(2004年)


[Q] 機械等から発生する騒音の対策についての留意点はどのようなことでしょう。

(コンサルタント)

[Q] 野外で騒音調査を行うときに、周辺に建物などの目標値がないので、測定位置の確認に困っています。何か効率的な方法があれば教えて下さい。

(環境調査会社 技術者)

[Q] 防音ダクトの設計や施工についての留意点について教えて下さい。

(建築会社 技術者)

[Q] 幹線道路での騒音を評価する際、幹線道路近接空間の特例がありますが、その近接空間の具体的な範囲はどのように決めたらよいのでしょう。

(環境調査会社員他)

[Q] 低周波音の測定では風の影響を受けるとのことですが、具体的に風速何m/s以下での測定が望ましいのでしょうか。

(計量証明事業所所員)

[Q]『自動車騒音の状況の常時監視に係る法定受託事務の処理基準』には、評価結果の活用として、「騒音マップ等を作成して活用する」とありますが、どのような騒音マップ等を作成して活用すればよいのか、教えて下さい。

(地方公共団体担当者)



機械等から発生する騒音の対策についての留意点はどのような事でしょう。

(コンサルタント)


家電製品など小型の機械関連
機械の騒音対策は、問題解決へかける時間とコストで変わる場合がありますが、今は早く、低コストで実現できることが求められています。これを実現するには騒音振動の原因にさかのぼって対策を考える必要があります。
騒音は騒音振動源を入力とし機械システムを伝達系としたときの出力とみることができます。騒音振動源は様々ですが家電ではモータ、ギヤ、ファン、コンプレッサが主なものです。騒音振動の原因である強制力のメカニズムが解明されそのスペクトルの大きさが予測できたとき、騒音発生の原理が理解され対策を考えることができます。騒音の原因となっている力は直接測ることができない場合が多く、出力である騒音振動を計測し解析技術を使って音源振動源を推定する必要があります。その現象は機械力学的なもの、電磁気学的なもの、流体力学的なものなど様々でそれぞれ学術的な現象解明のアプローチがされているので文献から音源振動源対策のヒントを得ることができます。音源振動源対策例としてモータのスロットコンビネーション最適化、はすば歯車の使用などがあります。
伝達系としてはフレームへ振動伝達など固体振動系伝達とカバー内の空間の音響伝達、隙間の透過などの音響系伝達とがあります。伝達系を調べるとはその周波数応答と空間的な特性を調べることです。音源振動源が制御可能なら回転数を変えたりすることで周波数応答を調べることができます。伝達系の周波数応答の大きいところに騒音振動源の周波数があると共振状態となるので周波数が一致しないようにずらす必要があります。このようにして騒音振動の真因、騒音振動を大きくしている真因がわかれば真因を取り除くことで低コストな騒音振動低減が実現できます。真因がわかった上で的確に吸音材や制振材を使えば、使う量も最小量で済みます。
今後はdB値を下げるだけでなく、音質改善が求められることも多くなってくるものと思われます。dB値を下げることが技術的に限界となって求められる場合もありますが、コスト的にdB値を下げることが困難な場合にも音質改善は必要なことです。

(東芝 岡崎洋二)


自動車
自動車から発生する騒音を対策するときには、如何に他の性能と両立させるか、影響を低くするか、を留意します。特に、

●騒音対策のためのスペース、レイアウト
●騒音対策のための質量

が増加することは、車両のデザインや各種性能、燃費などに大きな影響を与えます。車両開発の末期に追加対策を行う必要が出た場合、それらの制約と両立出来る騒音対策を実施・採用することは非常に困難です。
そこで、設計の早い段階から、車両の制約条件や、騒音対策による影響を十分に考慮して、騒音対策を検討します。
騒音対策のうち、いくつかの対策例と、その制約や他に与える影響を以下に示します。

1.エンジンの遮蔽カバーの採用 エンジンの下部への遮蔽カバーは、質量増だけでなく、エンジンルーム内の冷却性能や、最低地上高(=特にSUVでは悪路走破性の悪化)への影響、制約があります。これは熱耐久性や車両用途など、車両そのものに非常に大きな影響を与えるため、その採否は車両開発の当初段階で決める必要があります。採否の検討の際、車両の目的に沿った車両姿勢・サスペンション高の設定や、冷却の対策を併せて検討します。

