(2002年)


  1. [Q]高架道路の騒音や航空機騒音等の遠距離伝搬についての、国内外の調査研究について教えて下さい。
    (建設コンサルタント 技術者)

  2. [Q]1測定点で在来鉄道騒音と道路騒音を同時に測定する場合はどうしたらよいのでしょうか。
    (環境調査会社 技術者)

  3. [Q]プレス工場などの防音対策はどのようにすればよいか教えて下さい。
    (音響コンサルタント 技術者)

  4. [Q]住宅地の近傍で道路工事を行うのですが、役所から
    「住宅地での騒音予測を行ってもらいたい。環境基準値と比較して、それをオーバーするようならば対策を講じてもらいたい。」
    という要請がありました。詳細な工事計画は全くないのですが、騒音予測はどうすればよいのでしょうか。
    (建設コンサルタント 技術者)

  5. [Q]騒音調査の初心者です。どんな本を読めばいのでしょうか。
    (調査会社社員)

  6. [Q]道路交通騒音の低減のために遮音壁を設置したときに、事前に予測により求めた対策効果よりも遮音壁設置前後の測定値から求めた対策効果の方が小さいことが多いのですが、どのような理由が考えられるのでしょうか。また、予測精度を上げるための方法があれば、教えていただきたい。
    (建設コンサルタント 技術者)

  7. [Q]水中音響の測定事例及び評価方法について,またできたら参考文献を教えて下さい。  
    (建設コンサルタント)

  8. [Q]道路交通騒音の面的評価において、高架・盛土道路等の平面道路ではない区間について、「評価マニュアルU」に示されている簡易な予測手法(建物列上方のパスを考慮しない場合)を用いて良いのでしょうか?
    (コンサルタント)



高架道路の騒音や航空機騒音等の遠距離伝搬についての、国内外の調査研究について教えて下さい。

(建設コンサルタント 技術者)


音の遠距離伝搬に関する研究は1850年代から霧笛による信号のやりとりや大砲の設置場所を決定するために始まった。その後はしばらく戦争等で中断していたが、1950年代に入りジェットエンジンを装着した航空機やロケット開発実験の騒音が社会問題化したため、他の物理分野等の研究成果を加えて研究が西欧を中心に再開された。

それらは、第一に自由空間の逆二乗則による距離減衰が周波数や位相および振幅が絶えず変化する騒音でどの様になっているか、また、遠距離を伝搬する大気中でどのくらい空気による減衰があるかなどである。第二に地表面に近接した空中での減衰要素についての研究で、主に地表面インピーダンスによる反射音との干渉などにより伝搬音が到達しない領域が生じるシャドーゾーンの問題である。また、シャドーゾーンは地形、障害物、森林、風向風速などの影響によって発生する事が示された。第三には遠距離伝搬音と大気の状態の関係で、気温が上空に行くに従って逓減したり、風速が上空ほど速くなると云う気象学の知見を取り入れたものである。地上の大気が層状に分布すると考えると、その中を伝搬する音は層毎に異なる気温、湿度、風速などの影響で層の境界で音の伝搬方向が変化するので、地表面による影響ではない別のシャドーゾーン等が生じる事が多く研究されたが、気象と伝搬音の実測値の良い一致は多く見られないことが分かってきた。この理由は主に気象の実測値の質や数が不足しているためで、風は息をしながら三次元の方向に移動するものだが、一般に測定される風速は特定の場所の、水平方向の成分で、時間平均値であるために、音の伝搬と云う物理現象を表すことのできない観測値と云えるからである。気象の観測値を音の伝搬領域を充分カバーできる数と精密さで測定する事は不可能であるため、音の波動理論と気象学による大気の瞬時の要素を取り入れた理論的シミュレーションの研究や、反対に、長期間の伝搬音測定結果などからの実験的研究が行われている。何れの方法による研究も、大気のターバレンスと呼ばれる乱れがシャドーゾーンに動的に大きく関係する様子をある程度説明できるまでになってきた。 

これらは、市街地と騒音などの公害なしに共存できる高速道路や飛行場建設に必要な遠距離伝搬音の研究の始まりと云える。

(ケンオン 小西一生)

