金を科すこととしています。(法第29条、第30条)

また、本法では、各種の届出義務が科せられていますが、 これらの届出をせず、又は虚偽の届出をした者に対し、 罰金又は過料が科せられることとされています(法第30条、第31条、 第32条及び第33条)。さらに、都道府県知事(市町村長に委任) が法第20条の規定に基づく報告の要求に対して報告をせず、 若しくは虚偽の報告をした者、 又は同条の規定による都道府県知事の命令による職員の立入り検査について、 その検査を拒み妨げ、忌避した者は3万円以下の罰金に処せられます(法第31条)。

なお、法第32条の規定は、いわゆる両罰規定です。両罰規定は、 犯罪その他違法行為が行われた場合に、行為者本人のほかに、 その行為者と一定の開係にある他人がこれに連座して 刑に処せられることを定めた規定をいい、 本条では「法人の代表者若しくは法人若しくは人の代理人、 使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し、第3O条、 第31条、第32条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、 その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科すると規定しています。

(環境庁大気保全局企画課大気生活環境室振動騒音係)

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騒音に係る環境基準の測定は、都道府県あるいは市町村が行うのですか。 (地方自治体職員)

騒音に係る環境基準の類型当てはめの事務は、 「環境基準に係る水域及び地域の指定権限の委任に関する政令」 (平成5年政令第371号)の規定に基づき、都道府県知事が行うこととされています。 しかしながら、騒音に係る環境基準に照らした評価を 行うための騒音の測定を誰が行うのか、環境基本法には規定されていません。

騒音の測定に関する規定を探すと、 騒音規制法第21条の2に指定地域内における騒音の測定を都道府県知事 (市町村長に委任)が行うと規定されています。この規定により騒音の測定は、 騒音に係る環境基準に照らした評価を行うための騒音の測定を含めて、 市町村が行うと―般的には考えられています。しかしながら、 騒音規制法第21条の2では、 指定地域内の騒音の測定について規定しているわけであり、 環境基準のそれぞれの類型を当てはめる地域内での 騒音の測定について規定をしているわけではありません。

では誰が、騒音に係る環境基準に照らした評価を行うための騒音の測定を 行うのでしょうか。騒音に係る環境基準の類型当てはめを行うのは 都道府県知事ですから、適切に類型当てはめがなされるためにも、 まず都道府県が騒音に係る環境基準に照らした評価を行うための騒音の 測定を行う必要があると考えられます。

また、環境基準は環境基本法に規定されているとおり、 維持されることが望ましい基準であると同時に政府の達成目標としての 性格を有しており、騒音規制法は騒音に係る環境基準を達成するための 施策の一つとして位置付けられています。従って、 騒音規制法を施行する都道府県、市町村ともに騒音に係る環境基準に 照らした評価を行うための騒音の測定を積極的に行い、 騒音の発生状況を適切に把握することが望ましいといえるでしょう。

(環境庁大気保全局企画課大気生活環境室振動騒音係)

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特定工場の騒音を敷地境界にて測定する場合、 特定施設の騒音レベルが低く、特定施設以外の騒音がレベル的に 高い場合もありますが、特定施設以外からの騒音を評価して規制基準と 比較してもいいものですか。 (環境ビジネス会社社員)

騒音規制法の規制対象となるのは、 都道府県知事(指定都市・中核市にあっては市長)が指定する地域内にある、 著しい騒音を発生する施設であって政令で定める施設 (「特定施設」という)を設置する工場又は事業場 (「特定工場等」という)です。

これらの工場及び事業場から発生する騒音の規制は、 「特定工場等から発生する騒音の規制に関する基準」に基づき行われています。 題名からも理解できるように、単に特定施設から発生する騒音だけではなく、 特定工場全体から発生する騒音が規制の対象となります。

もっとも、騒音規制法の工場騒音の規制が同一場所に定着して騒音を発生す ることにより、周辺の生活環境に大きな影響を及ぼすのを防ぐことを法の直接 の狙いとしていることから、工場内の同一場所に設置される施設(特定施設及びその他の施設)から発生する騒音が規制の対象となると解されています。

なお、「設置」の概念は法令中に明確に定義づけられておらず、機械の置か れている状態や移動範囲などを考慮し、各事例毎の判断が必要となります。

(環境庁大気保全局企画課大気生活環境室振動騒音係)

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室間音圧レベル差、重量・軽量床衝撃音測定などで、 音源側と受音側の広さによって吸音力等も変化すると思いますが、 どの程度の比率で受音側の音圧レベルがどう変化するのか 目安といったものはありますか。 (石膏製造会社 社員)

室内音圧レベル差や重量・軽量床衝撃音レベルの測定方法は、日本ではJIS (日本工業規格)に制定されており、それぞれJIS-A-1417“建築物の現場にお ける音圧レベル差の測定方法”とJIS-A-1418“建築物の現場における床衝撃音 レベルの測定方法”であります。