2.サイレンサやエアクリーナの大型化、レゾネータの採用 吸気のエアクリーナ、排気サイレンサの大型化や、レゾネータの採用は、吸気・排気騒音を下げる効果がありますが、採用する時には、それらを搭載できるスペースの確保が必要です。しかし、車両デザインや他の部品のスペース、レイアウトへの影響があります。 また、歩行者傷害低減の観点から、エンジンルームの中に衝撃を吸収するスペース、すなわち部品を設置できないスペースの制約もあります。そこで、必要な(もしくはレイアウト上確保できる最大の)容量を開発当初に設定し、騒音対策の設計検討を行います。

3.排気管のレイアウト改善 排気管は急な曲げのない形状にし、気流音が発生しにくいようにします。しかし駆動系やサスペンション構成部品のレイアウト、地上最低高の制約や、近接する各種部品への熱の影響があります。そのため、設計検討の際には排気管のスペースだけでなく、熱の影響を受ける部品も併せて適切なレイアウトを検討します。

(日産自動車 第一車両計画部 鈴木 明)


野外で騒音調査を行うときに、周辺に建物などの目標値がないので、測定位置の確認に困っています。何か効率的な方法があれば教えて下さい。

(環境調査会社 技術者)


昨今、測量用のGPS受信機が手軽に利用できるようになり、位置出しに便利なアプリケーションも充実してきていますので、これらを野外騒音調査の測定位置確認に利用すると非常に有効です。
測量用のGPSはDGPS(ディファレンシャルGPS)とも呼ばれており、位置精度を補正するために、海上保安庁等運営の基準局が発信する長波信号(ビーコン)を、背負った専用アンテナで受信しながら利用します。
肝心の精度は、騒音調査における測定点の位置出しとしては十分な30cm程度(公称精度は±1m以下、一般的なカーナビのGPSは精度±10m程度で、現在位置はソフト的に補正する場合が多い)が得られます。またインターフェースとしてPDA を用いており、配置図との重ね合わせ、指定座標への誘導、任意座標のストア等が可能です。またGIS(地理情報システム)のソフトウェアがあれば、GPSのストアデータを直接読み込んで利用することも可能です。
欠点は、現場配置図を経緯度の座標系にマップする手間がある点と、ビルが林立する場所など衛星の捕捉状況が悪いと精度が落ちる点、室内での位置出しには利用できない点などです。
最近はジャイロ式の加速度センサーを内蔵して、DGPSの位置精度をさらに補正するタイプの測量機器も出回り始めており、衛星の補足状況の制約は解決されつつあります。これらの機器の発展が、室内の騒音測定も含めて位置出しの手間を効率化する日も近いかも知れません。

((株)大林組 池上雅之)


防音ダクトの設計や施工についての留意点について教えて下さい。

(建築会社 技術者)


防音ダクト(以降、消音器と言います)の目的は、強制気流があるダクト内部を空気伝播する騒音を減音することです。この消音器を設計あるいは選定する際、下記のことに注意する必要があります。
1. 圧力損失:消音器の減音効果のみを考えていると、消音器の圧力損失が高くなる。これは例えば低周波域での減音量を大きくしようとすると、同減音構造部が大きくなり、減音構造部の気流速度が上がり、圧力損失が増加するからです。
次に消音器が設置される直近上下流のダクト形状(エルボ等)により、気流が変化して、ダクト消音器と直近のダクト系での総合圧力損失を増加させますので、このような設置をする場合、圧力損失は直管ダクト設置時の2倍を見込む必要があります。これらは消音器メーカーの技術データ等に示されているので、参照されると良いでしょう。
2. セルフノイズ:コンパクトな消音器を追求すると、同消音器の断面積が小さくなり、内部流速が増えて、圧力損失と共に、消音器の内部減音構造が発生する気流音(これをセルフノイズと言います‐パワーレベルで示す)が増えて、下流の騒音値を増加させることになりかねません。消音器の各気流速度におけるセルフノイズを掴んでおくことが必要です。基本的にはダクト内気流速度を出来るだけ遅くすることが必要ですが、コスト上ダクトサイズを大きくすることが出来ないのが現状です。セルフノイズデータについては、ダクト消音器メーカーカタログに記載されていますので参照できます。通常、消音器設計、選定の際、低周波音が下流のダクト系を加振して、新たな振動音を発生することがあるので、上流で低周波音を必要なだけ減音することが必要です。低周波音用消音器の構造上、気流速度が速くなり、セルフノイズを多く出す結果となります。場合によっては、その下流に気流音の主体である中・高周波を取るための消音器を考慮する必要があるでしょう。
3. ブレークイン・ブレークアウト:これは消音器で上流からの騒音を消音しても、下流でダクト外部の騒音が同ダクト内に透過して同ダクト内部騒音を増加させることがあるので注意する必要があります(ブレークイン)。その反対にダクト内部の騒音が同ダクトを透過して、その回りの空間、室内に侵入して同空間、或いは室内の騒音値を増加させることがありますので、その注意が必要でしょう。
4. 正流、逆流での消音器性能:消音器性能を詳細に見ますと、気流と騒音が同方向に流れる場合(正流)とそれぞれが反対方向に流れる場合(逆流)の同じ消音器性能が低周波域において1〜3dB異なる(逆流の場合の方が性能が高く現れる)場合があるので注意が必要でしょう。これも消音器メーカーカタログ等に出ているので参照されるとよいでしょう。

