用語解説 ナ行


■波先 wave front

ある瞬間において,媒質の中の(音)波が存在する部分と,ま だ(音)波が存在しない平衡状態の部分との間の境界面をつくる 連続した面。

■粘度 viscosity, 粘性係数 Coefficient of viscosity

粘性係数は国際単位系では粘度と呼ばれるようになったが,その 定義は運動している流体内に生ずる剪断ひずみηの時間的変化を表 わす剪断ひずみ速度

\eta=\frac{\partial\eta}{\partial t} \quad (s^{-1})     (1)

と剪断応力(N/u)との関係として表わされ,粘度は

\mu'=q/\eta \quad (Pa\cdot s)     (2)

と表わされる。これは剪断運動に対する粘性抵抗を表わす係数であ り,流体の密度ρ(kg/m3)には無関係であるが,温度の上昇とと もに増大する。
粘性が実際に運動に及ぼす影響はμ′/ρの形となるので, James C. Maxwellはこれを動粘度(Kinematic Viscosity)(前 はKinematical Coefficient of Viscosity)と呼んだ。その単位 は〔u/s〕である。
剪断運動の場合に,粘性によって消費されるエネルギーは

W=q\eta=\mu'\eta^2 \quad (W)     (3)

である。
剛平面壁の近傍を,この平面に平行に伝播する平面進行音波の粒 子速度は,壁表面から一定の距離δ の範囲で粘性の影響を受け, 壁表面に近づくにしたがって粒子速度が減少し,壁表面では粒子速 度が零になる。この距離は

\delta_0=\sqrt{\frac{8\pi\mu'}{\omega\rho}}=\sqrt{\frac{4\mu'}{\rho v}}=\sqrt{\frac{4\mu'}{\rho c}\lambda}  \quad (m)     (4)

である。ここにω=2πν(rad/s)は音波の振動角速度,λ(m) は音波の波長,c(m/s)は伝播速度であり,空気中の音波で ν=250 Hzの場合にはδ≒0.08 mm程度となる。
したがって,δ と同程度の細い管の中では粘性の影響が著しく 優勢となる。細い管の半径をa(m)とすると,この中の音波の伝 播速度は広い大気中の伝播速度c(m/s)より減少して

c'=c/(1+\frac{\delta_0}{4\pi a}) \quad (m/s)     (5)

となり,波長も短縮されてλ′=2πc′/ω(m)となる。また細 い管内の音波の減衰定数は

\beta'=\frac{1}{a\lambda}\sqrt{\frac{\mu'}{\rho}}=\frac{v}{ac}\sqrt{\frac{\mu'}{\rho}} \quad (m^{-1})     (6)

となる。
ただし,(5)において細管の半径がa<<δ/4πとなると音波の伝 播速度が非常に小さくなる。このことは,a<<δ/4πのような細 管内では,いわゆる毛細管内を流動する流体の形をとることになる。
このような原理を利用してaを非常に小さくしたのが多孔質吸音 材であって,このような材料の中では抵抗が著しく増大するので, 比較的厚さの少ない多孔質材料でもかなりの吸音効果が得られるこ とになる。
毛細管のような極めて細い管内の流体の運動の場合には,流体抵 抗(Flow resistance)R(Pa・s/u)として表わされ,半径a(m) の円形断面毛細管の場合には

R=\frac{8\mu'}{a^2} \quad (Pa\cdot s/m^2)     (7)

長軸がa(m),短軸がb(m)の楕円毛細管の場合には

R=4\mu'\frac{(a^2+b^2)}{a^2b^2} \quad (Pa\cdot s/m^2)     (8)

間隔が2b(m)の平行平面で挟まれた狭い間隙の抵抗は

R=\frac{4\mu'}{b^2} \quad (Pa\cdot s/m^2)     (9)

と表わされる。
また半径aなる円形毛細管に圧力p(Pa)を加えたときに毛細管 から流出する流量(体積速度)は

Q=\frac{-\pi a^4}{8\mu'}(\frac{\partial p}{\partial x}) \quad (m^3/s)     (10)

であり,圧力傾度に比例し,かつ半径の4乗に比例する。これは Poiseulleの法則であって,粘度μ′を測定する基礎となっている。

■線ひずみ linear strain, 伸び率 relative elongation

弾性体内の二点間の距離が伸びる(または縮む)変形で,元の 距離l0Δlだけ伸びてl0ΔlになったとするとeΔll0をいう。伸び elongation、extensionもこの意味に使われることもある。

■Noise Pollution Level : LNP

変動する騒音を表示する試みとして,英国のD.W.Lobinson はLNPを提案している。

LNPLeq+2.56σ

σは変動量の標準偏差である。あるいは近似的に

LNPLeq+(L10L90

とすることもできる。LNPLeqよりも人間の反応によく対応 するとされているが,現在まだ検討の段階である。