この測定方法の基本はあくまでも建築物の空間の音響性能を得ようとする観 点から制定されており、受音室における音圧レベルの絶対値を重点に評価する 立場をとっています。更にこの規格は受音室の広さや吸音力がどの程度でなけ ればならないという規定ではなく、一般的な室の使用状態を想定している程度 です。そのため受音室が広かったり、内部の吸音力が大きい場合には、当然そ の影響を直接受けることになります。この影響度合いは吸音力の比の常用対数 の10倍で評価されます。すなわち、吸音力が2倍になれば3dBの差になりま す。一般的な室の使用状態といっても、カーペットやソファーの状態、家具の 配置、また人の存在によって室の吸音力は2倍程度の変化はあるものと考えら れます。

国際的にはISO(International Standard)140シリーズの規格があります。 “Acoustics-Measurement of sound insulation in building and of building element-Part 4:Field measurements of airborne sound insulation between rooms”と“Acoustics-Measurement of sound insulation in building and of building element-Part 7:Field measurements of impact sound insulation of floors”がそれです。

この規格の基本は建築物の部位性能を評価する方針であるため、受音室の吸 音力や残響時間を基に基準化して評価値を得る手法をとっています。吸音力は 10m3 、残響時間では0.5秒がその基準値となっているため、受音室の広さや吸 音力の影響の少ない指標といえます。

最近になって前述のJISは改訂されることになりました。これはGATT(関税 と貿易に関する一般協定)を1995年に改組したWTO(世界貿易機構)における 非関税障壁撤廃の要求に対応する施策の一つとしてJISの国際整合化が進めら れるようになったためです。ただし、建築の分野においては、各国における建 築構造や生活様式の違いなどに関連して、建築法規なども独自の形で規定され ていることが多いため一概に整合が取りにくい面があるのは当然と考えられま す。

建築音響分野のJISについても、特に空気音及び床衝撃音遮音性能の測定・ 評価方法については、対応するISO規格との間に多くの不整合があり、国際整 合化は容易ではないことが想定されました。これらのJISに関しては、その主 管が建設大臣となっているため、この規格改訂に関しては、建設省から(社) 日本音響学会に委託が行われ学会内に委員会を設置して改訂作業が行われまし た。その結果、本年3月に規格原案が答申されました。

今回答申のJISは基本的にはISOを踏襲し、それから大きくはずれる点に関し ては、付属書などで対応をとる方針としています。更に、重量衝撃源遮断性能 の測定法はISOにはないため、現行のJISをPart1は軽量、Part2は重量というよ うに2分割して作成されていることが特徴です。

現在ではこのJISがどのようなスケジュールで制定公布されるかは明確では ありません。公布されるようになれば、各方面からニュースが入ってくるよう になると思いますので、皆様もそれに注意しておいて下さい。

安藤啓(鹿島建設技研)0424-89-7123

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室間音圧レベル差の測定に63Hz が含まれていないのはどのような理由なのでしょうか。 (スレート製造業 社員)

室間音圧レベル差は住宅の居室やホテルの客室など事務所、宴会場などと比 較して小さい室で多く測定されています。室間音圧レベル差測定は室における 音がある程度以上拡散した状態で測るのを前提にしていますので、小さい室で は波長と室容量、形状によっては拡散音場が形成できなくなります。

実用的な周波数としては、63Hz帯域も欲しいところで、実際に測定しても何 らかの値はでてきます。

これが、他の周波数帯域同様な測定精度と意味を持つかどうかが理由の一つ です。スピーカで音場を作る場合、1個用いる時や2個以上用いる時、また無 指向性型を用いる時などで音圧分布は変り、それらの偏差も変ってきます。受 音点のマイクロホンの位置による音圧の分布状態も周波数が低くなるとバラツ キは大きくなり、測定点間で10dB以上の差が生じてきます。あまり大きな差が 生じると、空間平均の意味が薄れ、特定場所間の色合いが強くなってきます。 現行の各受音点間の差が10dB以内を基本と考えると63Hz帯域は満足しない確率 は高くなり、31.5Hzはなおさらでしょう。

現在JISの国際整合化が行われていますが、この中で“低周波数域の測定が 必要な場合には、オクターブバンド測定による場合は中心周波数63Hzの帯域、 1/3オクターブバンド測定による場合は中心周波数50Hz、63Hz、及び80Hzの帯 域について測定を追加する”という備考が案として盛り込まれています。バラ ツキや定在波などを考慮すれば、実用的に必要な63Hz帯域を測定しても良いと いう方向が付け加えられる予定です。実際の測定時には、測定上の工夫や、注 意事項を解説として作成して、条件をそろえるようにして、測定結果の信頼性 を上げる必要があるでしょう。 ホールや体育館と隣室のような場合は、特定 場所間音圧レベル差として考えれば、問題点は少ないのではないかと考えられ ます。いずれにせよ測定上の目的がはっきりしていれば、開発などに応用して ゆくことについては、発展的に考えたほうが良いと思います。

(三井建設技研 安岡博人)