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1測定点で在来鉄道騒音と道路騒音を同時に測定する場合はどうしたらよいのでしょうか。

(環境調査会社 技術者)


鉄道騒音には、「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年環境庁)と「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針について」(平成7年環境庁)の二つの評価方法があります。前者は時間重み特性Sでの最大値を、後者は単発騒音曝露レベルLAEを基にした等価騒音レベルLAeqを評価値としています。

一方、道路交通騒音は、「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁)により等価騒音レベルLAeqを評価値にすることになっています。さらに、時間重み特性Fによる時間率騒音レベルLAN,Tを求めることも多いようです。

LAeq、LAEの測定には積分型騒音計による方法とサンプル値を用いる方法がありますが、異なる音源のレベルを分離して測定する場合には、サンプル値を用いる方が便利と思われます。

サンプル値よりLAeq等を求める場合の時間重み特性は時間間隔冲が十分短ければ、FでもSでもかまいません(詳細は、JIS Z 8731:1999「環境騒音の表示・測定方法」を参照して下さい)。

実際の測定では測定項目、経済性等を考慮し測定方法を決めます。鉄道騒音についてLAeqと時間重み特性Sによる最大値、道路交通騒音についてLAeqと時間重み特性FによるLAN,Tを求める場合、図1のようにFで騒音レベルをサンプリングし、Sでレベルレコーダに騒音レベル変動波形を書かせる方法が一案です。この方法では、測定後レベルレコーダ記録を参照しながら、サンプリング値を鉄道騒音と道路交通騒音を分離することになりますが、パソコンを利用すればそれほど手間はかからないと思います。

(ゼット音響 北川 保)

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プレス工場などの防音対策はどのようにすればよいか教えて下さい。

(音響コンサルタント 技術者)


公害防止としての騒音対策は企業の利益に結びつかない投資であるため、実施に当たっては必ず的確な効果が期待でき、目標値(規制値)を達成できる様な計算の上に立った騒音対策計画を立案するべきである。 「これ位の工事をやれば良いダロウ、ブロックでも積めば解決するダロウ」という安易なダロウ設計、ダロウ工事では目的の防音効果が得られず、ムダ金、死に金になる。(場合によっては、防音効果が不十分なため一度施工したものを撤去して、改めて工事施工することもある。) プレス工場の防音対策計画を進めるには、下図の如くに行うのが好ましい。


○現場調査・騒音測定・周波数分析

先ず現状状況を聴覚、視覚にて調査し、騒音レベル測定・周波数分析を行う。周波数分析は、音の性質(高周波か?低周波か?)を知るために(即ち的確な防音設計を立案するために)必要であるから必ず行うこと。周波数分析値を把握せずに経済的な防音設計はできない。

○騒音予測計算・防音設計

騒音レベルの減音量(現状値−目標値)を決め、周波数分析結果より音の性質に合致した騒音防止の方法、防音材料の選定をし、騒音予測計算を行った上で防音設計計画を作成すること。
防音対策の方法としては、下図の3つの方法がある。


イ)防音ボックス(音源を狭い範囲で囲う)

"音は根源で断つ"の鉄則通り、若し可能なれば防音ボックス対策が最も有効、適切な方法である。
☆検討事項:プレス、コンプレッサー等全台数を実施できるか、作業能率、メンテナンス、工場内スペース、ボックス内の温度上昇、機器の更新等、作業安全、作業環境・・・・・

ロ)建家防音対策(屋根・壁を改善

現在の屋根・天井及び壁の防音強化対策。(二重壁・二重天井・二重屋根等の対策)防音材として音源側に吸音材、外部側に遮音材の構成とする。
☆検討事項:建築基準法・消防法他法例との関連、工場内スペース、換気口、サッシ、出入口等全面施工、作業環境(工場内換気・工場内採光) 遮音材等の材料の荷重計算・・・・・

ハ)防音塀対策(敷地境界等に塀を建てる)

 回折音(回り込み音)の計算をした上で対策の範囲(高さ、長さ)を決める。あまり大きな防音効果はない(最大限25dB位である)但し、視覚的・心理的効果は大であり、企業側の前向きの誠意は通じる。
 ☆検討事項:消防法他法例との関連、日照権、通風権、環境権・・・・・