((株)ササクラ 音・冷熱事業部 黒部能幸)


幹線道路での騒音を評価する際、幹線道路近接空間の特例がありますが、その近接空間の具体的な範囲はどのように決めたらよいのでしょう。

(環境調査会社員他)


この関係のご質問は多く寄せられております。
「騒音に係る環境基準」(平成10年9月30日環境庁告示第64号)には、「幹線交通を担う道路に近接する空間」(略して幹線道路近接空間)における特例が示されていますが、この「幹線交通を担う道路に近接する空間」の定義は、通達「騒音に係る環境基準の改正について」(平成10年9月30日環大企第257号)の第三項3で次のように記されています。

第三 3 「幹線交通を担う道路に近接する空間」とは、次の車線区分に応じ道路端からの距離によりその範囲を特定するものとする。

2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路 15メートル

2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路 20メートル

また、「騒音規制法第17条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める省令」(平成12年3月2日総理府令第15号)の第3条には以下の記述があります。

第3条 別表に掲げる区域のうち幹線交通を担う道路に近接する区域(2車線以下の車線を有する場合は道路の敷地の境界線から15メートル、2車線を超える車線を有する道路の場合は道路の敷地の境界線から20メートルまでの範囲をいう。)に係る限度は、前条の規定にかかわらず、昼間においては75デシベル、夜間においては70デシベルとする。

以上のように、「幹線交通を担う道路に近接する空間」が始まる地点は、「道路端」もしくは「道路の敷地の境界線」と定義されています。
しかし、実際の様々な道路条件において「道路端」あるいは「道路敷地境界線」がどこになるかは判断に迷うケースが多々あると思われます。参考に、代表的なケースとして図1〜4の具体例で境界線の位置を示すことにします。
要は、幹線交通を担う道路を構成する車道、歩道、道路法面、環境施設帯などの一体的な道路敷地の境界線ということになります。

(ゼット音響 北川 保、綜合技術C 三宅龍雄)


低周波音の測定では風の影響を受けるとのことですが、具体的に風速何m/s以下での測定が望ましいのでしょうか。

(計量証明事業所所員)


低周波音測定では風の影響を受けますが、具体的に風速何m/s以下での測定が望ましいということは単純には言えません。
低周波音レベル計のマイクロホンに風が当たると雑音が発生します。低周波音の測定にあたっては、防風スクリーンを使用しますが、大きな効果は期待できません。防風スクリ?ンの効果は、周波数範囲 1〜80Hz平坦特性で測定した場合、通常使用される連続気泡ポリウレタンの直径 9cmの防風スクリ?ンでは約10dB、同じ材質の直径20cmの防風スクリ?ンでは約20dBほどです。図?11)は直径20cmの防風スクリーンの有無による風雑音の大きさを比較したもので、図に示すように風が強くなると風雑音も増加しています。対象とする低周波音の音圧レベルが小さいほど, 風が強いほど風による影響は大きくなります。経験的には、低周波音の音圧レベルが80dB程度の場合、周囲の草が風で揺れていると(概ね風速1m/s以上),正確な値を得ることは難しいでしょう。
 音圧レベル変動の小さい低周波音の測定で、時折風が吹く場合には、低周波音レベル計の出力をレベルレコーダに接続して音圧レベル変動をモニターし、変動の少ない区間を測定します。
 図?22)は風速による風雑音の周波数特性の違いを示したものです。風速の増加に伴い、低周波数域ほど音圧レベルの上昇が認められることがわかります。すなわち、測定対象とする低周波音の周波数特性によっても、風による影響の度合が異なることがわかります。対象とする発生源の卓越周波数が高い周波数域にあれば、風による影響は受けにくくなります。
 低周波音の測定では、屋外の測定だけでなく、屋内でも風による影響を受けます。風により窓が振動することにより, 室内でも見かけの音圧レベル変動が観測されることがあります。風の強い日に室内で低周波音を測定する場合には, 風雑音の発生に注意を払う必要があります。
 なお、低周波音測定時における風雑音の影響については、環境省より公表されている「低周波音の測定方法に関するマニュアル」(下記URL)にも記載されています。
(http://www.env.go.jp/air/teishuha/manual/index.html)