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地下鉄と地下のホールとが隣接するような場合、 山止壁の騒音・振動効果について分かる範囲で教えて下さい。 (建築設計監理会社 社員)

地下鉄に近接した建物では、列車走行時に発生した振動が地下鉄構築、地盤 を介して建物に入り込み、建物躯体を伝搬して居室の内装から放射する固体伝 搬音が影響を与えることがよく知られています。この低減方法として、軌道の 防振、居室内装への浮き構造の適用等が多く用いられていますが、近年図1に 示すような山止壁(地中連壁)と建物地下壁との間に防振材を挿入して地盤か ら建物に伝搬する振動を低減する方法(以降防振地下壁と記す)も散見される ようになりました。防振地下壁の防振効果は、本来防振地下壁を採用しない場 合に対して採用した場合に低減できる振動(固体伝搬音)の量(挿入損失)と して求めるべきでありますが、同じ建物でそのような量を測定によって得るこ とは現実的にはできないと言って良いと思います。これに対して、防振材を介 した地中連壁と防振地下壁との振動の差(伝達損失)は、実際の建物でも測定 可能です。

また、建物の最下部より下では図1に示すように防振地下壁が構成できず、地下鉄振動は建物の最下部から主に伝搬するので、防振地下壁の防振効果には 限度があります。

擬似的な挿入損失としては、地中連壁施工時と防振地下壁施工後の地下鉄固 体伝搬音の差を測定した事例がありますが、地下鉄固体伝搬音の卓越周波数の 63Hz帯域では40dB程度の低減効果が認められています。また、伝達損失として は、5~8dBという測定事例があります。

(大成建設技研 平松友孝)

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流体では流れを乱さない事が騒音を 抑えるこつの様ですが,逆に流れを乱す事で騒音を抑える事は可能でしょうか。
1)一様流中に球がある場合,層流よりも乱流の方が剥離点が球の後方に移り, 渦が生じ難く抵抗も少なくなる(ゴルフボールのディンプルは流れを乱し剥離 を抑える)。
2)飛行機の翼にも,境界層の発達とその末に起きる剥離を抑えるために, Vortex Generatorなる小突起を付けて流れを乱す。
以上の2点を聞いた事があります。剥離に因って生ずる渦と音の関係を詳し く教えて下さい。 (楽器メーカ社員)

流体の非定常な動き(流れ)から発生する音(流力発生音または流体音と呼ぶ) を抑える方法として、流れを乱すことで発生音を低減できる場合もあります。 特に物体周りのはく離流れのように流れの構造が複雑な場合には、あえて規模 が小さい流れの乱れを作ることではく離域を縮小できたり、乱れの相関スケー ルを小さくできる場合には、この方法は有効です。

ご質問の中で示されている2つの事例は流体音の低減ではなくて、はく離流 れの制御方法として良く知られていることです。まずこの2事例について補足 説明をします。物体表面(流体中の固体境界面)上にはく離流れが発生すると流 体抵抗が増加するので、これを防ぐ手法が幾つか解明されています。一方、境 界層流れには層流境界層と乱流境界層の2種類があり、はく離流れが発生する タイミングは乱流境界層の方が遅く(下流側に)なることが解っています。そこ で、事例2)のように飛行機の翼面においてはVortex Generatorと呼ばれる小さ な突起を装着して、翼面上の境界層を乱流境界層に遷移させることではく離流 れの発生をより少なくしています。これにより翼の揚力を大きくすることがで きます。また事例1)のように球体の表面に乱流境界層が発生するようにすると 球体後面のはく離域が小さくなって、流体抵抗の低減につながります。但し、 ゴルフボールのディンプルははく離流れの低減ではなくて、回転するゴルフボー ルに伴う循環流を多くすることで揚力を増加させ、飛距離を延ばすという理解 が一般的です。

物体周りの流れにおけるはく離流れの定義はかなり広いものですので、はく 離流れに伴う流体音と称する音にも各種あります。流れの中にある物体の後流 には反対回りの渦が交互に並んだカルマン渦列がしばしば発生します。これも はく離流れであり、この渦放出流れから発生する流体音をエオルス音と呼びま す。エオルス音を低減するためには2つの方法が代表的です。一つは干渉板を 後流中に設置してカルマン渦列の発生を抑制する方法です 。もう一つは渦の 相関長さを短くする方法です。渦列のそれぞれの渦は物体の軸方向(流れの幅 方向)に同時性を伴った或る長さを有しているので、同時性が保たれる渦の長 さ(渦の相関長さ)をより短くする(渦を崩す)と発生音の強度が低下するもので す。例えば、物体を流れ方向に傾斜させるとか、物体表面の粗さを局所的に変 えるとか、表面に微小突起を設けるなどで相関スケールを小さくします。渦列 流れではない一般的なはく離流れにおいても流れの乱れを様々な短い渦の流れ によって置き換えることができ、これらの様々な渦(乱れ)の同時性を有してい る領域が広いほどはく離流れから発生する流体音も大きくなる傾向があります。 したがってはく離流れを同時性が小さい(相関スケールが小さい)乱れの集まり にすることができれば、この流体音も低減可能です。しかし、相関がなくても 流れの乱れが存在しているのですから、発生する流体音を無にすることはでき ませんし、規則正しい渦流れを崩すことによって得られる流体音の低減効果の ような顕著な低減は期待できません。事例1)のように球体周りのはく離流れの 領域を縮小できるのであれば、強制的な乱流を与えることではく離流れ音を低 減可能と推察します。