 上記いずれの防音対策についても、施工技術の優劣により防音効果は、同じ防音材料を使ってもその差異が大きいため、施工に当たっては美観・雨仕舞等を主眼とする一般建築工事でなく、防音を主眼とする間隙部密閉処理を充分配慮した上の、綿密且つ入念な施工を行う事。  

(平野防音 平野 康夫)

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住宅地の近傍で道路工事を行うのですが、役所から「住宅地での騒音予測を行ってもらいたい。環境基準値と比較して、それをオーバーするようならば対策を講じてもらいたい。」という要請がありました。詳細な工事計画は全くないのですが、騒音予測はどうすればよいのでしょうか。

(建設コンサルタント 技術者)


工事騒音は騒音規制法の規制基準で評価するものであり、評価対象に含まれていない環境基準と比較する事には問題があります。ここでは、住宅地内の環境変化を知る一つの目安として環境基準と比べることと考えます。

ご質問のようなケースの場合は、「ユニット」を用いた予測がよいと思います。ユニットという考え方は、ここ2,3年にでてきた新しい考え方で、例えば、掘削工事ならば、バックホウとダンプトラックが1ユニットであり、掘削・積込・運搬という一連の作業の中で発生する騒音を1つの音源として取り扱おうというものです。これを用いると、作業モードの設定とか、ダンプトラックの走行路設定とかいう面倒な作業設定は一切不要です。これらの値は、全国の様々の工事現場での実測結果に基づいて算出されたものです。

詳細は「道路環境影響評価の技術手法」(平成12年11月、財団法人道路環境研究所)もしくは、「ダム事業における環境影響評価の考え方」(平成12年3月、財団法人ダム水源地環境整備センター)に記載されています。表1は筆者による設定例を示しました。

表1 ユニット別音源パワーレベルLwの設定例
(単位デシベル)
工種適用したユニットLW
橋梁下部工中掘工法104
路盤土工(切土)土砂掘削104
路盤土工(盛土)盛土(路体・路床)108
路盤土工(擁壁)現場打擁壁110
舗装工アスファルト舗装工101

予測にあたっては、建設機械の稼動範囲の中心に点音源を置いて、通常の減衰式に当てはめればよいのですが、この結果は建設機械稼動時における等価騒音レベルであり、環境基準値と比べる場合は、昼間16時間の等価騒音レベルLAeq,16hに変換する必要があります。作業時間として通常は8時間を入れますが、実際の作業内容を考慮して実稼動時間を入れてもよいと思います。

LAeqP1=LW−20log(r)−8
LAeq,16h=LAeqP1+10log10(T/16)
LAeqP1 : 建設機械稼動時の等価騒音レベル(dB)
LW : 音源のパワーレベル(表1の値)
r : 建設機械から予測地点P1までの距離(m)
LAeq,16h : 昼間16時間の等価騒音レベル(dB)
T : 作業時間(時間)

建設機械の稼動範囲については、筆者は工事計画の詳細が未定の場合、ユニットを構成する建設機械の大きさ・作業範囲を考慮して、直径15m〜30mの円内を作業範囲と考えて、その中心に点音源を置いて計算を行っています。
注意点としては、予測は工種ごとの建設機械を理解した上、適切にユニットを設定する必要があります。例えば、橋梁工事(下部工)なら、掘削を対象とするなら「土砂掘削」を、杭打ちならば、例えば「中掘工法」を使用し、コンクリート打設に注目して予測を行いたいならば、使用する建設機械(コンクリートポンプ車、コンクリートミキサー車)から「現場打擁壁工」を準用するという工夫が必要です。ユニットは、施工内容を十分理解さえしておれば、面倒な設定が不要、かつ、精度の高いモデルと言えます。

(中央復建コンサルタンツ 松井敏彦)

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騒音調査の初心者です。どんな本を読めばいのでしょうか。

(調査会社社員)