[参考文献]
1)大熊恒靖, 福原博篤, 低周波音測定に及ぼす風の影響について,日本騒音制御工学会技術発表会講演論文集,1980.9, 173-176.
2) R.N.Hosier and P.R.Donavan, Microphone Windscreen Performance, National Bureau of Standards Report NBSIR 79, 1599, Jan.1979.

(財団法人小林理学研究所 落合博明)


『自動車騒音の状況の常時監視に係る法定受託事務の処理基準』には、評価結果の活用として、「騒音マップ等を作成して活用する」とありますが、どのような騒音マップ等を作成して活用すればよいのか、教えて下さい。

(地方公共団体担当者)


騒音規制法第18条に規定される自動車騒音の状況の常時監視(以下「常時監視」という)は、同法第26条により法定受託事務とされています。一方、常時監視結果の公表は、同法第19条に規定される地方自治事務です。したがって、常時監視事務においては、騒音マップの作成等を通知しているものの、各地方公共団体における常時監視事務の成果の公表については、個別の地域の事情に応じた方法によればよいものです。
 このような背景から、ここでは環境省が国立環境研究所と共同で作成し、2004年11月にインターネット上で一般公開を開始した全国騒音マップ(http://www-gis.nies.go.jp/noise/car/)について、その制作ポリシーを事例として示すこととします。
環境省が作成し公表した全国騒音マップ(自動車交通騒音実態調査報告−図に画面例)は、自動車交通騒音の支配的な道路に面する地域の騒音曝露状況について、常時監視報告に基づく騒音情報を地理情報と共に情報提供するものです。
道路に面する地域における騒音曝露状況の表示方法は様々なものが考えられますが、環境省では、騒音に係る環境基準に基づいて「環境基準値を超過する住居等の戸数及び割合」を基本とした騒音マップを作ることとしました。この際、サイトの閲覧者が一般住民から行政の方まで不特定多数にわたること、及び制作上の維持・管理の観点などから、特に次の点に留意することとしました。

1. 背景地図は、常時監視が個別の住居等情報の識別を指向していないこと等から、1:25000縮尺の国土地理院数値地図25000(地図画像、空間データ基盤)を使用する。

2. 地域の住民、騒音対策の企画者の2つの視点に着目して、環境基準達成率と住居等密度(戸/km)について、色度に明度・彩度を組み合わせた2次元色パレットにより同時に表現する。

3. 環境質の経年変化・推移を把握することが重要なことからも、GIS(地理情報システム)座標情報と詳細な属性情報を分ける等、データ構造はなるべくシンプルにして、騒音マップの維持・更新を容易なものとする。

4. 全国各地域を、地図画像をクリックすることにより検索可能とするとともに、市区町村・町丁目によっても検索できる。

5. 幹線交通を担う道路に近接する空間、幹線交通を担う道路に近接しない空間、及び全体(前者2つを合算したもの)ごとに、環境基準達成状況の評価結果を表示できる。

6. 騒音測定結果を表示・閲覧できる。

7. 環境省で毎年取りまとめている、「自動車交通騒音実態調査報告」を閲覧し、ダウンロードできる。

最後に、今後の騒音マップの作成にあたっては、いずれの地方公共団体においても、アカウンタビリティーと個人情報保護に留意しつつ、情報更新を踏まえて維持・管理がしやすいデータ整備、インターネットの普及に対応した電子媒体による情報提供、及び国土地理情報を重ね合わせる等の各種騒音対策分析・活用方途、などについても検討し、生活環境の質の向上に寄与できる騒音マップが制作されることを期待します。

(環境省自動車環境対策課 児玉知之)