少し観点を変えると、「音源の密度」と「音源の広さ」の積が「発生音の強 さ」であると理解できます。「音源の密度」が流れの乱れの強さであり、「音 源の広さ」が流れの乱れの相関スケールに相当します。はく離流れの乱れを弱 めることが発生音低減のための主課題ですが、現実的な流れでははく離や乱流 を存在させないことは不可能ですので、流れの乱れの相関スケールを小さくす るように流体を制御する(乱れを強制的に与える)方法を考案するほうが、流体 音の低減には効果的であると考えます。但し、その制御のための装置が新たな 流体音の発生源になるのであれば、用いる意味がありませんので注意が必要で す。これらの定量的な関係は未解明ですが、詳細に関しては流体音と流れの乱 れとの関係を解説した、望月・丸田著「流体音工学入門」(朝倉書店)が参考に なると思います。

((株)荏原総合研究所 丸田芳幸)

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測定値が規制基準を満足しているか否かを判定する場合、 測定器の検定公差をどのように扱うのですか。 (行政職員)

測定器の検定公差を考慮した測定は、一般に行っていない。 検定公差は騒音計等の検定時の最大の器差を定めているものであり、 検定に合格した騒音計等は常に検定公差分の器差があると言うものではない。 管理の良好な最近の騒音計の器差は多くの場合に小数点以下であり、 四捨五入した整数値は0dBとなることがほとんどである。同様に 最近の振動レベル計の器差も多くの場合に1dB以下であり、 二捨三入した数値は0.5dB以下となることが多い。騒音計の検定公差は、 1/3オクターブの場合500~1.6kHzの平均値で精密級では0.7dB、 普通級では1.5dB、振動レベル計のそれは周波数別に定められ、 4Hzは1.5dB、6.3Hz,8Hz,16Hz,31.5Hzは1dB となっている。一方、測定値は数10dBであること、 普通小数点以下を四捨五入することからすると検定公差(器差) で補正してもその差は小さなものとなる。 以上のことから一般の測定では検定公差(器差)を無視し、これを扱わない。

より正確な測定を必要とする場合は、 騒音計等の校正を正確に行ってから測定を実施するのが一般的である。 しかし、考え方として、 検定済証又は試験結果成績表付きの検査を依頼した後の保管が良好にされており、 かつ、音響校正器等で検定時又は検査時の性能確保が確認された場合には、 その検定済証に記された器差又は検査結果で補正した値を測定値とすることにより、 より真値に近い測定もできる。また、 都道府県で行われる騒音計の検査結果についても同様のことが言い得る。

しかし、補正は周波数特性まで考慮して実施しないと、 真値に近づくとは限らないこともあるため注意が必要である。また、 補正自体が煩雑であるし、 特に振動レベル計の場合は周波数別に行わなければならないことから、 ほとんどこの補正はされていない。

なお、一般に測定器の周波数特性まで合わせて騒音計等を使用するのは、 距離減衰、壁の内外のレベル差等の測定の場合である。 この様な時には、同一信号を数台の騒音計でほぼ同時又は同じ状況で測定を行い、 周波数成分まで同一値となるように補正して測定を行う。だが、 この場合も検定公差を扱うことは少ない。

((社)産業環境管理協会 高津熟 認定技士)

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騒音問題に対する規制は、 都道府県知事が指定した地域を対象に行うとのことですが、 騒音源が規制対象地域以外にあり、 苦情が規制地域内から出た場合は法的にどのように対処するのですか。 また、この場合、規制対象地域外が県外にあるときはどう対処するのでしょうか。 (機械メーカ研究所社員)

騒音規制法では、 知事が指定した地域内(主として都市計画法に基づく用途地域内) において特定施設を設置している工場・事業場(特定工場等) に対し規制基準が適用されます。一方、 自治体の公害防止条例等については各県の独自性が発揮され、 特定施設の追加や規制基準の強化を行っている自治体もあります。 法的には特定工場等以外の事業場や規制基準の設定されていない地域に 立地している事業場には、規制基準を遵守する義務は課せられませんが、 苦情が発生するおそれがある場合や苦情が発生した場合には 誠意を持ってその解決に当たるのが事業者の責務と考えられます。

自治体により騒音規制法に基づく指定地域外についても 条例等で規制対象としている場合や、 工業団地等に立地している工場・事業場と公害防止協定等が締結され基準が 設定されている場合にはその基準が適用されます。本県ではご質問のような、 騒音源が規制対象地域外にあり、規制地域内から苦情が発生した場合であっても、 事業場の敷地の一部が規制地域に接している時はその接している部分に 規制基準が適用されます。