初心者や一般の人を対象とした書籍として「公害防止の技術と法規 騒音編」(監修:通産省環境立地局)があります。これは、騒音の基本的特性から測定技術、騒音防止技術まで簡潔にまとめられており、公害防止管理者資格認定講習用テキストとしても用いられています。また、交通騒音や工事騒音、工場騒音などの騒音源特性などを知る上では「地域の音環境計画」(日本騒音制御工学会編、1997)、室内外の音の伝搬などを知る上では「建築・環境音響学」(前川純一著、1990)が参考になります。

当学会の頒布資料には「騒音・振動技術の基礎と測定」(平成13年度講習会テキスト)があります。当学会のホームページ(http://www.ince-j.or.jp)にアクセスされると騒音・振動についての情報が入手できます。

(綜合技術 三宅龍雄)

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道路交通騒音の低減のために遮音壁を設置したときに、事前に予測により求めた対策効果よりも遮音壁設置前後の測定値から求めた対策効果の方が小さいことが多いのですが、どのような理由が考えられるのでしょうか。また、予測精度を上げるための方法があれば、教えていただきたい。

(建設コンサルタント 技術者)


大きく分けて3つのことに注意する必要があります。まず第1点は対策効果の測定方法です。 通常は遮音壁を設置する前後において遮音壁背後で騒音測定を行い、 設置前後の測定値(LAeq)の差を遮音壁の挿入損失(効果)とすることが多いでしょう。 そのときに対象道路以外の騒音(例えば側道車等)の影響は除外する必要があります。 通常は測定中のLA95や最小値を暗騒音と考えてLAeqを補正します.このときに設定した 暗騒音の音源を確認しておく必要があります.交通量が多い道路ではLA95や最小値もそ の道路からの騒音で決まっている場合もあります.そのような場合には道路から離れた 地点に暗騒音把握用の測定点を設置する方法もあります.
 第2点目は,設置前後の交通量等の違いを補正する必要があります. 調査時の交通量・大型車類混入率・走行速度等は調査毎に異なるわけですから、 発生騒音は遮音壁の設置前後で異なります。このため、遮音壁の設置区間の前後で遮音 壁設置の影響を受けず、かつ遮音壁設置区間と同じ交通状況と考えられる地点に測定点 (基準点)を配置し遮音壁背後での騒音測定と同期させて測定します。遮音壁設置前後 の基準点での測定値の差を発生騒音の違いと考え、遮音壁背後での測定値の差に補正して 効果を算出します。基準点が設置できない場合には、LAeqと小型車換算交通量 (ASJ Model 1998では大型車1台の発生騒音は小型車4.47台に相当しますので大型車1台を 小型車4.47台として換算します)との対応を設置前後で整理し、設置前後の回帰式の差 から対策効果を把握することもあります。 なお、この場合には回帰式の信頼区間をできるだけ小さくするために交通量が最小となる 時間と最大となる時間を含むような測定が必要になります.通常は毎正時から10分間の測定 を24回することが多いです。また、スピーカを用いた伝搬実験で対策効果を把握することもあります。 いずれにしても、遮音壁設置前後の発生騒音の違いをいかにキャンセルするかが重要です。 また、遮音壁の遮蔽効果は一般には高い周波数ほど大きいため,設置前後の周波数特性を比較し、 その差が物理的に意味のあるものかを検討するのも良いでしょう。
 第3点目としては、現実の騒音伝搬や発生騒音がどの程度まで予測に反映されているかです。一例としてあげれば、
  • 建物や地面等での反射音はどのように考慮されているか。
  • 遮音壁の透過音は問題とならない程度に小さいと考えられるか。
  • 高架道路であれば高架構造物音を考慮しているか。
などが考えられます。透過音や高架構造物音の影響があれば、当然のことながら見かけの対策効果は小さくなります。問い合わせのなかで「予測により求めた対策効果よりも測定で求めた対策効果の方が小さいことが多い」とありますが、実際の伝搬経路等が予測において充分反映されているでしょうか。また「予測精度を上げるための方法」についてですが、対策箇所が具体的に決まっていれば、最低限その場所の現在(遮音壁設置前)の騒音レベルと予測値の対応を検討しておく必要があります。また遮音壁設置後とよく似た場所があれば、その場所で測定値と予測値の対応を整理し、予測に用いたモデルが妥当であるかを検討するのも良いと思います。マニュアル的には片付かない問題点が浮かび上がってくることもあるでしょう。もちろん何もかも予測にとり込めば良いというものではありませんし、またどう予測してよいのかわからないものもあるでしょう。しかし騒音に影響を与えそうな項目があれば、何らかの方法で検討すべきです。下手をすると「多額の対策費を講じたにも係わらず、ほとんど効果がなかった」なんてことにもなりかねません。  最後に、問い合わせのような経験をお持ちの方は多数いらっしゃると思います。成功例・失敗例共に大変貴重なデータです。遮音壁を設置するにあたり検討したこと、あるいは実際に設置したときの効果等を本工学会の技術発表会等で発表されることで、今後の遮音壁の設計に役立つはずです。ぜひ発表してください。