規制基準等を満足している場合や基準の定めがない場合の苦情処理にあたっては、 苦情発生地点における騒音レベル、周辺の土地利用状況、発生源側の対応、 被害の内容等によって受認限度(社会生活上我慢すべき程度)が変動しますが、 人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として 設定されている環境基準との適否も受認限度を判断する大きな要素の一つとなります。 このため本県では、苦情発生地点における騒音レベルが環境基準を 超過している場合は、発生源側に対して防音対策を指導することになります。 但し、環境基準を超過していない場合は一応適法と推定しています。

最後に、県外の発生源からの騒音により苦情が発生している場合は、 工場・事業場に対する直接的な立入調査や指導等の権限が及ばないため、 関係する自治体間で連絡調整を図りながら、 工場・事業場の指導を行うことになります。

(宮城県保健環境センター 菊地英男)

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FFT分析ではアベレージングと時間窓関数に数タイプがありますが、 どのような音にどんなタイプを選択すればよいのでしょうか。 (匿名)

一般的なFFT分析器にはアベレージング(平均化)機能として、 「時間領域での平均」「周波数領域での平均」「MAX(またはピーク)平均」 「トリガ平均」「指数平均」があります。また、 時間窓関数としては「レクタンギュラー(方形)」「ハニング」 「ハミング」が一般的です。

まず窓関数に関して、例えば城戸著「FFTアナライザ活用マニュアル」 (日本プラントメンテナンス協会発行)から説明図を引用します。 正弦波及び第10高調波までを含む複合波信号を方形窓で分析すると、 信号の基本周期の整数倍が時間窓と等しければ正確に分析でき、 図1の(a)を得ます。しかし非整数倍の時間窓では(b)のように、 各成分の周波数とそのピーク値は(a)と等しいのですが、 本来存在しない周波数成分が大きな値として分析結果に現れます。 時間窓が基本周期の非整数倍であることが騒音分析の一般的な条件ですから、 ピーク成分以外に存在する成分もFFT分析で理解しようとすると、 方形窓では不十分になります。

そこで非整数倍の時間窓でも正確な分析を期待して、 信号を周期関数に近づけるハニング関数やハミング関数の時間窓を用います。 上記複合波信号をハニング窓とハミング窓で分析すると、各々(c)、 (d)となります。どちらもピーク周波数は方形窓による分析と同じですが、 ピーク成分の値は方形窓の結果より小さくなります。 ハニング窓とハミング窓の違いはピークの形状とピーク以外成分の値に現れます。 ピーク成分以外の成分を重視するならハニング窓が、 ピーク成分の尖鋭度を重視するならハミング窓が適しています。

しかし、これらの機能を使いこなすためには経験によるノウハウが必要です。 回答者は上記のような解説書に基づいて次のように使い分けています。

時系列波形を観察したり伝達関数や相関関数解析を行う場合は、 方形窓で時間領域平均かトリガ平均を用います。

スペクトル分析では周波数領域の平均を用いますが、 騒音波形は一般的に周期関数ではありませんので、 適当な時間窓を次のように選定しています。

  • 方形窓
    支配的な周波数成分が明確であって、そのピークレベルの正確さを希望する分析。
    設定した周波数範囲内で高周波数成分が多い騒音を分析する場合。
  • ハニング窓
    空調設備の音のように低周波音が支配的だが高周波数成分まで分析する場合。 また風切り音のようにピーク成分が不明で広帯域周波数の場合。
  • ハミング窓
    エンジン音のように複数のピーク成分が予想され、 スペクトルの裾の部分の形状よりもピークの値に精度を求める場合。

以上のような騒音では連続的な平均化を行いますが、 プレス機械のような間欠騒音ではトリガ平均で方形窓を、 また噴流音のように広帯域周波数音が支配的でその周波数の変化を 観察する場合にはハニング窓と指数平均を、 さらにある時間内の最大値成分を知りたい場合や瞬時現象の分析には MAX平均を用いています。

((株)荏原総合研究所 丸田芳幸)

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規制は苦情が出てから行う(うるさくても苦情が無ければそのまま) とのことですが、騒音問題が後手に回る理由の一つかと思います。 他の法規制やISO9000,同14000などにより、 工場設計時から防止を行う手段はないのでしょうか。具体例があれば教えて下さい。 (機械メーカ研究所 社員)

騒音規制法では届出制を、公害防止条例では多くが許可制を採って事前審査し、 問題が起きそうであれば計画変更を行う仕組みになっています。

ISO14000の環境マネジメントシステムモデルでは 「環境方針-計画-実施及び運用-点検及び是正措置-経営層による見直し」 を実施し継続的に改善していくものです。 従来の騒音規制法のように境界線で何dB(A) という規制値を示したものではありません。企業の事業内容で、 作業時や工事中の騒音が従業員や近隣に影響するようなら、 目的及び目標に取り入れられます。例えば作業環境騒音を80dBにするとか、 境界線における騒音を規制値以下にすることを目的とし、 いつまでに達成するかを目標とし、 この目標を期間内に達成するためにどういう対策を考えているか等を公表することで、 工場設計時から防止手段を施すことになります。

((株)荏原製作所 工藤信之 認定技士)

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ISO9000,14000に係わる騒音振動等を含む労働安全衛生の動向と 管理項目の資料があれば入手したい。 (金属会社 社員)

ISO9000,14000とも騒音・ 振動などを含む労働安全衛生上の管理項目について規定したものではありません。 上記の規格は従来の製品規格又は規制の規格と異なり、 システム構築の規格となっております。

ISO9000は品質管理のための「責任権限の明確化」 「文書管理など記録の整備」「内部監査の充実による業務改善」 等によるシステムの構築が明確化されたもので、ISO14000は 「廃棄物の削減等具体的な目標を決めて公表」 「実施責任者を決めて文書でマニュアル化」 「ノウハウのある監査人が点検」等によるシステムの構築を規格化したものです。 又将来予定されている労働安全の規格(2000年頃、ISO16000の予定) も同様に騒音・振動に関する義務的な規定はありません。 騒音振動の環境影響の大きい企業は、 自主的に決めて自分で守ってその結果を公表することになります。

((株)荏原製作所 工藤信之 認定技士)

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トンネル掘削等に伴う低周波空気振動は法的に規制されていますか。 また、被害者側での規制値(目標値あるいは許容値) の設定の考え方について教えて頂きたい。 (環境衛生研究所 所員)

先に結論から申せば、 トンネル掘削等に伴う低周波空気振動は法的に規制されていません。 環境庁では、周波数が100Hz程度以下の音を従来より「低周波空気振動」と称し、 いわゆる行政用語として使用してきました。100Hz以下の音は、 人間の耳に聞こえる「可聴音域」と、 聞こえないとされている「非可聴音域」の両領域を含んでいます。前者の領域は、 20Hzから100Hz程度で騒音の範囲にあり、 後者の領域は20Hz以下で非可聴音域の範囲にあります。一般には、 これらの領域の音の定義は特に決まってはおりませんが、 (社)日本騒音制御工学会研究部会低周波音分科会では、 1Hzから80Hz(1/3オクターブ中心周波数で表現、 遮断周波数では約90Hz以下)を低周波音と呼び、 20Hz以下を特に超低周波音と呼んでいます。従って、ここの回答では、 低周波空気振動を低周波音の用語ですすめることとします。

低周波音の影響には、「人体への影響として心理的、生理的、身体的、 精神的などの妨害」や「物理的な影響、 すなわち構造物への影響ということで家屋内の建具、窓枠、 家具類のガタツキあるいは屋根瓦のずれ」等があるとされています。しかし、 前者の影響については個人差が大きく、量(低周波音レベル)と反応(心理的、 生理的影響度)とを明確に結びつけることが極めて難しいとされております。 後者の影響では、定常的な低周波音や衝撃的な低周波音による 「建具のガタツキ」の周波数について、 実験などによって明らかになってきております。

定常的な低周波音では、例えば5Hzにおいて約70dB以上であると 「建具のガタツキ」が発生しやすくなる傾向を示しています。 衝撃的な低周波音では、 定常的な場合より10dB大きい値で発生する傾向を示しています。

被害者側での目標値あるいは許容値の設定では、建具のガタツキについては、 一般にその発生周波数において10dB低い値を考慮することが重要で あるとされています。例えば、10Hzの定常音では木製の窓枠、木製雨戸、 障子等ががたつく可能性が高いので、 目標値は65dB以下に設定することが必要となります。

(飛島建設(株)技術研究所 塩田正純)

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発破等の瞬間的な騒音、低周波音、振動をレベル表示させる場合、 騒音計、低周波音レベル計、 振動レベル計及びレベルレコーダの動特性はどれを選定すべきですか。 (環境衛生研究所 所員)

各測定器により表示されるレベルは入力信号に対してある周波数補正(例えば、 騒音計ではA特性など)を行った後に、動特性(指示特性)としてFAST、 SLOW、VIBRATION等の時間的な補正を加え、 それを実効値のdB値で示しています。

JIS C 1502(普通騒音計)では速い動特性(FAST) と遅い動特性(SLOW)を規定しており、 応答の相対レスポンスを表す時定数τはそれぞれ0.125sと1sです。 JIS C 1510(振動レベル計)ではVIBRATIONとしてτを 0.63sと規定しています。 定常振幅の正弦信号が騒音計に突然入力されたときの応答の相対レスポンスは 次式で示されます。(式中、tは時間(s))

JIS C 1512(騒音レベル、振動レベル記録用レベルレコーダ) においてもFAST、SLOW、VIBRATIONに同一の規定がされています。 FASTとVIBRATIONは被験者試験の結果を反映した値ですので 表示レベルとしては意味のある値と考えられます。一方、 SLOWは適当な平均を得るための特性と位置づけられます。