(ニューズ環境設計 福島昭則)

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水中音響の測定事例及び評価方法について,またできたら参考文献を教えて下さい。 

(建設コンサルタント)


水中音響の調査,測定は,漁業環境影響に関連するものがほとんどですが,海中作業者,水族館等に対する影響調査も行われています。 今回は水中音の基礎,測定事例,評価方法についてまとめました。

1.水中音の基礎

水中音の基準値は,私たちが使用している空気中の音の基準値と異なります。水中音と空中音(騒音)の基準値等を比較して下記に示します。空中音の一般的な暗騒音は20〜40dB程度ですが,水中音の背景雑音は静かな湾内で100〜120dB程度です。水中音圧計の周波数範囲は10Hz〜100kHz程度ですが,漁業環境関係では,10Hz〜10kHzの周波数範囲で測定しています。
項 目基準値測定範囲
空中音20μPa30〜130dB
水中音1μPa100〜180dB

2.調査測定事例

弊社では,水中音,海底振動の漁業環境関連の調査,測定を1975年頃より,測定方法の基礎研究を含め,現在まで数多く行っています。主な測定事例を紹介します。
  1. 航空機:海上空港建設に伴い,航空機の離着陸時の音が,水中へ透過,伝搬するため,空港島周辺の漁業環境に及ぼす影響を調査しました。測定は,空港周辺海域に調査船を配置して,航空機離着陸時の空中音,水中音,航空機の高度等を測定しました。測定結果から,空中音,水中音の音圧レベルコンタを作成し,滑走路直下周辺海域の影響範囲を予測しました。水深,機種等により異なりますが,滑走路直下の空中音圧レベルは90〜110dB程度,水中音圧レベルは120〜130dB程度です。
  2. 海洋土木工事:空港島,橋梁等の大型海洋建設工事に伴う,杭打ち,サンドコンパクション等から発生する水中音,海底振動について,測定しました。サンドコンパクションの水中音圧レベルは,距離100mで140〜150dB,海底振動加速度レベルは距離100mで50〜60dB程度でした。
  3. ロケット発射時:種子島宇宙センター周辺,海域で,ロケット打ち上げ時の水中音,海底振動を測定し,漁業影響範囲を予測しました。ロケット打ち上げ時の空中音圧レベルは130dB,水中音圧レベルは150dB程度でした。
  4. 海中作業者への影響:海岸の岩を砕く作業時,周辺の海中作業者(海女さん)への影響を確認するため,作業時の水中音を測定し,ダイバーの感覚等より影響範囲を予測しました。海外の文献では,水中音の人に対する実験報告も発表されていますが,今回の調査結果では海中の作業者が感じる水中音圧レベルは130dB程度と推定されました。
  5. 水族館:水族館周辺の地下駐車場の建設に伴い,事前に工事機械稼動時の振動,水槽の水中音を測定し,イルカ,ラッコ等への影響を予測しました。イルカの鳴声,複雑な伝搬経路等で苦戦しましたが,水中音,振動のレベル上昇は考えられるが,影響は非常に少ないと評価しました。
  6. 橋梁,海底トンネル:連絡橋列車通過時に橋脚及び地盤より発生する,水中音,海底振動を測定し,影響範囲を予測しました。列車通過時の水中音圧レベルは150〜160dB,海底振動加速度レベルは60dB程度でした。海底トンネル調査では,車輌通過時にトンネル上部の水中音圧レベルが若干上昇する程度でした。