現行では、環境騒音・振動はJIS規格に基づき測定しますから、 衝撃的な騒音であってもFAST、 振動ではVIBRATIONで計測しておくべきだと思います。しかし、 低周波音については周波数補正及び動特性についてもまだ規定がなく、 当工学会技術レポートNo.11「低周波音及び超低周波音測定方法」 (1991)はSLOWを用いることを提案しています。

衝撃的な音・振動の評価についてはまだまだ多くの議論がなされており、 対象騒音毎に種々の評価量が用いられています (ピーク音圧レベルや等価騒音レベルなど)。IEC規格では IMPULSEとして0.035sを規定しており、 ISO規格などではこの最大レベルを評価量として推奨しているものがありますが、 使用については留意する必要があります。

また、各測定器で衝撃的な信号を測定する時は、 信号波形の実効値に対するピーク値の比で定義される波高率 (crest factor)に対する測定器の実効値の指示精度についても、 各測定器が許容できる波高率(削岩機の音で約7) を知っておく必要もあると思います。

(資源環境技術総合研究所 国松 直)

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振動測定における加速度計、速度計、 変位計の使い分けについて教えて下さい。 (計量証明会社 社員)

振動の変位、速度、加速度の間には数学的な微分・積分の関係があります。 いま変位dがd=Asinωtで表される単振動とすると (A:変位振幅、ω:角周波数)、振動速度v=Aωcosωt、 振動加速度α=-Aω2sinωtとなりますから、周波数f(=ω/2π) といずれかの振動量が分かれば他の量も知ることができます。

一般に環境振動は複数の周波数成分から成る振動現象ですから、変位、速度、 加速度のいずれかの周波数分析を行うことで、 他の振動量の振幅を知ることができます。しかし、 例えば振動ピックアップの出力が加速度に比例している場合には、 そこから変位の時刻歴を求めるには積分を2回行うことになりますので、 変位の精度は落ちることになります。従って、測定する目的が変位であれば、 ピックアップの出力が変位に比例する静電容量型や渦電流型振動計を用い、 出力が速度に比例する導電型や電磁型振動計を速度測定に、 出力が加速度に比例する圧電型、サーボ型、 あるいは歪みゲージ型振動計を加速度測定に用います。

現在、環境振動では加速度を基本とした測定が最も多く、 圧電型の加速度ピックアップは構造が簡単で 機械的強度も大きいことから多用されています。例えば、 振動レベルの鉛直方向の周波数補正特性は、4~8Hzでは加速度、 8~80Hzでは速度の特性になっています。 このような特性を持つ振動レベルの測定でも、 一般には加速度を測定して電気的に周波数補正を行って求められています。また、 力や破壊に関連した衝撃力を測定したり、 振動特性を把握して防止対策の資料とする測定などでは、 加速度を測定して周波数分析する例が多く見られます。

振動速度の測定例としては、 揺れ易さの指標である機械インピーダンスの測定があります。 機械インピーダンスは、速度と力を同一地点で同時に測定して (力/速度)で求められます。

振動を嫌う精密機器では、 変位振幅の最大許容量が規定されているものが多いようですが、 このような場合では変位測定となります。ただし、 測定には各々のピックアップの適正な周波数範囲を熟知しておくことが必要です。

((財)小林理学研究所 横田明則)

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立体駐車場から低周波音が出ると聞きますが、 原理的に出るものですか、それとも共振のような状況で出るのでしょうか。 (自治体職員)

大型機械式駐車場装置の特に垂直循環式の立体駐車場(タワーパーキング) に隣接した木造や剛性の弱い低層建築物において、低周波音で家具や建具の 「ガタツキ」が発生することがあります。また木造2階建て家屋の固有振動数 10~15Hzがタワーパーキングが出す低周波音の主要周波数に近く、共振によっ てその影響が大きくなることもあります。

タワーパーキングは、電動機(16~20Hz)の出力を遊星差動方式減速機を介 し上部駆動部と下部従動部の大型スプロケットチェーンを旋回速度16~ 20m/minで回転し、チェーンで結ばれたパレットが車を移動する装置です。筆 者の調査では駆動部機側において4~31.5Hzに90~100dBの低周波音が発生し ています。装置メーカによって低周波音のピークが10~15Hz前後と若干の差が ありますが、全く低周波音を発生しない装置はありません。低周波音は装置の 機械がある特定の条件の場合に発生しますが、特に、不具合のある構造物との 共振による増幅が高レベルの低周波音発生の主要因です。

前述のタワーパーキングの構成は、あたかも遠心送風機に似たモデルです。 大きなパレットが羽根の役目で大空間の空気を撹拌し、粗と密の圧力変化を与 え、この圧縮波とタワー構造体の鉄骨フレームや外装板の共振が重なって低周 波音を増幅することも考えられます。