3.評価方法

魚類の聴感覚閾値等の生物的な基礎実験は数多く行われていますが,漁業環境影響に関する基準等は現在確立されていません。魚類に関する影響調査は,例えばイケスの魚類に水中スピーカから放音し,水中ビデオ等で行動を観察し,その行動を起こす水中音圧レベルを評価値としています。魚の種類,水中音の周波数,実験状況等により影響レベルは大きく異なりますが,最新の実験結果から得られた,魚類行動に影響を与える水中音レベル145〜150dB,比較的敏感な周波数200Hz前後では140dBの値が良く使われています。魚種別の影響レベルの一例。
サケ,サバ,マダイ,スズキ150 dB
アジ,マイワシ145 dB
カタクチイワシ135 dB

参考文献

R・J・ユーリック「水中音響の原理」共立出版
添田秀男,畠山良己,川村軍蔵「魚類の聴覚生理」恒星社厚生閣

(アイ・エヌ・シー・エンジニアリング 藤井圭次) 

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道路交通騒音の面的評価において、高架・盛土道路等の平面道路ではない区間について、「評価マニュアルU」に示されている簡易な予測手法(建物列上方のパスを考慮しない場合)を用いて良いのでしょうか?

(コンサルタント)


「評価マニュアルU」1)においては、建物・建物群による減衰補正量に関する予測手法は、詳細調査手法として、建物群上方の回折音を考慮した一般式、基本調査手法として、建物群上方の回折音を無視した簡易式が示されています。いずれの手法とも、遮音壁のない平面道路を対象としたモデル式であり、モデル式の適用条件を勘案すると、高架・盛土道路等の平面道路ではない区間については、基本的には適用できません。
 高架・盛土道路等の平面道路ではない区間を対象として、建物・建物群による減衰補正量を予測計算する方法については、上坂ら2)が示したモデル式が適用可能であり、伝播パスの考え方は、図−1に示すとおりです。 
 ここで、道路交通騒音の面的評価では、数千戸あるいは数万戸の家屋等を対象として、騒音に係る環境基準値の超過状況を把握・評価するわけですが、これについては、家屋の立地状況等の年次更新も念頭に置き、効率的な予測システムが不可欠であると考えられます。


図−1 市街地のモデル化と伝播パスの考え方

上記の上坂らによる高架・盛土道路等も適用対象としたモデル式は、予測過程が複雑であり、道路交通騒音の面的評価に適用した場合、予測条件の整理に膨大な作業量を要する可能性があるものと思われます。
 一方、高架・盛土道路等といった音源位置が受音点位置より高い場合は、建物群上方からの回折音の影響が比較的大きくなることが想定されますので、これらを反映していない「評価マニュアルU」に示されている手法を適用することは過小な予測となります。
 上記要件を勘案すると、実務レベルでは、高架・盛土道路等の平面道路ではない区間については、実測値に基づく検証・補正を行い、予測精度を補完するような措置を講じた上で、「評価マニュアルU」に示されている手法を適用しても構わないのではないかと思います。この場合、モデル式の拡大適用を行っているわけですから、評価結果と併せて、モデル式の適用条件等を明示しておく必要があるものと考えられます。
 なお、「評価マニュアルU」に示されているモデル式については、評価高さを1階レベルで代表させる場合(基本調査)では、建物群上方の回折音を無視した簡易式を適用しても良いものと思われますが、沿道建物高さに対応した評価を行う場合(詳細調査)では、建物群上方の回折音を無視することは適切ではないものと考えられるため、建物群上方の回折音を考慮した一般式を適用する必要があります。
1) 環境庁:騒音に係る環境基準の評価マニュアル U.地域評価編(道路に面する地域)(平成10年5月)p37
2) 上坂克己、大西博文、千葉 隆、高木興一:幹線道路に面した市街地における騒音レベルの計算方法、((社)日本音響学会騒音振動研究会資料N98-67(平成10年12月)

(中央復建コンサルタンツ株式会社 八川 圭司)

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