低周波音の有効な実務的対策としては、(1)回転スピード制御による回転加 振エネルギーの減少(加振力の除去、伝達防止、加振力周波数の変更)。(2) ピーク性の鋭い成分だけを目的とした動吸振器を応用した装置の付加(3%程 度の重りを付加した振動系付装置が販売中)。(3)高剛性遮音構造(コンクリー ト造、重量鋼製パネル):「空気の共振域」(40~60Hz域)を除いて、上では 質量則で5dB/oct.、下では剛性則で-6dB/oct.の遮音効果が期待できます。

現在、各装置メーカは騒音振動の屋外規制値を満足できるように極力経済設 計に努めていますが、高剛性遮音構造で低周波音域から可聴音域までの広範囲 を対象として設計することは、なかなか難しいようです。将来、低周波音に対 し、測定方法、評価方法及び行政の規制が普及・確立すれば対策方法も同時に 展開すると思われます。

(石川島防音工業(株) 緒方三郎)

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防音壁による回折減衰に関して、 前川曲線と日本音響学会の道路交通騒音予測式のαd との違いについてその理由を教えて下さい。 (計量証明事業会社 社員)

防音壁の回折減衰については、実験を基に作成された簡易図表から回折理論 に基づいてより精密な計算を行う方法まで、いろいろな条件に対して多くの計 算方法がこれまでに提案されています。

この中でも前川チャート(前川曲線)は、厳密な計算をしなくても回折効果 を容易に求められるという簡便性と特定の条件を除いて実験値によく合うとい う信頼性から、環境アセスメントを始め、種々の騒音防止設計に広く利用され ています。このチャートは前川が自由空間において、無指向性の点音源から放 射される音に対して厚みのない半無限に広がった障壁を想定して実験的に求め たもので、減音量を一本の直線で表現しています。このチャートの縦軸は減音 量で、障壁の有無による音圧レベルの差を表し、横軸はフレネル数という障壁 の有無による伝搬経路の差(行路差)を音の半波長で割った数で表されていま す。

一方、昭和50年に発表された日本音響学会の道路交通騒音予測式、いわゆる 音響学会式における回折補正値αdのチャートは、道路交通騒音に対する回折 による補正値を求めるための計算図表です。このチャートは、山下らが、自由 空間において、非干渉性の線音源から放射される音に対して厚みのない半無限 に広がった障壁を想定して実験的に求めた道路交通騒音に対する回折による補 正量です。このチャートの縦軸は回折補正量で、横軸は行路差です。

以上のように、前川チャートと音響学会式のαdのチャートは、ともに防音 壁の回折による減音量を求めるための計算図表ですが、前者は点音源を前提と して、入力には周波数と行路差が情報として必要となります。後者は道路交通 騒音を対象とした線音源を前提として、交通量と速度が予測式の適用範囲内の 場合において、行路差のみで回折による減音量を求めることができます。この ように、両者は対象とする音源の性状により使い分ける必要があります。

((財)小林理学研究所 松本敏雄)

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近年、低周波が原因とみられる苦情が 再び増加傾向にありますが、発生源が不明瞭であることが多く、 それを容易に確定できる機器や手法がありましたなら紹介願います。 (行政職員)

適当な間隔を離して置いた2つのマイクロホンを使用して、発生源からの音 の到達時間差(位相差)を利用して音源の方向を知ることが出来ます。図1 (a)のようにマイクロホンA,Bが同位相の位置に在れば、2個のマイクロホ ンの出力(交流電流)も同位相になります。図1(b)のようにマイクロホンへ の到達時間に差が在れば、2個のマイクロホンの出力にも位相差が現れます。

従いまして、マイクロホンを移動して図1(a)のような状態を見いだすこと ができれば、発生源はマイクロホンAとBを結ぶ直線に直角な方向に存在する ことになります。

この方向探知を2箇所で実施すれば、低周波音の発生源の大体の位置を推定 できます。図2の測定点Ⅰで発生源がⅠ-Ⅰ’の方向に在ると推定され、次に 測定点Ⅱで発生源がⅡ-Ⅱ’の方向に在ると推定されれば、その両者の交点付 近に発生源が在ると考えられます。

但し、発生源からマイクロホンに音波が到達するまでに、風などの影響によ り音波の波形に乱れが生じることがあり、オシロスコープなどのリサージュ波 形で位相差を観測するだけではうまくいきません。

図3は筆者が以前開発したシステムのブロック図です。マイクロホンで採取 した音波からフィルタにより目的の周波数のみを取り出し、2個のマイクロホ ンの位相差を検出します。2つのフィルタ間の位相のずれの調整、音圧の変動 による影響をなくし位相情報のみを取り出す工夫(方形波変換)や、風による 位相のゆらぎの影響を少なくするための平均化が必要となります。このような 方法で測定しても、風のあるときはたとえ微風でも測定は無理と考えた方が良 いでしょう。

位相差を利用する原理は一緒ですが、2個以上のマイクロホンを利用して、 マイクロホンを移動せずに発生源の方向を探知するシステムもあるようです。

以上のような音源探知機は筆者の知っている限りでは、現在ではどこも販売 はしていないようです。

(東昌エンジニアリング(株)森 卓支 認定技士)

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